2011年10月8日 (土) 掲載

◎スケトウダラ初水揚げ

 道南太平洋海域(渡島、胆振、日高)のスケトウダラ刺し網漁の操業が始まり、7日早朝、函館市南茅部地区の尾札部漁港に初水揚げされた。あいにくの雨にもかかわらず、漁港に帰った漁船から網を上げ、家族総出でスケトウダラのみをえり分け、浜は活気づいた。初日の漁獲はまずまずで、漁師も安堵(あんど)の表情。「あとは良い値がついてほしい」と期待を込める。

 漁は資源確保のため、国が定める漁獲可能量(TAC、渡島、胆振、日高管内で4万7400トン)下で操業。来遊が早い南かやべ、えさん両漁協が先駆けて6日に解禁、今月中の水揚げ量を計2500トンと設定。1日の解禁日を6日に延期する自主規制措置も取った。また、渡島、胆振管内は魚価が高騰する来年1月以降に出漁するため、1万トンの留保枠を設けた。

 初日は同漁港から12隻が出漁。7日午前3時半ごろから船が戻り始め、水揚げ作業が順次行われた。鮮度を保つため、網から魚を取り外す作業は気温が低い早朝に一気に終わらせる。南かやべ漁協によると、管内の初水揚げは昨年の約35%の約150トン、浜値は1キロ49〜63円で、昨年より20円前後高かった。

 尾札部町の佐藤明彦さん(48)は「水揚げ量はまずまず。型もそろっている。あとは価格の行方が気になる」。ある漁業者(60)は「出だしはいいが、TACの心配は尽きない」と複雑な表情。

 南かやべ漁協の鎌田光夫組合長は「初日としては全般的にいいスタート。限られた数量の中で、価格を見ながら漁を調整していきたい」と話していた。

 道南太平洋のスケトウダラ漁は例年、年末年始に最盛期を迎える。(山崎大和)



◎函館の特産品、香港と台湾で販売へ

 香港と台湾のスーパーマーケットで、函館の特産品を一堂に集めた「函館フェア」が今月、相次いで開かれることになった。香港では初めて、台湾は4回目となり、地元企業が出展してスイーツや海産物などを販売。安全・安心な「函館ブランド」をアピールするとともに現地の消費動向を探る。

 市経済部によると、香港でのフェアは13日から26日まで開催。食品スーパーなどを展開するイオン傘下の現地法人「イオンストアーズ」の11店舗で開く北海道フェアの中に、函館産品のコーナーを組み込む形で展開する。同社は今年7月に購買担当マネジャーらが来函して地元製造業者との商談会を開いており、スイーツや乳製品、水産加工品など市内・近郊の8社から商品を購入して販売するという。

 台湾では、中部に位置する彰化県内で店舗を展開する日本食スーパー「裕毛屋」が主催し、14日から23日まで開く。市内や近郊の中小企業で組織する函館海外市場販促振興会に加盟する4社の商品を販売する。過去3回は各社の社員が現地に赴いて実演や試食を行ったが、今回は商品販売のみとなる。

 市の貿易振興策は地元中小企業の販路拡大を目的に、これまで台湾を中心として展開してきたが、本年度補正予算では香港でのフェア開催に対する関係経費400万円を計上。また8月に姉妹都市となった韓国・高陽(コヤン)市での国際物産展にも4社が出展しており、北海道となじみのある東アジア、東南アジア諸国に売り込みを図っていく考え。同部は「香港で足がかりを作り、将来的には中国での販路拡大を進めていきたい」と話している。(千葉卓陽)



◎マタニティーウエア貸し出し、はばたきの会が試験的に実施へ

 道南の女性支援団体「はばたきの会」(荒木明美代表)は独自ブランドを立ち上げ、妊婦や子育て中の主婦を支援する事業に着手する。11月からマタニティーウエアの貸し出しなどを行うショップを2〜3週間試験的に開店し、利用状況や改善点を検証したうえで本格的に実施する考え。

 同会は、マーケティング企業の勤務経験のある荒木代表が発起人となり昨年11月に設立。会員は現在約20人で、「仕事を創(つく)る」「スキルを身につける」「役立つ情報を入手する」の3つの柱を掲げ活動する。

