2011年11月16日 (水) 掲載

◎オージービーフのステーキ作りに挑戦、清尚学院でセミナー

 函館市の清尚学院高校(土家康宏校長、生徒295人)で15日、オーストラリア産牛肉を使った「オージービーフクッキングセミナー」が行われた。調理科2年生が参加し、牛肉の特徴や焼き方などを学んだ。

 同セミナーは、オージービーフを使用したステーキの料理技術や輸入牛肉の知識の向上を目的に、21年前から続く同校の恒例行事の一つ。飲食店などを展開するスエヒロ商事(東京)の上嶋棟一郎社長と鳥居昭三総調理長が講師を務めた。

 セミナーでは、上嶋社長が牛肉業界の課題やオーストラリア産の特徴などを紹介した。DVDを使って、オーストラリア産牛肉の品質管理体制について解説。価格の安さや安全基準の高さを挙げながら「食の安全を意識してほしい」と伝えた。

 実習では、鳥居総調理長が、牛の種類や部位にふさわしい調理方法などを説明。ステーキを焼くポイントとして、フライパンの温度と肉の余熱を挙げ、実際に生徒の前でステーキを焼きあげた。続いて代表者が鳥居総調理長の教えを受けながら、ミディアムに仕上げ、生徒からは驚きの声が上がっていた。

 その後は、各班に分かれ、ステーキ作りに挑戦し、オージービーフの美味しさを堪能した。(平尾美陽子)



◎国際水産・海洋都市構想、拠点センター来年7月着工へ

 函館市は15日、「函館国際水産・海洋都市構想」の拠点として旧函館ドック跡地(弁天町20)に建設する国際水産・海洋総合研究センター(約6ヘクタール)について、来年7月に工事着工する見通しを明らかにした。6月の定例市議会で工事請負契約の議決を受け、新築工事に入る。2014年春の供用開始に向け、市は北大、公立はこだて未来大、函館水産試験場と施設への入居を前提とした協議も進めている。

 函館開建は同センター整備スケジュールに合わせ、函館港弁天地区の岸壁改良に06年度から着手しており、国内外からの水産・海洋に関する調査・練習船などの利用に対応した機能強化を図る。同センターを背後とする左側岸壁部分(水深6・5メートル、長さ250メートル)は既設岸壁から30メートル沖だしを行い、土砂で埋め立てる。コンクリートを25函並べる工法で、既に19函を設置済み、あと6函は本年度中に設置。北大のおしょろ丸や、うしお丸、函館水試の金星丸を係留させ、学術研究に貢献する。完成は13年度。残る右側部分(同5メートル、同210メートル)は15年度に完成予定。

 センターは本年度、実施設計をしており、12、13年度に建設工事を行う。総事業費は40億円。

 市国際水産・海洋都市推進室によると、センターは本館棟(延べ床面積7425平方メートル)と海洋調査研究施設(同930平方メートル)で構成。本館は鉄筋コンクリート造2階建て、2階を中心に研究室を計34部屋設けるほか、1階には生物系、化学系、飼育培養系などの実験施設や大会議室、産学官連携のためのコーディネータセンターなどを配置。施設入り口には市民向けの展示スペースのほか、研究用の大型実験水槽(300トン規模)も観察できる。

 同室は「いろいろな研究内容に対応できるよう柔軟性・拡張性に富み、研究者同士の交流が促進される研究環境を提供する。また、市民や観光客が『海』と『科学』に触れ合うための見学・展示、体験学習機能を持った施設としたい」としている。(山崎大和)



◎給与削減交渉あすがヤマ場、市と組合で平行線続く

 函館市が今月1日、市役所労働組合連合会(市労連)に提案した、人事・給与制度の見直しに関する労使交渉は、市の財政状況に対する見解の隔たりから平行線の状態が続いている。市は12月からの実施に向け、今月末に臨時市議会を招集する上で17日をタイムリミットとしているが、10%削減の根拠や退職手当債の発行をめぐる認識の違いから、同日までの妥結は困難な情勢で、工藤寿樹市長の今後の判断に注目が集まる。

 市が組合側に提案しているのは、本年度の人事院勧告に基づいて給与を改定したうえでの給与の10%独自減額、退職手当の10%減額(来年度以降20%)、持ち家にかかる住居手当の廃止、人事評価制度の来年度本格導入—など6項目。

 地方交付税の大幅な減少などから本年度35億円、来年度52億円の財源不足が生じると見越しての内容で、12月から実施するには今月中に臨時市議会を招集、関係条例の改正を提案して議決を得る必要がある。市は「臨時会開催までの作業を考えると、17日がタイムリミット」(総務部)とし、今月1日を皮切りに、これまで計3回交渉が行われている。市側が要望した交渉公開は組合側が反対して断念したが、話し合いの内容はホームページで公開している。

