2011年11月24日 (木) 掲載

◎函大 初戦敗退…明治神宮野球大会

 【東京】明治神宮外苑創建85年記念第42回明治神宮野球大会(明治神宮、日本学生野球協会主催)が23日、開幕した。初日は東京の明治神宮球場などで行われ、大学の部に北海道2連盟代表として出場した函大は九州3連盟代表の九州共立大(北九州市)と対戦し、1—2で惜敗。同大会2年ぶり2度目の出場だったが、悲願の初勝利はならなかった。

 函大が登場した第4試合は、予定より約1時間50分遅れて始まった。雨の中でのゲームとなり、コンディションが心配されたが、エース佐藤将太郎(4年、神奈川・横浜創学館)が力投。粘りの投球で7回を投げ、打線の援護を待ったが、九州共立大の2投手から2安打に抑えられた。スタンドには部員、関係者など約200人が集まり、最後まで声援を送っていた。

 阪内俊喜監督(55)は「雨など、いくつかの不運はあったが、選手は善戦してくれた」とねぎらっていた。(山崎純一)



◎落部—森IC26日開通 鹿部で記念イベント

 道央自動車道の落部インターンチェンジ(IC、八雲町)—森IC(森町)間20・2キロの開通(26日)に合わせて、鹿部町温泉観光協会(吉康郎会長)は26、27の両日、しかべ間歇泉(かんけつせん)公園(同町鹿部)で独自の記念イベントを開く。ほかの地元自治体も懸垂幕やのぼり旗を設置するなど、歓迎ムードが高まっている。

 鹿部町の記念イベントでは、鹿部産スケトウダラを油で揚げた「スケソスティック」を各日200食限定で無料で配る。町のキャラクター「カールス君」と「いずみちゃん」も登場、自由に写真撮影できる。また、町水産物衛生管理推進委員会(委員長・村田昇鹿部漁協組合長)が考案した「スケソ親子サンド」も1個300円で販売。スケトウのフライをパンに挟み、明太子入りソースをかけた商品で、町ご当地グルメとしてアピールする。両日とも午前11時から。雨天決行。

 鹿部町水産経済課は「森町から車で30分に位置する鹿部町にとって、開通は念願だった。函館市縄文文化交流センター(臼尻町)へ向かう人が増えると思うので、同じルートを通る鹿部にも、ぜひ立ち寄ってほしい」と期待を寄せる。イベントに関する問い合わせは同協会TEL01372・7・3344へ。

 森町では、森IC開通を祝う懸垂幕(縦5メートル×横90センチ)を役場庁舎に設置。また、歓迎を示すのぼり旗約30本を、国道5号から森ICに通じる沿線に立てるほか、町内にある150店舗以上の商店などにステッカーを配り、ウインドーに張ってもらう。町中心部の街灯約40本にもフラッグを取り付ける予定だ。

 佐藤克男町長は「森町の開国≠ニも言えるほどの新時代の幕開けだ。町では『楽市楽座もりまち食KING市』など町外から客を呼び込むイベントを行っており、活動をさらに充実させたい。町が誇る地熱発電も道内に広く紹介したい」と力を込める。

 八雲町は、八雲IC—落部IC間にある八雲パーキングエリア(PA)に隣接する噴火湾パノラマパーク(道立広域公園)の入り込み増を期待。町企画振興課は「これまでは上り(函館方面)へ向かう人の利用が多かったが、森IC開通により、下り(札幌方面)へ向かう人にも寄ってもらえれば。今後はパーク内にある物産館(仮店舗)について、観光と物販の拠点化を目指し新たな整備を検討中」としている。(山崎大和)



◎企画「命を見つめて」認知症@ 感じる愛情 介護の支え

 「あの時、わたしを信頼していた母親が初めて真顔で疑った。情けなくて介護する気力を失った…」。函館近隣の主婦(57)は、アルツハイマー病の実母(82)の介護で唯一弱音を吐いた5年前の夜の出来事を思い出す。

 主婦は母親に「わたしのお金とったの」と一方的に責められた。認知症特有の物とられ妄想と分かっていたが、突如の変わり様に悲しみとむなしさに包まれ、涙があふれた。単身赴任中の夫に電話で気持ちをぶちまけた。ずっと聞き役になっていた夫が最後に一言語り掛けた。「一番頼りにされているお前が守らないで誰が守るの」。主婦は「はっ」とし、次第に冷静さを取り戻した。

 2年前から母親をグループホームに託したが、「定期的に会い、見守ってあげることも大切」と“心の介護”を続ける。  病気による記憶、認知機能の障害で母親との会話はかみ合わない。それでも母親は時折、いたわりの言葉を主婦に掛ける。主婦は「心の奥底には子を思いやる親の愛情があると感じる。今の母は老いの姿をわたしに教えてくれている」と温かく見守る。

