2011年10月16日 (日) 掲載

◎アカマツ 冬支度

 【七飯】赤松街道を愛する会(寺沢久光会長)は15日、町鳴川周辺の国道5号で、害虫対策のこも巻き体験会を開いた。樹木医の斉藤晶さんやNPO法人函館エコロジークラブ(福西秀和理事長)の指導で、ボランティアの町民約40人が参加。アカマツの幹にむしろを巻き、冬に向けた準備を進めた。

 赤松街道は函館市桔梗から七飯町峠下まで続く延長約14キロに、約1400本のアカマツなどが並ぶ。街道保全を目的に、同会や函館開発建設部函館道路事務所、町などが毎年、体験会や観察会を開いている。

 木の幹に巻いたこもは、越冬のために木の上から下りてくる害虫のマツケムシを食い止め、春に外したこもを焼却することで、一斉駆除ができる。松枯れの予防として、昔から行われている方法。

 寺沢会長は「アカマツは七飯にとって大きな財産。こもを巻くと、アカマツへの関心も高まる」とあいさつ。馬場修一副町長は「七飯の歴史を語る上で欠かせない存在。後世に伝えていくのがわたしたちの責務」と話した。

 斉藤さんは国内では東海道のアカマツが約400年の歴史があることを紹介し、「七飯のアカマツは150年だが、虫が付いてしまうと木が弱る。こもで害虫駆除をすれば、まだ何百年も成長する。愛する気持ちを抱きながら作業して」と話していた。

 この日の作業では、参加者が協力しながら約60本にこもを巻いた。残りの木には道路管理者が順次、取り付ける。同会では来年3月にこも外し体験会を開く予定。(今井正一)



◎事務局常設化 函館に設置 全国朝市サミット開幕

 全国の朝市が集う「第16回全国朝市サミット2011in函館」(実行委主催)が15日、函館で開幕した。全国朝市サミット協議会の総会では、組織強化や知名度向上を目的に事務局を常設化することを決定。初の大役を函館朝市が担うことになった。今回の実行委員長でもある函館朝市協同組合連合会の井上敏広理事長は、「軌道に乗るまで何年かは函館が面倒をみる」と労を惜しまない姿勢を表した。

 同協議会は全国の朝市13団体で組織し、函館での開催は2001年以来2度目となる。昨年のサミットで「もっと朝市を良くするために何らかの行動を起こすべき」などの意見があり、今回の開催地となった函館朝市が中心となって意見を集約し、具体的な方策を練ってきた。

 その結果、来年度の事業として組織強化と知名度向上を柱に@新規会員の勧誘A情報共有と発信Bコミュニケーションの充実C共通パンフレットの作成D統一ロゴマーク導入によるブランド化—などに取り組むことに。強力に推し進めるためには、これまで開催地が持ち回りで担ってきた同協議会の事務局機能を1カ所が継続して扱う必要性がでてきた。この日総会に先駆けて行った理事会で設置方法などが議論され、出席者の意見などから函館朝市が引き受けた。

 また同日、サミットの開催を記念して各地域や函館の郷土料理や食品などを提供する「ご当地グルメサミット」が函館朝市第一駐車場特設会場で開幕した。五城目朝市(秋田)のだまこ鍋をはじめ、青森のせんべい汁、佐世保バーガーなどの販売店がずらりと並び、来場者は目当ての商品を購入しては次々と味わっていた。

 夫婦で訪れた江差町の高瀬博和さん(42)は「今日はこのために来た。色々食べたが、せんべい汁の歯ごたえが素晴らしかった」と話していた。グルメサミットは16日も午前9時から午後2時に行われる。(小泉まや)



◎力作の絵画 五稜郭駅開業100年祝う

 JR五稜郭駅(高梨潤駅長)の開業100周年記念感謝イベントが15日、函館市亀田本町の同駅で行われた。ホームでは函館港中学校美術部員が制作した絵画を除幕。駅構内や特設ブースなどは大勢の市民でにぎわい、一世紀の節目を祝った。

 同駅は1911(明治44)年9月1日に開業。記念イベントは開業日直後の週末である9月4日に実施する予定だったが、天候により延期となっていた。

 イベントでは車両の展示・見学やミニSL(弁慶号)乗車体験のほか、同駅に併設する会議室を活用して作った「鉄道博物館」を公開。かつて使っていた「行き先表示板」などの鉄道グッズの展示のほか、コントローラーで操縦できる鉄道模型が子どもたちに大人気だった。

