2011年10月27日 (木) 掲載

◎タイ洪水 道南も影響じわり 一部の車 出荷不透明

 タイの洪水被害の影響が、道南にも徐々に表れ始めている。旅行業者は早くから関連商品の取り扱いを中止し、メガネ店では特定メーカーのレンズを販売できない状況に。自動車メーカー各社はほぼ通常通りの営業を続けているものの、一部の受注生産品が出荷できるか不透明。現地の大潮を控えて各関係者は、事態の収束には「少なくとも11月いっぱいはかかる」との見方をする。

 被害に対し即座に反応したのは旅行業者だ。トップツアー函館支店(函館市若松町)は10月上旬、タイ向け旅行商品の販売を当面見合わせることに。いくつかあった予約もキャンセル手数料なしで受け付けた。現在のところ31日までの販売中止を決めているが、同支店は「現地の空港が閉鎖されるなど事態は悪化の方向にある。11月いっぱいは続く」とみており、いつ再開できるかは不透明だ。

 同支店によると、日本からタイへの渡航需要が高まるのはゴルフで訪れる人が多い1〜2月。「年明けにはさすがに収束しているのではないか。水さえ引けばなんとかなるのだが」とする。

 工場の浸水被害が報告される自動車製造関連では、日産自動車の主力車のひとつ「マーチ」のタイにのみあるラインが12日にストップした。函館日産自動車(同市石川町)は「組み立て工場に被害はないが部品供給がストップしている」と説明。道南地方への商品供給については「10月出荷分は影響ないが、11月以降は生産が滞るかもしれない」と話す。

 在庫があるため同社ではマーチも通常通り販売している。ただ「特殊な色やグレードなど受注を受けて生産する分については待ってもらうこともある」という。

 このほか、工場が被災した光学機器メーカーのHOYAの一部メガネレンズは受注を停止。メガネ店の弐萬圓堂五稜郭駅前店(同市亀田本町)は、「納期がかなりかかるので他のメーカーのレンズを勧めています」。

 外食関連では、回転すし店を展開するやすけフーズ(同市日乃出町)が「イカやエビなどタイで加工している食材がかなりある」。ただ年内の材料は確保済みで、万一年明け以降にこの状況が続く場合にも「他ルートを通じて確保できる」と悲観しない。「焦って買い占めてもコストが上がるだけ」と様子を見守る考えだ。(小泉まや)



◎市営函館競輪 本年度の売上額3割減148億円

 市営函館競輪は、25日で今シーズンの自場開催を終了した。本年度の売上額(速報値)は開催58日間で148億306万円で、前年度比29・7%、62億5421万円の減少となった。長引く不況に加え、本年度は東日本大震災や特別競輪の減少が影響し、目標とする年度当初予算の155億円からも約7億円(4・5%)下回った。

 前年度は開場60周年に当たり、例年開いている函館記念(GV)のほか、全日本プロ選手権大会記念(全プロ)、サマーナイトフェスティバルの記念競輪が開かれたが、本年度は函館記念のみだった。同レースでは65億6282万円を売り上げたが、前年度比で2・2%減少。当初予算比で6・2%下回った。

 一方、普通競輪(FT・FU)は82億4023万円で、当初予算からは3・1%下回ったが、前年度からは5・8%増加した。市競輪事業部は「他の競輪場との競合開催が少なく、前年度よりも場外発売が延べ170日増加したことが大きかった」とする。全プロとサマーナイトを除いた売上額は、前年度比で約3億6000万円上回った。

 区分別では、売り上げの約6割を占める臨時場外が89億5190万円で、当初予算比で3・6%、前年度比で36・6%、それぞれ減少した。本場とサテライト松風(松風町)は4億8397万円で、当初予算比、前年度比ともに約27%減った。不況やレジャーの多様化、高齢化によるファン減少を裏付ける結果となり、「震災の影響で4月のナイター開催を自粛し、日中開催に切り替えたことで他場とバッティングした」(同部)ことも、減少の一因という。

