2011年10月1日 (土) 掲載

◎アクセス道路が開通…縄文文化交流センターきょう開館

 函館市南茅部地区の国道278号尾札部道路(尾札部〜大船間14.8キロ)のうち、安浦〜臼尻間2.3キロが30日正午に開通した。1日オープンする同市縄文文化交流センターと、併設する道の駅「縄文ロマン南かやべ」(臼尻町)へのアクセス道路として、本年度開通予定の安浦〜豊崎間5.9キロのうち、臼尻までが先行して供用開始となった。

 開通に先立ち、同市南茅部支所で、尾札部道路建設促進地域協議会(加藤詔三会長)主催の開通式典を開き、約30人が出席。加藤会長が「この道路は地域の産業、生活、安全面に大きく貢献する。沿線には縄文遺跡が多くあり、これらを活用した地域振興を図っていかなければ」とあいさつ。来賓の片岡格副市長、函館開発建設部の高橋敏彦部長が祝辞を述べた。函館開建八雲道路事務所の山本孝彦所長が開通区間の事業報告をした。

 その後、安浦町の起点に移り、路上で加藤会長ら6人がテープカット、通り初めを行い、開通を祝った。

 函館開建によると、開通区間は片側1車線で、車道の幅は片側3.25メートル、路肩1.5メートル、歩道3メートル。開通区間を使い、鹿部町方面への通り抜けはできない。

 海沿いの現国道は幅が狭く、カーブも多い。これを受けて尾札部道路の整備には、物流や防災、交通安全などの面で地域の要望が強い。安浦〜臼尻間は同センターの開館に伴い交通量の増加が見込まれるため、市などが供用の前倒しに向けて協議していた。

 尾札部道路は、尾札部〜安浦間6キロが2002年度までに開通済み。残る豊崎〜大船間2.9キロは16年度以降の開通を予定している。(山崎大和)



◎厳しい、拙速 焼き肉店困惑…生食用牛肉きょうから新基準

 4月に発覚した焼き肉チェーン店の集団食中毒事件を受け、厚生労働省が策定したユッケなど生食用牛肉の新基準が1日から施行される。業者に肉の表面の加熱を義務付け、罰則も新設する厳しい内容。9月29日には渡島管内の牛肉の処理業者や飲食店向けの講習会が開かれたが、焼き肉店関係者からは戸惑いや憤りの声も上がっている。

 「国の責任逃れでしかなく、現実的には店に『もう売るな』と言っているようなもの。日本の食文化を殺す気か」。29日に市立函館保健所で開かれた生食用食肉取扱者講習会。受講した森町内の焼き肉店の男性店主(36)は、こう吐き捨てて会場を後にした。

 これまでの基準では、表面を削る「トリミング」をすれば生食用として提供でき、罰則規定もなかった。新基準では表面から1a以上を60度で2分以上加熱殺菌することや、加工や調理のための専用の設備や器具を備えることなどを定める。違反者には営業停止などの行政処分もある。

 生食用の食肉を加工するには講習会の受講などが必要だが、今回、市立函館、渡島、八雲の各保健所が合同で開いた講習会は新基準の施行からわずか2日前。説明に当たる担当者ですら厚労省から最終的な説明を受けたのが今月中旬で、「日程的にタイト過ぎる」(渡島保健所)との声も漏れる。

 約3時間の講習会には加工業者や飲食店など約60人が参加。このうち函館市内を管轄する市立函館保健所は計260社以上に案内したが、30社余りしか集まらず、同保健所は「新基準の内容があまりに厳しく、準備期間も短いため、生食肉の提供を断念した業者も多いのでは」とみる。

 講習会で同保健所の担当者は、真空パックで密封したブロック肉をお湯につけて加熱したり、生食が食中毒のリスクがある旨を表示したりする加工や表示の新基準を説明し、「『今まで大丈夫だった』は通用しない」と強調。加工には専用設備が必要となるため「飲食店は加熱加工済みの肉を仕入れてほしい」と求めた。

 一方、飲食店らの反発は大きい。新基準の対象はユッケと牛たたき、牛刺しなど。市内でホルモン焼き店を経営する男性は(44)は「提供してきた牛のたたきはもう出せない。設備投資だけなく、肉の仕入れコストも上がれば採算が合わない」とあきらめ顔で、「今後、レバーなど内臓系にも規制が広がれば死活問題」と頭を抱える。(森健太郎)



◎ブレーキはずさないで…競技用自転車「ピスト」全国で事故、摘発

 ブレーキを取り外した競技用自転車「ピスト」による事故や摘発が全国で相次ぎ、死亡事故も起きている。ファッション性を求めて安全装置を軽視する傾向だが、危険性が増し、公道で走らせることも道交法で禁じられている。道警函館方面本部交通課や販売店では「重大事故につながる可能性が高い。ブレーキの取り外しは絶対にやめてほしい」と訴える。

