2011年10月17日 (月) 掲載

◎北斗市出身のバドミントン・佐々木翔選手 悲願の五輪へ加速

 北斗市出身でバドミントンナショナルメンバーの佐々木翔選手(29)が、2012年7月に行われるロンドン五輪の男子シングルス(単)に出場できそうな勢いだ。現在、男子単の世界ランキング9位で、関係者は「五輪でシード権も期待できる」と評価する。これまで2度、あと一歩で出場できず、3度目の挑戦で悲願達成に向かう佐々木選手は「出場しメダルを獲得するために、さらにランクを上げたい」と闘志を燃やしている。

 ロンドン五輪のバドミントン競技は、12年5月に発表される世界バドミントン連盟のランキングに基づき出場者が選考される。ランキングのポイントは11年5月から12年4月までに各国で開かれる大会の成績で与えられる。大会規模によりポイントは異なるほか、五輪では単やダブルス(複)など1種目に出場できる国の人数が決められているなどの要素はあるが、単は男女とも約30人が出場できる。男子単のランキング保持者は約800人。

 佐々木選手はこれまで、ランキング対象の8大会に出場し、10月6日現在9位。男子複でアテネ(04年)、北京(08年)と2大会連続出場を果たしたナショナルチームコーチの舛田圭太さん(32)は「男子単で10位以内は日本人初だと思う。驚いている」と話す。これまで10位台の選手はいたが、壁を越えられなかった。

 佐々木選手は幼少からバドミントンを始め、五輪出場を目標としてきた。上磯中卒業後、関東一高(東京)へ進学、インターハイなどで優勝し、社会人となってからは世界ランキングの上位に名を連ねたが、アテネ、北京とも、わずかの順位の差で惜しくも出場はならなかった。

 転機は2009年、舛田さんも所属していたトナミ運輸(富山)への移籍。国内トップレベル選手がそろうチームで、練習、世界大会出場の環境が向上した。さらに、舛田さんらの紹介により、自身に合ったトレーナーと巡り合えた。肉体、精神とも研ぎ澄まされ、プレーも円熟さが増してきた。トナミ運輸の荒木純監督(45)は最近の成長について「動きに鋭さが増し、攻守のバランスが取れゲームコントロールがうまくなった。プレーへの集中力は抜群だが、試合に入る気持ちもしっかりしている」と話す。

 佐々木選手の今年3月のランキングは29位だった。同チームの今泉勉総監督(62)は「ランキングレースが始まったころ、中国の強豪選手を何人か破って大きなポイントを獲得したことが効いている」と話す。中国選手を倒した実績は他国の選手にプレッシャーを与えた。佐々木選手の父敬悦さん(51)は「高校時代、中国人との練習でプレースタイルを学んだ。今、それを生かし、攻略できている。翔は出会いが良い方向に向かう運を持っている」と話す。

 16日に札幌市内で開かれた日本リーグ・JR北海道戦の単で、竹村純選手(29)を破った佐々木選手は試合直後、18日から始まるデンマークオープン出場のため成田空港(千葉)に向かう多忙さ。「まだ五輪レースは半年ある。最近は自分のプレーを研究されているが、それを乗り越え、ランキング6位を目指したい。地道にやってきた自分を応援してほしい」と決意を語った。舛田さんは「五輪は入賞することが第一。そのために今の順位に満足せず、常に挑戦者として一つ一つの試合を大切にしてほしい」と期待する。

 敬悦さんは「五輪に出場してほしいという私の目標に向かい、挫折する場面を乗り越え、今、その夢に現実味が出ていることにお礼を言いたい」と話す。地元北斗市内では、見えてきた五輪に向けさらなる応援をしようと、後援会の設立準備を進めている。(山崎純一)



◎入館者 早くも1万人突破 市縄文文化交流センター

 1日に函館市臼尻町にオープンした市縄文文化交流センターの入館者数が16日、1万人を突破した。開館からわずか2週間での達成に、阿部千春館長は「驚いているのと同時にうれしい気持ち。南茅部の縄文文化の歴史をベースに、センターのPRを積極的に努めてきた成果」と手ごたえを感じている。

 同センターは2007年に国宝指定された「中空土偶」をはじめ、南茅部地域91カ所の遺跡群で発掘された縄文時代の土器や石器など約1200点を展示。開館後からバスツアーの観光客や個人客が多く訪れるなど、注目を集めている。

 節目の1万人目は北斗大野小学校に通う口川林作君(3年)で、同市本町の公務員、祐逸さん(47)の家族6人と午後4時21分に来館。スタッフに呼び止められると、記念として認定証やトートバッグなどが入ったミュージアムグッズセット、ホテル函館ひろめ荘の無料入浴券が贈られた。

 林作君は「茅空(かっくう=中空土偶の愛称)と道の駅が好きだったからお父さんにお願いした。認定証は宝物にしたい」と笑顔を見せていた。

 1万人の達成は、青森県八戸市に7月10日オープンした国宝「合掌土偶」などを展示する「是川縄文館」と比べて約2週間早い。縄文センターは本年度2万人、来年度は4万人の入館者を目標に掲げている。

