2011年12月1日 (木) 掲載

◎後味すっきりイクラ販売 「ノニ」使用のしょうゆで漬ける

 食品製造販売の「カドウフーズ」(函館市追分1、嘉堂聖也社長)は、南茅部産マコンブと南国生まれの果実「ノニ」(和名・ヤエヤマアオキ)の酵素を使用した無添加しょうゆで漬けたイクラ「喜富(よろこぶ)いくら」の販売を開始した。解凍後に出る汁(ドリップ)が少なく、後味がすっきりとしたのが特徴。同社は「ぷりっとした食感で、味もまろやか。ぜひ味わってほしい」と話している。

 ノニは東南アジアや南太平洋地域原産で、「ハーブの女王」とも呼ばれ、栄養成分が豊富で、果汁は健康飲料として知られている。このノニ果汁と南茅部産のマコンブを使用したしょうゆ「喜富」は、「函館道南食糧工業」(函館市栄町)が2009年から製造。近年の食の安全性や健康志向の高まりから、都内の高級百貨店でも取り扱われている。

 カドウフーズは既存製品の高付加価値化を目指し、「喜富」を使用したイクラのしょうゆ漬けの製造協力を「道南冷蔵」(北斗市追分3)に依頼。道産サケから採取した魚卵を使用し、ノニの効果か、ドリップの量も抑えられ、魚卵本来の味わいや食感が楽しめる製品に仕上がったという。

 「総合物流嘉堂」の嘉堂卓也社長(37)は「好評であれば、来年の秋以降は販路を拡大していきたい。松前漬けなどこのしょうゆを使用した商品の開発も進めたい」としている。

 200グラム、2500円。JR函館駅構内の土産販売店「ポッポ」で取り扱うほか、受注販売を受け付けている。問い合わせは同社TEL0138・62・6077。(今井正一)

 



◎コープさっぽろ 石川中央に新店舗開設へ

 区画整理事業が進められている函館市の石川中央地区に、道内スーパー大手のコープさっぽろ(札幌)が2012年11月に進出する計画だ。同地区は出店できる店舗面積が1500平方メートルまでに制限される地域。だが建設基準法で定める「ただし書き制度」の適用を市が認めた場合、店舗面積の緩和が可能。予定の売り場面積は約2000平方メートルで、コープさっぽろの大見英明理事長は「申請は認められる見通し」とする。

 30日に函館市内のホテルで開催したコープさっぽろ函館地区生協会で、大見理事長が計画を報告した。

 着工は来秋で、その後市に申請するという。新タイプの店舗として札幌市内などで展開する、木造建築の省エネ型店の道南1店舗目となる。高機密で空調効率を高めるほか、屋上に太陽光発電設備を設置する。

 また七飯町大沼で12月上旬にもバイオガスプラント建設に着手し、ここで生産したガスを燃料に使用して二酸化炭素削減を図る。建設地は七飯町大沼のJR大沼公園駅に隣接するJR北海道の敷地。大沼周辺の酪農家から集めた家畜のふんに、周辺店舗が排出した食品残さを混ぜ、他施設で生成するバイオディーゼル燃料副産物のグリセリンを投入して発生効率を高める。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受けた事業で、酪農学園大学(江別)の協力を得る。

 新店舗について大見理事長は、ほぼすべてを再生燃料で賄えるまったく新しいタイプの店舗であることを強調。「まさにエネルギーの地産地消」と話している。(小泉まや)



◎函館駅—新函館駅経営分離問題 函館市年内結論へ正念場

 北海道新幹線の札幌延伸時にJR北海道が函館駅—新函館駅(仮称)間17・9キロを経営分離する方針を示している問題をめぐり、函館市は正念場に立たされている。国土交通省は年内に整備新幹線未着工3区間の是非を判断する意向を示し、新函館—札幌間早期着工への機運が高まっている一方、工藤寿樹市長がJRの方針に一定の理解を示したことに対し、地元経済界が猛反発。地元には道の対応に対する不信感も根強く、結論を見いだすのは困難な情勢だ。

 JRの経営分離方針に対し函館市は昨年、西尾正範前市長が反発。昨年9月には市や函館商工会議所、市町会連合会などが合同で経営継続を求める約11万人の署名を集めて同社に提出し、道に調整を求めた。

 一方で、今春就任した工藤市長は「鉄路を残すことが最優先」と主張。11月24日の定例会見では「事業主体をJRと限定するつもりはない。柔軟に考えたい」「JRがやりますという話は99%ないと思っている」と発言。第3セクターでの運営も「うまくやれば黒字になる可能性はある。赤字が生じても数千万の範囲ではないか」と一定の理解を示したことで、JRによる経営継続を一貫して主張してきた経済界の反発を生んだ。

