2011年10月15日 (土) 掲載

◎函大2年ぶり神宮へ 道大学野球代表決定戦

 【札幌】「明治神宮外苑創建85年記念第42回明治神宮野球大会(大学の部)」出場を懸けた、道2連盟大学代表決定戦(2戦先勝)の2日目が14日、札幌円山球場で行われ、道六大学連盟代表の函大が札幌六大学連盟の北翔大を1|0で破り2勝とし、明治神宮大会出場を決めた。11月23日に開幕する函大の同大会出場は2年ぶり2度目。

 13日の初戦を先勝した函大は、エース2本柱の一角、塚野廉(2年、新潟・五泉)が得点圏に走者を背負うも要所を締め、自らのバットで得た先制点を守った。最後は佐藤将太郎(4年、神奈川・横浜創学館)が締め、道秋季リーグから見せた投手力で北翔大を破った。

 函大の阪内俊喜監督は「2投手の頑張りもあるが、連係プレーなど、練習でこつこつ積み重ねてきたことを発揮した選手の集中力も褒めたい。明治神宮大会の初勝利を目指したい」と話していた。改行 同代表決定戦の最優秀選手賞は佐藤、優秀選手は塚野が獲得した。(山崎純一)



◎家族の絆 写真で紡ぐ 震災であり方見直される

 家族写真が、親子やきょうだいの絆を象徴する存在として見直されている。函館近郊の写真館では春先から、家族写真撮影の希望者が途切れない状況で、「記念日でなくとも、みんながそろったときに訪れる家族連れが多い。東日本大震災の影響で、家族のあり方を見直す動きがあるのでは」と業界関係者。道南では15、16日の連休、七五三参りのピークを迎え、写真館は家族写真の予約でいっぱいだ。

 東日本大震災の被災地では、復旧をけん引した自衛隊員らが、がれきに埋もれた無数の家族写真を丁重に集め、持ち主へ返す活動が連日報道された。

 あさかぜ写真館・亀田八幡宮写真室(函館市八幡町3)には、岩手県の被災者から、津波で傷んだ家族写真の複製依頼があり、無償で応じた。同写真館代表の朝風恵子さんは「家族写真の特別な存在を改めて感じた」と振り返り、「節目のイベント以外でも家族写真を残そうとする動きが今年は目立つ。写真館へ家族そろって出かけたという思い出も永遠に残るはず」。同館で長男の功太郎君(5)の七五三の記念撮影をした、市内の工藤裕之さん(49)、修子さん(49)夫妻は「撮影の雰囲気も良く、いい思い出になった」と終始笑顔だった。

 木古内町のフォトスタジオ西村では例年、正月と盆時期に家族写真撮影が集中しているが、今年は時期を問わず平日に予約が相次いでいる。正装した子どものみの撮影が大半を占めるが、同店は家族そろって写真に収まることを勧めている。西村イチロウ代表は「普段着のままで構わない。家族の自然の姿が一番で、写真を見るたびに家族の大切さを感じられるはず」と話す。

 谷杉写真館(函館市美原3)でも、今年は家族写真の撮影予約が相次いでいる。今夏は節電の影響で本州の大学が夏休みを延長したため「いつもより長い帰省期間に、お盆前後に家族写真や成人式の記念撮影が多かった」と谷杉アキラ代表。谷杉さんが店主の「旧小林写真館」(大町2)でも観光客らが家族写真を希望し、8月には宮城県の新婚夫婦が入籍祝いにと駆けつけて記念撮影。谷杉さんは「大震災による先行きへの不安はあると思うが、函館で写真を撮ってくれたのは光栄でうれしい。二人の幸せと被災地復興への願いを込めた。この震災が家族とは何かと考える機会になったのは確かだと思う」としている。(田中陽介)



◎道南勢ダブル「金」 東日本吹奏楽大会で桔梗中と木古内中

 神奈川県横須賀市で8、9日に開かれた「東日本学校吹奏楽大会」で、北海道代表の函館桔梗中学校と木古内中学校の吹奏楽部がともに金賞を受賞した。道南勢がダブルで最高賞を獲得したことに保護者や学校関係者らは喜びに沸いている。両校の生徒らは「練習以上の演奏ができた」と笑顔で大会を振り返った。改行(堀内法子、松宮一郎)

 同大会は、東日本地区の各吹奏楽連盟の主催で、30人以下の小編成の団体が対象。改行 函館桔梗中学校吹奏楽部は同大会初出場。憧れの大舞台でハチャトリアンの交響曲第2番「鐘」第1楽章を演奏し、迫力あるサウンドを響かせた。

 同大会への出場代表決定後も、札幌での演奏について「課題が残る演奏だった」と戒めながら練習に励んできた部員たち。夢のステージで満足のいく演奏をつくり上げ、やっと明るい笑顔を浮かべた。

