2011年10月19日 (水) 掲載

◎「たかせ」イモとガゴメでユニーク新食品

 【七飯】七飯町の土産品企画販売会社「たかせ」(大沼町647、高瀬宣夫代表)は17日から、同町産の男爵イモと函館特産のガゴメ(トロロコンブの仲間)を使ったジャガイモ加工食品「がごめ男爵 ねばるんだお父さん」を販売した。

 同社が以前から販売していたジャガイモ加工品「じゃがだるま」を改良した商品で、函館の食品製造会社「ワタリ食品」と共同で開発。七飯町が国内の男爵イモ発祥の地であることや、独特の粘りのある食感で栄養効果も高いガゴメに着目して商品化した。

 これまで同社は、「おじいさん」「おばあさん」「お母さん」とファミリーシリーズの商品を販売していて、今回は「お父さん」をイメージした。

 ピンポン玉ほどに丸くスライスし、塩ゆでしたジャガイモ2個でだるまを作り、上の部分にガゴメの若葉を添えて真空パックで包装。イモの表面上のパッケージににっこりした顔が描かれ、ガゴメの部分が髪になり、かわいらしい「お父さん」を表している。

 あっさりとした塩味が特徴。高瀬代表は「特にお父さん世代に向けて、仕事も体力も粘り強く元気でとの願い込めて作りました」と話し、おやつや酒のつまみのほか、サラダ、カレーなどの具材にも勧める。1袋139円。

 函館空港やねばねば本舗、北海道昆布館などで販売。問い合わせはたかせTEL0138・67・2469。(鈴木 潤)



◎職員給与10%削減…函館市 財源不足で行革案

 函館市は18日、12月1日から職員の給与と期末手当(ボーナス)を一律10%削減し、退職手当を本年度10%、来年度以降20%削減する方針を明らかにした。市独自の給与削減措置は初めてで、退職手当の削減も道内初となる。市は今月中にも市労働組合連合会(市労連)との交渉を開始し、11月中に臨時市議会を招集し条例改正案を提出する考え。

 同日公表した「財政の中期的な見通し」(2011〜18年度)で明らかにした。函館市はこれまで、人事院勧告に準じた給与の引き下げを行ってきたが、厳しい財政状況を受けて独自削減に踏み切る。

 財政見通しによると、市の一般会計は現行制度に基づくと、本年度で35億5800万円、来年度で52億6700万円の財源不足が生じると予測。13年度以降も50〜43億円の赤字が出ると見込んでおり、18年度までの累計赤字額を372億円とみている。

 このため、すでに行っている市長給与の50%カットに加え、12月から一般職員の給与を10%、特別職(副市長、教育長、企業局長、常勤監査委員)で20%削減し、本年度に8億円、来年度に24億円を生み出すほか、15年度まで土地開発基金を取り崩して対応する。

 給与のほか、来年度から7年間で現業職員の不補充などで210人を削減して18年度までに222億円、これに事業仕分けや新たな行革プランに基づく事務事業の見直しを加え、計331億7000億円の財源を捻出する考え。給与削減は14年度まで行い、15年度からは地域の民間企業と整合性を持たせた給与体系に改める。

 本年度はまた、臨時財政対策債を含む地方交付税額が当初予算比で7億3069万円、前年度比で14億8963万円減少したことを受け、退職手当債を当初予定の22億円から10億円に圧縮して借り入れる見通し。

 市の給与カットはこれまで、人事院勧告に準じた額のみにとどまっていた。工藤寿樹市長はこの日開かれた定例会見で、10%の根拠について「道内の他の自治体では3〜5%が主だが、財政を考えるとその程度ではカバーできない」と説明。退職手当債の借り入れに関しては「基金をすべてつぎ込めば、来年度以降の予算がまったく組めなくなる。(当初予定の)22億円を埋める財源が出てこなかった」と述べた。(千葉卓陽)



◎駄菓子用スルメ スルッと串刺し…七飯の松倉工業所が開発

 【七飯】町中島の「松倉工業所」(松倉重幸社長)が、駄菓子用のスルメを串刺しにする機械を開発した。山型にプレスしたスルメの足に串を自動で通す機械で、試行錯誤を重ねて、完成した。松倉社長(71)は「プレス部分の形状を変えれば、団子やおでんなどでも応用は可能」と話している。

