2010年9月30日 (木) 掲載

◎あすからたばこ大幅値上げ、禁煙外来の来院者急増

 たばこが10月1日から大幅に値上げされる。この機会に禁煙しようと函館でも、病院の「禁煙外来」を訪れる患者が急増。たばこ店やコンビニエンスストアでは、カートン(10箱入り)単位でまとめ買いする姿が目立つが、10月以降の売り上げを心配する声も聞かれる。一方、禁煙グッズが人気で値上げを商機ととらえる店もあり、反応はさまざまだ。

 4年前に禁煙外来を始めた函館市昭和の亀田病院では、JT(日本たばこ産業)が値上げを発表した今年4月以降来院者が急増。5月からこれまでに26人が訪れ、このうち10人が9月から禁煙にチャレンジしている。

 「どうしてやめようと思いましたか」。29日、初診に訪れた40代女性に安田浩之副院長が問いかけた。女性は「大幅値上げを前に家族ら周囲がどんどん禁煙している。自分もこれを機会に、決心しました」ときっぱり。

 医療機関などの一般的な禁煙診療は約3カ月間で、2006年から医療保険が適用されてからは、ニコチン依存症と診断されれば、薬代込みで診療費は約2万円で済むようになった。医師による問診に加え、禁煙補助薬を使って行われるプログラムでは、体内のニコチン受容体を遮断する飲み薬「チャンピックス」の成功率が高く、来院増につながっているという。

 亀田病院での禁煙成功率は7─8割で、40—50代の市民の来院が目立つという。安田副院長は「受診者の多くが値上げに背中を押されて来るようになった。今後増える可能性がある」と話している。

 同市中道2の「道南勤医協・稜北内科小児科クリニック」でも、今年7月ごろから来院が増えてきた。これまで6割強が禁煙に成功したほか、「喫煙本数が減るという一定の効果も出ている」(同クリニック)という。初診患者には、看護師が電話で禁煙の進行具合を尋ねる試みもしている。

 同市桔梗の「えんどう桔梗こどもクリニック」は、1999年に道南で初めて禁煙外来を新設。これまで数多くの禁煙挑戦者を診てきた遠藤明院長は「禁煙に成功した人で喜ばなかった人はいない。皆『実はやめたかった』と考えている人が多い。値上げは禁煙のいいチャンス」。

 値上げ前に大量購入する「駆け込み需要」は函館市内でもピークを迎えている。

 7月下旬から予約販売を開始した、同市宮前町の「函館たばこらんどセラーズ磯」。これまで愛煙家約160人から予約が入り、売り上げは8、9月と連続で通常の2倍以上だという。同店では10月1日が迫るにつれ常連以外も来店し、大量にカートンで購入する姿が見られている。

 店長の磯雅晴さんは「駆け込み需要のおかげで本当によく売れた」と目を丸くするが、「主力のたばこ販売だけでは、これから食べていけるか心配。来月から新規商品も並べないと」と値上げ以降の売り上げ減少を心配する。

 約150種類の銘柄をそろえる、コンビニエンスストアのローソン函館中島町店。今月中旬から予約の申し込みが増え、中には30カートン(約9万円相当)を注文する人もいたという。2008年の顔写真付き成人識別カード「タスポ」導入以来、堅調な売り上げを続けていただけに、今後の売れ行きについては不安を隠せない。同店は「常連さんもたばこをやめると宣言する人もいた。入荷量を含めて、今後は考えて行かなければ」とため息をつく。

 一方で、ドラッグストアには特需をもたらした。道内や東北地方を中心に展開するツルハドラッグでは、禁煙グッズが好調だ。張り薬の「ニコレットパッチ」や、イライラを緩和する「ニコレットガム」がよく売れているといい、合わせて前年同月比で10%増となった。市内各店は「2商品を主力に今後も状況を見て入荷を増やしていきたい」と値上げをチャンスととらえ売り上げ増を目指す。



◎スタバ「函館ベイサイド店」来月29日オープン

 大手コーヒーチェーン「スターバックスコーヒージャパン」(東京)が函館市末広町24のベイエリアに出店する市内1号店「函館ベイサイド店」が、10月29日にオープンすることが決まった。同社では初めての「ヘリテージ(伝統)」をコンセプトに掲げた店舗で、内装も港町の雰囲気を生かした温もりのある空間を演出する。

 新店舗は函館西波止場で営業していた土産品店の建物を生かし、内装を中心に全面改装。2階建ての店舗面積は延べ約350平方メートル。1、2階とテラスを合わせて121席を用意し、「リビングのようにくつろいでもらいたい」(同社マーケティング本部)と、ソファ席も多く配置した。

