2011年10月12日 (水) 掲載

◎エゾシカ肉人気、五島軒がカレーなど

 函館の老舗レストラン「五島軒」(若山直社長)が8月から販売しているエゾシカ肉料理が好評だ。肉は道猟友会函館支部のハンター渋田喜徳さん(64)が提供する函館産で、おいしさや珍しさから観光客らに大人気。農家の食害を防ぐ狙いもあり、関係者は「『食わず嫌い』の人も一度は召し上がって」と呼び掛けている。

 渋田さんは3年前から、エゾシカによる農業被害を減らそうと、「くくりわな」を使って殺さずに捕獲し続ける。廃棄処分するだけのシカ肉を有効活用しようと、今年1月に市立函館保健所の認可を受けて食肉処理場(米原町)を建設。息子の孝さん(33)が販売業務を担い、今年7月、五島軒への提供が決まった。

 8月から末広町の同店本店でライスなどが付くセットメニューのカレー(1200円)やハンバーグ(同)など5点を販売開始。くせのない味が人気を集め、同月中は全メニュー60点のうち、カレーセットの売れ行きが7番目になるほど。

 9月上旬に売り出したレトルトカレー(420円)も、同月末に1000袋以上の在庫がなくなるほどの人気ぶり。現在、本店のほか、市内の土産売り場など10カ所で販売中だが、同店の若山央専務は「この2カ月間の需要は大きく、函館の新名物になる可能性も出てきた。全道展開を目指したい」と意気込む。

 市農務課によると、エゾシカの食害被害額は昨年度2731万円で、捕獲数とともに年々増加傾向という。喜徳さんは「駆除だけでなく農家の経営をも守る取り組み。捕獲数は今後も増えるだろうが、需要に供給が追い付かないのが現状。わなを仕掛ける地元農家の協力が増えれば」と期待。孝さんも「函館の食文化の一つとして定着するようにしたい」と話している。

 同店本店では、10月中はカレーセットとハンバーグを提供中。問い合わせは同店TEL0138・23・1106。(長内 健)



◎道南杉、冬スポーツに活用

 札幌市在住のクリエーティブディレクター北島健一郎さん(34)が森町姫川の製材会社「ハルキ」(春木芳則社長)とともに、道南杉を使用した「サリヴァンボード」の普及を進める活動をしている。スノーボードのように雪上を滑る雪板で、スギ材を自由に削って製作。木材の質感やぬくもりを感じながら「作る」「滑る」「工夫する」などの楽しみ方をまとめた新たなウインタースポーツとして提案するとともに、北海道の豊富で良質な木材資源の普及拡大にもつなげたい考えだ。

 北島さんは札幌で「クリエイティブオフィスQ─CONTROL」の代表を務め、北海道の住宅やライフスタイルを発信するフリーマガジン「SENtenCE(センテンス)」の発行を手がけている。住宅用建材として、道南杉を取り扱う春木社長(61)との出会いや、カナダ、長野県などでハンドメードの雪板が流行しつつあることを知り、仲間のプロスノーボーダーらとともに、今春からプロジェクトをスタート。英語で森林や森の住人を意味する「サリヴァン」と名付けた。

 道南杉は耐水性があり、軽量で丈夫な木材。春木社長は「かつては漁船の建材として使用されるなど優れた木材だったが、いつしかその良さは忘れられていった。スギ材のPRにもつながる」と話す。同社商品企画課長で道認定の「木育マイスター」鈴木正樹さん(38)は「木育は、小学生や幼児など低年齢向けのテーマが多いが、雪板づくりは中高生向けの木育活動にもなる」とする。

 使用する板は長さ120センチ、厚さ5センチほど。決まった形はなく、かんなで自由に削り、形を整え、世界で1つだけのオリジナルボードを作ることができる。スノーボードとは違い、足を固定するバインディングがなく、乗りこなすには技術が必要となるが、子どもがソリの代わりに滑ったり、インテリアとして室内に飾ったり、楽しみ方の幅は広い。北島さんは「削り方を知っている人に聞いてみたり、親子や仲間と一緒に作業をすることで、コミュニケーションを図ることができる」と話す。

 今後、ワークショップの開催や、環境への配慮から板1枚につき、森町内にスギの苗を1本植樹する活動も進めることにしている。北島さんは「木に触れたり、木を使って遊ぶ機会は少なくなってしまった。地元にある木材の良さを知ってもらう機会にもなれば」と話している。(今井正一)



◎韓国訪問団が帰函、定期便早期再開に好感触

 大韓航空の函館—ソウル(仁川)線の定期便の早期再開に向け、8月に姉妹都市提携した韓国・高陽市などを訪れていた函館市の工藤寿樹市長ら観光客誘致訪問団が11日、函館に戻った。工藤市長は函館空港での取材に対し「(大韓航空から)積極的に検討するという言葉もいただき、感触的には良かった」と述べた。

