2011年10月13日 (木) 掲載

◎スルメイカ盛漁期

 道南海域のスルメイカ(マイカ)が盛漁期に入った。これまでの中心は夏漁だったが、函館市水産物地方卸売市場の取扱量では、月別の漁獲ピークは2010年度が11月の1473トン、09年度が10月の1459トン。本年度も秋以降に月1000トンを超す好漁が期待され、函館市漁協(橘忠克組合長)は「10、11月が本当の勝負」と意気込む。店頭では値頃感が出てきて、人気を集めている。

 函館市農林水産部によると、同市場の9月のマイカ取扱量は528トンで前年同期比58%増。平均市場価格は1キロ当たり324円で同16%安。本年度のマイカ漁は数量的に解禁月の6月こそ振るわなかったが、7月に盛り返し、8、9月はほぼ平年並みに推移。

 取扱量をみると、10年度が10月に1010トン、11月に1473トン、09年度が10月に1459トン、11月に1289トンとなり、市は「いずれも10月以降に1000トンを超えており、今年も同じ傾向が続いてくれれば」(同部)とする。

 近年の道南マイカ漁は、漁期前半の漁獲が減少、秋以降の漁獲が増える傾向。函館水産試験場(湯川町)の沢村正幸研究主任は「水温が高いため、秋の南下が遅れるのが要因とみられる。その結果、南での産卵が遅れ、発生も遅れ、夏の津軽海峡に来遊する群れの遅れにつながっているのではないか」と説明する。また、秋の海水温が高いため、イカの分布に適した時期が長く続くことも秋漁が中心になる要因という。

 市漁協によると、現在の漁場は前浜で「今後、水温が下がり、来遊もさらに増えてくるだろう」と期待を込める。

 はこだて自由市場(函館市新川町)のイカ専門店「富田鮮魚店」(富田貞雄社長)では、いけすイカが1匹400円から店頭に並ぶ。同店は「この時期のイカは身も柔らかく、甘みも出ておいしい。刺し身だけでなく、塩辛や生干しにも最適」とPRする。

 水産庁が発表した太平洋スルメイカ長期漁況予報によると、10〜12月の津軽海峡〜道南太平洋は、道東から南下してくるイカが期間を通し漁場を形成するため、来遊量は前年を上回り、漁模様を好転させそうだ。(山崎大和)



◎市文化賞に西川さん

 函館市文化賞審議会(座長・工藤寿樹市長)は12日、今年の市文化賞を函館邦楽舞踊協会副理事長の西川登代蔵さん(79、本名・大西憲一郎)=市内上野町=に授与すると発表した。表彰式は11月3日午前11時から、市民会館小ホールで開かれる。

 同賞は、市の芸術や文化の発展に寄与した個人、団体に贈られるもので、今年で62年目。団体の該当はなかった。

 西川さんは1932年函館市生まれ。14歳で日本舞踊を始め、57年に西川流名取、79年に師範。同協会には58年に入会し、理事、監査役を経て今年4月から副理事長を務めている。

 94年には市文化団体協議会の青麒章、2007年に同白鳳章を受賞。西川流では函館唯一の男性師範で、流派を超えて数多くの舞台に出演するとともに、90年には札幌市に舞踊教室を開設するなど、後進の育成にも尽力していることが評価された。

 受賞の知らせを受け、西川さんは「まだ実感がわかないが身の引き締まる思い」と喜びの表情。「若い時に、師匠から男踊りを厳しく指導してもらったことが宝物。これからも健康に留意しながら、体が動く限り頑張りたい」と話している。

 受賞者は西川さんを含め、個人139人、16団体に上る。(千葉卓陽)



◎北斗で煮干しづくり

 【北斗】北斗上磯沖で水揚げされたカタクチイワシの煮干しづくりが、北斗市飯生の海辺で行われている。10センチほどの魚体が天日干しで身を縮め、うまみもぎゅっと凝縮。秋空の下、銀りんが輝いている。