 今回の試験ショップは「仕事を創る」の一環として、出産時期にしか着ることのないマタニティーウエアに着目し、有効活用するビジネスを起業。家庭で眠っている妊婦用の衣服などを持ち主から無償で提供してもらい、それらを新たに妊婦に有料で貸し出す。

 普段着だけでなく、冠婚葬祭の礼服やビジネススーツ、作業着など幅広く受け付け、ウエアには持ち主のメッセージ、持ち主の顔写真も添えて展示、貸し出しをする考え。このほか、幼児用のおもちゃも受け付け、妊婦、子育て中の女性が気軽に集えるサロンコーナーも設ける。開店場所は現在調整中。

 起業に合わせてオリジナルブランド「GUU(グー)」を考案。「赤ちゃんは一握りの幸せを自ら握って生まれてくる」という言い伝えを表し、赤ちゃんの握った手をモチーフにしたデザインにした。

 これからNPO法人化を目指し、「GUU」ブランドのオリジナル商品の開発や販売も手掛ける方針。

 荒木代表は「GUUが女性を応援するブランドとして身近になるよう広めていきたい」と話す。

 同会では、マタニティーウエアの提供者を呼び掛けていて、16日と19日に函館市地域交流まちづくりセンター(末広町4)に受け付けコーナーを設ける。両日とも午前11時から午後3時まで。両日とも都合の悪い人、問い合わせは荒木代表TEL090・9307・4343。(鈴木 潤)


◎高龍寺で宝物展始まる

 函館市船見町の曹洞宗高龍寺(永井正人住職)で7日、所蔵する貴重な書画約350点の一部を公開する「第6回高龍寺宝物展」(実行委主催)が始まった。江戸時代に描かれたびょうぶや、永平寺(福井)の禅師がしたためた書など27点を見ることができる。9日まで。

 今回は会場の中央に、江戸時代に描かれた「花鳥図屏風」(江邨春翠筆)、「水墨貼交屏風」(狩野周信筆)が置かれている。「花鳥図屏風」は大木に止まる鳥や咲く花、川の流れが華麗で、それぞれ墨と赤、黄、緑、白などの天然顔料を使用している。「水墨貼交屏風」は勢いと柔らかさが感じられる。

 このほか、道有形文化財の蛎崎波響筆「釈迦涅槃図(しゃかねはんず)」(複製)、永平寺開山となった道元禅師の国宝「普勧坐禅儀(ふかんざぜんぎ)」(複製)、本道開道100年時に永平寺六十六世の日置黙仙禅師がしたためた七言絶句や、観音図、十三仏図、釈迦三尊図などが並び、来場者はじっくりと鑑賞している。

 入場無料。午前10時〜午後5時。このほか高龍寺では8、9の両日、「金毘羅尊天例大祭」が開かれる。問い合わせは同寺TEL0138・23・0631。(山崎純一)


◎森づくりで防災対策、宮脇・横浜国大名誉教授が講演

 【上ノ国】世界的な植物生態学者の宮脇昭・横浜国立大名誉教授が7日、上ノ国町で講演し、東日本大震災を教訓に、大津波や火災などの災害から住民の生命や財産を守る防壁として、地域の環境に根差した命の森づくり≠全国で進めるよう呼び掛けた。

 総合福祉センターで開かれた講演会には、上ノ国中の生徒を中心に約200人が参加した。被災地で森林の被害を調査した宮脇さんは「地域固有の樹木は大津波にも耐え抜いた。阪神淡路大震災でも火災の拡大を防いだ」と強調。その上で、被災地に残された大量のがれきで海岸周辺に土堤を築き、固有種を中心にした植樹を進めることで、大津波から市街地を守る防潮堤として活用するよう力説した。

 宮脇さんは「根が浅い針葉樹では効果が薄い。地域に根差した広葉樹を植樹すれば大津波の衝撃を緩和できる。住民や家屋が引き波でさらわれる危険性も減る。沿岸部に植樹を行うことで、海には森がはぐくんだ豊富な栄養分を供給できる」とした。

 同町は、宮脇さんの指導により、日本海沿岸の森林復活を目指して、町内で採集したドングリから育てた苗木の植樹を進めている。

 8日午前10時からは、生徒らも参加する植樹祭が同中周辺で行われる。宮脇さんの指導でカシワなどの苗木約5000本を植える。(松浦 純)