2011年11月6日 (日) 掲載

◎世界の文化 函館に集結

 函館市内や近隣の国際交流団体が集うイベント「地球まつり」が5日、函館市青年センター(千代台町)で開かれ、大勢の市民でにぎわった。

 国際交流や国際協力、多文化共生に関心を持ってもらおうと、21の国際交流団体が実行委(山崎文雄委員長)をつくり企画したイベントで、今年で7回目。

 会場には、各団体のブースが並び、グッズ、民芸品の販売や民族料理レストランを開店。函館日本語教育研究会主催の日本語スピーチ発表会も行われ、外国人5人が発表した。

 函館市はウラジオストク市(ロシア)など6姉妹都市にかかわるパネルを展示したほか、クイズを出題し、全問正解者に景品をプレゼント。函館YWCAは、パレスチナの女性たちが丹精込めて作った伝統刺しゅう品を販売した。

 国際協力機構(JICA)函館デスクのブースでは、ウズベキスタンやパナマなど20カ国の民族衣装の試着撮影が行われ、来場者は好みの国の衣装を試着していた。

 道教育大函館校2年の上野祥仁さん(20)は「函館の国際交流団体がどのような活動をしているのか知りたくて来場しました」と話した。青年海外協力隊道南OB会の小林正歩会長(45)は「地球まつりは知らない国に行った気分になれる。これをきっかけに外国や国際ボランティアのことを知ってもらえれば」と期待を寄せた。(鈴木 潤)



◎お歳暮商戦 各店決起

 11月に入り、道南の大型小売店などでは、お歳暮など年末ギフトを販売する特設コーナーを続々と開設している。1件当たりの低価格化や送り先の減少などで売り上げが伸び悩むなか、各店は選べるギフトや地元商品、スイーツなどを充実させて消費者の心をつかもうとしている。コーナーの設置はいずれも12月25日ごろまで。

 5日にギフトセンターを開設したのは棒二森屋(函館市若松町)。午前10時の開店前に約100人の社員が集まり、そろいの半被姿で気合の「がんばろう」三唱を行った。安藤正和店長は「お歳暮は1年間でも大きな売り上げを占める。『身近な人を大切にしたい』との思いでギフトを選ぶ人も多く、社員が気持ちを一つにしてがんばろう」と決意した。

 同店はアイテム数を約690と昨年より増やし、根強い人気のある地元商品の「選べるギフト」を豊富に展開。幅広い年代に人気のスイーツを充実させ、東日本大震災の東北被災地の商品も意識的に扱っている。ただ15%引きなど低価格商品が売れる傾向にあるといい、ギフト1件当たりの平均単価は4000円だ。

 テーオーデパート(同市梁川町)はこれより早い3日にコーナーを開設。同店も1件当たり平均は4000円前後と近年下がる傾向にあり、「ことしは特にお買い得品のウエートを高めた」。

 丸井今井函館店(函館市本町)は16日からの予定。1件当たりの単価はさほど変わらないが、1人平均5〜10件ほどと、送り先を減らす傾向にあるという。ここ数年は道産品の品ぞろえに力を入れており、函館の特徴である「地元の商品を送りたい」という希望に応えて海産物加工品やソーセージなどを豊富にそろえるとした。(小泉まや)



◎荻原さん全国へ 日本クラシック音楽コン札幌地区本選小学校高学年ピアノで優秀賞

 震災被災地の福島県から函館へ引っ越してきた荻原るうかさん(10)=函館亀田小4年=が、10月19日に札幌で開かれた日本クラシック音楽コンクール(同音楽協会主催)札幌地区本選の小学校高学年の部(ピアノ)で優秀賞に輝き、全国大会出場権を獲得した。荻原さんは「楽しい気持ちで精いっぱい弾きたい」と意気込んでいる。

 同コンクールは若い世代の育成とクラシック音楽の普及などを目的に毎年開催。楽器ごとに全8部門、小学校から一般まで6部に分かれ、任意の演奏曲の表現力や技術を審査する。6月に函館へ来た荻原さんは、函館のピアニスト伊藤亜希子さんの教室に通い始め、8月に札幌地区予選を通過していた。

