2011年11月20日 (日) 掲載

◎陣川の温泉で「美容ジェル」、西川工業所が発売

 美肌の湯でお肌しっとり—。函館市陣川町86の西川工業所は、同社敷地内に湧く温泉水を活用した美容ジェル「ジェイノスパ スキンコントロールジェル」を発売。使用感の良さから男女問わず幅広い年代に支持されている。同社の西川正義社長(40)は「温泉成分を最大限に生かし、さまざまな肌質に対応している。製品が函館の良さを知ってもらうきっかけになれば」と意気込んでいる。

 同社は2002年に温泉を掘り当て、「陣川ドリーム温泉」と命名し、従業員の保養に利用してきた。温泉の活路を模索していた昨年9月、市が製造業者をサポートする「ものづくりステップアップ事業」の助成を受け、東京の化粧品メーカーと開発に取り組んだ。

 単純イオウ泉の泉質は、炎症を抑えるだけでなく、古い角質を落とす効果も期待できるといい、製品の50%に配合。そのほか、甘草エキス、コラーゲンに2種類のヒアルロン酸と保湿成分を加えた。

 300人のモニター体験では、「べたつきがないのに、保湿性が高い」「ひげ剃りあとのヒリヒリが落ち着いた」などの評価を得た。西川社長は「香料や界面活性剤を使わずシンプルな作りなので、敏感肌の方でも安心して取り入れてもらえるはず」と自信をのぞかせる。

 1本60ミリリットルで価格は3150円。同社のほか、陣川温泉など市内5カ所で販売するほか、通販サイト「香水広場」でも購入できる。問い合わせは同社TEL0138・54・7365。今後、同社では販路拡大を目指すほか、洗顔などシリーズ化を進めたいとしている。(小杉貴洋)



◎ホタテ貝殻再利用の「北海道スカラップ」、需要増で生産量拡大へ

 【鹿部】ホタテ貝殻の再利用に取り組む「北海道スカラップ」(鹿部町宮浜、吉康郎社長)は本年度、生産量の拡大事業に乗り出す。貝殻を粉砕して製品化した肥料などの需要増に対応するもので、12月から鹿部工場(同所)内の機械増設に着手する。製品生産量は従来の約3倍となり、廃棄物削減にさらに貢献しそうだ。

 同社は、鹿部町内の水産加工会社9社などが共同出資して2006年5月に設立。9社から産出される鹿部産ボイルホタテ貝殻を、年間約6000トン処理。貝殻から炭酸カルシウム肥料、道路資材、滑り止め材を製造、販売している。2010年度の売上高は約5400万円。

 同工場は現在、1時間当たり2〜4トンの製品生産を行っており、今回の機械増設により来年3月からは同6〜10dに増やす。生産量拡大により12年度の売上高は約1億3000万円を見込む。

 同社のリサイクル製品は、エコ循環型社会の推進に貢献するとして認知度が高まり、引き合いは強まる一方。道路資材では、26日に開通する道央道の落部インターチェンジ(IC、八雲町)—森IC(森町)間20・2キロで、事業者のネクスコ東日本北海道支社(札幌)がアスファルト舗装混合物に約1200トン使用したほか、12年度開通予定の森IC—大沼公園IC間9・7キロにも800〜1000トンが使われる予定。

 滑り止め材は、焼き砂に替わり小樽運河の散策路などに使われ、道路に残らず環境に優しい。肥料も畜産農家が飼料を生産する土壌改良に使われる。

 同社の五十嵐一長事業部長は「環境負荷の低減が重視される中、従来製品と比べて質も価格も同等なら、リサイクル製品を使おうという機運が高まっている」と話す。

 同社はボイルホタテ貝殻のリサイクル製品が、二酸化炭素(CO2)循環型(排出されるCO2と、吸収されるCO2の量が同じ)や、天然有機カルシウム材であることをアピールし、販路拡大を目指す。五十嵐部長は「今後マーケットが広がり、鹿部産だけで足りなければ、森町砂原からも原料を受け入れる予定」とする。

 今回の事業は、道からの補助(循環資源利用促進施設設備整備費補助金)を受け、総事業費は約1億円。

 道内のホタテ産地では、貝殻の処理が大きな課題となっている。この未利用資源のリサイクルを継続的に事業化している企業は、同社も含め道内には4社ほどしかない。(山崎大和)



◎8月の函館市、生活保護率が前年比1.4ポイント増

 函館市の8月の生活保護率は45・2‰(パーミル=人口1000人当たりの被保護者数)となり、前年同月より1・4ポイント、前月比では0・1ポイント増加した。増加のペースは緩やかになっているものの、依然として増えていることに変わりはなく、函館市福祉事務所は「保護を受けやすくなる冬期(11月〜3月)に急激に増える可能性もある」とする。

