2011年10月14日 (金) 掲載

◎都内のローソンで函館発信 12月22日開設

 大手コンビニエンスストアのローソン(東京)の店舗一角で函館の特産品を販売し、観光情報を発信する「函館市アンテナショップ」が12月22日、東京都中央区の新店舗「ローソン京橋駅前店」内にオープンすることが決まった。地場産品の販路拡大が期待され、観光情報も発信して首都圏の消費者に函館ブランドを売り込む。

 同社はこれまで徳島や埼玉、長野など6県と提携し、都内や大阪、名古屋市などに7店舗のアンテナショップを開設しているが、単独の市町村では初めての試み。13日には函館市役所で調印式があり、工藤寿樹函館市長は「ローソンの販売力に頼りながら函館のブランド力を拡大したい」と抱負を述べた。

 店舗は東京駅から徒歩10分、地下鉄銀座線京橋駅から徒歩1分で、銀座や日本橋にほど近いビジネス街に位置し、これまで都市銀行があったオフィスビルの1階角地。同社の通常店舗よりは大きめの215平方bの売り場内の入り口付近に約10平方メートルの専用コーナーを設ける。

 運営は函館物産協会(石黒義男会長)に委託。市内・近郊の企業・店舗を中心に特産の水産加工品や菓子類など常温や冷蔵、冷凍の製品約80品を並べる。同社は「イカとガゴメコンブ関連の製品を前面に打ち出したい」とし、同協会は「会員企業以外でもいいものがあれば出したい」と話す。

 調印式で工藤市長は「函館の経済や観光にも貢献するはず。必ずや成功させ、2店目、3店目と拡大させたい」と意気込んだ。市は地域産品の販路拡大やPR、消費者ニーズの把握につなげるほか、専用コーナーに観光パンフレットなども設置し、首都圏からの観光客誘致も狙う。

 調印した同社関東ローソン支社の沢田正幸支社長は「函館という大きなブランド力に魅力を感じた。近隣のOLやビジネスマン以外に全国から東京を訪れた人もアクセスしやすい立地で、魅力的だけどまだ知られていない隠れた商品も紹介したい」と話し、函館の商材を使った新商品開発にも意欲をみせた。



◎ワカサギ 今年は大きいよ…大沼で定置網漁盛ん

 【七飯】錦秋の大沼でワカサギの定置網漁が連日行われている。今季は体長7〜8aほどある大きな魚体が多く、地元漁業者も「何十年ぶりかの大きさ」と驚く。好天に恵まれた13日も早朝から漁が行われ、ピチピチと跳ねる魚体を朝日が銀色に照らしていた。

 今季は、9月30日に漁がスタート。11月1日からは地引き網漁が開始され、湖面が氷結する12月中旬まで続けられる。昨年の同時期は、猛暑の影響などもあり、3〜4センチの小さな魚体が多かったが、今季は大型が目立つ。漁から加工までを手がける大沼町の「つしま謹製」の対馬義明さん(50)は「例年に比べて大きく、船に置き場がなくなるほど取れた日もあった。夏場の好天や適度な雨で餌となるプランクトンが豊富だったのでは」と話す。

 対馬さんらは午前5時に湖畔の船着き場を出発。湖面を照らす満月の明かりが朝日に変わるまで、大沼と小沼の10カ所に仕掛けた定置網を回った。冷たい風と朝もやがかかる中で約2時間の作業を続け、60〜70キロを水揚げ。対馬さんは「今日は少なめ」と話していた。

 水揚げ後のワカサギは、その日のうちに筏(いかだ)焼きやつくだ煮として加工される。筏焼きは5センチほどの串に10〜12匹のワカサギを差し込み、網の上で少し乾燥させた後に焼き上げ、再び乾燥させて完成する。対馬さんの加工場ではパートの主婦ら10人ほどが手際よくワカサギを並べて串を差していた。20代のころから筏焼きの加工作業を行っている伊藤学子(さとこ)さん(83)は「筏焼きの作り方は今も昔も変わっていません」と話していた。(今井正一)



◎市縄文文化交流センター、道の駅「縄文ロマン南かやべ」  関連商品売れ行き好調

 函館市臼尻町に1日オープンした市縄文文化交流センターと、隣接する道の駅「縄文ロマン南かやべ」で販売されている、縄文関連商品の売れ行きが好調だ。数量限定発売の商品はほぼ毎日完売になるほど。道の駅の物販営業を受け持つホテル函館ひろめ荘の西村晴美総支配人は「今まで細々と売れていた関連商品が、オープンしてから急に売れるようになった」と手応えを感じている。

 道の駅で販売されている関連商品の一番人気は「縄文ソフト栗夢(クリーム)」(300円)。縄文時代から存在していたとされる栗をモチーフに、刻んだ栗をクリームにトッピングした。縄文縄をイメージした独特の形をしており、土日は1日約600個も売り上げるなど、まろやかな味わいが幅広い世代に受けている。