 小4〜6年生8人ほどが出場した今回の本選で、荻原さんはショパンのワルツなど2曲を奏でた。「緊張したけど、地区予選の時より自分なりの表現ができた」。毎日2時間以上の練習の成果が実り、12月下旬に東京で行われる全国大会出場者4人のうちの1人に選ばれた。

 荻原さんは父の忠さん、母の香織さんと福島市で暮らしていたが、3月11日以降、強い余震や福島第一原発事故の影響に悩まされ、香織さんとともに祖父母らが住む函館へ。忠さんは仕事で福島に残っているが、荻原さんの全国大会出場が決まると「よくやった。次も頑張れ」と喜んでくれたという。

 函館に来てもうすぐ5カ月。当面はこの地で暮らし、夢のピアニストを目指す。荻原さんは「こっちの生活にも慣れてすごく楽しい。ピアノはまだまだ勉強が必要だけど、全国大会では納得できる音楽を披露したい」と話している。(長内 健)


◎クジラ料理おいしい

 北大水産学部の学祭「北水祭」が5日、函館市港町3の函館キャンパスで始まった。各学科の展示や発表、模擬店などが行われ、大勢の市民らが足を運んだ。鯨類研究会(尾崎司宙代表、40人)による恒例の鯨肉やクジラ料理の提供が人気を集め、開場時間の午前10時半前に10人以上の長い列ができた。6日まで。

 同研究会の展示発表は今年で11回目。幅広い世代に鯨食や捕鯨文化に触れてもらおうと、くじらけんちんうどん、ミンククジラの赤身肉、鯨大和煮の缶詰を提供した。

 同研究会は毎週1回、フェリーに乗り、クジラやイルカの目視調査を行っていて、回遊経路や来遊時期の展示発表が来場者を感心させている。昨年の来場者アンケートで、クジラ汁のリクエストが多く寄せられたため、今回はくじらけんちんうどんを販売。プロの料理人から鯨肉の提供と料理の指導がされた。薄く切られたヒゲクジラを使用し、うどんの上にキャベツなど野菜が具だくさんに盛りつけられ、味付けはクジラのうま味を逃がさないよう、昆布のだしをベースに作られている。

 市内美原から家族で訪れた高井望花ちゃん(3)は「とてもおいしい。お祭りも楽しい」と笑顔で話した。同研究会の尾崎代表と水野裕菜さんは「研究成果を見てもらうとともに、貴重なクジラ料理をぜひ味わってほしい」と呼び掛けている。

 6日の販売は午前10時半から数量限定。(柏渕祐二)


◎漁業の未来は「異業種と交流」

 函館市の漁業の在り方を探るシンポジウム「はまの未来を考える」(NPO法人川や海を守り伝統を伝える会主催)が5日、大船町のホテル函館ひろめ荘で開かれた。漁業関係者ら約30人が集まり、国際的な視点から理解を深めた。

 同シンポジウムは年1、2回、南茅部地域を会場にして開催し、今回で4回目。「海洋保護区と漁業者の役割〜国際・国内・地域のつながり〜」と題して開いた。

 基調講演では海洋政策研究財団研究員の脇田和美さんが「PEMSEA(東アジア海域環境管理パートナーシップ)など東アジアの海洋環境政策の動向について」をテーマに話した。

 脇田さんは5年ほど前にカンボジアの漁村で起こった小規模漁業者と大規模商業漁業者との衝突事例を紹介。「大規模漁業者が漁獲高を増やすために地域漁業区域へ侵入するなどして衝突し、死者も出るほど深刻な問題があった。しかしPEMSEAなど複数の機関が協力し、海洋保護区を設定して人工魚礁も設置したところ、小規模漁業者の漁獲高が増加し、問題が改善された」と説明した。その上で「多様な問題に対応できるように漁業以外の異業種と交流することが大切で、積極的な情報発信にも努めてほしい」と提言した。

 そのほか、「国際協調とサケマス資源の持続的管理」をテーマにした講演のほか、関係機関の教授や研究員ら5人が参加したパネルディスカッションも開かれ、国際的な視点から漁業の今後を議論した。(後藤 真)