 くも膜下出血の後遺症で認知症となった母親の介護を10年以上続ける函館市内の50代の男性は「介護は一人で抱え込んではいけない」と話す。

 男性は勤めていた会社を辞め介護に専念したが、最初は「自分がやらなければ」という思いが強かった。食事や入浴、着替えの介助をし、病院にも常に付き添った。母親の笑顔を見ると安心でき「また頑張ろう」と思えた。

 しかし、1日の大半を母親の介護で過ごし、自分の持てる時間は買い物か、少しの散歩の時くらい。介護は思った以上につらく、母親なのに他人のような気がしたこともあったという。

 体調を壊して入院した2002年冬、転機を迎えた。同室の人から介護の制度や知識を得ることができ、「一人じゃない。他人を頼ってもいいんだ」と思えるようになった。

 今は週1回、ホームヘルパーを利用し、周囲のサポートもあり、気持ちに余裕を持って介護に臨む。「年に数回、弟も来てくれ、気を張り詰めることもなくなった」。母親と楽しく生活を過ごしている。

 厚生労働省の推計によると、認知症は200万人を超え、増加の一途をたどる。大半は65歳以上の高齢者が発症し、高齢社会を象徴する病といわれる。

 「命を見つめて」第4部は認知症編とし、認知症対策の現状や課題を探ります。(医療問題取材班)

 ◆認知症 脳や身体の病気で記憶や認知機能などに障害が現れる症状。以前は痴ほう症、ボケ老人と言われていたが、侮べつ的な表現との批判があり2004年から認知症に改められた。認知症を伴う主な病気は、脳が委縮するアルツハイマー病や、脳梗塞などが原因で脳細胞にダメージが残る脳血管性認知症がある。


◎北大・松石准教授らの活動が漫画に…クジラなどの漂着研究

 浜辺に打ち上げられたクジラやイルカの研究を続けている北大大学院水産科学研究院の松石隆准教授と学生らの活動が、誠文堂新光社(東京)発行「子供の科学12月号」(月刊誌)の漫画で紹介されている。クジラ110番「ストランディングネットワーク」の活動で、具体的な様子や課題を分かりやすく6ページで紹介。興味深い内容で、全国の主要書店で販売している。

 科学全般の話題を漫画で描く人気コーナーに登場。理系漫画家として活躍中の、はやのんさんが函館で取材し、函館在住のアシスタントも制作に携わった。

 ストランディングとは海の生き物が岸や暗礁に乗り上げることで、松石准教授らは浜辺に打ち上げられたクジラやイルカを調べ、貴重な研究サンプルとして研究者に届ける活動をしている。胃の内容物や解剖データなどから、生態だけではなく海洋環境についても知ることができる。

 作品では、松石准教授と北大4年の松田純佳さんがイラストで登場し、これまでの活動を紹介。ネットワーク活動で通報が入ると現地へ向かい、大型のものはその場で解剖されることもあり、「クタクタになりますが、水産庁への報告書を完成させないといけません」「この分野では大発見や新発見が一度に来ることは、めったにありません。地道に地道に研究を続けていくという感じです」と苦労を伴う活動秘話も。

 作品を案内するキャラクターは、この調査活動の成果が海辺に漂着して息絶えるクジラなどを減らすことを期待し「『好き』っていうのは、かわいいものをかわいがるだけじゃないってことだぜ」とまとめている。

 「子供の科学」は9万部発行。戦前から科学全般の話題を取り上げ、幅広い世代に愛読されており、中でもこの漫画面は「一番読者に読まれている特別なコーナー」(同誌編集部)で、2003年5月号でも青函トンネルが取り上げられている。B5判、定価680円。(田中陽介)


◎地域の恵みに感謝…函館八幡宮で新嘗祭

 勤労感謝の日の23日、函館市谷地頭町の函館八幡宮(中島敏幸宮司)で五穀豊穣(ほうじょう)を祝う「新嘗祭(にいなめさい)」が開かれた。コンブやスルメ、ハクサイなどの産物を神殿に供え、地域の恵みに感謝した。

 新嘗祭は、農民が精を出して育てた新穀を天皇が神に奉って感謝、自らもこれを食してその年の収穫に感謝し、国家の安泰を願う。函館八幡宮では、一年で最も大きな祭儀とされる。

 この日は、奉賛会や敬神婦人会の氏子ら40人が参列した。御神体がまつられている本殿奥の扉を開け、中島宮司が祝詞を奏上し、氏子らが幣帛(へいはく)をお供えした。

 石崎地主海神社雅楽会による神楽「豊栄の舞」が奉奏され、最後に参列者全員が玉ぐしをささげた。(田中陽介)