2011年11月10日 (木) 掲載

◎イチイの木 冬の装い…五稜郭公園で雪つり

 函館市の五稜郭公園で9日、初冬の風物詩「雪つり」の作業が始まった。観光客らが見守る中、同公園管理事務所の職員や市シルバー人材センターの作業員らがイチイなどに縄を掛けていった。

 雪つりは、木に積もった雪の重みで枝が折れないようにする作業。それぞれの木に合わせ、長さ3〜4メートルの竹を支柱に据え、頂点から円すい状に張った縄で枝を持ちあげるようにしてつる。小さな木は支柱を立てず縄で枝をまとめていく。大きな木は業者が作業を担当し、園内で計約100本の木に行う。

 毎年、立冬が過ぎたころ作業を始める。例年は紅葉がほとんど終わっているが、今年は色づきが遅れ気味で、赤い葉の残るカエデ類の下での作業となった。11日ごろにはほとんど終了し、来年3月末ごろまで、冬の装いにする。(山崎純一)



◎乳がん、子宮頸がん検診の無料クーポン利用低調

 函館市が5月末に送付した女性特有の乳がん、子宮頸がん検診の無料クーポンの利用率が、ともに全体の1割程度と伸び悩んでいる。有効期限は来年2月末までで、市立函館保健所は「毎年2月ごろにクーポンを使うケースが集中する。確実に診察を受けられるよう、早めに受診してほしい」と呼び掛けている。

 乳がんは女性の20人に1人がかかるとされ、40代後半での発症が目立つ。子宮頸がんはウイルス感染が主な原因とされており、近年は20、30代での発症が多くなっている。

 クーポンの送付対象は市内在住で、乳がんが40〜60歳、子宮頸がんが20〜40歳のいずれも5歳刻みの年齢。本年度は乳がん1万442人、子宮頸がんは7771人に送った。

 同保健所健康増進課によると、利用率は9月末現在で乳がんが1047人で全体の10%、子宮頸がんも883人と全体の11・4%にとどまっている。

 ともに前年同期比とほぼ同じペースで、昨年度の最終利用率は子宮頸がん35%、乳がん29・4%まで持ち直した。ただ、検診した人は3人に1人程度と低いことから、同保健所は9月末現在でクーポンを利用していない人を対象に受診を呼び掛けるはがきを本年度から初めて送付した。

 一方、9月上旬に1万9528人に送付した肝炎ウイルス検診受診票の利用率も10月末現在で3・6%と低調。国の「肝炎対策強化推進事業」に基づき、本年度から初めて未受診者を対象に受診票を送付したが、伸び悩んでいる。

 肝炎ウイルスは血液を介して人から人へ感染し、肝硬変や肝がんに進行する恐れがある。受診票の有効期限は来年2月末まで。同保健所は「検診を受けた約700人のうち、12人がB型かC型のウイルスの陽性反応が出た。早期発見が大切なので、積極的に受診を」としている。

 問い合わせは同課TEL0138・32・1515。(後藤 真)



◎未払い金回収に不安の声…安愚楽牧場破産へ

 民事再生中の「安愚楽(あぐら)牧場」(栃木県)が破産手続きへ移行することが決まったことを受け、道南の関係者からは未払い預託料の支払いについて不安の声が相次いだ。来年度以降、同社からの預託牛の受け入れはなくなる見込みで、公共牧場収入への影響を心配する声も出ている。

 道によると、道内には直営牧場8カ所、預託農家136戸に約6万5400頭が飼育されていて、道南では渡島管内に預託先牧場が3カ所、個別に牛を預かっている農家が1カ所あり、直営農場はない。

 関係者によると、12月上旬までに東京地裁に再生債権届出書を提出。破産法に基づき来年2月ごろに手続きが完了、各債権者に配当される見込み。預託料の未納分は八雲町が約346万円、北斗市が約490万円、JA新はこだてが約38万円。破産手続きに移行しても債務の弁済を続けることに変わりはなく、関係機関の債権回収作業も変化はない。