 これまでの交渉では、主に削減額を10%とする根拠と、工藤市長が22億円から10億円に圧縮して借りるとした退職手当債に対し、双方の主張がかみ合っていない。

 市は3回目の交渉(11日)で「財政状況や他都市の状況、市内民間の給与水準よりも高いことを考え合わせた。内部努力が必要で、職員の生活を勘案すると10%がぎりぎりのライン」と説明。これに組合側は「民間の状況を調査していない状態で高いと言うのは感覚的で、疑問に感じる。事務事業の見直しを徹底して進めるべき」と反発を強める。

 退職手当債については、2度目の交渉(7日)で組合側が「赤字債だから発行しないのか」とただしたのに対し、市側は「財政的手法として一時的にしのぐ点と、将来に受益のない赤字債だから借りないという2つの考え方がある」と回答。借りてしのぐか、内部努力で補うか。赤字をカバーするための方法論もまた、異なる。

 財政に対する現状認識の違いはこれだけではない。組合側は、標準財政規模(市税と地方交付税)に対する借金返済の割合を示す実質公債費比率が、昨年度決算ベースで8・2%と、「全道の市の中でも低い状態」と、財政は健全状態にあると主張。一方の市側は、一般財源のうちどの程度を税収で賄えるかを示す財政力指数が昨年度で0・462と、1998年度のピーク時(0・561)から大幅に減少している点を重視。「将来負担(実質公債費比率)が少ないにもかかわらず財源不足が出ている。今から手を打たなくては」(市財政課)との考えが根底にある。

 実質的な交渉期間は約3週間と短い。初回の交渉に出席した工藤市長は「内容や日程は決して決まり切ったものではない。基本的には労使合意が前提」としながらも「その時点(=17日)までに煮詰まっていなければ、一定の判断をすることになる」と含みを持たせている。

 17日に交渉が行われる予定だが、市労連の長谷川義樹執行委員長は「提案内容に対する見解は出しておらず、現時点では考え方をぶつけている段階。市が強行する以外に11月臨時会の開催はあり得ない」とけん制する。市の上戸慶一総務部長は「互いに財政状況が厳しいという認識はある。今後の交渉で、どこまでやり取りができるかに尽きる」と話す。(千葉卓陽)


◎持続的な被災者・避難支援の在り方探る

 東日本大震災と福島第一原発事故に関わる被災者、避難支援を考えるフォーラムが15日、函館市地域交流まちづくりセンター(末広町4)で開かれた。各種助成の紹介や意見交換で、持続的な支援の在り方を探った。

 北海道NPO被災者支援ネット(札幌)の主催で、民間レベルで支援に取り組む「函館・むすびば」や函館福島県人会、行政機関関係者ら計15人が出席した。

 道内への被災地からの避難者は3000人に上り、2日現在の内訳は札幌市が1374人、函館市225人、釧路市151人、旭川市128人、江別市79人など—と主催者側が報告。フォーラムでは、避難者の声として「北海道の支援状況は行政、民間を含め親身な対応をしてくれている」と評価する一方、「心配なのは今後で、支援の継続など具体的なものが示されない上での生活は不安極まりなく、先の計画を立てることができない」と課題も上がった。

 北海道NPOファンド理事の北村美恵子さんが助成申請について「どんなに内容がよくてもあくまでもそれは紙。助成を受けて、活動の幅が広がるような具体的なプランを出してもらいたい」と指摘。メディアによる情報発信が、支援を支える寄付を集めることに結び付くことも伝えた。

 函館での支援状況については、「市役所など行政窓口の親身で迅速な対応を、もっと目に見える形で市民に伝えてもいいのでは。函館から復興支援で被災地へ足を運んでいる人が多くいる。活動を報告、発表する場を設けて、情報交換で支援活動の充実と災害を風化させない思いを改めることができれば」などという意見があった。(田中陽介)


◎納税表彰、3人の功績たたえる

 「税を考える週間」(11月11〜17日)に合わせて函館税務署は15日、納税意識の高揚などに功績のあった函館市内の3人を表彰した。函館国際ホテルで行った表彰式では、同税務署の高橋松雄署長が表彰状を手渡してこれまでの功績をたたえた。

 毎年行っており、ことしは奥屋桂子さん(53)=函館地区青色申告会連合会=、佐藤征次さん(73)=函館間税会=、庭田孝司さん(52)=函館地方法人会=の3人が対象となった。

 表彰状を渡した高橋署長は「長年のご労苦に敬意を表します」と感謝。「輝かしい業績を発展させ、今後も税務行政にご理解とご協力をいただきたい」と述べた。被表彰者を代表して佐藤さんは「感激を深く心にとどめ、栄誉に恥じないよう、それぞれの立場で適正申告や納税の推進に努めます」とお礼の言葉を伝えた。

 このほか式場で、国税局長納税表彰を受けた函館市の堀川昭雄さん(函館地方法人会)を紹介。

 また道南の他税務署では、八雲税務署が大野忠勝さん(八雲地方法人会大成支部)と熊谷武一さん(熊石青色申告会)を表彰する。(小泉まや)