2011年10月21日 (金) 掲載

◎香雪園で紅葉ライトアップ試験点灯

 函館市見晴町の香雪園(見晴公園)で20日、22日から始まる紅葉ライトアップの試験点灯が行われた。園内の樹木の色付きはまだ青みが目立つが、地上から照らし出された幻想的な光が秋の夜空に浮かび上がった。

 ライトアップは市と市住宅都市施設公社で主催し、今年で3年目。園内にある人気の散策路「カエデ並木」の樹木のほか、園亭や温室など約1.2キロにわたり、200〜1000ワットの水銀灯24基で照らす。今年は園亭に続く石段の通路にも照明を新設した。

 園内にはヤマモミジやイタヤカエデなど計154種類の樹木があり、今季は昨年より色付きは1週間ほど早いが、まだ3分程度。この日は委託を受けた市内の電気設備業者らが光の向きや加減などを調整し、枝葉が立体的に浮かび上がるよう照明の位置を修正した。

 市によると、同園は昨年の期間中だけで観光バス約230台が入り、今年はフランスの旅行ガイド「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」でも星1つに輝いた。ブランド推進課は「湯の川温泉の観光客をさらに呼び込むなど、今後も事業を継続して秋の観光資源として定着を図りたい」としている。

 ライトアップは22日から11月13日までの午後4時〜同9時。紅葉のピークは11月上旬の見通し。期間中には園内の緑のセンターで毎日日替わりで午後5時から約30分のミニライブも行われる。(森健太郎)



◎原発防災圏30キロに拡大、函館も対象「当然の措置」

 国の原子力安全委員会の作業部会は20日、原子力発電所の事故に備え、原子力防災対策を重点的に講じる地域の範囲(現行のEPZ)を、半径8〜10キロから30キロ圏内に拡大する見直し案をまとめた。青森県大間町で建設中の大間原子力発電所から最短で23`離れた函館市の一部も、対象地域に含まれる。工藤寿樹市長は「福島第一原発の事故を踏まえると、範囲拡大は当然。大間原発をあくまで無期限凍結すべきというスタンスは変わらないが、今後も国の動向を注視したい」とするコメントを発表した。

 市総務部はこの日、会見を開いて見解を説明。上戸慶一部長は範囲拡大案を受け「原子力安全委と同じ結論になった認識はある」としたが、同原発が建設を中断している現状から、早急に原子力防災計画を策定する考えはないと強調。同部長は「計画を作ることで、建設を再開してもいいととられかねない。同原発が指定を受ければ稼働につながりかねない」と述べ、慎重に対応する考えを示した。

 市は、原発周辺自治体と電力会社との安全協定の締結事例など関連情報の収集に努める一方、防災対策重点地域と地元合意が求められる範囲が違うことから、同部長は「直接的には関与できない状態。計画中の原発をどうするか、国の判断が必要」とし、共同歩調を取る北斗市や七飯町との連携を強める方針。

 また、工藤市長が19日、周辺市町村との同意を得ずに建設を進めるなら、司法手段もあり得るとの見解を示したことについては、今回の見直し案とは直接の関係がないとし、上戸部長は「(生存権に関して)自治体が提起する例はない。原告としての適格があるかどうか検討を進めている」と述べた。

 工藤市長は大間原発建設に対し、6月に経済産業省や事業者の電源開発(東京)を訪問して無期限凍結を要請。8月末には大間町の工事現場を初めて視察。視察後の市議会では高さ3bの防潮壁設置などの安全対策を「付け焼き刃的」と批判している。(千葉卓陽)



◎福島吉岡漁協、町、未来大が連携協定を締結

 【福島】福島吉岡漁協(阿部国雄組合長)と町、公立はこだて未来大(中島秀之学長)の包括連携協定の調印式が20日、青函トンネル記念館で開かれた。同大の情報技術のノウハウや研究成果を活用し「海の情報化」を進め、漁業者の課題を解決する。漁業を核とした官学連携は全国的にも珍しく、町内の漁業者らも期待を寄せている。

 漁協と町が連携し、同大の研究成果を生かした効率的な漁業の推進、水産業の振興、後継者育成にまでつなげるのが狙い。大学側にとっては、研究の拠点が増えるほか、研究成果を実際に試すことができるなどの利点がある。

