2010年9月9日 (木) 掲載

◎函館どつく 本年度4隻目の造船 進水式に歓声

 函館どつく函館造船所(函館市弁天町)で8日、本年度4隻目の新造船「OCEAN HOPE(オーシャン ホープ)」(約1万9850トン)の進水式が行われた。関係者や地元の小学生ら約500人が見守る中、巨大な船体が函館港に進水する様子を見守った。

 新造船は日本郵船(東京)が発注した全長175.5メートル、幅29.4メートルのバヌアツ船籍の木材兼ばら積み貨物船。函館どつくが独自に開発した「スーパーハンディ32」型としては42隻目で、喫水が9.6メートルと浅く、水深の浅い港でも出入りできるのが特徴だ。

 進水式で発注元の関係者が船首に結ばれたロープをおので切ると、巨大な船体が轟(ごう)音を立てながら船台を勢いよく滑り降りた。船が紙テープをなびかせながら海面に着水すると、訪れた見学者からは拍手と歓声が上がり、携帯電話のカメラで撮影する姿も目立った。

 この日は市内の小学生ら100人以上が社会見学で訪れ、函館戸井西小6年の武井伽耶飛(かやと)君(11)は「大きくてすごい迫力で、海に向かうスピードが思ったより早かった。間近で見れたことを友達にも自慢したい」と目を輝かせていた。

 船は今後、内装工事などを済ませ、10月下旬に引き渡される。同社は2013年度末まで年間8隻の受注を確保している。(森健太郎)



◎函館の魅力 全国2位に 地域ブランド調査 札幌に抜かれ首位陥落

 全国で最も魅力的な街・函館が首位陥落―。民間コンサルタント会社「ブランド総合研究所」(東京)が8日に発表した地域ブランド調査で、昨年初めて全国トップに躍り出た函館市は2位となり、2年ぶりに札幌市にナンバーワンの座を明け渡した。同研究所は「上位都市は軒並み消費者の観光意欲が落ち込み、旅行ニーズが多様化しているようだ」と分析している。

 調査は今年で5回目。7月に全国の計1000市区町村を対象に20|60代の約3万4000人に対してインターネットでアンケートを実施。「魅力度」「認知度」「観光意欲」など63項目についての評価を点数化した。

 函館市は2007年に4位、08年に2位、09年に1位と着実に順位を上げてきたが、今年は昨年2位に落ちた札幌市と首位が入れ替わった。今年の函館の魅力度は55.5点で、昨年より3.3ポイント低下。特に函館への「観光意欲」の項目が65.2%と昨年より4.2ポイントの大幅減となった。

 函館へのイメージについて昨年1位だった「観光・レジャーのまち」が75・5%で昨年より8.2ポイント低下の2位に。「買いたい土産、地域産品がある」「食事がおいしい」はともに昨年トップだったが、今年は3位、2位へと落ち込んだ。半面、まちのイメージについて「デザインやセンスが良い」が昨年の21位から15位に上昇した。

 順位が下がったことについて同研究所は「開港150周年記念の大きなイベントが終わり、西日本や20代の若者の情報接触度が減ったのが要因」と指摘。一方で東日本では函館が観光都市として定着し、北海道全体の評価も高水準を維持していることから「今後は継続した情報発信でリピーターを増やし、ある程度ターゲットを絞った観光戦略も必要」としている。

 西尾正範函館市長は首位陥落にも「全国1000の市町村の中からトップ10に入るだけでもありがたいこと」と前向きにとらえる。それでも2位と健闘したことについて「箱館奉行所の復元オープンや競馬場のリニューアルなどさまざまな話題があったことも大きい」としながら、「札幌には負けていられない」と話し、来年の首位奪回≠誓った。(森健太郎、千葉卓陽)



◎音訳図書に長年尽力 青木さん、菅野さんに奨励賞、加藤さんに地区表彰

 朗読奉仕活動に尽力したとして、函館市内の朗読ボランティアグループ「青い鳥朗読奉仕団」の青木由美さん(42)、菅野てる子さん(53)の2人がこのほど、財団法人「鉄道弘済会」(東京)の道地区奨励賞を受賞した。また、同団の加藤孝子さん(64)も長年にわたる活動が認められ、道地区表彰を受けた。受賞した青木さんらは「励みになります」と喜んでいる。

 同会は1971年から、社会福祉法人日本盲人福祉委員会と共催で朗読録音奉仕者を顕彰している。昨年度から5年以上活動した奉仕者を表彰する奨励賞が設けられ、青木さんと菅野さんの2人が最初の受賞者となった。加藤さんの活動歴は11年11カ月、録音奉仕の通算は626時間。加藤さんのほか、札幌市内3人が道地区表彰に選ばれた。

