2011年10月25日 (火) 掲載

◎蒜沢川の自然再生へ植樹

 【七飯、函館】七飯町と函館市の境界を流れる蒜沢(にんにくざわ)川の河畔林再生事業に、2004年から本格的に取り組むNPO法人「北の森と川・環境ネットワーク」(影山欣一代表)は24日、函館側流域での初の植樹を実施。15年までかけて在来種を約2500平方メートルに植樹予定で、「河川工事の状況をみながらの活動展開になるが、30年後には本来の森林にできれば」と関係者は意気込んでいる。

 同法人は03年8月に自然環境団体を発足し、翌年2月に法人化。苗を育て、07〜10年に七飯側流域4250平方メートルでミズナラやアオダモなどの48種を植えてきた。

 地域の子どもらが多く参加し、古里の森づくりの意義を体験で学ぶ。

 24日の函館側での植樹は、七飯の認定こども園どんぐりの園児63人、函館三育小児童15人が協力した。27日以降、函館中の沢小、七飯大中山小の児童たちも協力する予定で、29日の一般植樹までに730平方メートル、400本を植えるという。

 影山代表(68)は「ここ一帯は、サワグルミなどでうっそうとしていたが、1955年ごろの高度経済成長期から農地利用が始まり、畑や水田を繰り返して荒れた土地になった。古くは天然氷がとられていたと聞いている。それだけ清流であり、この植樹活動が多くの住民にとって自然や生態系に思いを寄せるきっかけとなれば」と話していた。

 29日の一般植樹参加希望者は午前9時に、大和静観園駐車場に集合。場所は、函館新道の側道トンネル5番を山側へ。

 問い合わせは同法人TEL・ファクス0138・54・9283。(田中陽介)



◎復路の「無料化」提言へ 救急車の高速道路利用

 重篤な救急患者を札幌や函館などの医療機関に救急車で搬送する場合、道南の市や町では高速道路を利用して患者搬送を行っている。緊急走行を行う往路は、通行料金が免除されるが、復路は通常料金が適用される。道南18市町で組織する南北海道市町村連絡協議会は、救急車の即応性向上を図るため、料金制度の見直しが必要との認識で一致。国や道などに提言に向けて、具体的な検討を始める方針で一致した。

 21日に厚沢部町で開かれた同協議会。口火を切ったのは外崎秀人今金町長だ。救急車が患者搬送のために緊急走行する場合、通行料金は無料になる。ところが、医療機関に患者を収容して帰路につく際は、緊急走行の要件には該当せず、通常料金を支払わなければならない。患者を乗せずに緊急走行すれば「道路交通取締法違反に問われる」(関係者)。札幌や函館への転院搬送が増加傾向にある中、財政難に苦しむ自治体は、予算節減のため一般道を利用せざるを得ない状況にある。11月26日には道央道の落部—森間が開通。搬送時間短縮のため、救急車の利用頻度が高まることも見込まれる。

 救急車の不在が長引く場合、隣接する市や町に応援を求めなければならないが、救急車を1台しか配備していない自治体も多く「車両のやり繰りが困難になるケースもある」(消防関係者)。重篤な患者を搬送する場合、医師や看護師が同乗することも多く、地元の医療機関の診療体制に与える影響も大きい。外崎今金町長は「救急体制を継続するには1分でも早く医師や救急車を戻す必要がある」と訴える。

 過疎地域を中心とした深刻な医師不足で、救急医療を担うはずの2次医療圏だけでは、対応が困難になっている地域が多く、3次医療圏の大都市にある医療機関に患者を搬送せざるを得ない背景もある。こうした現状から、道南圏でもドクターヘリ導入を求める声も根強い。しかし、医師確保や予算上の制約から、慎重姿勢を示す自治体もある。桧山町村会長の寺島光一郎乙部町長は「救急車の確保は切実な問題。料金面での改善が必要」として、制度の見直しを国や道に提言するため、渡島、桧山両町村会などで早急に対応を詰める考えを示した。(松浦 純)



◎家庭料理に戸井コンブ!

