2011年10月6日 (木) 掲載

◎木古内出身の西山さん 寒中みそぎがきっかけで神職に

 16歳から4年間、木古内町寒中みそぎの荒行を経験したのを機に、神職を志した同町札苅出身の西山智史さん(26)が、今春から北海道神宮で研さんを積んでいる。3、4の両日には、函館市椴法華地区で開かれたみそぎ研修に臨み、「古里の道南で鍛錬できる幸せを感じた。木古内寒中みそぎで体験した感覚を思い出し、やる気がみなぎってきた」と意気込んでいる。

 西山さんは木古内高校卒業後、国学院大学で神道を学び、東京の神社で4年間過ごし、今年4月に北海道神宮の権禰宜(ごんねぎ)となった。実家が神社などではなく、一般家庭で育ち「木古内の寒中みそぎで出会った神主さんたちに憧れてこの道を選んだ」という。

 木古内の佐女川(さめがわ)神社には、1831(天保2年)から伝わる神事「みそぎ祭(さい)」がある。毎年1月に若者4人が行修者となり、境内で水ごりを重ねて、極寒の海でご神体を清める。古里の豊漁豊作、安全・繁栄を祈願するものだ。

 西山さんは幼少からみそぎに触れ、実際に荒行を体験したことを誇りに感じている。「真冬の水ごりはつらくてつらくて言葉にならないが、だからこそ得られるものは失いにくい。木古内の素晴らしさが詰まっていると思う」と振り返る。

 椴法華での研修では、人一倍大きな声で祝詞を奏上して海中みそぎに臨んだ。社務所での講義でも背筋を伸ばした正座を崩すことなく、講師である北海道神宮総務部長の角田秀昭さんの指導、言葉に聞き入った。

 研修最終日早朝、夜明け直後の海で心身を清めた。冷え込みで木古内寒中みそぎを思い出したという西山さんは「初心を忘れずに北海道神宮でしっかり頑張っていきたい。木古内町の寒中みそぎがいつまでも続くことを願ってもいる」ときっぱり。

 みそぎ研修を見守った椴法華八幡神社の役員、鈴木幹男さん(76)と佐々木義雄さん(70)は「神主さんたちが真剣にみそぎをする姿が地域を盛り上げてくれる気がしてならない」。角田総務部長(55)は「彼は若いながらも、あれだけのみそぎができるのは立派。己のけがれをはらうだけでなく、地域の発展や安全を思う気持ちも強い。期待の星ですよ」と評価している。(田中陽介)



◎漁獲額9・5%減177億円 昨年の函館市 主力イカ不振

 函館市は、昨年1年間の水産物の漁獲高をまとめた。函館、戸井、恵山、椴法華、南茅部各地区の合算数量は7万1183トンで前年並みだったが、金額は前年比9・5%減の177億6436万円で、2年連続の200億円割れとなった。主力のイカは数量が減って魚価が跳ね上がったが、スケトウダラやコンブの価格が低迷し、減少につながった。

 イカは数量が2万2988トン(同10・7%減)と、2007年(4万1375トン)の約半数にまで落ち込んだが、金額は63億3638万円(同18・1%増)に回復。地区別数量では函館が1万4155トンと前年から横ばいで推移、戸井、恵山で前年を上回ったが、椴法華と南茅部は統計が残る2001年以降最少だった。金額は5地区いずれも前年を上回っている。

 道南でのイカ漁は当初、日本海側を北上した群、その後は太平洋側を北上した群、さらに道東から南下した群へと移る。道立函館水産試験場によると、昨年前半(6〜8月)は水温が低く、北上が遅れたことに加え、その後急激に水温が上昇。「晴天続きで、海面と下部との温度差が激しかった」とする。10月以降の後半も、太平洋沿岸を回遊するイカの南下が遅れ、津軽暖流の流れが東北寄りとなったことが原因とみている。