 札幌市から観光で訪れた20代女性は「味がくどくなくて何個でも食べられそう。すごくおいしい」と満足げ。

 施設の目玉である国宝「中空土偶」の商品も大人気。国宝指定を記念し、2年前から発売されている「中空土偶まんじゅう」(6個入り、630円)、「土偶ッキー」(12個入り、630円)、すべて地元の食材を使用する「中空土偶弁当」(800円)は、いずれも1日40個ほどの数量限定発売で、ほぼ毎日売り切れが続いている。

 また、同センターで販売する文房具などをそろえたミュージアムグッズの人気も高い。中でも中空土偶がデザインされているクリアファイル(200円)は開館からわずか2日で完売。ポストカード(150円)も品切れ間近で、追加発注する予定という。

 西村総支配人は「縄文センターの注目度は予想以上で、人の流れが変わってきている。センター以外の所にも立ち寄ってもらえるよう、地域全体で新たな集客策を考えていきたい」と話している。(後藤 真)


◎経費30%減 部局に要望…市財務部

 函館市財務部は来年度の予算編成に向け、備品購入などの一般経常費や政策的経費において、予算要求基準を本年度予算額から30%縮減するよう各部局に要求した。本年度の普通交付税が大幅に減ったことや、工藤寿樹市長が赤字穴埋めのための退職手当債を借りないとする方針を受けての対応で、事業仕分けや職員の給与カットなど、内部努力を強化して財源不足を乗り切る考えだ。

 市は毎年度の予算編成にあたり、各部局に対して歳出規模の膨張を防ぐ観点から予算要求基準を前年度計上額から10%削減するよう求めてきたが、来年度に向け、これを30%に引き上げる。一般経常費は備品購入費や負担金、報償費、旅費、公債費、使用料・賃借料などが該当し、光熱水費や燃料費、委託料は本年度から5%縮減を求める。

 各部局には予算要求に際して事業の目的や効果、必要性の検討とともに、新規事業に関しては既存事業の廃止や見直しなど、いわゆる“スクラップ・アンド・ビルド”を求める。市財政課によると、一般経常費と政策的経費が予算に占める割合は本年度ベースで4・4%と低く、「市民サービスに直接影響を与えるものではない」とする。

 要求縮減の背景にあるのは、市の厳しい財政状況。本年度当初予算は扶助費が増加し、市長選を控えた義務的経費中心の骨格予算ながら過去最大の1310億円を計上。約34億円の財源不足は基金の取り崩しや退職手当債22億円の発行で穴埋めする計画だったが、4月に就任した工藤市長は退職手当債を発行しない意向を示している。

 加えて、本年度の地方交付税額は人口減少や東日本大震災が影響し、当初予算比で7億8200万円、昨年度比では約18億円減少した。工藤市長は8月の定例会見で「今の状況では、組んだ予算を2割残してと通知せざるを得ない」と述べ、さらなる歳出抑制を示唆していた。

 手元には約18億円の基金が残っているが、市財政課は今回の措置について「退職手当債を借りないために基金を崩すより、内部努力で穴を埋めたい。将来のまちづくりのためにも一定程度基金を残したい」と話している。(千葉卓陽)


◎生活保護率 微増…函館市7月

 函館市の7月の生活保護率は45.1パーミル(パーミル=人口1000人当たりの被保護者数)となり、前年同月を1.4ポイント超えたものの、前月比では変化がなかった。渡島・桧山の両管内ではそれぞれ前年からわずかに増加しているが、ペースは全体的に落ち着いている。

 函館市の保護率はここ数年急激な増加を続けており、5月に過去最多の45.2パーミルとなっていた。6月は前月比0.1ポイント減少したが、7月はこの高止まりの状態を維持する結果に。保護者数は前月比16人増の1万2634人、世帯数は同8増の9026世帯といずれも前月より増えた。函館市福祉事務所は「微増の状況は変わらないが、4月以降の増加ペースは落ち着いている」とする。

 世帯区分別の状況は、高齢者世帯が全体の42.7パーミルと最も多く、次いで傷病世帯は26.3パーミル、母子世帯は11.4パーミルだった。

 全道の市部での函館の位置は、釧路(54.0パーミル)に次ぐ2番目で、前月より1つ悪化。前月2番目だった三笠は3番目の44.5パーミルに、4番目は歌志内で43.8パーミルだった。道内全体の保護率は、30.0パーミルの大台に乗り、北斗市は前年同月比0.8ポイント増の17.0パーミルだった。

 道南町部では、渡島管内が同0.6パーミル増の23.2パーミルと全道平均を下回った。福島や木古内、鹿部が減少する一方、長万部と松前の増え方が激しい。桧山管内は同0.8ポイント増の33.1パーミルに。依然として江差(48.1パーミル)が突出しており、上ノ国も40パーミルを超えている。(小泉まや)