 調印式には大学、漁協、町から15人が出席。中島学長と阿部組合長、村田駿町長がそれぞれ署名し、協定書を交わした。協定書では、技術支援と調査研究による産業振興、水産業を担う人材育成などを盛り込んだ。

 中島学長は「我々の技術を出す場所であり、教育、研究の題材をもらう場所になる。互恵の関係で面白いことができれば」とあいさつ。阿部組合長は「大学のノウハウを貸していただきたい」と述べ、村田町長も「未来大の頭脳を水産業の発展やまちづくりに活用させてほしい」と期待を語った。

 調印式終了後には同大教授らによる講演会や「福島町における情報技術の活用」をテーマとした討論会も開かれた。(松宮一郎)


◎ドクターヘリ道南圏導入に向け可能性調査へ

 国の地域医療再生臨時特例交付金の内示で、ドクターヘリ(ドクヘリ)の道南圏への導入に向けた可能性の調査が認められた。これを受け、道は渡島・桧山管内の医師会、市町、医療機関、消防などで構成する設立準備会の初会合を、31日に渡島合同庁舎で開く。準備会を経て、調査検討会(仮称)を年明け以降に設置する。道内ドクヘリ運航圏域で、道南は唯一の空白区となっており、実現に向けた研究を加速させる。

 準備会には、道南の62機関が参加。導入に向けた意識の醸成を目的とし、検討会の参加メンバー選定、既にドクヘリ導入済みの3圏域の事例研究などを行う。年内に2回目の会合を開く予定。

 その後の検討会では、導入の可能性を探る一方で、医師確保や導入に伴う財政負担なども協議テーマになる見通し。

 渡島総合振興局によると、国からの内示は14日付。交付金は道内3次医療圏(道南、道央、道北、オホーツク、十勝、釧路・根室)ごとの地域医療再生計画(2011〜13年度)の財源となる。道南は要望額19億9508万6000円に対し、内示額は16億4481万5000円で、6圏域で最も高い82.4%が認められた。ドクヘリ調査のほかに盛り込んだ事業については、医療機関と調整した上で、11月に最終申請をし、12月に交付が決まる予定。

 ドクヘリは、救急医療用の機器などを装備した専用ヘリ。専門医や看護師が同乗し、搬送中に救命医療を施す。道内を4つの運航圏域に分けると道央(拠点札幌)、道北(旭川)、道東(釧路)では導入済み。道南でも、へき地医療や大きな病院がない桧山などから要望が強く、第3次救急医療態勢の充実が課題となっている。(山崎大和)


◎魚長が新業態店舗導入へ、低価格商品を充実

 スーパーの魚長(柳沢一弥社長)は10月下旬、新業態の店舗「生鮮げんき市場」を導入することを決めた。以前100円商品を取りそろえていた小規模店舗を対象に、低価格の商品を充実させ、魅力的な店舗とする。柳沢社長は「われわれにとってチャレンジ」と話し、好評であれば最大8店舗まで拡大する考え。

 同店は2009年にコープさっぽろと資本提携。積極的なコスト削減などで、11年2月期決算では3年ぶりの黒字とするなど成果を上げている。

 100円均一の店舗は小規模店を中心に8店あったが、原料値上げなどで採算が取れなくなり現在はない。今期の上半期(3〜8月)には企業全体で昨年度比9%減となる約70億円の売り上げがあったが、同社他店舗が健闘するなかで旧100均店舗の売り上げはピーク時のおよそ半分に。減収に歯止めをかけようと挑戦する。

 げんき市場は小規模店を対象とする。初の店舗は赤川通沿いの赤川店(函館市美原2)で、売り場面積は約530平方bと通常店舗の半分以下。ここに通常店より絞った約5000アイテムを置き、28日に新装オープンを控える。

 商品は10月から導入した日本流通産業(大阪)のプライベートブランド「くらしモア」の低価格商品をはじめ、他店舗よりも常時安価に設定。半面、ポイントや宅急便・クレジットカードの扱い、配達などのサービスを省くことで、効率的な営業を目指す。柳沢社長は「商品の見付けやすさで客の手間を省き、さらに安さで集客したい」と話す。(小泉まや)