 このほかの魚類ではサケが数量で同64・3%減の1782トン、金額で同34・4%減の7億2591万円と不振。市水産課は「当初の予報は良かったが、海水温が高く推移した影響をまともに受けた可能性が大きい」とみている。スケトウダラは1万2379トンと2年連続で1万トンを超え、1月下旬には国が定める漁獲可能量(TAC)に達した。金額は7億2591万円で前年の65%にとどまり、解禁直後から豊漁が続いたことで魚価が下がったとみられる。

 一方、コンブは市全体で5094トン、60億5400万円でともに前年を下回っている。総量の約7割を占める南茅部地区では3479トン(同2・9%減)、39億200万円(同22・7%減)だったが、南かやべ漁協は「例年天然コンブの取れ高に左右されるが、昨年はまずまずだった」と話す。今年は9月末までに漁を終えており、同漁協は「繁茂状態は悪くなく、天然ものは昨年を上回るのでは」と期待している。(千葉卓陽)



◎オンパク29日に開幕

 湯の川温泉の魅力を満喫できる「第7回はこだて湯の川温泉博覧会・オンパク」の日程が決まり、同オンパク実行委は5日に内容を発表した。10月29日に開幕し、期間は昨年と同じ9日間。料理教室や女将シリーズ、健康と美の体験など多彩な39プログラムを用意した。16日午前9時から予約を受け付ける。

 地元の人に湯の川温泉に親しんでもらおうと2006年にスタートした企画。函館湯の川温泉旅館協同組合に加盟する22軒が参加する。プログラム数は昨年と同じだが、うち15が初開催となる。ことしは東日本大震災の影響で、春から夏にかけては同温泉街の客が激減。一時は開催も危ぶまれたが、事業費約600万円のうち300万円を函館市が補助し、実施にこぎつけた。

 新プログラムのうち初日のオープニングは、温泉入浴や軽食、トーク・ライブなど気軽にオンパクを楽しめる内容とした。料理教室ではサンマや秋の蒸し物、白みそなどが登場し、毎回人気の「女将シリーズ」では「湯の川の歴史を学ぶ昼食会」を企画。音楽と癒やしを提供するプログラムでは、「沖縄民謡の読み語りライブ」や「聴いて歌って踊れる演奏会inホテル湯の川」などを用意した。

 また、各ホテルが用意した夕食のある宿泊プランでは、漁獲量が少ないことから“幻の魚”とされるカレイ・マツカワを提供する。実行委の金道太朗委員長は「地元客に喜んでほしいとの気持ちで毎年開催している。ことしは震災後の大変な状況のなかで、やる気を起こした」と話し、多数の参加を呼び掛けている。

 オンパクの詳細な内容を掲載したガイドブックはオンパク事務局(同協同組合内)TEL0138・57・8988のほか、湯の川温泉の各ホテル・旅館、函館市内の主要公共施設などで配布中。(小泉まや)


◎丸井今井で「大イタリア展」

 丸井今井函館店で5日、イタリアの食材や工芸品などを集めた「第5回大イタリア展」が始まった。41店が出店し、イタリアの多彩な食や文化を伝える。初日、会場には早くも多くの市民が訪れ、ピザやワインなど目当ての商品を購入していた。10日まで。

 41店中、イタリアの焼き菓子「トルタ」を販売する「クオモキッチン」、ミラノ風カツレツなどを扱う「リストランテ・ラ・ポルタ」など4店が初出店となる。

 このうちイタリアの食品を輸入・販売するラ・フラスケッタ(秋田県大仙市)は、ヤギ乳のチーズを販売。「洞窟で寝かせたぺコリーノチーズ」について、社長のサルストゥリ・マルチェッロさんは「ローズマリーなどハーブの香りが広がり、フルボディーの赤ワインにぴったりです」と勧めていた。

 また同店ではこの日から、「第4回森町フェア・食KING市」も同時にスタート。8団体が出店し、カボチャコロッケやイカ飯、菓子など森町の特産品を販売している。11日まで。(小泉まや)