 函館市の保護率はここ数年急激に増加。6月はわずかに減少したが、以降は高止まりの状況を維持している。8月の保護者数は前月比10人多い1万2644人、世帯数は同2増の9028世帯といずれも前月より増えた。同福祉事務所は「年金支給の月に当たるので申請が少なく、比較的落ち着いた状況ではある」とするが、今後さらに増加する可能性も示した。

 保護開始世帯の状況は、手持ち現金や預金などの消失が最も多く、次いで世帯主の傷病となっている。世帯区分別の状況は、高齢者世帯が全体の42・6%を占め、次いで傷病世帯は26・3%、母子世帯は11・4%だった。

 全道の市部での函館の位置は、釧路(54・2‰)、三笠(45・5‰)に次ぐ3番目で、前月より1つ改善した。ただ札幌と旭川を含む大都市圏での割合は最も高く、規模が近い旭川(38・3‰)とは開きがある。道内全体の保護率は前月より0・1ポイント高い30・1‰となり、北斗市は前年同月比0・6ポイント増の17・1‰。

 道南の町部では、渡島管内が同0・7ポイント増の23・2‰、桧山管内は同1・3ポイント増の33・5‰だった。渡島では福島や鹿部が減少する一方で松前が大きく増加。桧山では江差と上ノ国が依然40‰を超える高率となっている。

 また最新の全国調査(7月)の保護率は16・0‰で、保護者数は過去最多の205万495人、世帯数は148万6341世帯となっている。(小泉まや)


◎地元食材おいしく料理、シェフ養成講座

 函館市内・近郊の親子を対象にした料理教室「リトルシェフ養成講座」が19日、函館短大付設調理師専門学校(柏木町)で開かれた。5組12人の小学生と保護者が参加し、地元の食材を使った家庭でもできる料理やデザートづくりに挑戦した。

 食育や地産地消をテーマに、未来を担う子どもたちに食文化の大切さを知ってもらおうと、毎年開催している。同校調理技術研究室長の吉田徹さんが講師を務め、実習前には朝ごはんをきちんと食べ、生活のリズムを整えることを学ぶ講義も行われた。

 この日は森産のカボチャのスープと函館産のサケのムニエル、七飯産のリンゴを使ったアップルパイの3品に挑戦。児童らは吉田さんや学生の指導の下、包丁やフライパンを器用に使いこなし、真剣な表情で食材を切ったり、焼いたりしてメニューを完成させた。

 吉田さんは「サケに均一に火が通るようたたいて厚さをそろえて」などと調理のコツをアドバイス。最後に全員で試食し、子どもたちにはリトルシェフの認定書が贈られた。参加した函館中島小6年の佐々木里菜さん(12)は「炒めるのが楽しい。家でも作ってみたい」、母直美さん(39)は「これからは家事の貴重な戦力になりそうです」と話していた。(森健太郎)


◎依存症考えるフォーラムで当事者が体験談

 薬物やアルコール、ギャンブルなどの依存症について考える地域フォーラム(道立精神保健福祉センター主催)が19日、函館市美原の渡島総合振興局で開かれ、依存症の自助グループのメンバーや市民ら約80人が依存症当事者の実情や回復のサポートについて理解を深めた。

 国の地域依存症対策推進モデル事業を受託した道が、函館市と渡島保健所管内をモデル地域に指定して実施している取り組みの一つ。

 冒頭、同センターの田辺等所長が「依存症を取り巻く状況は十分とはいえない。地域資源の開発、地域住民の理解が必要だ」とあいさつした。

 次いで、渡島地域のアルコール、薬物依存症の自助グループメンバーら5人が体験談を発表。函館断酒会の男性は30年前にアルコール依存症になり、「飲酒運転で捕まっても改心できず、隠れて酒を飲み続けた。酒の魔力は大きく断酒会に入っても失敗を繰り返しながら、やめることを続けてきた」と述べ、薬物依存症の自助グループ「NA」の男性は「すぐにやめられると思っていた。依存症という実感がなかった」と振り返った。

 父親がアルコール依存症で、家族グループ「アラノン」に入会したという女性は「当時、父の依存症に不安で生きるのもつらかった。自分を深く知るプログラムを体験し、隠し続けた父のことが話せるようになり、生き方を変えることを少しずつ実践している」と語った。

 司会を務めた植苗病院(苫小牧市)の芦沢健医師は「依存症は医師がかかわるだけでは良くならず、自助グループがいないと治療は成り立たない」と自助グループの重要性を説いた。(鈴木 潤)