 松倉工業所は機械部品や工作機械から、屋外用ごみストッカーの製造などを手がける鉄工仕上げの町工場。スルメの串刺し機械は「総合物流嘉堂」(町大中山2、嘉堂卓也社長)の「カドウフーズ」(函館市追分)の依頼で製作した。

 串に刺したスルメは駄菓子の原材料として、愛知や大阪の業者の需要がある。従来は手作業で行ってきたが、1日に1人で作れる数量が約1600本と限られていた。仕上げの手作業は必要だが、機械化することで、労力を軽減し、生産力や採算性の向上を図る。

 機械は、裁断したスルメが台座でプレスされ、山型に折り曲げられ、その中心部分に串を自動で通す。くしは6キロの加重で飛び出るため、多少、堅めのスルメにも容易に刺すことができる。

 松倉社長は「長年の経験から、シリンダーの働きや動き、刺さり方などを考えて作った。特許の出願も検討している」と話す。機械の増産は未定だが、他の串を使う食品への応用も期待しているほか、「カドウ—」とともにスルメを引き伸ばす機械の考案も進めている。(今井正一)


◎シンボルの桜 再び…弥生小新校舎に後継樹移植

 旧函館弥生小学校のサクラの後継樹を移植する授業が18日、建設中の同校新校舎(弥生町4)敷地内で行われた。同校(村上一典校長)6年生児童らが作業に当たり、校章のシンボルマークであるサクラが次代に受け継がれた。

 旧校敷地内のサクラは新校舎建設の支障となり移植が困難なため、昨年2月に当時の6年生が原木から小枝を採取し、その枝を接ぎ木するなどして後継樹を育ててきた。

 授業には6年生40人のほか、接ぎ木作業などを行ってきた市内の樹木医、斉藤晶さん(77)らが参加。現同校敷地内(同町12)で児童の背丈ほどに成長してきた21本の苗木を用意した。

 子どもたちは細い木の枝を支え、スコップで土を掘りながら移植。丹念に根っこを埋めていき、「大きくなってね」と思いを込めていた。

 斉藤さんは「この木は旧校舎のサクラの遺伝子を受け継いでいる。卒業してもこのサクラを思い出し、かわいがってほしい」と話す。児童会長の岩舩利佳さんは「先輩たちと私たちが運んできたサクラの命が長く長く伝わって、新校舎の新しいシンボルになってほしい」と願っていた。

 新校舎は12月中に完成し、冬休み明けから使用が始まる。後継樹は3年後に花を咲かせるという。(後藤 真)


◎地産農産物で特産品を…「えさし水土里の会」発足

 【江差】地場産農産物を生かした特産品開発を進めようと17日、地域の女性農業者ら12人で組織する「えさし水土里(みどり)の会」が発足した。2007年3月に閉校した旧朝日小学校の校舎を活用して、農村部に伝わる伝統的な漬物、みそ、豆腐などの新商品開発を進める方針だ。

 同日夜に朝日児童館で開いた設立総会には、女性農業者や関係者約20人が出席。地域の女性農業者のリーダー的存在で、郷土料理の普及伝承や消費者との交流事業などに取り組む長尾和子さんを会長に選んだ。長尾さんは「朝日小の卒業生を含めて、地域を元気にする活動の輪を広げていきたい」と意欲をみせた。

 同会は、農村部に根付く漬物、みそ、豆腐などの伝統食や、古くから伝わる「かたっこもち」などの製造技術を生かして、地場の農産物を活用した商品づくりや販路開拓を進める。町の田畑明・政策推進課長は「法華寺通り商店街などにある地場産品の販売拠点で特産品や規格外野菜を販売したい。農産物の地産地消を進めて農村部の振興につなげたい」と話す。

 町は総務省から「緑の分権改革調査事業」の委託を受けて、旧朝日小を農産物加工や体験観光の拠点に再生させる計画。同会が中心的な役割を担う形になる。校舎内の給食室を改装して、調理機器や冷蔵設備などを備える。町は11月中旬にも校舎の改修工事を終えて、特産品開発に向けた活動を本格化させる考えだ。(松浦 純)