2010年9月7日 (火) 掲載

◎明治大学マンドリン倶楽部演奏会

 明治大学マンドリン倶楽部函館演奏会が6日、函館市芸術ホール(五稜郭町37)で開催された。ゲストに函館出身の歌手う〜みさんを招き、古典音楽から懐かしのメロディーまで多彩な楽曲が披露された。

 演奏会は3部構成。明治大学校歌の演奏とともに幕を開けた第1部では、ヨハン・シュトラウス2世の「雷鳴と電光」、「歌劇『カヴァレリア・ルスティカーナ』より間奏曲」などが演奏された。マンドリンが奏でる軽やかで心地良い旋律に、聴衆は魅了されていた。

 第2部にはう〜みさんが登場。コマーシャルに使用された「私のふるさと」や「みんな」など7曲を熱唱し、軽妙なトークで会場を盛り上げた。市内から訪れた女性(58)は、「幅広い曲目を聴けて楽しめた。マンドリン独特のキラキラした音色が印象的でした」と感激の面持ちで話していた。(黒田 寛)



◎09年度、函館市が赤字転落

 函館市の2009年度全会計連結決算は2億9800万円の赤字に転落した。8600万円の黒字を計上した08年度から一転、病院事業会計の赤字幅が増加し、他の会計で補うことができなかった。全会計の赤字額の合計割合を示す「連結実質赤字比率」は0.41%で、早期健全化基準(16.25%)からみると余裕はあるものの、体質改善が課題となっている。

 自治体の財政状況は地方財政健全化法に基づき、07年度決算から@普通会計の実質赤字比率A全会計の連結実質赤字比率B実質公債費負担率C借金の将来負担比率―の4指標で示すことが義務付けられている。

 09年度の普通会計決算は8億3421万円の黒字で、@の実質赤字比率は0%。市財政課によると、地方交付税が当初見込みより16億円増えたことで市税収入の減少をカバーし、11億円を予定していた基金の取り崩しもせずに済んだ。一方で国が認めた借金である退職手当債を約20億円発行して賄った面もあった。実質的な赤字体質に変わりはなく、借金に頼らない財政運営が求められる。

 通会計に特別会計や企業会計を加えた連結決算が2億9800万円の赤字。国民健康保険事業が6億5001万円、自転車競走事業が5億5237万円、病院事業も24億5596万円の資金不足を抱えており、一般会計のほか水道事業(15億7118万円)の黒字をもっても、黒字には届かなかった。各指標には監査委員の意見を付すことになっており、市監査委員は病院事業に対する個別意見として、病院事業改革プランに基づいた「医師や看護師確保などの診療体制の強化と、さらなる経費の削減」を求めている。

 標準財政規模(市税と地方交付税)に対する借金返済の割合を示す実質公債費負担率は9.0%で、08年度の10.0%から改善。黄信号ラインとなる国の早期健全化基準(25%)を下回る。一方で、借金の将来負担比率は08年度の128.7%から130.1%に悪化。監査委員は少子高齢化と人口減少の影響で「一般財源の大幅な増収は見込めない」とし、計画的な借り入れと行財政改革の推進を要望している。(千葉卓陽)



◎全国高校総合文化祭で市函文芸部誌が最高賞

 市立函館高校(日向稔校長)の文芸部(部員6人、若林麻友部長)の文芸部誌「海碧(かいへき)」が、本年度の全国高校総合文化祭・文芸部誌部門で最高賞にあたる講師賞を受賞した。6日、功績をたたえて西尾正範市長から同部に市長賞が贈られた。

 文芸部誌部門は8月1日から、宮崎県延岡市で開催した。同部は昨年7月に発行した「海碧」(第7集、高橋優音編集長)で、昨年の全道校文連で全国大会への推薦を受けた。冊子はB5判で、小説や詩、短歌、俳句などを掲載。特集として函館出身の作家・佐藤泰志を取り上げ、高校時代の同級生に話を聞いたり、作品を読んだ感想、作品と街を比較した内容をまとめた。

 受賞を受けて若林部長(3年)は、「大会の会場ではあまり実感がわきませんでしたが、学校に戻ってからは、先輩たちが培ってきた結晶が実ったと思いました。感謝しています」と話した。

 市長賞の授与は253件目。文化活動で優秀な成績を収め、市民に明るさと希望を与えたとして、対象となった。6日は、第7集の制作に携わった若林部長と成田茜副部長(同)、柳沢唯さん(2年)の3人が、同校の校長らとともに函館市役所を訪問。西尾市長から直接、市長賞を受け取った。

