2011年11月28日 (月) 掲載

◎イカ食べて学んで 親子で調理や解剖

 函館湯川小学校で27日、函館の魚「イカ」について学習するイベントが開かれた。児童と保護者約100人が参加し、和気あいあいとイカ飯作りなどを行った。

 同校のPTAが主催し、みなとまちづくり女性ネットワーク函館(折谷久美子代表)が指導を担当した。前半はイカ飯作りに挑戦し、味がしみ込むようにつまようじで穴をあけたり、もち米を詰める作業を行った。「ヌルヌルして入れにくい」と慣れない作業に悪戦苦闘しながらも、親子で力を合わせて米を詰めた。

 炊きあがりを待つ間は、北大水産学部の学生による「イカ講座」が開かれた。スクリーンを使いながら「イカとタコの違いは」「泳ぎ方や足の使い方は」とクイズ形式で進められ、子どもたちの興味を引き付けた。

 解剖では、足や目、墨袋などを学生の指導を受けながら観察した。子どもたちはハサミを使いながら「大きい目。足長いね」と興味津々の様子。その後は出来上がったイカ飯をみんなで試食した。

 参加した3年生の木村琴音さん(8)は「墨袋やイカの色が変わるところが楽しかった。初めて触ったけど、ぷにゅぷにゅしていた」と笑顔で話していた。(平尾美陽子)



◎「補助金」に批判相次ぐ 事業仕分け

 本年度3回目の函館市「事業仕分け」が27日、市役所で開かれた。2つの班で市が支出する補助金11件について審議したほか、補助金に関するあり方について総括審議を行った。各委員からは、支出した補助金に対する判定や検証がなされていないとして批判が相次ぐとともに、検証に向けた第三者機関の設置を求める意見があった。個別審議では11件中7件で「改善が必要」と判定した。。

 27日は外部委員14人中12人が出席。個別事業を審議した後、補助金について総括審議を行った。。

 市財政課は補助金について「本来、行政の仕事ではないものに対して支出している」と説明したが、各委員は「成果に対する判定がずさん。担当部局が判定材料を持っていないのはおかしい」「補助に対する効果の検証がまったくない」などと批判。市が全額出資する団体にOBが再就職している実態への指摘も多く、「OBが団体の長に座っていては、自主独立の精神は育たない」などの意見も。各委員は総じて、第三者による外部評価や、補助金の支出要綱制定の必要性を指摘した。。

 個別審議では、函館ハーフマラソン大会開催補助金(本年度予算1800万円)で「改善が必要」と判定。毎年10人以上の招待選手を呼んでいることに対し「減らして運営経費に充てるべき」とする指摘や、無線機を4台、100万円で購入したことに対し「リース契約とすべき」とする意見があった。。

 このほか、ロシア極東連邦総合大函館校支援補助金(3000万円)も改善判定。10年以上同額の支出を続けていることや入学者の少なさ、収入の約4割を補助金が占める実態が浮かび上がり、ロシアの本校からの支援を求める意見が目立った。市企画部は「ロシアの本校に留学できることをPRし、入学者増加に努めたい」とした。。

 市文化・スポーツ振興財団への補助金(8438万円)では、56ある自主事業のうち48事業が赤字という実態が示され、補助金頼みの運営を改善するよう要望。函館国際水産・海洋都市推進機構補助金(2550万円)も、事業遂行に向けた行動計画を作成していないことに対し、2014年度の水産・海洋総合研究センター供用開始までに急ぐよう求めた。 (千葉卓陽)



◎企画「命を見つめて」認知症(4) 当事者の権利擁護推進を

 判断能力が低下した認知症当事者が日常生活を安心して暮らしていくには、周囲のサポートとともに当事者の権利を擁護する取り組みが必要だ。  6月に国会で可決・成立し、来年4月に施行される改正介護保険法は、要介護者らに対し医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスを切れ目なく提供する「地域包括ケアシステム」の推進が大きな柱。認知症対策にも目を向け、特に権利を擁護するための体制整備も進められる。

 当事者の代わりに財産管理や契約行為を行う成年後見制度は2000年に介護保険制度とともにスタートした。福祉の充実に欠かせない制度ではあるが、制度自体が十分知られていないとして全国的に根付いていない。

 同制度は本人や配偶者、区市町村などの申し立てに基づき家庭裁判所が支援者を決めるが、通常、配偶者や子など親族がなるケースが多い。身寄りがない場合、弁護士や司法書士などが後見人になっている。

 海外ではドイツが100人に1〜2人が同制度を利用しているのに対し、日本は1000人に1人程度とされている。函館市でも全国同様、浸透しているとはいえない。

 高齢社会の進展で、今後ますます成年後見人を必要とする人が増えると予想される。身寄りのない高齢者も増え、後見人の担い手不足が懸念されており、親族の代わりに一般市民を後見人とする「市民後見人」の必要性が高まっている。

 道内では小樽市が同制度を積極的に利用し、08年に1回目の市民後見人養成講座を開催している。また、東京都品川区も02年に「品川成年後見センター」を設立するなど、後見人の育成に取り組んでいる。

 だが、市民後見人の養成研修期間が市町村によって異なり、養成状況に地域差がある。後見人への報酬も月2〜3万円程度と低いのも課題に挙げられている。函館市内の社会福祉士湯浅弥さんは「後見人は当事者の財産管理などを行うため権利の重さ、倫理観を十分認識しなければならない。行政と専門職がしっかり連携を取って養成していくことが重要だ」と指摘。

 厚生労働省は本年度から全国の一部の市区町で市民後見人のモデル事業を実施し、制度の浸透に本格的に取り組む。函館市もモデル事業に指定されていないが「今後育成に努めたい」としている。湯浅さんは「制度を知らない人が多いので市民後見人を育成する前に啓発を進め、制度を根付かせていく必要がある」と話す。

 (医療問題取材班)

 ◆市民後見人 親族がいない場合、一般市民を後見人に選ぶ制度。認知症や法制度の研修を受けてもらい、修了者を市町村に登録。首長などが申し立てをするときに後見人候補として家庭裁判所に推薦する。不動産や預貯金などの財産管理、介護サービスに関わる法的な契約を本人の代わりに行う。  


◎五稜郭に希望の明かりを

 国の特別史跡・五稜郭の堀を電飾し、星形を浮かび上がらせる「五稜星の夢(ほしのゆめ)」の電球設置作業が27日、同史跡で始まった。今年も2000個の電球で冬の函館観光を盛り上げる。

 実行委員会メンバーやボランティアら約60人が参加。実行委のメンバーが取り付け作業について説明した後、参加者はグループごとに作業を開始した。周囲1・8`の堀に沿って杭を土のうで固定した後、電気ケーブルを引っ掛け、電球を取り付けていった。あいにくの雨だったが、参加者は熱心に設置作業を進めていた。

 実行委の宮下俊雄さん(67)「今年は大震災もあって中止も検討したが、最初に行った時の気持ちを思い起こして実施することにした。頑張っている気持ちを発信して、希望の明かりになれば」と話した。

 電球の設置作業は28日以降も行い、点灯試験を行った後、12月1日から来年2月29日まで、午後5時〜10時に点灯する。点灯初日の1日午後5時は花火を打ち上げる予定。実行委は1口500円の募金を受け付けている。問い合わせは実行委員会事務局TEL0138-40-8009。       (鈴木 潤)