2011年10月5日 (水) 掲載

◎海外の縄文研究第一人者・ケイナー博士が道南視察

 【森】海外における縄文時代研究の第一人者で、イギリス・セインズベリー日本芸術研究所日本文化財・考古学研究センター長のサイモン・ケイナー博士(49)らが4日、森町や函館市を訪れた。森町では縄文時代後期前半(約4000年前)の国指定史跡「鷲ノ木遺跡」のストーンサークル(環状列石)を見学。ケイナー博士は「保存のためにトンネルを通した例は聞いたことがなく、この遺跡を紹介すれば、世界中の人が驚くだろう。日本の遺跡整備の技術は誇りにしてもいい」と絶賛した。

 ケイナー博士は、2009年に著保内野(ちょぼないの)遺跡出土の国宝「中空土偶」など、日本を代表する土偶を一堂に集めた「土偶展」を大英博物館で開催するなど、縄文文化を世界に発信する研究を続けている。秋田県鹿角市で開かれた北海道・北東北の縄文遺跡群世界遺産登録推進のフォーラムに参加。鷲ノ木遺跡の発掘調査にもかかわりが深い小林達雄・国学院大学名誉教授(73)や秋田、青森県の関係者らと来道した。

 一行は、1日に開館した函館市縄文文化交流センターを見学後、森町入りし、佐藤克男町長と懇談。町内では鷲ノ木遺跡や埋蔵文化財発掘調査事務所を訪れた。

 鷲ノ木遺跡で小林名誉教授は、世界遺産登録に向け、北東北、北海道のつながりについて、「津軽海峡はいわば縄文時代の高速道路で、山坂を越えるよりもなぎの時は行き来が盛んで、津軽海峡文化圏を形成していた。鷲ノ木遺跡はその中でも縄文人のよりどころであり、祭礼の場。15の遺跡群の中でも看板的な意味合いが強い遺跡だ」と話していた。

 また、ケイナー博士は「道南地方は縄文文化を知る上で特別なものがたくさんあり、興味深い。(世界遺産登録を目指す)北東北とのつながりをひとつの文化圏としてとらえる概念は大変面白い」と話していた。町教委職員の高橋毅さんに遺跡の発掘時の状況や出土した石の産地など、熱心に質問していた。(今井正一)



◎五稜郭病院が売店リニューアル、医療・介護用品の相談員常勤

 函館五稜郭病院(函館市五稜郭町38、老松寛院長)はこのほど、地下1階の売店スペースをリニューアルし、医療現場で使う衛生資材や介護用品の専門相談員「メディカルコンシェルジュ」を配置した。

 同病院は、病院・施設のレストラン直営を手掛ける介護用品製造業「光洋」(横浜市)に売店運営を委託。7月、旧売店のレイアウトや商品の陳列方法などを見直し、店内も明るい雰囲気に一新した。

 特に医療材料、介護用品、衛生資材を充実させ、売り場にはリンパ浮腫用の弾性ストッキングや経口用流動食、乾燥肌対策のローション、クリーム、リハビリシューズ、手術用の医療材料などを取りそろえている。リニューアルに合わせて専門知識を持った同社の中田恵理子看護師を常駐の相談員として配置した。

 中田看護師は同病院の看護師や医師などと連携しながら、医療器具や衛生資材などの製品を患者らにアドバイスするほか、看護知識を生かして医療や介護全般にかかわる相談に応じ、専門職とのつなぎ役も務める。

 入院、通院の不安や介護の悩みなどにも耳を傾け、中田看護師は「通院していない地域住民にも利用してもらいたい。何か気になることがあれば気軽に声を掛けて」と話している。(鈴木 潤)



◎新米「ふっくりんこ」店頭に

 道南産米のエース「ふっくりんこ」の新米が4日、道南圏のスーパーなどで一斉に発売された。本格デビューから4年目を迎え、道南生まれのブランド米として知名度が定着。今年産も食味は上々で、多くの客が秋の味覚を買い求めていた。