 八雲町育成牧場(熱田)で210頭を預かっていた町は「全額支払ってほしいという町の方針に変わりはない。牧場では、地元の乳牛を中心に預託頭数が増える傾向にあり、安愚楽の分が減っても大きな影響はないのでは」(農林課)とする。同町内で個別に牛を預かっている農家については「農家の意向を聞き、町としても何らかのアドバイスをしたい」と同課。

 今年から北斗市営牧場(村山)で527頭を飼育していた市は「安愚楽がなくなるので、来年度以降の牧場での預託を検討する余地がなくなった。牧場の収入面から見て、安愚楽に匹敵する大口を探す必要がある」(農政課)という。

 南渡島地区家畜育成牧場(木古内町幸連)で43頭を預かっていた同JAは「幸いにして未納額は少ないが、一円でも多く回収できるよう頑張る」(酪農畜産課)としている。

 同社の民事再生手続きは「清算型」を選んだため、破産手続きに移行しても牛や施設を売却した収入を弁済資金に充てる方針。

 道農政課は「道内への影響はまだ明らかではないが、引き続き預託農家や直営牧場について情報収集し、総合振興局・振興局、市町村とも連携し相談に応じていく」とする。(山崎大和)


◎出産祝い 3人目から100万円…福島町

 【福島】人口減少に歯止めをかけるため、福島町は第3子以降の出産に対し、祝い金100万円を贈ることなどを柱とした新たな定住促進対策に取り組む。来年度予算に盛り込むことを決め、12月に開かれる町議会定例会に条例案を提出する予定。町では「安心して子育てができる環境を作ることで、定住につなげていきたい」と話している。

 国の過疎債7000万円を基金として積み立て、事業に活用する。事業内容@子ども医療費助成A出産祝い金B住宅奨励金—の定住対策のほか、農林水産業の担い手への就労奨励金なども含んでいる。来年度の予算規模は1400万円程度になる見通し。

 出産祝い金は、第1子に5万円、第2子には20万円、第3子以降は出産のたびに100万円(うち3割は町内商品券)を支給する。町総務課企画グループでは「出産祝い金としては全国的に見ても最も高いクラスの額になるのではないか」と話す。

 定住を目的としているため、10年以上同町に住むことが要件。

 また、子ども医療費助成を現行の小学生から18歳までに拡大するほか、500万円以上の住宅を新築か購入した人に最大100万円。人材育成では漁業の場合、就労奨励金など合わせて80万円を支給する。

 計画は2015年度までだが、その後も一般財源を使って継続する方針。同グループでは「定住促進のため、計画期間を終えても継続させ、息の長い事業にしていきたい」と話している。

 同町の10月末の住民基本台帳人口は5039人。町の予測を上回るペースで人口減少が進んでいるという。(松宮一郎)


◎ガゴメ料理提供 21店をマップに

 函館特産のガゴメコンブの普及を目指す「函館がごめ連合」(布村重樹代表)は、ガゴメを使った料理を提供する飲食店マップ「がごめ食堂図」を作成した。市内・近郊でガゴメを使ったメニューがあるラーメン店や居酒屋など21店を古地図上に写真付きで紹介している。

 市民や観光客にガゴメを活用した多彩な料理を知ってもらおうと、同連合の発案で函館地域産業振興財団の職員が企画。2年ほどかけて実食して調べた函館や北斗、札幌市内の飲食店の店名や住所、連絡先のほか、ガゴメ料理のカラー写真や価格も掲載している。

 マップは「将来古地図に残るぐらい定着させたい」との願いを込め、函館市中央図書館所蔵の昭和初期の函館の古地図「函館詳図」上に掲載。ガゴメ特有の粘り気を生かしたスープカレーやラーメン、そばなどをはじめ、バッテラ寿しやギョーザ、パスタなど和洋を問わず多岐にわたる。

 同財団は「すべてを網羅しきれていないが、予想外の使い方もあり、ガゴメ活用の幅が広がりを見せている。市民とともに料理店にもさらに普及させたい」としている。A4判カラーで、1000部制作。日本昆布協会が定める「こんぶの日」の15日午前10時から、同連合の専門店「ねばねば本舗」(若松町19)で無料配布する。

 問い合わせは同連合(ねばねば本舗)TEL0138・27・4777。(森健太郎)