 西尾市長は「聞いたり調べたりと、よく頑張っている」と努力をたたえ、多賀谷智教育長は「高校生のレベルを超えた内容」と評価。若林部長は「今年は部員が2人入ったので、この調子で頑張っていきます」と今後の意気込みを伝えた。(小泉まや)


◎プラ容器包装調査、適切なごみ分別改善

 函館市が8月に実施したプラスチックごみの排出状況などを調べる「プラスチック容器包装組成分析調査」の結果がこのほどまとまり、適切に分別されたごみの割合は、2008年度の調査開始から最高となる84.25%となり、前年から約8%改善した。一方ごみの内訳ではレジ袋が昨年度の2.33%から4.61%と約2倍に増加。市リサイクル推進課は「レジ袋一部有料化から2年が経過し、一時の使用減少の反動が出ているのでは」としている。

 レジ袋は函館市や消費者協会、6事業所の3者協定で08年から一部有料化になった。それ以降使用は減少していたが、「一時的なレジ袋削減効果からのリバウンドや、有料化を実施していないコンビニの利用増加があるのでは」(同課)と前年度比2倍の増加となった背景を分析する。

 また今回の調査では小分けしたごみをレジ袋などにまとめ、内袋として外袋の中に入れる人が多い傾向にあることが分かった。同課は「内袋はプラスチック処理センターで破られにくく、異物として処理されるためリサイクルされなくなる」と説明。「今後は市民に内袋を使用しないよう周知してきたい」とする。

 プラスチック容器包装とはかっぷめんの容器やトレーなど、商品を取り出した後に不要となる容器。同調査は住宅地や団地、商業地など市内5地区から、521袋の検体を収集して実施した。(山田孝人)


◎【企画・絆―お年寄りを見つめて(上)】在宅福祉委員の活動

 「こんにちは。見回りに来たよ」「ご苦労さま。暑いでしょ、さあ入って」。函館市万代町にある民家。居間から顔を出した女性(93)が、声掛けに来た女性を手招きする。一人暮らしの高齢者らの孤独死を防ぐ、在宅福祉委員の安否確認活動だ。

 「残暑が厳しいから水分補給は適度にね」「ありがとうね。ところで―」。瞬く間に会話は弾み、2人は世間話に夢中だ。市社会福祉協議会の委託で行う見回りは65歳以上の夫婦世帯なども含め、委員1人でおおむね5人の対象者を担当する。活動は週1回だが、町内で偶然対象者と会うことも多く、2人の会話から強い信頼関係がにじむ。

 女性は20年以上、一人暮らし。近所のスーパーへ買い物に行き、身の回りのことは一人でできる。地域住民との交流も持っているが、こうした見守り活動は心強いという。

 だが、近所の顔が見えにくいとされる世帯は別だ。マンションの19世帯を受け持つ同委員会委員長の永澤和枝さん(58)は、活動の難しさを痛感する一人。「ご近所付き合いがないぶん、コミュニケーションがなかなか取れない」と人間関係の希薄化を指摘する。ただ、訪問を繰り返し、相手と親しくなったケースもないではないという。

 古い家屋や高齢者世帯の多い西部地区はどうか。ある60代の在宅福祉委員は「結局は委員のなり手不足。見回りをする本人がそもそも独居世帯の対象者≠ニいう現状がおかしい」と首をかしげる。だが、20―50代の現役サラリーマンらはボランティア活動にまでなかなか手が回らないのが実情だ。「委員が多いほど活動は活発になる。若い世代を巻き込むのが喫緊の課題だ」と見守り支援の拡充を訴える。

 約6500世帯を抱える人口集住地区、美原の対象世帯は83世帯。「実際、対象者はもっといる」(若松均在宅福祉委員長)というが、「元気だからお気遣いはいらない」と訪問を遠慮する高齢者が多く、都市部ならではの事情も抱える。また、スムーズな活動進行の実現に、町会と在宅福祉委員会の一元化を提起する。「どっちもメンバーは同じ。町会に組織を組み入れるべきでは」 (長内 健)

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 全国各地で次々と明るみに出る高齢者の所在不明問題。地域住民や行政、関係機関による安否確認活動などが行われているが、プライバシーなどの問題から対象者すべての生活実態を把握することは難しい。関係機関の取り組みを通し、課題や展望を考える。