 市の競輪事業は昨年度決算で5億8000万円の累積赤字を抱えており、同部は「単年度黒字は厳しい状況だが、他場の場外発売でカバーしていきたい」とする。来年度は6月14〜17日に高松宮記念杯(GT)の函館初開催が決まっており、ビッグレースによる売り上げ増加に期待している。(千葉卓陽)



◎「津波避難ビル」追加確保へ 市防災会議幹事会

 函館市の災害時の対応や防災対策を担当者レベルで協議する「第2回市防災会議幹事会」が26日、市役所で開かれた。東日本大震災の対応で浮かび上がった課題を踏まえ、道が年度内にまとめる津波浸水想定の見直しに伴い市の津波避難計画を来年度に策定し、それまでの間、避難場所を新たに確保するなど独自の対応に乗り出すことを決めた。

 幹事会は市の地域防災計画を作成する市防災会議の下部組織で、8月下旬に開かれた初会合に続き2回目。今回は地元の関係機関から約40人が参加し、市が震災対応への検証で浮き彫りとなった避難体制などの課題70項目をまとめ、見直しが必要な対応方針案を報告した。

 最重要課題の津波対策では、市は正式な津波避難計画策定までの暫定措置として、緊急的に一時避難できる民間ホテルなどの「津波避難ビル」を現在の4カ所から追加することや、旧4町村地区などで避難所まで海沿いを長距離移動する人を対象に「一時避難適地」を確保することを盛り込んだ。

 また、大津波発生時に標高の低い津波避難所については、少なくとも標高10b以上を確保できるよう建物内の避難スペースを「3階以上」にすることも決めたほか、市の来年度予算に旧4町村地域を除く市内の海沿いの地区に防災無線を新たに整備する費用を盛り込む考えも示された。

 このほか、津波対応では避難区域から避難所までが遠い市民向けに民間施設を活用することや、非常食などの災害備蓄品について、常時配備されている避難所を分散化することなどが盛り込まれた。市の見直し案は承認され、12月の幹事会で素案が示され、来年3月に正式に策定する予定。(森健太郎)


◎テレビ不法投棄 函館でも急増

 7月24日の地上デジタル(地デジ)放送への完全移行後、函館市内でもテレビの不法投棄が急増している。7〜9月の月別台数は例年の倍以上と顕著で、市環境部は「民家の少ない場所に多く捨てられており、テレビだけ異常なほど増えている。すでに例年の年間回収台数に迫っており、さらに警戒を強めたい」としている。

 同部によると、パトロールやボランティアなどによって本年度回収されたテレビは9月末現在で、昨年同期比90台増の403台。すべてアナログで、雪解けにより発見されやすい4〜6月までは例年とほぼ同じペースだったが、7月24日の地デジ移行後から急増した。

 前年同月比では、7月は33台増の53台、8月が47台増の61台、9月は28台増の51台。同部によると、持ち運びしやすい14インチ前後の小型テレビの投棄が目立つという。

 26日には、道南の清掃業者など39社でつくる道産業廃棄物協会道南支部(時田茂支部長)が同部と共催し、約20人体制で市内郊外の山林地帯などをパトロールした。

 その結果、山林の道路沿いで小型のアナログテレビ2台と、約20キロの廃棄物を発見。時田支部長は「全体的なごみの量は目立たなかったが、懸念していたテレビはやはり見つかった」とし、参加者に「業者も不法投棄を発見したら市に報告してほしい」と促した。

 廃棄物処理法では不法投棄をした場合、5年以下の懲役か1000万円以下の罰金が課せられる。同部は不法投棄発見時の連絡を求めるとともに「処分方法などが分からない人は市に連絡を」と呼び掛けている。問い合わせは同部清掃事業課TEL0138・51・0747。(後藤 真)