2011年10月24日 (月) 掲載

◎駒ケ岳登山に9601人 規制緩和2年目終了

 【森、七飯】本年度の駒ケ岳(1131メートル)登山が23日で終わり、6月からの登山者は9607人となった。規制緩和2年目の今年から、平日の登山も可能となり、森町側の赤井川ルートから8956人、七飯町大沼湖畔側の銚子口ルートから651人が入山。大半は函館、七飯を中心とした道南客だが、約4分の1が道外客で、地域の観光振興にもつながっている。

 駒ケ岳は、1996年3月と98年10月に小噴火し、一昨年まで入山規制が続き、規制を緩和した昨年は6〜10月に7891人が訪れた。登山が可能なのは「馬の背」(900メートル)までだが、大沼湖畔から原生林を抜け、8合目で赤井川ルートと合流する銚子口登山道が今年から解禁となり、登山の楽しみ方の幅が広がった。

 入山届けの事務局となった七飯大沼国際観光コンベンション協会のまとめでは、月別の登山者数は7月が最多の2390人で、6月が2148人、8月以降は1500〜1800人台で推移した。曜日別では、土曜、日曜日に集中し、平日は遠足で利用する学校も多かった。年代別では、約3割が60歳代で、50〜70歳代で過半数を占めた。

 また、全体の77%が道内客で、道内客の約3割は道央から訪れた。道外客のうち、関東からの登山ツアーで訪れた人も多かったという。同協会の堀元会長は「大きな事故もなく、1万人近い人たちに登山を楽しんでもらった。来年も多くの人に訪れてもらいたい」と話す。

 また、駒ケ岳火山防災会議協議会(会長・佐藤克男町長)事務局の森町防災交通課は「駒ケ岳は地震も少なく安定した状態が続いている。来年以降も現在の状態を保ち、多くの人に登山を楽しんでもらいたい」としている。同協議会は、近く、専門家を招いた勉強会を開催するほか、来年度以降の登山ルートや入山方法の検討を進める方針。(今井正一)



◎「原発のない」暮らし考える

 東日本大震災を受けて事故が起きた福島第一原発から20キロ圏内のまちの写真を見て、原発のあり方や脱原発への課題を探る集まりが23日、函館市元町の北海道国際交流センターを拠点に行われた。「一人一人は豆粒でも、集まればすごい力になると信じて」を合言葉に大勢が意見を交わした。

 原発事故などを踏まえ、「脱原発、これからの生活、食、エネルギーについて真剣に向き合う一日にしたい」と住民でつくる「豆豆つぶの会」の主催。同センターでは、東京在住の写真家、谷内俊文さんが今年4月と8月に福島第一原発付近で撮影した写真展示があり、来場者が見入った。

 カフェやまじょうでは「原発カフェ」が開かれ、店内いっぱいの30人超が訪れた。大間原発訴訟の会の野村保子さんがコーディネートし、参加者一人一人が意見を述べた。

 脱原発が大半を占める中、「反対反対というだけではなく、なぜ反対なのか、また原発が必要な理由、原発がなくなったときの電力供給状況はどうなのかを具体的に把握すべき。原発以外の火力などで電力をまかなえるのであれば、あえて危険なものを選ばなくてすむはず」などと意見を交わした。

 福島県出身の安斎伸也さんは「この写真を見て、自分の古里ですと紹介するのが残念でならないが、現状を知ってもらいたい」と語り、谷内さんも「まずは福島原発付近の現状を多くの人に知ってもらうことが大事だと考えている。そこで感じること、思いがこれからにつながるはず」と強調した。

 夜には、同センターでアフリカンパーカッションなどの音楽ステージも開かれた。(田中陽介)



◎日韓友好願い「ムクゲ」5株植樹

 今年8月に函館市と韓国・高陽(コヤン)市が姉妹都市提携を結んだことを記念し23日、在日本大韓民国民団(民団)函館支部(李勇光支団長)は総合公園市民の森(函館市湯川町327)に、韓国の国花「ムクゲ」5株を植樹した。関係者12人が参加し、木の成長とともに両市・両国の友好がさらに深まることを願った。

