2011年10月18日 (火) 掲載


◎エゾシカ猟 誤射に注意

 桧山管内では1日、今シーズンのエゾシカ猟が解禁された。全道的な農作物被害の増大に対応して例年より約3週間早い解禁となったが、全道で狩猟に伴う誤射事故が続発していることから、道や道警で注意を呼び掛けている。

 エゾシカが生息していない奥尻町を除く6町でエゾシカ猟が解禁されている。猟期は来年3月25日まで。昨年度までは10月23日が解禁日だったが、道が計画している捕獲数を達成するため桧山など複数の地域で解禁日を早めた。

 だが、10月中旬までは、キノコ採りや川釣りに伴う入山者が少なくない。狩猟に伴う誤射などの事故発生も懸念されている。道などは入山者に(1)目立つ服装をする(2)ラジオなどで自分の存在をアピールする—など対策を呼び掛けている。また、狩猟者には(1)射撃を行わない時は実弾を銃身から抜く(2)射撃方向の十分な確認(3)オレンジベストなどの着用徹底—を求めている。

 管内の狩猟関係者は「山中でハンターのものとみられる車をみかけたり、射撃の音が聞こえた場合、一般の入山者も大声を出すなど、自分の存在を周囲に知らせることをお願いしたい」としている。

 道内では2月、胆振管内厚真町の山林で、林業作業員がライフル銃の銃弾に当たり死亡。銃を発射した人物の特定されていない。16日にも後志管内喜茂別町で、ハンターがエゾシカと誤認したハンターが渓流釣りの男性にライフル銃を2発発砲。男性が背中や足に重傷を負い、業務上過失致傷の疑いで67歳のハンターが逮捕された。(松浦 純)



◎街頭犯罪抑止へ地域連携

 函館と北斗の両市、七飯町を管轄する函館中央署管内で車上狙いが絶えない。同署によると、9月末現在で251件と昨年252件を今年は大幅に超す勢い。この事態を踏まえ、17日に同署で「函館中央警察署管内街頭犯罪等抑止連絡会議」を初開催。大型商業施設やJR五稜郭駅、町会計8団体が出席し、情報共有と啓発活動による犯罪抑止対策を練った。

 街頭犯罪とは、車上狙いや自転車盗難、ひったくりなど住民が身近に感じる犯罪を指し、同署管内では過去10年間で2004年の5170件をピークに減少傾向だが、昨年は2646件と依然多い。

 中でも今年は車上狙い被害認知が相次ぎ、1〜9月までの毎月で前年を上回る状況。一方、自転車盗難は9月末現在で378件と前年同時期比116件の減となっている。

 会議では同署担当者が、パトロール強化や啓発ポスター掲示などが犯罪抑止に効果があると伝え、「監視されているという環境づくりが重要」とした。函館市梁川町の大型商業施設での自転車盗難は、昨年62件あったが、従業員パトロール強化やタグ付けなどの対策を講じ、今年9月末では10件と大幅に減少している対策事例を紹介。また、万引き対策では、被害届出が平易な手続きになった説明と「万引きの特徴など系列店だけでなく、地域の業界が連携を密にすることが対策強化となる」とした。

 藤田裕二・函館中央署長は「警察の力だけでなく、地域の皆さんとの情報共有で一件でも犯罪を減らしていきたい」と協力を呼びかけた。同署が防犯協会と手掛けた啓発品の紹介もあり、参加者は積極的な活用を打ち合わせ。同署は今後も関係機関の協力を得て、定期的にこのような会議を重ねたいとしている。(田中陽介)


◎谷地頭温泉の売却先の公募受付開始

 函館市企業局は18日から、民営化の方針を決めている市営谷地頭温泉(谷地頭町)について、売却先の公募受付を始める。最低売却価格は土地、建物を含めて約5億1500万円(税抜き)で、公募した事業計画を審査するプロポーザル方式で選定する。25日には説明会を開き、11月14日まで受け付ける。

 市の温泉会計事業の赤字削減が主な目的。売却額は不動産鑑定評価額を基に算定し、対象はいずれも税抜きで、公衆浴場の建物などが約2億8500万円、土地(約7000平方メートル)が約1億7100万円、温泉の供給設備などが約5800万円で、すべて一括して売却譲渡する。

 譲渡条件は▽公衆浴場として5年以上継続して運営する▽市谷地頭老人福祉福祉センターなど3施設への温泉の供給を5年以上継続する▽5年間は第三者への譲渡、賃貸を原則禁止する—など。応募資格は3年以上の公衆浴場の経営実績がある法人などが対象で、銭湯以外にもホテル・旅館や福祉施設、フィットネス施設なども含まれる。

 売却先は市内の税理士や大学教授など外部の学識経験者ら5人でつくる選定委員会で審査し、事業計画と提示価格の評価点の合計で選ぶ。来年1月中旬に決定し、3月下旬に引き渡す予定。25日午前10時から、市企業局(末広町)で「募集説明会」も開く(21日までに事前申込が必要)。

 同局上下水道部温泉課は「将来的にも長く公衆浴場機能を維持してもらい、地域の公衆衛生を担う意欲のある事業者を募りたい」としている。募集要項は同局のホームページでダウンロードできるほか、温泉課事務所(湯川町3の1、市営熱帯植物園隣)で配布している。(森健太郎)


◎函館の変遷伝える 市中央図書館で古写真展

 函館市の明治から昭和までの街並みを紹介する写真展が、市中央図書館(五稜郭町)で開かれている。明治天皇が来函した際に訪れた巡幸地の写真などもあり、貴重な資料をひと目見ようと、多くの来館者が足を止めて見入っている。24日まで。

 かつての函館の街並みをテーマとした古写真展は同館では初めて。資料保存のため、今まで閲覧できなかった写真をデータベース化したことで実現した。

 展示している写真は1876(明治9)年から1977(昭和52)年までの約25点。明治は天皇の巡幸地、大正と昭和は市街を見渡せる写真などを並べた。函館湾が北洋漁業に出漁する船でにぎわう様子、明治当時の五稜郭や函館裁判所、1907年(明治40年)に発生した大火から復興に向けて努力する街の様子など、当時の街の雰囲気や人々の息づかいが伝わる。

 展示写真は保存している資料の一部で、幕末期のものも現存している。データベース化した写真は今後、ホームページでも公開する予定だ。同図書館は「明治時代の写真は数が少なくて貴重な上、細部まで鮮明に写っている。なくなったものや新しくできた建築物を現在の街並みと比較してほしい」と呼び掛けている。(後藤 真)