2011年11月19日 (土) 掲載

◎巨大ツリーの飾り付け進む

 函館の冬を盛り上げる「2011はこだてクリスマスファンタジー」(実行委主催)を彩る巨大ツリーが、姉妹都市のカナダ・ハリファクス市から同市に届き、12月1日開幕に向けて飾り付けが行われている。実行委は「今年の電飾は赤が基調で、温もりのある輝きになるはず」としている。

 ツリーは高さ20bほどのモミの木で、カナダから船で運ばれ、苫小牧で検疫した上で11日にトラックで函館入りした。飾り付け場所の富士サルベージ作業所(浅野町5)には、ツリーをすっぽりと覆う足場が組まれ、枝切りや電飾の取り付けが進む。

 実行委によると、開幕3日前までにメーン会場の赤レンガ倉庫群近くの海上へ台船で運び、30日夕には試験点灯する。

 開幕日の1日は午後6時に点灯し、花火の打ち上げも予定。クリスマスファンタジーは25日までの期間中、ステージイベントが繰り広げられるほか、スープバーなどが会場に並ぶ。(田中陽介)



◎スケトウ漁、桧山沖で初水揚げ

 【乙部】桧山沖の日本海で18日、今季のスケトウダラ漁が始まり、15隻のはえ縄漁船が出漁した乙部漁港では、合計13dが初水揚げされた。

 乙部沖と熊石沖の爾志海区では、解禁日の15日以降、海が荒れたため、出漁を17日まで延期。同日も魚群探知機で確認されたスケトウの群れが薄く、初水揚げを18日に持ち越した。同海区では乙部船団15隻、豊浜船団12隻、熊石船団10隻の計37隻が出漁。18日の明け方には3つの船団が沖合いの漁場を目指した。

 桧山沖のスケトウ漁は、伝統的な延え縄漁で行われ、刺し網漁などと比べて高い鮮度が売り物になっている。船団が帰港した乙部漁港では、漁業者が釣り上げたばかりのスケトウを陸揚げ。生食用として出荷するスケトウは、船団員の共同作業により、八雲町熊石沖でくみ上げた海洋深層水で魚体を洗浄。氷漬けにして鮮度を保ち出荷される。

 今季のスケトウは、2005〜06年に生まれた5〜6歳魚が漁獲の中心になり、昨年よりも魚体は大きめ。道総研函館水産試験場は、日本海の海水温が高い状態で推移しているため、魚群の回遊が遅れている影響もあり、漁模様は昨年をやや下回る3000トン台で推移するとの予測を示している。今季のスケトウ漁は漁模様をみながら来年1月中旬ごろまで行われる見通し。(松浦 純)



◎給与削減、市長「1月実施目指す」

 函館市の工藤寿樹市長は18日の会見で、職員給与の10%独自削減などに関する市役所職員組合連合会(市労連)との交渉継続を受けて、来年1月からの実施を目指す考えを表明した。12月1日からの実施を目指していたが、労使交渉がまとまっていないことから、同市長は「今の状況では1カ月延ばさざるを得ないが、誠実に対応し、不退転の決意で行財政改革を進めたい」と述べた。

 市は今月1日、市労連に給与の10%独自削減や退職手当の10%削減(来年度以降20%)、人事評価制度の来年度からの本格導入など6項目の見直しを提案。今月中の臨時市議会招集に向け17日を交渉期限としていたが、財政への認識がかみ合わず、妥結していない。

 同市長は「給与カットは赤字穴埋めのためではなく、官民格差の是正が目的。職員の生活を考慮して10%に設定した」とした上で、「双方の考え方に乖離(かいり)があり、継続協議で理解を求めていくことが必要」と述べた。

 1カ月遅れることで給与と期末・勤勉手当(ボーナス)の合わせて2億6000万円の影響が出るとし、「基金の取り崩しで対応するなど、手立てを考えたい」としている。

 1月からの実施には、12月中に関係条例の改正案を議会に提出して議決を得る必要がある。同市長は12月20日ごろが交渉のタイムリミットとした一方、「基本は労使合意が前提だが、絶対条件ではなく、今から譲歩するつもりもない。財政を考えると我慢してもらわざるを得ず、赤字のつけを市民に回すのはいかがかと思う」と話した。(千葉卓陽)


◎青函の商業高校と函大が連携し商品開発目指す

 函館大学と函館商業高校、青森商業高校は、高大連携事業として青函をテーマにした商品開発に取り組んでいる。それぞれの名物を生かした新商品の誕生に向け、生徒たちは「函館と青森の新たな土産品にして地域を活性化させたい」と期待を込める。

