2011年11月17日 (木) 掲載

◎廃熱利用し発電 来月から施設本格稼働…太平洋セメント上磯工場

 【北斗】太平洋セメント上磯工場(北斗市谷好1、神長俊樹工場長)は、セメント製造工程の余剰廃熱を利用した発電設備を12月から本格稼働させる。新設備の導入で電力自給率は現行の82%から95%に向上。工場内のディーゼル発電設備を廃止することなどから、年間6万7000トンの二酸化炭素排出量抑制と約5億円のコスト削減を見込む。

 廃熱発電は、セメント焼成用のロータリーキルンなどで発生する約400度の排ガス熱を利用し、3基のキルンごとに設置したボイラーで発生させた蒸気をタービンに送り込み、発電する仕組み。2009年5月に着工し、このほど完成した。総工費約85億円のうち、約23億円は独行法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の補助金で賄った。

 同工場ではこれまでも必要電力の大半を工場内で賄ってきたが、近年は重油価格の高騰もあり、コスト高となるディーゼル発電設備の稼働率は10分の1以下だったといい、電力会社から不足分を購入していた。廃熱発電施設の定格出力は1万9000キロワットで、3基のキルンが稼働した状態で1万7300キロワットの発電量を見込み、石炭だきの発電施設との併用で電力自給率の向上を図る。

 同工場業務部は「廃熱発電自体は技術的には新しいものではないが、生産コストの大幅な削減にもつながる」としている。(今井正一)



◎風力調査用の観測塔設置…きじひき高原

 【北斗】北斗市村山のきじひき高原で、風力発電建設構想の実現に向けた風速調査用の観測塔の設置が進められている。展望台から約4キロ先の標高約670メートル地点に高さ50メートルのポールを設置し、数カ所に風力計や風向計を取り付け、発電に適した環境であるかを調査する。同構想を推進する「NPO法人みなみ北海道自然エネルギープロジェクト」のピーター・ハウレット代表理事(56)は「風力調査は、この場所に風車が適しているかを判断するためのスタート地点。このいい風をつかまえましょう」と話している。

 同構想は、地球温暖化防止の観点から、自然エネルギーへの転換を目指し、「道南からエネルギーシフト」を掲げる同NPO法人や、全国各地で市民出資の「市民風車」建設の実績を持つ民間企業「市民風力発電」(札幌、鈴木亨社長)が推進している。

 構想では、2000キロワット級の大型風車5〜10基で、1万〜3万キロワットの発電規模となる。25〜60億円の事業費は、市民などから出資金を募り、ファンド形式で運用する計画。風車の稼働に適した風力が見込めるほか、建設用資材を運搬するための道路環境、高圧線の存在などの諸条件が整っているという。一方で、北斗市は、建設の可否判断は「地元住民の合意が大前提」としている。

 観測塔は同社が市の許可を得て、14日に着工。16日正午の時点で高さ20メートルほどで、17日に完成を予定する。ポールの頂点と40メートル、30メートルの地点に風力計などを取り付け、得られたデータはインターネット経由で収集する。

 現地を視察した同社の事業開発部風況調査室の陸野秀明室長(50)は「最低でも1年は継続して調査するが、平均で6・5メートル以上の風速が欲しい。実現に向けては電力会社との契約問題や環境アセスメント(環境影響調査)、景観上の問題、地元との同意など課題はある」と話していた。(今井正一)



◎函工高定時制の3人が「第二種電気工事」合格

 函館工業高校定時制(青木一明校長)の在校生3人と卒業生3人が、本年度の国家試験「第二種電気工事」に合格した。生徒らは「今度は一種の取得を目指し、頑張りたい」と喜んでいる。

 同資格は、配線や工事についての知識、法律などを問われるほか、設計など総合的な技量も求められる。資格保持者は、配線工事などを行うことができる。本年度の合格率は、1次(筆記)は65%、2次(実技)は、69%だった。

 本年度は、同校から卒業生を含め8人が受験。うち在校生の青山翔さん(4年)、石沢翔弥さん(同)、砂山倫樹さん(3年)と卒業生の川尻慎也さん、中野兼一さん、高木弥さんの合わせて6人が合格した。

 「将来電気関係の職業に携わりたい」と受験を決意し、生徒らは約半年間にわたって、授業前後の時間を活用しながら勉強に励んできた。

 今回初めて受験し、合格した砂山さんは「筆記試験を受けた時は不安しかなかった。合格した時は奇跡だと思った」と話す。

 4年の青山さんは「2回目の受験だったので、どこを勉強すればいいのか流れはつかんでいた。今回の試験は自信があった」、石沢さんは「深夜に勉強し、そのまま仕事に行くこともあった。合格できて本当にうれしい。今後はパソコンなど色々な試験に臨んでいきたい」と意気込む。

 一方、中野さんは1種の同試験にも挑戦し、現在は12月の技能試験に向け勉強中。「資格を生かし、いろんなことにチャレンジしたい」と力強く語っていた。(平尾美陽子)


◎試食や講演 ふっくりんこの魅力堪能

 道南産の銘柄米・ふっくりんこへの理解を深めてもらう「函館育ちふっくりんこセミナー」(道南地区北海道米食率向上戦略会議など主催)が16日、函館国際ホテル(大手町5)で開かれた。市内の調理関係者、一般消費者ら約150人が参加し、試食や講演会を通じてその魅力を共有した。

 ふっくりんこは2003年に販売開始。ふっくらした食感と甘みが特徴で、ブランド米として親しまれている。今回は道南地域でのさらなる需要拡大を目的に開かれた。

 セミナーではふっくりんこを使った創作料理の試食会を開催。にぎりずしのほか、米粉パスタやライスコロッケ、チャーハンなど和・洋・中の料理が振る舞われた。参加者は柔らかな食感を堪能するとともに、多彩な料理にマッチすることを実感した様子だった。

 函館市西旭岡町の主婦、越前屋優子さん(67)は「ほかの米と舌触りが違う上に冷めてもふっくらしたままなので、すしのシャリに合うと思う。この味が全国に広まってほしい」と話していた。

 セミナーではこのほか、生産者と消費者らが懇談した食育講演会やふっくりんことコシヒカリ、あきたこまちの3銘柄の食べ比べが行われた。アンケートでは食べ比べの参加者のうち半数以上が、最もおいしい米にふっくりんこを挙げていた。(後藤 真)