 民団函館支部は通訳や相互文化を伝えるなど、日韓のかけ橋として姉妹都市提携に向け尽力。「喜びの証しを残そう」などの思いから植樹式を実施した。植栽株は「道南ムクゲを広める会」(浅利政俊会長)から贈られた。

 李支団長と市の渡辺宏身企画部長がスコップを持ち、根の周りに丁寧に土をかぶせ植栽した。手入れなどは浅利会長らが定期的に行い、例年8月中旬から約2カ月間、白と紫色が美しい花が楽しめるという。

 李支団長は「これを契機に市民交流なども盛んになれば」と話していた。来年は高陽市からムクゲの株が届く予定で、今後は双方で株のやり取りをし、植樹活動を展開していくという。(小杉貴洋)


◎復興支援の気持ち「体いっぱい表現」 Rダンスカンパニー

 函館市末広町9のジャズダンススタジオ・Rダンスカンパニー(山崎理恵主宰)の第5回発表会「東日本大震災チャリティーコンサート 新たなる出発(たびだち)。」(函館新聞社など後援)が23日、北斗市総合文化センターかなでーるで開かれた。ジャズやヒップホップ、道南で唯一のファンク・ア・タップなどで日ごろの練習成果を披露した。

 発表会は2年に一度開いている。2009年に設立10年を迎え、今年は新しい気持ちでステージに臨むことや、東日本大震災時、津波の影響でスタジオが閉鎖されるなどしたため、復興支援の気持ちを忘れないようにしようと、ダンスの振り付けは見る人に元気を与え、前向きな姿勢を表現した。

 ステージには同スタジオの生徒のほか、P・A・C(七飯)と厚沢部Hip Hop Shinegaの生徒、ゲストなど総勢約80人が出演した。3部構成で、第3部はゲストのRIKIYAさん(札幌)による振り付けで、オーディションで選ばれた38人による「secret BLACK Diamonds」。ポップ、ロック、ハウス、ソウルといったさまざまな動きを組み合わせた躍動感あふれる踊りで来場者を魅了した。

 会場には函館市内で被災した企業の人も招待され、収益金の一部と会場で行った募金は、被災者支援に送られる。(山崎純一)


◎住宅用太陽光発電助成申し込み好調

 函館市が9月から募集している個人住宅用の太陽光発電システム設置補助金制度の申し込みが相次いでいる。21日現在、助成希望者は50件に達し、当初想定していた30件の予算額を上回る人気ぶり。市工業振興課は「震災に伴う原発事故などで市民の自然エネルギーへの関心が高まっている」とし、今後、補正予算を計上して対応する方針。

 福島第一原発事故を受け、青森県大間町で建設中の大間原発の「無期限凍結」を求める市としても、自然エネルギーの普及を促進する狙い。出力1キロワット当たり7万円、最大3キロワット・21万円を助成し、市は本年度の予算に最大30件分の630万円を計上していた。

 市では2003〜05年度にも道の補助金を財源に太陽光パネルの設置費用の一部を助成し、3年間の補助件数は計37件。今回は9月1日の募集開始直後から、市内の住宅メーカーや電気工事業者などから申請が次々と寄せられ、約1カ月余りで3年分の件数を上回った。

 同課によると、希望者は新築住宅が17件、既存住宅が33件で、太陽光システムの平均出力は3・9キロワット。一般住宅で主流の4キロワットの太陽光パネルの場合、設置費用は約240万円だが、1キロワット当たり4万8000円(最大10キロワット未満まで)を助成する国の補助制度と市の補助金を併用すれば、計約40万円の助成が受けられる。

 当初は予算額に達するまでの先着順だったが、定員は設けずに、12月22日までに申し込んだ人を対象とした。応募は設置工事が未着手で、来年3月9日までに自宅への設置工事や太陽光発電システム付きの新築住宅の引き渡し、電力会社との契約などが完了し、必要書類を提出することなどが条件。

 市は12月か来年2月の補正予算で超過分の財源を捻出する方針。同課は「予想以上の反響で、事業規模を検討したうえで来年度以降も継続していきたい」としている。要綱や申請書類などは市のホームページからダウンロードでき、必要事項を記入して同課に持参する。問い合わせは同課TEL0138・21・3307。(森健太郎)