2011年11月18日 (金) 掲載

◎函館商業高3年14人販売士2級合格 同校最多「努力実る」

 函館商業高校の3年生14人が、10月に実施された日本商工会議所主催の販売士検定2級に見事に合格した。昨年に続いて合格者が最多となり、「今後は20、30人以上の合格者を目指したい」と学校関係者は喜んでいる。

 販売士は小売や流通業、卸売業や製造業などで注目される流通業界で唯一の公的資格。業界関係者などの受験が多いが、就職に有利として大学生や高校生も受けているという。2級は小売業の類型、販売・経営管理など5科目で構成され、専門的な知識が問われる。

 同校では3年生の課題研究として、4月から受験勉強に励み、授業時間のほか夏休みや土日の講習なども行い、力を付けてきた。同校では30人が試験に臨み、過去最多の14人が合格した。

 下山大記君(18)は「勉強は大変だったが、思っていた以上に結果がよくて驚いた。合格できてうれしい」と喜び、京谷遥さん(17)は「習ったことはその日に家で復習するようにしていた。過去問やワークを解き、4月から勉強を積み重ねてきたので自信はあった」と声を弾ませていた。

 指導に当たった岡崎諭教諭は「それぞれの努力が合格につながった。よく頑張った」と話していた。(平尾美陽子)



◎渡島沿線自治体、負担割合「1対1」に不満相次ぐ 並行在来線問題

 北海道新幹線を取り巻く状況について道と沿線自治体が意見交換する、道新幹線渡島沿線自治体首長会議が17日、渡島総合振興局で開かれた。2015年度の新青森—新函館(仮称)開業に伴い、JR北海道から経営分離される江差線五稜郭—木古内間(37.8キロ)に関し、同路線のバス転換と、道と沿線3市町(函館、北斗、木古内)との負担割合を1対1とする提案について、各自治体から不満や反発が相次いだ。

 道新幹線を取り巻く動きに関する情報共有を目的に開催。道の荒川裕生総合政策部長と、函館、北斗、七飯、森、鹿部、八雲、長万部の7市町の首長(函館、北斗は副市長)が出席した。荒川部長は「衆参両院の国土交通委員会は、新幹線が災害時の幹線として大きな役割があるし、未着工区間の認可に向けた検討を急ぐよう付帯決議をしている。札幌延伸への大きなチャンスで、年末に向けて最大限、活動を展開したい」とあいさつした。

 会合では道側が、10月に開かれた道南地域並行在来線対策協議会での議論内容について報告。札幌延伸時にJRが経営分離する方針を示している函館—小樽間で、11月8日に旅客流動調査を行ったことを明らかにし「年度内に調査結果をまとめたい」とした。

 意見交換では、七飯町の中宮安一町長が江差線経営分離時の負担割合について「(道が例にした)ふるさと銀河線とは背景がまったく違う。非常に残念な提案だ」と批判。荒川部長は「背景は違うが、赤字が前提。道民負担を考えて参考にした」と述べた。

 同部長はまた、2003年時に道が85%を負担すると説明した点について「沿線自治体からは早い時期からの提案を求められたが、正式な案を示せる状況になく、九州の例を参考にした。第3セクターで運営しても黒字が見込める前提で試算していた」とし、検討内容が不十分だったことを認めた。

 鹿部町の川村茂町長は「江差線の対応が、札幌延伸の際の前提になるのか」と質問。道側は「意見交換を行いながら協議する中で、一つの検討材料としたい」と答え、前例とする考えを事実上認めた。また、森町の佐藤克男町長は、江差線を第3セクターで運行した場合に30年間で69億5000万円の赤字、バス転換で同15億9000万円の赤字が出るとした試算に対し「計算方法に疑問がある。もう一度精査した方がいい」と指摘した。(千葉卓陽)



◎函館市と市労連、労使交渉継続へ 来月実施は不可能に

 函館市の職員給与10%独自削減を柱とする、市と市役所労働組合連合会(市労連)との4度目の労使交渉が17日夜、市役所で行われた。財政運営をめぐって話し合いは難航し、今後も交渉を継続することを決めた。これにより、市が目指していた12月1日からの実施は事実上、不可能となった。

 市は今月1日、本年度の人事院勧告に基づいて給与を改定したうえでの給与の10%独自減額、退職手当の10%減額(来年度以降20%)、持ち家にかかる住居手当の廃止、人事評価制度の来年度からの本格導入—など6項目を市労連に提案。今月1日から労使交渉を開始している。

 17日の交渉には市の中林重雄副市長、上戸慶一総務部長ら約10人、市労連は長谷川義樹執行委員長ら執行部約10人が出席。市側は多額の財源不足が生じるとして提案への理解を求めたが、退職手当債の借り入れなど、財政運営のあり方をめぐって主張が対立し、妥結には至らなかった。市は併せて、1月1日からの実施を目指す考えを示した。