 阿部館長は「今はオープン効果もあってにぎわっているが、これを一過性で終わらせないようにさらなる情報発信をしていきたい」と話している。(後藤 真)



◎学校など職員駐車有料化

 函館市はこのほど、小中学校など市の所有施設の職員用駐車場2910台分を対象に、駐車使用を有料化する案をまとめた。市街化区域と周辺の施設で月額3000円、旧4町村など市街化区域以外は同1000円とし、年間約8900万円の収入を見込んでいる。市は今後、年内をめどに職員からの意見をまとめ、来年度の早い時期に実施したい考えだが、学校現場からは反発の声も上がっている。

 市財務部は昨年10月、全部局を対象に駐車場の実態調査を実施。これをベースにした有料化案は「敷地内に駐車スペースを確保できない施設に勤務する職員との間に不公平感がある」とし、市有財産の管理適正化を図る趣旨でまとめた。

 市が定める財産条例では、市有財産を使う場合に使用料を徴収する規定となっている。市役所本庁舎には職員用駐車場がなく、マイカー通勤する職員は本庁舎周辺で民間駐車場を借り、月額6000〜9000円程度を払っている。一方で、学校などは敷地内の空きスペースを職員用駐車場として使っており、使用料は徴収していない。

 有料化案は1週間の駐車日数が5日以上、1日の勤務時間が3時間以上の職員が対象で、同部によると小中学校で1700台、消防施設330台、4支所で280台が該当する。料金は財産条例上、固定資産の仮評価額に基づいて算定しており、市街化区域の2250台は月3000円、市街化区域外の660台は1000円に設定した。

 市の施設では、市立函館病院で周辺に民有地を借り、職員が駐車料金を負担しているほか、企業局上下水道部が有料化。道内では小樽市が、2007年から有料化に踏み切っている。

 市財産管理課は学校を含めた今回の有料化案について「通勤用の自動車であれば目的内とは言いがたい。長時間同じ人が駐車しておくとなれば、目的外使用とせざるを得ない」とする。

 ただ、公用か私用の取り扱いは意見が分かれており、とりわけ学校現場の反対は根強い。北教組函館支部は15日、反対する街宣活動を行ったほか、同支部などでつくる市民団体「民主教育をすすめる函館市民会議」が署名活動を始めている。

 同支部の高橋勇二書記長は「自家用車を生徒指導などの公務で使う頻度は高く、行政目的に値する」としたうえで「市職員の不公平感解消のために、道職員である教員に負担を強いるのは問題」と主張する。(千葉卓陽)


◎秋の大沼1345人が疾走 グレートラン・ウォーク

 【七飯】「2011北海道大沼グレートラン・ウォーク」(七飯大沼国際観光コンベンション協会主催)が16日、大沼公園で開かれた。あいにくの雨もスタート時刻のには上がり、晴れ間も広がった。1345人の参加者は深まる秋の景色を楽しみながら、心地よい汗を流した。

 大沼湖畔の1周コース14・4キロとファミリー(半周)コース6・3キロを設定。ランニングには1周817人、半周186人、ウオークには1周163人、半周179人が出場。大沼公園広場前、東大沼キャンプ場からそれぞれスタートした。

 午前9時半に中宮安一町長が号砲を鳴らすと1周コースの参加者が一斉にスタート。雨がやみ、青空が戻る中で、参加者は沿道からの声援を受けて、それぞれ自分のペースで完走、完歩を目指して、湖畔へと進んでいった。

 ゴール後には、公園広場で開催中の「秋の味覚市」会場で、七飯、森、鹿部3町の特産品や一品料理を味わい、スポーツと食欲の秋を満喫していた。(今井正一)


◎三国バレエ研究所60年の舞 華やかに

 三国バレエ研究所(三国利栄子主宰)の60周年記念公演(函館新聞社など後援)が16日、函館市民会館(湯川町1)で開かれた。小学生から高校生までの生徒28人やゲストが盛大かつ華やかに演じ、節目に花を添えた。

 同研究所は1951年に設立。道南最古のバレエ教室として古典のみならず創作作品も数多く発表してきた。現在は約50人の生徒と2人の指導者らで活動している。

 今公演では李波さん(Leeバレエスタジオ主宰)らをゲストに迎え、古典の名作「ジゼル(第2幕)」のほか、少女たちがかつて水飢饉(ききん)に襲われた函館の亀田盆地を神に祈り救った水物語「ワッカベツ」を25年ぶりに再演。生徒たちは色とりどりの衣装をまといながら伸びやかに踊り、会場から割れんばかりの拍手が巻き起こっていた。

 三国主宰は「皆さんへの感謝の思いを伝えたく、衣装のデザインをプロに依頼するなど、できる限りのことをしてこのステージに臨んだ。これからも次の世代へバレエの素晴らしさを伝えられるようにできることをやっていきたい」と話していた。(後藤 真)