 「今までで一番納得できる演奏ができた」と小川明日香部長(3年)。厳しい練習に全力でぶつかり、部員一丸でつかんだ金賞を心から喜ぶ。3年生はいったん仮引退。これからは受験に集中する。小川部長は「来年3月の定期演奏会でまたこのメンバーで演奏するのが楽しみ。そのためにもしばらくは受験を頑張る」と語った。

 顧問の横井真教諭は「今までの練習のすべてを出せた。それに結果が付いてきて本当にうれしい。多くの方からの応援をもらって得られた金賞と思う。子どもたちも大会を通じて日々成長を感じられた半年でした」と目を細めていた。

 一方、3年ぶり2回目の出場を果たした木古内中は、パレ作曲の「リシルド序曲」を演奏。本番前には「緊張して終わるよりも、思い切り楽しもう」と話し合い、大舞台に臨んだという。

 部員27人のうち16人が1年生で、はつらつとした音色をホールに響かせた。部長の金川夏希さん(3年)は「緊張することなくステージに立てた。言葉にならないくらい会場の響きが気持ち良く、みんなで演奏を楽しめた」と満足そうに語った。

 同部は保護者や町を挙げての応援に演奏で応えようと、「真心の音楽」をスローガンに掲げて活動している。部員らは「地域の人の応援が力になった。最高のステージで今までの以上の『真心の音楽』を奏でることができた」と声をそろえる。顧問の中條淳也教諭は「指揮をしながら演奏に感動していた。最高の出来だった」と生徒たちをたたえた。


◎漁獲全魚種に拡大 南かやべ定置網協会

 水産資源と海に優しい漁業を応援する「マリン・エコラベル・ジャパン(MELジャパン)」(事務局・大日本水産会)の生産段階認証を取得した函館市南茅部地区の南かやべ定置漁業協会(野村譲会長、11経営体19か統)の認証対象が、漁獲全魚種に拡大されることになった。14日、市南茅部支所で審査機関の日本水産資源保護協会(東京)から野村会長に認証証書が授与された。「待ち」が基本の定置漁業が資源を枯渇させないとして、魚種を制約する必要がないと判断した。

 今年5月に認証対象魚種となったのはスルメイカ、サケ、カラフトマス、ゴマサバ、マイワシ、マサバ、サンマ、スケトウダラの8種(申請20種)。今月6日にMELジャパンの判定委員会が開かれ、全魚種を含めて再審査した結果、対象魚種を限定しないことが認められた。4〜12月に漁獲される約120魚種が対象となる。資源保護協会の下村政雄専務理事は「定置は待っているだけなので回遊魚の半分も捕れず、残りは逃している。資源を枯渇させず、持続的に利用できる」と強調した。

 この日は、野村会長に証書とMELジャパンの旗が手渡され、野村会長は「定置の神髄が認められ、うれしい」と笑顔を浮かべた。改行 授与に先立ち、南茅部水産加工協同組合(米田澄一代表理事、12企業)主催の流通加工段階認証に関する説明会が同所で開かれた。次のステップの流通加工段階認証について理解を深めようと、6月に続いて開催、約30人が耳を傾けた。

 全日本漁港建設協会(東京)の長野章会長(公立はこだて未来大名誉教授)が、条件が一部緩和されたことを説明。「小売業者が認証を取得しなくても、委託によりエコラベルを張ることが可能になった」と話した。地元の仲買人や加工業者が流通加工段階認証を取れば、届け出により売り先の小売業者にエコラベル添付を委託できる。

 南かやべ定置漁業協会は5月16日付で、適切な水産資源管理に貢献していると評価され、定置漁業では全国初の生産段階認証を受けた。同地区では現在、流通加工段階認証を取得した例はない。(山崎大和)


◎元巨人の柴田さん 少年刑務所で野球選手の経験語る

 元プロ野球選手の柴田勲さん(67)が15日、函館市金堀町の函館少年刑務所を訪れ、受刑者約630人を前に「私の野球人生」と題して講演会を行った。高校、プロ時代と野球を通して得た“スランプ脱出法”などを紹介し、「成功の70%は意欲から」とエールを送った。  柴田さんは法制大学第二高校在学中の1960年の夏、翌年春の甲子園を連覇。62年に読売ジャイアンツに入団し、トレードマークの赤い手袋でスイッチヒッターとして活躍し、盗塁王6回、2000本安打を達成している。引退後は、野球解説者や子どもたちに野球を教える活動を続けている。

 同所で日本プロ野球名球会メンバーが講演するのは、昨年の駒田徳広さんに続き、2回目。

 講演で柴田さんは、3連覇がかかった61年夏の甲子園で敗北した理由を「今までの自信が過信に変わっていた」と指摘。その後プロに転向し、目の当たりにした王貞治さんや長嶋茂雄さんの野球に対する姿勢を挙げ、「王さんの練習の虫は真似できないが、長嶋さんのプラス思考は誰にでも真似できる」とし、自身の野球観を変えた出来事を紹介した。また、何事に挑戦するにも「意欲と勇気、準備が大事。目標設定も明確に」と締めくくった。(小杉貴洋)【写真】函館少年刑務所で講演する柴田さん