2011年12月14日 (水) 掲載

◎漁師自家製ノリづくり盛ん 恵山で

 函館市恵山町で自家製のノリづくりが行われている。軒先にすだれが並び、潮風と陽光を浴びて熟成。「味わい深いノリを食べて良い正月を迎えたい」と漁師の表情は明るい。

 このノリは取れる量が少ないことなどから販売されることはなく、漁師だけが味わえる逸品。おにぎりやノリ弁当、みそ汁、あえ物などに活用され、地元漁師は「食べる直前にガスコンロの火であぶると香ばしさが増してうまい」と紹介する。

 寒さ増す時期に姿を見せる岩ノリを摘み、真水で丁寧に洗って小石や貝を取り除き、ホタテの貝殻ですくってすだれにかたどる。熟練の技で均等の厚さに仕上げ、乾燥後にも素手でこすり不純物をはがす。「食べるのはあっという間だけど、ノリづくりは本当に手間がかかるよ」と漁業者。

 恵山の漁師によると今季の岩場のノリの付き具合は昨年より少なめ。例年、漁は年末から2月ごろの厳冬期にかけてピークを迎える。(田中陽介)



◎現駅—新駅経営分離問題 3セク後にJRが委託運行 道とJRが市に回答

 北海道新幹線の札幌延伸時にJR北海道が函館駅—新函館駅(仮称)間17・9キロを経営分離する方針を示している問題で、道とJR北海道は13日、函館市に対し、道が主体となって第3セクター会社を設立し、JRが3セク移行後に運行委託を受ける考えを文書で回答した。JRは併せて、2015年度の新函館開業までに、同区間の電化を提案した。工藤寿樹市長はこれをもとに、経済界や議会などからの回答を得て、16日までに道に態度を示す方針だ。

 道が11月に市に示した文書では、JRの経営継続は難しいとした上で、道は「3セク移行時の最大限の努力」、JRは「新函館開業時に利便性の高いアクセス輸送」「並行在来線に可能な限り協力」との姿勢を示したが、市側は内容があいまいだとして、両者に具体的な内容を求めていた。

 回答では、3セク会社設立に向けて道が主体となり、札幌延伸の認可、着工後早期に沿線自治体との協議の場を設けるとしたほか、負担割合については必要な出資、初期投資等について道が応分を負担し、「他県の状況など先行例を十分考慮する」とした。

 道はまた、3セクに対するJRの支援に言及し、@技術者の出向など技術、人的支援を行うA3セク運行にかかる必要最小限の鉄道資産の譲渡B譲渡は簿価を基本とし、土地区画整理事業に伴う補償金は含まれないC分離前と同等のサービスを維持するため、JR各社との乗り継ぎが可能となる発券システムの導入に協力する—としている。

 一方、JR北海道は新函館開業までに約40億円を投資して同区間を電化するとともに、快速列車用の新型車両を開発。電化により、現在27分程度かかる同区間は17分に短縮される。

 札幌延伸後の運行に関しては、「札幌開業後も利便性が損なわれないよう、3セク会社からアクセス列車の運行委託を受ける用意がある」と回答している。

 工藤市長は回答を受け、市議会や函館商工会議所など5団体に説明。取材に対し「内容を示しただけ。各団体が納得できるかはわからない」と話すにとどめた。中林重雄副市長は会見で「かなり前向きの回答をいただいた」と評価、その上で各団体に15日までの回答を求めたことを明らかにし「市長が最終的に判断する」と述べた。(千葉卓陽)



◎北斗市議会 鉄路維持求める決議可決

 【北斗】北斗市議会第4回定例会は13日、本会議を再開。北海道新幹線開業時にJR北海道から経営分離される江差線五稜郭—木古内間に関し、鉄路維持と沿線自治体の負担軽減を求める決議を全会一致で可決、本年度一般会計補正予算など9件を原案通り可決し、閉会した。決議は15日に、池田達雄議長ら10人が道と道議会に提出する。

 市は並行在来線の扱いをめぐり、10月末に開かれた道南地域並行在来線対策協議会で、道が同区間のバス転換とともに、道と沿線自治体の負担割合を「1対1」とすることに反発している。