 1階には全国でも珍しいペレットストーブのほか、道南産の木材を使った大型テーブルを設け、2階は函館港に面したテラスに通じる出入り口もある。同社は「函館はスターバックス発祥のシアトルに通じる共通点がある。どこか懐かしさを感じる新しいデザインで、お客様に非日常を味わってもらいたい」と話している。

 アルバイト従業員は20人を現地採用した。オープン前には関係者向けのプレイベントも開く予定だ。同社は全国で約891店舗を展開。道内では札幌市に15店舗、旭川市に2店舗、北広島市、苫小牧市に各1店舗の計19店舗があり、今回の函館の出店が20店舗目となる。

 近隣で勤務する女性会社員(39)は「函館はおいしいカフェが多く、選択肢が広がるのはうれしい。ロケーションもすてきな場所なので、マグカップを買って頻繁に通うことになりそう」とオープンを待ちわびていた。新店舗の営業時間は午前8時—午後11時。(森健太郎)



◎HIFが若者の就労支援へプロジェクト立ち上げ

 北海道国際交流センター(HIF)は、若者の働く意欲をサポートする「函館Chance!プロジェクト」を立ち上げた。函館の若者を対象に、一次産業やものづくり、NGO(非政府組織)やNPO(民間非営利団体)の活動を紹介するほか、メンタルケアなどを行っていく。

 若者に同団体企画のプロジェクトに参加してもらい、就労・自立を促す狙い。5人のサポートメンバーが、さまざまな仕事や活動の紹介・支援をしていく。

 一次産業分野を担当する前川未来さん(27)は農家に協力を呼び掛け、プロジェクト参加者の農業体験をサポート。「1日体験から短期インターン、3カ月以上の就農支援まで、その人にあわせたパターンで行う。田畑での作業以外にも、セールスやネットなど、若者の力を必要としている農家さんは多い。得意分野を生かして農業従事を考えてもらえたら」と話す。

 ものづくり分野では北見伸子さん(38)が陶芸やシルバーアート、木工など、もの作りの楽しさから、それをどのように仕事にしていくかなどを作家を講師に迎えて紹介する。NPO・NGO分野は、山本琴絵さん(21)が担当。函館市内・近郊で活動するNPO・NGO団体を参加者に紹介する。「ボランティア活動から始めて、就労意識を持つところまでサポートできたら。一歩を踏み出す後押しをしたい」と山本さん。

 このほか、メンタル面のサポートを川村佳子さん(30)が担当。川村さんは日本産業カウンセラー協会員で、東京でカウンセラーとして働いた経験をもとにセミナーを行う。また、瀬戸忍さん(39)は掃除プロジェクトを担当。瀬戸さんは「身の回りの掃除をすることで、脳内も整理されるはず。片付けをした達成感を、活力にかえていきましょう」と話している。

 プロジェクトは同センターで10月7日に活動を開始。午後1時から「世界に1冊だけの本作り」、同3時から「人⇔人トレーニング初級講座」を行う。また、9日午後5時から「お披露目会」も開催される。参加費500円。問い合わせはTEL0138・22・0770。(堀内法子)


◎JAならけんが奈良の柿PRへ、街頭で2000個無料配布

 奈良県名産の柿をPRしようと、JAならけんや同県五条市の生産者などのキャンペーン団が29日、函館入りした。一行は函館市若松町の棒二森屋前で買い物客らに柿を無料配布し、収穫期を迎えた特産の柿のおいしさをアピールした。

 函館市の青果物地方卸売市場で取り扱いを始めたのを機に、1994年から県特産の柿「刀根早生(とねわせ)」の消費拡大を図ろうと、函館でキャンペーンを展開している。今年で16回目。この日は函館市役所も表敬訪問し、西尾正範市長にもプレゼントした。

 街頭での無料配布には、午前零時半の開始前から市民らが長い列をつくり、法被姿のメンバーが4個入りの袋を手渡した。用意した500人分・2000個はわずか10分足らずで配り終え、受け取った市内の女性(83)は「有名な柿を函館で食べられるなんてうれしい」と笑顔だった。

 JAならけん五条柿部会の中矢明志委員長は「今年は春先の冷害で収量は例年の7割ほどだったが、夏の猛暑で甘みは期待できる。一人でも多くの函館の皆さんにも食べてもらいたい」と話していた。一行は30日にも市内の老人福祉施設に柿を寄贈する。(森健太郎)