 同大学は、2004年に函館商業高校と、2007年には青森商業高校と連携協定を結び、さままざな事業を進めている。今回は「商品開発実習」の一環として取り組み、各校それぞれ分担を決め、本年度末をめどに3校連携商品の販売を目指す。同取り組みには、生徒15人と学生6人が参加している。

 17、18日の両日は、同大学でワークショップが開かれ、それぞれの高校が企画した商品を発表し合い、意見交換した。意見を出し合いながら、それぞれの商品のイメージを膨らませた。

 発表で函館商業高校は、ガゴメ昆布などを使った入浴剤や化粧品、青森商業高校はガゴメ昆布やジャガイモを練り込んだかまぼこの商品企画を紹介した。次いで、各校の商品のパッケージデザインや販売方法、価格などについて意見交換し、大学生のアイディアや助言を受けながら、それぞれ商品の企画を再検討した。

 最終的に、函館商業高校は牛乳成分を混ぜ、リンゴの形をした入浴剤「お風呂でシャーーー!!!」に決定し、4年後の新幹線開業を視野に入れ、パッケージデザインは新幹線にする予定。幅広い年齢層に受け入れられるよう、おまけも付けるという。

 同校3年の佐藤春奈さん(18)は「1つの商品を作るのが、こんなに大変だと思わなかった。デザインやコンセプトなどを考えるのは大変だが、作業は楽しい。社会的環境に合ったものを売り出す必要性など、多くのことを勉強できる」と話す。

 一方、青森商業高校は、パッケージや価格を見直しながら、現在試作まで仕上がっているかまぼこ3種類の商品化を目指す。売り込み戦略などが今後の課題といい、同校3年の清水俊君(18)は「駅や土産店に商品が並ぶよう頑張りたい」と笑顔で話す。

 今後は、ワークショップで得た課題を基に話し合いを重ね、商品化を進めていく。(平尾美陽子)


◎香雪園ライトアップで過去最多の3万4500人来園

 道内唯一の国の指定文化財名勝庭園である函館市見晴町の香雪園(見晴公園)で13日まで開かれた紅葉のライトアップイベントの来園者数が、過去最多となる3万4490人に上った。同じ開催日数だった昨年と比べて1・8倍に急増。今年は天候に恵まれ、日中の来園者や観光ツアー客らも多く、閑散期だった函館の秋を彩る催しとして定着をみせた。

 「期間中は問い合わせの電話から窓口対応まで毎日が大わらわ。こんなにも園内が人、人、人だったのは初めて」。同園の管理事務所「緑のセンター」で管理員を務める五日市昌子さん(58)は多い日で3000人以上が来場し、過去最大のにぎわいとなったイベントを振り返り、うれしい悲鳴を上げる。

 ライトアップは観光客が落ち込む時期の集客対策として2008年に民間事業として試験的に実施。09年から新たな観光資源として売り込もうと、市や市住宅都市施設公社が主催し、毎日夕方からミニコンサートや作品展示などを企画して正式開催となった。

 今年は10月22日から計23日間、人気の散策路「カエデ並木」など約1.2キロにわたり、午後4時〜9時まで24基で照らした。来園者は09年が1万6552人、昨年が1万9554人と徐々に増え、今年は午前9時〜午後6時半に来園者が同センターで自ら押す計数器だけで2万94人。これらに夜間の午後4時〜9時は駐車台数を加えた。

 ピークとなった「文化の日」の今月3日は3145人が来園。期間中の夕方以降、一般車は前年比1.5倍の3073台で、観光バスも同33%増の108台と急伸し、同公社は「平日でも駐車待ちの列ができるほど。人数は数字以上にもっと来ている印象」と話す。

 急増した要因について同公社は「雨が少なく、例年より暖かい日が続いたことで地元客が増えた。点灯していない日中に訪れるツアー客も多かった」と分析。五日市さんも「昼と夜の気温差がなく紅葉の色付きは悪かったが、おかげで葉が落ちずに長い期間楽しめた。4年間の実績が口コミで浸透したのでは」とみる。

 また、市内外の旅行会社に函館の観光ツアーに盛り込んでもらうよう働きかけた市ブランド推進課は「湯の川温泉の宿泊客が朝食後や夕食前のちょっとした時間に立ち寄るケースも増えてきた。今後もさらにPRして函館観光の秋の風物詩として浸透を図りたい」としている。(森健太郎)