 訪問団は工藤市長をはじめ、松本栄一函館商工会議所会頭、能登谷公市議会議長ら22人。同社のチャーター便を使って8日に韓国入りし、9日に高陽市で開催中の国際特産品フェスティバルを視察したほか、10日に高陽市役所や大韓航空本社(ソウル)などを訪れ、幹部らと会談した。

 大韓航空では12月27日に運航が再開される函館—仁川線の再開時期の前倒しを要請。工藤市長は同1日から「はこだてクリスマスファンタジー」が開幕することや、フランスの旅行ガイド「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」で函館の観光名所が高い評価を受けたことを強調し、「(クリファン前の)11月29日には再開してほしい」と求めた。

 対応した同社の崔晶皓(チェ・ジョンホ)常務は「積極的に検討し、早めに回答したい」と前向きな姿勢を示したが、具体的な結論は先送りされた。また、同日夜の懇親会では「代理店などと詰めなくてはならない問題があり即答はできないが、函館の熱意や意気込みは十分感じた」と話したという。

 一方、高陽市役所では崔星(チェ・ソン)市長らと今後の両市の交流について話し合い、高陽市側は職員の相互派遣や官民100人ほどの函館への視察研修、イベントやスポーツ交流などを提案。工藤市長は「職員派遣は早ければ来年度からできるよう検討したい」と回答し、函館からも来年の市制施行90周年事業や港まつりなどへの参加を要望した。また、崔市長も両市の交流促進に向け、函館—仁川線の早期再開を政府や大韓航空に要請する考えも示された。(森健太郎)


◎日吉が丘小金管バンドが全国切符

 函館日吉が丘小学校(三島千春校長)の金管バンドがこのほど、「第17回日本管楽合奏コンテスト」(日本音楽教育文化振興会)のテープ審査予選を通過し、全国大会へのキップを手に入れた。11月6日に東京・文京シビックホールで行われる本番に向け、団員一同練習に熱がこもっている。

 同校の金管バンドは3〜6年生50人で構成。古川典之教諭指導のもと、小学生とは思えない迫力あるサウンドを響かせる。

 昨年度、北海道吹奏楽コンクール(道大会)に初出場し金賞受賞。東日本大会進出という好成績を残した。本年度も道大会に出場して金賞を受賞したが、惜しくも道代表の座を逃した。しかし「もう一度大きな舞台に立ちたい」と、日本管楽合奏コンテストに初挑戦。コンクールのために練習を続けてきた「ヨーロピアン オーバーチュア」(B・モレン作曲)の録音を送りエントリーしたところ、多数の応募の中から全国大会出場の31校に選ばれた。子どもたちは「『感動の音楽を』が全員の目標」と笑顔。道大会の悔しさをバネに、団員一丸となって納得いく音楽を作り上げようと結束を強める。

 6年生の名平翔部長(12)は「道大会では体中が震えるほど緊張した。今度は緊張せず、変な安心感も持たず、感動を与えられる音楽をつくれれるよう頑張りたい」と意欲。古川教諭は「赴任して3年。今年の6年生は彼らが4年生の時から見ているが、熱心さに成長を楽しみにしていた。期待通りに育ってくれたと思う。自信を持って演奏してもらいたい」と目を細めている。(堀内法子)


◎ひろめ荘、入館50万人突破

 函館市大船町の「ホテル函館ひろめ荘」と、隣接する温泉「南かやべ保養センター」の入館者数が9日、2007年8月にリニューアルオープンしてから50万人を突破した。西村晴美総支配人は「1日に縄文文化交流センターがオープンしてから、人の流れが変わってきている。次は60万人を目指したい」と意気込んでいる。

 両施設は硫黄泉の露天風呂や、宿泊客らに提供する新鮮な海の幸が人気を呼んでいる。08年6月に10万人を突破すると、その後も着実に客足を伸ばしてきた。

 節目の50万人目は市内北美原の主婦、吉田美也子さん(64)で、夫の悟さん(65)とともに9日午後2時35分に来館。記念にペア宿泊券が贈呈され、「好きなので何度か通っているが、びっくりした。またゆっくり泊まりに行きたい」と笑顔を見せていた。

 ホテルでは記念として11月末まで、入浴券と昼食のセットを1000円で提供するほか、生ビール1杯と枝豆のセットを500円で販売する。西村総支配人は「今後は縄文文化交流センターに訪れた地元以外の人にも気軽に立ち寄ってもらえるよう、新たなサービスを考えていきたい」としている。問い合わせは同ホテルTEL0138・25・6111。(後藤 真)