2011年11月8日 (火) 掲載

◎38人 漁師への第一歩

 【鹿部】道立漁業研修所(町本別、一條雄治所長)は7日、本年度の総合研修修了式を同所体育館で開いた。本年度は全道各地から集まった18〜25歳の計38人が寮生活を送りながら、半年間にわたり漁業技術や資格取得に励んだ。修了生は地元に戻り、道漁業の担い手として第一歩を踏み出す。

 本年度は渡島、桧山管内の5人をはじめ、日高、釧路、根室、オホーツク、宗谷、留萌の各管内から漁業者を目指す若者が5月に入所した。

 式では、一條所長が修了生代表に修了証書を手渡し「周囲から信頼される漁師となれるよう地道に足場を築いていってほしい」と式辞。道水産林務部の小田千秋次長が「浜のけん引役として活躍することを期待する」と励ました。

 来賓の川村茂鹿部町長、道信漁連函館支店の松永顕支店長が祝辞を述べた。

 修了生を代表し、オホーツク管内斜里町出身の馬場俊充さん(25)が「学んだことを生かし、一日も早く立派な漁師となり、道水産業の発展に貢献できるよう頑張っていきたい」と決意を述べた。

 同所によると、修了性は一級小型船舶操縦士(学科、実技)、潜水士、玉掛け技能講習などの合格率が100%に達したほか、関連法規の学習や、町内での漁業研修など計700時間に及ぶ研修を終えた。1997年度の開設以来、昨年までに580人が修了した。(山崎大和)



◎市立3病院 3億3666万円黒字

 函館市病院局は7日、市立3病院の本年度上半期(4〜9月)の収支実績を公表した。市立函館と恵山、南茅部の3病院合わせた単年度財源化不足額は3億3666万円の黒字となったが、黒字の幅は昨年度からは約1億5000万円下回った。

 病院事業は2009〜15年度を計画期間とする「市病院事業改革プラン」に基づいて収支改善を図っており、同日開かれた、本年度2回目の市病院事業経営改革評価委員会(委員長・岩田州夫公立はこだて未来大副理事長)で報告した。

 同局によると、上半期の1日あたりの入院患者数(一般)は市立函館で466.5人と目標値(485人)を下回り、病床利用率も73.6%(目標値76.5%)に届かなかったが、新入院患者の増加に加え、平均在院日数を昨年度から1日短縮したことで1人あたりの単価が上昇した。材料費が当初の計画から1億3000万円上回ったが、給与費で1億2000万円減少。結果、単独での財源化不足額は2億7495万円の黒字で、計画比では867万円上回った。

 ほか2病院の財源化不足額は恵山で5055万円、南茅部で1116万円の黒字だったが、計画からはいずれも下回っている。

 市立函館病院の木村純院長は材料費の伸びについて「血液製剤や感染症での使用が増え、新薬も出てきている」と説明。同院長はそのうえで単年度黒字は維持できるとの見方を示し、「今後数年は人口が減少しても、患者が減ることはないと考える。3〜5年のうちに黒字体質を作り、マンパワーの拡充など体力を付けたい」とした。(千葉卓陽)



◎下肢静脈瘤レーザー治療 保険適用は道南初 市立函館病院で

 市立函館病院(港町1、木村純院長)は10日から、心臓血管外科で下肢静脈瘤(りゅう)のレーザー治療を行う。レーザー治療の一部が今年1月に保険診療となったのを受け、専用の機器を導入した。保険適用のレーザー治療は道南で初めて。

 下肢静脈瘤は脚の静脈に血液がたまり、血管がコブ状に膨れる病気。血液の逆流を防ぐ弁が壊れることによって起き、中高年の女性に多く発症するといわれる。だるさやむくみ、かゆみを伴い、悪化すると潰瘍ができることもある。血管がモコモコと浮き上がるため女性は美容の面で悩み種となっていた。

 静脈瘤ができた血管を取り除くストリッピング手術が治療の主流だが、全身麻酔、局所麻酔による入院が伴い、手術痕も残るといった課題があった。

 保険診療が適用されたレーザー治療は、専用器を使った「ELVeS(エルベス)レーザー治療法」。レーザーを発するカテーテルを血管内に挿入し、静脈瘤の原因となっている静脈を内側から焼き、逆流しないよう閉塞する治療で、針先程度の傷跡がつく程度だ。治療時間は1時間程度で、日帰りも可能だ。