 この煮干しは、毎年販売直後に完売する特産品。上磯郡漁協上磯支所の組合員5人が定置網で漁に取り組む。同支所では昨年、前年比1トン増の3・4トンの出荷があった。

 魚の来遊は例年9月上旬だが、今年は水温が低いため、まとまった水揚げが10月にずれ込んだという。

 11日から漁を始めた山崎誠さん(37)は12日も午前3時半に出漁。400キロほどの水揚げで、「乾けば約150キロ。大きさ、量ともいい出だしだと思う」と丁寧に手返しをしていた。

 同支所で直売するが、まとまった数量が確保され次第の販売開始で「問い合わせもあるが、まだ対応できず販売開始は10月下旬から11月ごろになるのでは。値段は1キロ1800円前後を見ている」という。(田中陽介)


◎ロッテリア跡地に居酒屋出店へ

 函館市若松町のロッテリア跡地に、居酒屋いか太郎系列の新店舗「はこ民食堂」が出店することが決まった。勇旬(本社・函館市、福士明夫社長)の3店舗目で、既存店よりも低価格帯とすることで、より幅広い客層の獲得を目指す。11月1日にオープン、グループの年間売上高はこれまでより3割以上増の2億5000万円を目指し、今後も年間1店のペースでさまざまな業態の店舗を増設する計画という。

 同社は1994年に本町地区で居酒屋・勇旬として創業し、05年に店舗名をいか太郎とし現本店を若松町に出店した。2010年5月には、2店舗目となる「はこ民いか太郎 五稜郭店」を本町に出店。新鮮な魚介類を使用したメニューで、市民や観光客に親しまれている。

 今回の出店は本店の隣接地。ロッテリアで使用していた建物を改装中で、1、2階合わせて約100平方メートルを店舗スペースとして使用する。既存店と大きく異なるのはメニューの価格帯。創作料理を増やすなど内容を充実させたうえで、現店舗で提供するよりも2割程度は安くするという。利益は少ないが、総売り上げを増やすことで利益を確保する。

 従業員は現在24人だが、新店舗の開店に当たりさらに6人程度増やす計画。同社統括マネージャーで本店店長の佐々木まことさんは、「余裕を持った従業員配置で混み合ってもきちんとサービスできる状態を保ちたい。誰でも、何でも気軽に食べられる居酒屋を目指す」とする。

 今回の出店について函館市経済部、中心市街地等再生担当の入江洋之参事は「角地ということで目立つ場所。空き店舗が解消されることは市街地活性化にとってうれしい」と話した。(小泉まや)


◎野外劇カレンダー17日から発売

 NPO法人市民創作「函館野外劇」の会(フィリップ・グロード理事長)は、17日から2012年版のカレンダーを発売する。同会の住山省悟理事は「カレンダーには今年公演の名シーンがふんだんに盛り込まれているので、多くの人に見てほしい」と話している。

 カレンダーは、プロ写真家の野呂希一さんが撮影した今年公演のシーンを掲載。表紙は江戸期に日本海を航路に北海道と本州の交易を担った「北前船」が飾る。

 そのほか2カ月単位で、オープニングの様子やペリー来航、出演者と観客がペンライトをかざすフィナーレの場面といった名シーンを配置。サブ画面には練習風景の様子も掲載している。また公演日程が一目で分かるよう、開催日に印もつけている。

 住山理事は「今年は東日本大震災の影響で開催が危ぶまれた中、多くの方に来場していただいた。来年は25回目の節目を迎えて公演数も1回増える。今年以上に盛り上がるよう頑張りたい」と意気込んでいる。

 サイズはB3判、7ページでオールカラー。価格は1部1000円(税込)。発行部数は2000部。函館五稜郭タワー(五稜郭町43)で販売するほか、電話でも注文を受け付ける。郵送は送料300円かかり、20部以上購入した場合は企業名や団体名を無料で印刷できる。申し込み、問い合わせは函館野外劇事務局TEL0138・56・8601。(後藤 真)