 ふっくりんこは、JA新はこだて、JA函館市亀田、JA今金町管内の生産者でつくる「函館育ちふっくりんこ蔵部(くらぶ)」(木本勉部会長)が、食味の決め手となるタンパク値(基準6.8%以下)を設定。厳しい品質基準をクリアした自信作が今年も店頭に並んだ。

 道農政事務所が先に発表した今年産水稲の作柄概況(9月15日現在)によると、作況指数は渡島が105、桧山が104の「やや良」となり、収量も平年以上が期待できるという。

 ホクレンショップ函館昭和店(函館市昭和1、渡辺洋介店長)では、コメ売り場に「ふっくりんこ」専用コーナーが登場。通常の5キロ、10キロ入りのほか、無洗米の5キロ、2キロ入りもそろう。同店では全国の15品目を取りそろえ、そのうち客の購入割合は20%がふっくりんこだという。渡辺店長は「今年は東日本大震災の影響で府県産米が安定入荷せず、道産米の引き合いが強い。ふっくりんこをはじめ、ゆめぴりか、ななつぼし、ほしのゆめなど道産米をたくさん食べてほしい」と話す。同店では6日まで、ふっくりんこ5キロを1980円で特売している。

 ホクレン函館支所パールライス販売課の中村綾太さんは「道内産の新米価格は昨年より1割ほど高くなっているが、ふっくりんこは地元で愛されてきたコメなので、昨年と同じ価格で提供したい」と話していた。(山崎大和)


◎道新幹線工事、市民ら見学

 道新幹線の工事現場を見学し鉄道アクセスを体験する「JRで行く北海道新幹線工事現場見学会」が4日に開催された。JR函館駅から新函館駅(仮称)となる渡島大野駅間を列車で移動し、七飯の総合車両基地など現場3カ所を見学。新幹線工事の現場を体感した。

 道新幹線新函館開業対策推進機構が主催し、関係者を含めて市民ら約40人が参加した。函館駅からは貸し切りの臨時列車で出発。通常、渡島大野駅までは各駅停車だが、直通で25分ほどで到着した。

 現場は七飯町に建設中の函館総合車両基地、飯田高架橋、大野新道上を横切る大野新道橋りょうの3カ所を見学。鉄道・運輸機構北斗鉄道建設所の山崎貫之所長は、工事について「非常に順調に進んでいる」と説明。「駅舎の設計は詰めている段階で来春には発注され、秋には駅の姿が見える」とした。各現場では建設途中の高架橋に上るなどし、参加者は新幹線が通る部分をその目で確かめていた。

 函館市北浜町の主婦、佐藤トシ子さん(63)は「新幹線工事の様子が気になったので参加したが、普段見ることのできない現場だったので感心した」と話し、函館駅までの輸送手段については「バスの方が色々なところで乗降できるので使い勝手が良いのではないか」としていた。(小泉まや)


◎赤光社美術展始まる

 第88回赤光社公募美術展(赤光社美術協会など主催)が4日、棒二森屋アネックス7階催事場(若松町17)で始まった。一般公募の入賞・入選作と会員、会友などで、油彩、水彩、陶芸など計114点が展示されている。

 赤光社は1921(大正10)年に創設された道内初の組織的な美術団体。同展は道内で最も長い伝統を誇る公募美術展。今年の公募は38人が66点を出品。最高賞の赤光社美術協会賞には七飯町の吉田正造さんの水彩画「ガルトネルの足跡」が選ばれた。同町にプロシア(現在のドイツ)の貿易商人ガルトネルが植樹したブナ林を力強く描いている。同会によると、水彩画の最高賞受賞は珍しいという。

 同展の入場料は一般・大学生500円、高校生以下無料。(山崎純一) 最高賞以外の入賞者、会友推挙社は次の通り。(敬称略)

 ▽北海道新聞社賞=関口幸子▽函館市長賞=滝花保和▽奨励賞=岩山きよ子、白岩大佑、藤沢建二▽新会員=該当なし▽会友優作=岡本空▽会友推挙=岩山きよ子、関口幸子