 その後、道が道議会の場で鉄道方式を示唆したとして、決議では「道の場当たり的な対応に疑念を持つ」と批判。その上で鉄路維持とともに、道が旧上磯町に示した負担割合「85対15」の実行と、第3セクター鉄道運営に関し、JRに対し最大限の支援を要請することを求めた。

 市は札幌延伸後の函館駅—新函館駅(仮称)間17・9キロの経営分離に関しても態度を保留している。池田議長は取材に対し「道に思いを伝える中で、高谷寿峰市長にも報告し、市長がそれを受けて判断するべきもの」と話した。

 また、可決した議案のうち、一般会計補正予算案は歳入歳出に4億1631万円を追加、総額を216億7886万円とする。新幹線新駅の周辺整備にかかる、施設用地購入費などを盛り込んだ。(千葉卓陽)


◎クリスマス商戦本格化 今年のテーマは家族の絆

 クリスマスに向け、函館市内の百貨店やデパートでは多彩なプレゼントや子ども向け商品の販売が熱を帯びている。おもちゃやゲームなどの定番商品が売れ筋の一方、東日本大震災を受け「家族の絆」をテーマに商品展開する店舗も。各店とも商戦ピークを17、18両日とにらみ、売り込みを強化していく。

 11月中旬から特設会場「ボーニサンタランド」を設けた棒二森屋(若松町)。約300種のアイテムの中で特に力を入れるのが「人生ゲーム」など一家で楽しめるボードゲームだ。単価は1000〜5000円。電気や電池が不要なエコも売りの1つで「予想以上に売れている。一家でクリスマスを過ごそうという人々の意識を感じる」(同店)。

 また、11日まで予約販売していた53種類の「しかけえほん」(2000〜3800円)は、ページをめくると場面ごとに厚紙でできた人形や動物、建物などが立体的に飛び出る仕掛けが売り。今年初めて販売した同店は「プレゼントする側も受け取る側も従来の絵本のプレゼントにはない楽しみがあるのでは」と話し、今後も注文があれば取り寄せるという。

 イトーヨーカドー函館店(美原1)は、子ども向けのゲームソフトや人気歌手のコラボ商品が根強い一方、2900〜3900円のクリスマスケーキの予約が前年比約10%増と好調。同店は「震災の影響かどうか分からないが、家族の絆を大切にしようとする親子が増えているのは確か」とみる。

 丸井今井函館店(本町)は節電の傾向を意識し「冬のあったかフェア」を展開中。例年よりも手袋やマフラーなど婦人向けの小物を充実させ好調が続く。同店は「徐々に寒くなり、プレゼント用にと売り上げは伸びている」と話している。(長内 健、柏渕祐二)


◎ガゴメずくめ 介護老人保健施設と特養ホームで昼食会

 函館市赤川町の介護老人保健施設「もも太郎」と、隣接する特別養護老人ホーム「ももハウス」で13日、デイサービスやデイケアなどの通所者を対象に、ご飯やおかずに函館特産のガゴメコンブを使ったガゴメずくめの昼食が提供された。

 両施設が毎月1回程度企画している特別献立の一環で、ガゴメを使った昼食の提供は初めて。函館地域産業振興財団が発行するガゴメ料理の紹介冊子「がごめレシピ」を参考に、施設の栄養士らがお年寄りにも食べやすいようアレンジした。

 この日は、同財団の職員がガゴメが函館近海でしか取れないことや独特の粘り成分などを説明した後、細かく刻んだガゴメと梅干しを混ぜ込んだご飯や、白身魚のタラの衣にコンブを入れた揚げ物、粉末状のガゴメを入れたみそ汁など5品が振る舞われた。

 料理を味わった工藤ちよさん(89)は「昔々に食べて以来、久しぶりの味。どれもコンブの風味があっておいしい」と次々にはしを進めていた。「もも太郎」の介護栄養主任、川畑久美子さんは「お年寄りにも安全に食べられるよう熱を加えて粘りを抑えた。今後も献立に取り入れたい」と話していた。(森健太郎)