 函館市戸井地区でコンブ漁に取り組む主婦が、浜仕事の合間を縫って特産PRに励んでいる。料理コンテスト応募や収穫祭イベントへの出店と積極的な活動を展開し「少しでも戸井の特産の良さを知ってもらいたくて」とメンバーの笑顔が絶えない。

 春は間引き、夏は水揚げ、秋は種付けと養殖や天然コンブ漁で年中忙しい9人が、交流と憩いの場をと団結。「戸井っ子倶楽部」を愛称に、この秋開催の「生産者がつくる愛食料理コンテスト」(道など主催)書類審査通過に向けて、会合を重ねている。

 代表の中村きせ子さんは「生産者が一番おいしい料理方法を知っている。家の仕事はいつも忙しくて大変だけど、こうやってみんなで集まって何かを頑張ることが日々の活力になる」と紹介。22日夜には、コンブを使った天ぷらやつくだ煮、ナムルに漬物など創作料理を持ち寄って味見を楽しんだ。

 29日午前9時から函館市白石公園パークゴルフ場向かいの駐車場で開かれる「いもっこ市感謝収穫祭」(鶴野町会主催)では、試食をすすめながらコンブ(70〜100g)を200円で販売する予定だ。

 中村さんらは「最高級のコンブを丁寧に袋に包んで売りたい。多くのお客さんと情報交換を楽しみ、料理の幅を広げていきたい」と意気込んでいる。(田中陽介)


◎魚介類輸出3年ぶりゼロ

 函館税関が24日に公表した9月の函館港貿易速報によると、輸出は船舶や鉄鋼のくずなどが増加し、前年同月比13・8%増の34億1900万円と2カ月連続で増加した。このうち魚介類・同調整品が3年ぶりに全く扱いのない全減となり、同税関は「東日本大震災の風評被害が影響した可能性がある」とした。輸入は魚介類・同調整品や動物性油脂が増え、同74・3%増の13億3100万円と5カ月連続で増えた。

 輸出で魚介類・同調整品が全減となったのは2008年9月以来3年ぶり。ここ5年の実績は月により増減はあるもののほぼ数千万円程度の扱いがあり、多い時は1億円を超えていた。震災後の取扱高は4月は1億200万円だったが、5月は大きく減少し400万円に。これ以降6月は1500万円、7月は1600万円、8月は500万円と比較的低水準が続いていた。

 例年9月はサケやタラなどの漁期に当たり、前年同月は韓国向け冷凍タラや中国向け冷凍カニなどで、800万円の扱いがあった。全減となった要因について同税関は「道内全体でもサケの輸出は減少傾向にあり、不漁や円高の影響で値が折り合わないなどの可能性もある」とも推測する。

 このほかの輸出は、主力の船舶が英国向け新造船1隻で前年同月比8・3%増の29億7200万円に。鉄鋼のくずは同90・2%増の2億5300万円。非金属鉱物製品はセメントが好調で同53・5%増の1億5900万円、一般機械は木材加工用などで全増の3000万円だった。

 輸入は、動物性油脂が全増で1億2100万円。魚介類・同調整品は前年同月比2・5倍の6億9100万円で、このうちイカが珍味加工用などで同4・9倍、6800万円を占めた。石炭は同54・4%増の3億500万円だった。

 同税関管内(道内と青森、秋田、岩手の東北3県)は、輸出が同6・4%減の487億9300万円と3カ月ぶりのマイナス。輸入は同25・0%増の1495億6700万円と21カ月連続で増加した。(小泉まや)


◎映画「海炭市叙景」 家庭でも楽しんで

 函館出身の作家、佐藤泰志の遺作を函館市民が映画化した「海炭市叙景」のDVDとブルーレイが11月3日に発売される。発刊はブロードウェイで、映画「海炭市叙景」制作実行委員会の菅原和博委員長は「DVD化は多くの人が待ち望んでいたと思う。市民の手で作られた映画ををぜひ多くの人に手にしてもらいたい」と期待を込める。

 「海炭市叙景」は、函館をモデルにした架空都市で生きる人々を描いた作品。昨年11月の函館を皮切りに、これまで全国70ヵ所で公開。オランダやドイツなど約10ヵ国でも上映されてきた。

 また、フィリピンの「第12回シネマニラ国際映画祭」でグランプリと最優秀俳優賞、フランスの「第13回ドービルアジアン映画祭」で審査員特別賞を受賞するなど、海外でも高い評価を受けている。「家族や夫婦などの物語が共通して受け入られ、映画総体として『美しい映画』と評価を受けた」と菅原委員長。

 発売されるのはDVDとブルーレイの通常版、2枚組のボックスセット。通常版はDVD3800円、ブルーレイ4800円。ボックス版は、メイキング映像などが撮影された特典映像ディスクと特典オリジナルポストカード10枚付き。DVDボックスは5800円、ブルーレイボックスは6800円。市内のDVD取扱店ほか、シネマアイリスでも販売される。

 また、同日は、発売を記念したシンポジウム「佐藤泰志の復活と映画『海炭市叙景』を語る」が、サン・リフレ函館(大森町2)で開かれる。佐藤泰志の小説復活に尽力をそそいだ編集者3人を東京から講師に迎え、魅力や作品などについて語る。開演は午後1半時。前売り券1000円(当日は1200円)。問い合わせはTEL0138・31・6761(シネマアイリス)(平尾美陽子)