 また、絵画の除幕式には制作した港中学校美術部員も参加。部員たちは夏休みも返上で制作に取り組み、184×93センチのベニヤ板を7枚並べた迫力ある大作に仕上げた。高梨駅長は「100年の時を力強くけん引する汽車を力強く描いてくれた」と生徒らをたたえ、同部の内山美波部長(3年)は「過去から現在、未来へと、力強くつながるイメージでデザインした。夜景などの函館の象徴も入っており、私たちの絵を見て幸せを感じてもらえたらうれしい」とあいさつした。

 また、花壇整備を行った「花の駅長さん」への感謝状贈呈式も行われた。(堀内法子)


◎政務調査費など「廃止」 函館市「事業仕分け」第2弾開始

 本年度2回目の函館市の「事業仕分け」が15日、市役所で始まった。この日は2班で11事業を審査し、市議の調査研究に必要な経費の一部を支給する「政務調査費」など2事業を制度の再設計を含む「廃止」と判定。このほか6事業を「改善を図る」、2事業を「現行通り」、1事業を「見直しが必要(廃止を含む)」とした。16日も10事業を審議する。

 本年度計5回開催予定のうち、9月に続く第2弾。市の財源不足解消に向け、企業経営者や学識経験者のほか、公募の委員14人が7人ずつ2班に分かれ、事業の@廃止A民営化を検討B委託化を検討C改善を図るD現行通り—の5つの選択肢から多数決で判定する。今回から新たに「廃止」判定の中に「事業を廃止のうえ制度を再構築」という項目を加えた。

 政務調査費(本年度予算1860万円)は議員報酬とは別に市が交付する補助金の一種。地方自治法に基づく市の条例で「議員の調査研究に資するための必要な経費」とされ、現在は市議会の会派に対して議員一人当たり月額5万円を支給している。

 委員からは近年、パソコンのリース料など事務費の使途割合が高いことや、議会事務局のチェック機能などを疑問視する声が相次ぎ、「返納額が多く、使った後に金額を補てんしてはどうか」「政務調査活動の本来のあり方に沿っていないのは不当・違法」と厳しい指摘が目立った。

 また、公立はこだて未来大を設置、運営し、函館、北斗、七飯の2市1町で構成する「函館圏公立大学広域連合」の負担金(同20億3700万円)については、広域連合という組織の運営形態や、2市1町の市議、町議らで構成する広域連合議会の行政視察などに批判が集中。

 委員からは「未来大が独立行政法人化された時点で広域連合の必要性はなくなった」「2年に1度、計170万円もの行政視察を行うのは税金の無駄遣い」「北斗市、七飯町の負担割合について検討が必要」などの意見があり、「事業を廃止したうえで制度の再構築が必要」と結論付けた。

 16日の事業仕分けも午前9時から市役所8階の会議室で公開で行われる。(森健太郎)


◎「道南、北東北 ひとつの文化圏」函館文化会創立130年記念講演会

 函館文化会(安島進会長、会員約100人)の創立130年記念講演会(同会主催)が15日、市中央図書館(五稜郭町)で開かれた。市教委文化財課の福田裕二さんが講師を務め、「縄文時代の道南や北東北は『津軽海峡文化圏』」と指摘した。

 同会は1881(明治14)年設立の函館教育協会を母体に、1958(昭和33)年に現在の名称に改称、優れた郷土史研究に贈る神山茂賞の選定や各種文化研究を奨励している。節目の記念事業は昨年から実施していて、今回は市縄文文化交流センターが今月1日にオープンしたのに合わせて実施した。

 福田さんは最初に、縄文文化を「自然と共生し、人々が定住していた点で世界に例のない新石器文化」と説明。その諸要素の1つである縄文土器については「各地の土器を見ればその地域性は明らか。地域同士の交易も分かるし、道南と北東北では類似性も見られる」と述べた。

 円筒式土器の文化圏については、青森県三内丸山遺跡がその拠点とされている中「函館や渡島半島もそん色ない。海峡を挟み、両地域で1つの文化圏を形成していたのでは」と話した。このほか、大船遺跡や著保内野遺跡など、これまでに91カ所見つかっている南茅部の縄文遺跡群についてスライドで紹介。大勢の来場者は時折メモを取りながら耳を傾けていた。(長内 健)