 7日、函館市若松町の総合福祉センターで青木さん、菅野さんに対する表彰状の贈呈式が行われた。

 同奉仕団は視覚障害者のための音訳図書を製作するボランティアグループ。活動日は毎週水曜日、市総合福祉センター(若松町33)の障害者用の図書館(NPO法人視覚障害者図書館)で、障害者からリクエストのあった本を朗読し、録音、編集を行う。

 奨励賞の青木さん、菅野さんはともに2005年に入会。奉仕団としての活動日が週1回のため、仕事や家事の合間を利用して自宅で音訳作業に取り組むことがほとんどで、2人とも「生活音が入らないよう気を配りながら朗読します。聞きやすさが何よりも大事。話すようにゆっくり読むよう心掛けています」と口をそろえる。

 利用者からのお礼、感想の手紙が何よりの励み。2人は「自分なりのペースで長く続けていきたい」と受賞を契機に意欲を新たにしている。(鈴木 潤)


◎【企画・絆―お年寄りを見つめて(下)】生き生き暮らすには

 高齢者が孤立せず、生き生きと暮らせる社会を築くにはどうしたらいいのか。

 道教育大学函館校地域福祉分野の岩崎清教授は、高齢者が集える「サロン」づくりの必要性を強調する。「精力的に活動している高齢者は自然と横のつながりができ、生活にも張りが出る。『何かしたいけどどうしたらよいかわからない』という人が気軽に集まれる場所や、情報、移動手段などを提供できる情報集約の場と、情報を管理する地域コーディネーターを設けるべき」と指摘する。

 また、見守りを拒否し、社会と接点のない高齢者には、「『おせっかいだ』と本人が感じないよう、見守ることが大切。そんな人でもいざという時には『さびしい』と訴えることができる居場所作りも欠かせない」と話す。

 岩崎教授は、一人暮らしの高齢者が孤立しないために@老人大学やシルバー人材センターでの活動を通じた高齢者同士の仲間づくりA過去に得た経験を次世代へと伝えるB高齢者が参加したいと思える魅力ある地域づくりを各地域がその特性を生かして行う―の3点を挙げ、「ケースにもよるが、気軽な日常支援を地域全体で行っていくことが理想」と話した。

 地域における新たな支え合いの方法も模索されている。 函館大学の三浦稔教授(地域福祉)は「公的な福祉サービスと住民の共助で地域の連帯や新たな支え合いを築くシステムが必要」と語る。三浦教授は「高齢者見守りネットワーク事業」について「一人暮らしの高齢者の数を把握した今後の展開が重要」と話し、「市、市社会福祉協議会が地域に入り、市民に活動の大切さを認識させることが急務。ボランティアやNPO、町会が担い手となるよう、住民全体、特に若年層へ自発的な活動をするよう、行政、福祉が促さなくては」と主張する。

 現在、函館市は地域にネットワークづくりを行う地域福祉コーディネーターの設置や、モデル地区での実践を計画している。市社会福祉協議会でも地域住民福祉組織における支援体制の見直しに着手しようとしている。

 函館市は2010年現在、¥65¥歳以上の高齢者7万5600人のうち2万4500人が一人暮らしをしているという推計がある。高齢者を孤立させないよう、一人一人が社会とのつながりを持ち、人生経験や培った技能を発揮できるような環境づくりと、隣近所に無関心にならず、互いに支え合って連帯していく社会の維持があらためて求められている。(黒田 寛)


◎イトーヨーカドー函館店で「ひやま物産・観光フェア」開幕

 イトーヨーカドー函館店(函館市美原1)で8日、「ひやま物産・観光フェア」が始まった。桧山5町の農水産物や加工品、菓子類などがずらり並び「おいしい食べ物に美しい景色、桧山の素晴らしさを楽しんでください」と威勢のいい掛け声が響き、にぎわっている。12日まで。

 桧山振興局の主催。江差、上ノ国、厚沢部、乙部、せたなの各町の商店や農協などが自慢の品を持ち寄った。改行 新函館農協厚沢部基幹支店は、うっすらと畑の土が残るメークインや太いスイートコーンを販売。「新鮮さが伝わる。おいしそう」と好評で、箱入りが次々と売れた。

 いかめしやツブ貝、レバーのしょうが焼きなどの試食もあり、来場者は品定めに夢中の様子だった。一角では、観光パンフレットが置かれ、振興局の職員らが見どころを案内した。

 訪れた市内日吉町の男性(68)は「試食の手羽先がおいしくて、すぐ買った。今晩はごちそうだ」と笑顔だった。改行 催事の時間は午前9時―午後6時。催事会場は、地下駐車場側。(田中陽介)