 ある市幹部は「現実を見据えた発言だったが、経営分離を容認したととらえられ、(道や国に)外堀を埋められてしまった」と話す。市議会は昨年5月に経営継続を求める決議を行っているだけに「市長が代わってもこれまでの経過がある。引き継ぐものは引き継がないと」(ベテラン市議)との声もある。

 道は昨年6、9月にJRに経営分離の再考を求めてきたが、「JRによる経営継続は困難」と回答してきたのは、それから1年以上たった先月24日。回答を受けて28日に開かれた市議会総務常任委員会では「本当に道が真剣に取り組んできたのか疑問。道は責任を取るべき」「やっぱりやめるとかバス転換とか、努力だけでは困る」と、道への手厳しい声が上がった。

 地元にはこれまでの新幹線誘致をめぐる苦い記憶がある。新幹線新駅は札幌延伸を見据えた中で北斗市(旧大野町)に建設され、新駅—現駅の交通アクセスに関し「短絡線方式などで現駅に乗り入れる」として94年に道と交わした覚書は、05年の確認書で「現実的には困難」として破られた。

 道は市に対し、鉄路維持に向け最大限の努力をすると回答したが、「いかようにも受け取れる内容。これで住民が納得するわけにいかない」(ある市議)と不信感は募る。

 札幌延伸に伴う経営分離で「3セク化されたら、街は必ず縮小する」(経済界関係者)との声がある一方、日本の国土軸を完成させる意味では延伸が必要不可欠。これまでオール北海道で建設促進運動に取り組んできた経緯もあり、「函館が孤立してはならない」(保守系市議)との危惧は強い。年内とする国の方針決定に向け、予断を許さない状況が続いている。(千葉卓陽)


◎師走—サルのんびり 店内にぎわう

 今年もあと1カ月—。各地の店頭には正月飾りやカズノコ、コンブ巻きなどが並び、新年に向けた準備が進む。函館市営熱帯植物園(湯川町3)のニホンザルたちは、この冬も温泉を満喫。師走の慌ただしさをよそに、「いい湯だね」とくつろいだ表情を見せている。

 ホクレンショップ函館昭和店(昭和1)では、11月中旬から正面玄関付近に正月飾り売り場を設けた。豪華な飾りで新春のにぎわいを演出し、「まだ買う人は少ないが、皆さんの興味は確かで品定めをしている人も。12月に入り、大安の日や雪が降り始めるころに毎年一気に売れる」(同店)という。値段は400円前後〜4000円で例年並み。30日に来店した年配の男性は「あっという間に正月が来る」と話していた。

 熱帯植物園恒例のサル山温泉は、1日から一般公開。42度前後の源泉は皮膚病、神経痛、切り傷に効能があり「94匹のサルたちは今年も熱い湯を心待ちにしていた」と担当者。30日正午の浴槽は40度で、5匹の子ザルも親ザルにしっかり抱きつき、体を温めていた。

 この日、職場体験学習でサルにえさを上げた尾札部中2年の吉田秀太君(13)と大坂光君(14)は「もぐって泳いだり、飛び跳ねたりと見ているだけで面白い」とにっこり。

 サル山温泉は来年の5月の連休まで。また園内には足湯があり、温室(25度前後)では南国の花が咲く。入園料は一般300円、午前9時半〜午後4時半。(田中陽介)


◎「一律昇給」に疑問の声

 函館市の行財政改革に向け、外部委員が具体策を検討する「市財政再建推進会議」(委員長・乳井英雄函館大谷短大教授)の第4回会合が30日、市役所で開かれた。来年1月に市長に答申する提言書に盛り込む歳出削減策のうち、今回は職員数や給与の削減など人件費を中心に話し合った。

 委員8人のうち6人が出席。11月26、27の両日に開かれた市の補助金に対する「事業仕分け」の判定結果を踏まえ、市側から「補助金をチェックする第三者機関を設置するべき」「補助金支出の基本的な考え方やルールをつくるべき」との意見が報告された。

 人件費の削減については委員から「このままでは年代別の職員比率がいつか大変な状況になる」と退職者を補充しない方針に懸念がある一方、「一律昇給では組織が活性化しない」「職員のモチベーションを保つ仕組みが必要」との意見も。小山内千晴人事課長は「人事評価制度の導入も検討している」と述べた。

 このほか、施設などの統廃合によるコスト削減についての言及も多く「ある程度の不便が生じても市民側の協力も必要」とし、予算や節約の状況について分かりやすい情報公開を求める声や、「予算執行も前年踏襲ではなく、実績ベースで評価すべき」との指摘も上がった。

 次回は12月16日に会合を開き、これまでの議論を踏まえた提言書の素案をまとめる予定。(森健太郎)