 市は12月からの給与削減に向けて今月末に臨時市議会を招集する意向を示し、事務処理上の関係から17日を交渉期限と設定していた。「財政の中期的な見通し」では12月からの実施で本年度は8億円の削減効果を見込んでいたが、実施が遅れることで「給与と期末手当で約2億5000万円ほど影響が出る」(市人事課)としている。

 中林副市長は「個別議論に入っていない以上、臨時会の招集はあきらめざるを得ない」と話した。長谷川委員長は「時間がなく、主張も譲り合える部分がない。見通しの数字だけでなく、財政の詳しい中身について議論していきたい」としている。(千葉卓陽)

 4年の青山さんは「2回目の受験だったので、どこを勉強すればいいのか流れはつかんでいた。今回の試験は自信があった」、石沢さんは「深夜に勉強し、そのまま仕事に行くこともあった。合格できて本当にうれしい。今後はパソコンなど色々な試験に臨んでいきたい」と意気込む。

 一方、中野さんは1種の同試験にも挑戦し、現在は12月の技能試験に向け勉強中。「資格を生かし、いろんなことにチャレンジしたい」と力強く語っていた。(平尾美陽子)


◎社会貢献賞に山田さん、小松さん、市立函館病院

 長年にわたり地域住民の医療や保健衛生、健康増進に尽力し、功績を残した個人・団体を表彰する道の本年度社会貢献賞に、道南から市立函館病院(木村純院長)と、函館市の山田豊さん(65)=函館中央病院臨床顧問=、北斗市の小松格一さん(72)=小松内科循環器科医院院長=が選ばれた。13日、札幌市で表彰式が行われた。

 市立函館病院は、救急医療功労者として受賞。1982年に道南地域で唯一の救命救急センターを設置し、重篤な患者を救命する3次救急医療を担い、これまで24時間365日体制で1万人以上の救急患者を受け入れた。97年1月に災害拠点病院の指定を受け、災害派遣医療チーム(DMAT)を整備。今年3月の東日本大震災の被災地にも医療チームを派遣した。

 山田さん、小松さんは地域医療功労者として受賞した。山田さんは85年から函館市内の小児科医の代表として市夜間急病センター運営委員を務め、2006年4月から副委員長に就き函館・道南地域の救急医療体制の維持、発展に尽力。04年から道小児救急医療体制整備推進協議会の道南代表として小児救急医療体制推進に貢献した。

 小松さんは73年に旧上磯町に診療所を開設し、地域住民のかかりつけ医として診療に従事。健康教育事業や個別健康診査事業にも協力した。06年2月、旧大野町との合併で新市発足後は、市保健医療福祉問題協議会の副会長として医療分野で旧2町の運営調整に尽力した。昨年9月から会長職を務める。

 市立函館病院の木村院長は「”地域の救急医療を守る”を合言葉に職員が一丸となり懸命に業務に励んできた努力の結晶と思っている。今後も引き続き地域医療発展のため、その役割を遺憾なく発揮したい」と話す。

 山田さんは「これまでの取り組みが認められ、うれしい。励みになります」とし、小松さんも「この仕事を天職と思いまっとうしてきた。受賞は光栄なこと」と述べた。(鈴木 潤)


◎七飯の観光入り込み数 前年比8・8%減90万1700人

 【七飯】町は2011年度上期(4〜9月)の観光入り込み客数(推計値)をまとめた。総数は前年同期比8万7200人(8・8%)減の90万1700人。東日本大震災直後の自粛ムードから4月が前年度比61・7%減と大きく落ち込んだが、5月以降は回復基調にあり、7〜9月の3カ月間はいずれも前年を上回った。

 町商工観光課は「東日本大震災の影響を大きく受けたが、5月の大型連休から客足が戻った。特に修学旅行の行き先変更などで入り込みが増えた」と分析する。

 月別では、4月が前年同期比5万9500人減の3万7000人。5、6月は道内客を中心に客足が戻り、14万人台で推移。7月以降は平均で7%の増加となった。道外客は62万2200人、道内客は27万9500人だった。

 上期の宿泊客数は同9300人増の5万2100人で、特に8月に約2000人増加していることから、福島県からの子どもたちを約1カ月間受け入れた「ふくしまキッズ夏季林間学校」の影響が大きいとみる。一方、昨年好調だった外国人宿泊客数は震災の影響で大幅に減少。4月は皆無で、6月以降から徐々に客足が戻ったが、同4691人減の1807人にとどまった。

 ここ数年の下期は減少傾向にあり、今季も函館大沼プリンスホテルが冬季休業を決めているため、苦戦は避けられない見通し。同課は「7〜9月の増加傾向のいい影響が下期にも続いてくれれば」としている。(今井正一)