 道交法では、時速10キロで走行した場合、3メートル以内に停止できるブレーキを前後の車輪に取り付けるよう規定。ブレーキを外した自転車すべてが違反となり、5万円以下の罰金が科される。同課によると、管内での事故や摘発は今のところないというが、今年道内では29日現在で、9件の検挙数があるという。

 自転車・オートバイ販売の「スピード商会」(函館市美原1)の五十嵐大善社長は「公道をブレーキなしの自転車で走るのは危険極まりない」と指摘。「ピストはデザイン重視、おしゃれさが人気の一つだが、おしゃれを楽しむのも命があってこそ。ブレーキを取り外す行為は絶対やめてほしい」とする。同店によると、函館市内で愛好家にピストブームが訪れたのは2年前で、「いま首都圏で話題になっているが、函館での人気はひと段落している」という。

 また、ある愛好家は自転車専用道路の普及を求める。「自転車は車両で、厳密にいえば自動車と同じ道路を走らなければならないが、歩道走行が主流になっている。エコで自転車を利用する人が増えているので、ぶつかる危険性がある。ピストだけの問題ではない」。


◎東京理科大 ホタテ養殖に貢献…きょう部門発足

 【長万部】長万部町富野に基礎工学部長万部キャンパスがある東京理科大(藤嶋昭学長)が、地域の活性化に向けて動き始めた。1日に、地域密着型の研究組織「長万部地域社会研究部門」が発足。町の基幹産業である養殖ホタテの基礎研究、ザラボヤ対策やウロ(中腸腺)の処理問題、貝殻の有効利用に取り組むほか、人口減や少子高齢化といった町が抱える課題解決も目指す。大学の知的資源を生かし、自然、社会の両科学分野で地域貢献し町の再生を図る。

 部門は共通テーマを設定し学部、学科を超えて共同研究を行う。同部門は同学部長の友岡康弘教授(60)=発生学、発生工学=を部門長とし、研究者19人で構成。設置期間は2016年9月まで。

 長万部キャンパスは1987年に開設、1年生が全寮制で学び、2年生から野田キャンパス(千葉県)に移行する。現在、長万部には約320人の学生がいる。同町の人口は80年には1万1164人だったのに対し、10年には6429人まで減少、さらに65歳以上の割合も80年の約10%から10年には約35%に拡大。大学側はキャンパスと共存し、学生にとっても「第二の故郷」と呼ぶほど愛着のある町の衰退は、キャンパスの存続にも関わる重要な問題と捉え、部門設立により少子高齢化に歯止めを掛け、活性化を図る必要があると判断した。

 自然科学分野では、これまであまり行われていない分子生物学の手法を用いたホタテ稚貝の発生メカニズムを研究する。また、養殖筏(いかだ)の材質や構造を調査し、ホヤや貝類の付着しにくい筏の開発を目指すほか、海中で安定し、室温で容易に安く分解できる耳釣りフックの開発を検討する。ウロに含まれるカドミウムを適正処理する技術開発も目指す。貝殻利用では吸着特性に着目、機能性材料として実用化を進める。

 社会科学分野では、町の実態調査を行い、将来の活性化策を模索する。同キャンパスで学生生活を送った卒業生約5000人のネットワークをつくり、長万部のセールスマン≠ニして活動してもらう。

 友岡教授は「地方の疲弊は政治や経済の問題ではなく、そこにある大学の問題であると捉えるべきだ。これまで教員は各分野で研究、教育をしていれば十分だったが、今後は専門分野を統合し社会問題の解決策を見いだすことが必要」と話す。

 白井捷一町長は「部門の発足は、噴火湾4町のホタテ養殖漁業に大きなプラスになる。町としてもできる限り協力したい」と期待を込める。(山崎大和)


◎市内中学校 文化祭シーズン

 秋の文化祭シーズン到来—。函館市内の公立中学校28校は、10月8日までに相次いで学校祭を開催する予定で、年に一度の大イベントに生徒たちは大盛り上がりだ。

 函館港中学校(毛利繁和校長、243人)では30日、第55回学校祭を実施。ステージ発表や合唱コンクールが行われた。今年のテーマは「結晶」。生徒たちは力を合わせ、取り組んだ。

 同校では、毎年、生徒全員でシンボルマークを考え、投票で決める。最優秀賞は逃したものの、古川夕布奈さん(13)の「団結ポテト」が生徒に大人気で、今回特別に、同キャラクターをデザインしたフライドポテトを販売。生徒の発案で、売り上げを東日本大震災の義援金として送ることとなった。

 古川さんは「『みんなで力を合わせて』の思いをマークに込めて作った。オブジェのポテト一本一本には、全クラスのメッセージが書き込まれている」と話し、生徒会長の高松瑞季さん(15)は「個性的な作品で、人気が高かった。売上金は、みんなからの手紙と一緒に被災地に送りたい」と話していた。(平尾美陽子)