 全額自己負担の自由診療の場合、片脚で20万〜30万円だが、保険診療により3割負担で5〜6万円ほどですむことになる。

 保険適用のレーザー治療は道内では札幌圏の数カ所の病院で行われていて、市民からの問い合わせや要望が多かったことから函病でも導入を決めた。

 同科の森下清文科長(57)は「手術と比べて傷がほとんど残らないのが最大のメリット。レーザー治療を受けるために札幌まで行く必要がなくなり、患者の負担もさらに軽減されるはず」と話す。  同科の診療日は月、水曜の午前8時半〜同11時半と金曜の午後1時半〜同3時。問い合わせは同科рO138-43-2000(午後3時〜同5時) (鈴木 潤)


◎函館レク協会 函大有斗高ボランティア事務局 道社会貢献賞受賞

 長年にわたる活動で地域福祉に貢献したとして、函館市内のNPO法人函館レクリエーション協会(水落敏博会長)と函大有斗高校(宮岡秀昌校長)のボランティア事務局がこのほど、道の本年度社会貢献賞(知事賞)を受賞した。同市町会連合会常任理事の桧森裕三さん(71)=亀田本町第3町会=が道地域活動推進功労賞(道地域活動振興協会理事長賞)を受けた。先月25日、札幌市で開かれた地域活動道民大会で表彰された。

 同NPO法人は1972年に設立。地域住民や団体、児童、障害者らに対し、レクリエーション事業を企画したり、インストラクター養成に努めた。2009年に任意団体からNPO法人に移行し、現在、会員は83人。

 同事務局は63年に部活動の一つとして創部。地域や校内の清掃活動や社会福祉施設への寄贈活動などを続けてきた。局が休止状態となり、学校全体の活動として行われた時期もあったが、2年ほど前に局を復活させ、現在1〜3年生17人で活動する。

 桧森さんは86年から町会活動に携わり、2000年から町会長を務める。04年に町会連合会の常任理事に選任され、交通部長として各町会の交通安全啓発に尽力してきた。

 同法人の水落会長(67)は「レクリエーション活動は人間関係が希薄になりがちな社会に求められている。これを契機に豊かな地域社会づくりに貢献していきたい」とし、ボランティア事務局の再興に力を注いだ局長の伊藤青杜君(3年)は「地道な活動が認められ、うれしい。謙虚な気持ち、思いやりの心を持ち続けて活動をしていきたい」と喜びを語った。

 桧森さんは「お年寄りが安心して暮らせるまちを目指し、引きこもりがちな人たちに積極的に声掛けているが、徐々に成果は出てきている。交通安全活動も含め、今後も地域づくりに貢献していきたい」と話していた。 (鈴木 潤、長内 健)


◎避難の被災者に義援金を手渡し

 道公立学校教職員互助会特別会員函館市支部(函教互、松下芳明支部長)の有志16人が7日、函館に避難してきた東日本大震災被災者の家庭へ出向き、義援金を届けた。関係機関を介さない手渡しのボランティアで、受け取った人たちも「函館は優しい人ばかり。本当にありがたい」と感謝した。

 同支部ボランティア部は「何かの役になれば」と6月中旬から大勢の会員へ義援金寄付を呼び掛け、約3カ月半で計123万7501円集まった。これをいち早く渡そうと、函館市役所の協力を得て避難者の世帯を把握し、11日まで81世帯196人へ1人5000円ずつ配る予定。

 参加者は初日、同支部事務局(中島町)での出発式の後、午前9時過ぎから2人1組に分かれ自家用車で市内各地に移動。このうち、松下支部長(70)らは最初に、放射性物質漏れの影響で今春東京から逃れてきた斉藤悠香さん(30)方へ訪問し、現金入り封筒を手渡した。

 母の永井菊子さん(67)、長女(6)、次女(4)とで函館へ来て、10月2日に長男の清人ちゃんを生んだという斉藤さんは「ここでの生活は市民の皆さんの心強い支えのおかげ。大切に使わせて頂きます」と感謝。松下支部長は「被災地へ行って支援したいところだがなかなかそうもいかない。使い道は何でも構わない。早く避難者の暮らし向きが良くなれば」と話していた。(長内 健)