2011年12月2日 (金) 掲載

◎クリスマスファンタジー開幕

 函館の冬を彩る「2011はこだてクリスマスファンタジー」(実行委主催)が1日、函館市西部地区赤レンガ倉庫群を主会場に開幕した。「輝く明かりを復興の希望に」と巨大ツリーを背に100発の花火が打ち上げられ、会場は大勢の来場者の歓声で熱気に包まれた。25日までの週末・祝日を中心に各種イベントが繰り広げられる。

 イベントは14回目を迎え、今年も姉妹都市のカナダ・ハリファクス市から高さ20bほどのモミの木が届いた。オープニングセレモニーでは、日本航空(JAL)の客室乗務員10人でつくるハンドベル隊「JALベルスター2011」がクリスマスソングを披露。時おり雪が舞う中、制服姿で舞台に立ち、優しい鐘の音を響かせて大きな拍手を受けた。

 ジョナサンT・フリード駐日カナダ大使からメッセージが届き、紹介された。東日本大震災に触れ「復興に向けてカナダや世界各国から寄せられた日本への思いと温かな支援は、国境を超えた人々のつながりを象徴していると思います。今年のクリスマスツリーのライトアップは被災地のみならず、日本全国の皆様にとって希望の光として特別な輝きを持つことでしょう」と言葉を寄せた。

 工藤寿樹市長らが点灯式に臨み、石黒義男実行委員長が「皆さんのその歓声がまた来年につながる。函館のクリスマスを大いに楽しんでほしい」と開会宣言。人気上昇中のアーティスト「シクラメン」のライブステージなどで盛り上がった。

 日吉町の佐藤美衣さん(26)は長男の陽斗(はると)ちゃん(3)と楽しみ「すてきな雰囲気と明かりで子どもも大喜び」と満足の様子。豊川町の加藤拓男さん(70)、芳枝さん(63)夫婦は「ツリーが到着した日から今夜の開幕を心待ちにしていた。おいしいスープもあって最高」。

 岩手県一関市から訪れた婚約中の小野寺健一さん(29)と菅原名那さん(28)は「東北を勇気づける思いが詰まったステージ内容で、函館の皆さんありがとうと心から伝えたい」と話していた。

 ツリー点灯は午後4時半〜午前零時(金・土曜と22〜25日は翌午前2時まで)。25日までの期間中、午後6時に花火を打ち上げるほか、会場にはスープバーが並ぶ。(田中陽介)

 



◎浮かび上がる星形の城…来年2月29日まで

 国の特別史跡・五稜郭跡の星形を光で浮き上がらせる「五稜星の夢(ほしのゆめ)」(実行委主催)が1日、始まった。高さ約90メートルある五稜郭タワーの展望台からは、地上に舞い降りた巨大な星や夜空を彩る花火に、来場客が歓声を上げて見入っていた。

 市民のボランティアでつくる実行委(宮下俊雄実行委員長)が1989年から毎年実施している。堀の内周約1・8キロメートルに取り付けられた約2000個の電球が点灯され、冬の函館観光の目玉の一つとなっている。

 この日は午後5時に電球がともされると同時に花火が打ち上がった。展望台では堀の形が現れると「きれい」の声が響き、目前で広がる花火のごう音に「すごい」と驚いていた。寒さが厳しくなると雪が積もった地面や凍結した堀に明かりが反射し、幻想的な雰囲気に包まれる。

 市内山の手から訪れた主婦谷川志保美さん(47)は「年末年始に東京から友人が来るので、ぜひ見せてあげたい」と話していた。

 点灯は来年2月29日まで、時間は午後5〜10時。(山崎純一)



◎上半期函館 観光客14%減 266万人

 函館市が1日に発表した本年度上半期(4〜9月)の観光客の入り込み数(推計値)は266万7000人で、前年同期比14・4%(45万人)の大幅減となり、平成元(1989)年以降では最低の水準に落ち込んだ。東日本大震災の影響が直撃したが、市は「有珠山噴火の時よりも回復は早く、あまり悲観する必要はない」とし、今後の巻き返しに期待をつないでいる。

 市観光振興課によると、比較可能な統計が残る1963年以降、前年同期比では2000年3月の有珠山噴火に伴う同年度上半期の12・6%減が最大だったが、今回はそれを上回った。

 月別では、4月が前年同期比31・2%減、5月が同30%減、6月が同30・4%減、7月が同7・3%減と落ち込みが激しく、4〜7月だけで同23・7%(45万6000人)の減少となった。一方、8月は同1・5%減、9月は同2・8%増と前年並みに回復し、「震災後に東北などで積極誘致した修学旅行生の増加が大きい」(同課)とみる。

 地域別では、道外客が同20・7%減の158万1500人と大幅に減少した半面、道内客は同3・4%減の108万5800人と比較的堅調に推移。構成比では前年は道外64%、道内36%だったが、本年度は道外59・3%、道内40・7%となり、ウエートの低い道内客が下支えしたことがうかがえる。

 交通機関別では、バスが同16・6%減、JRが同12・8%減、航空機が同13・3%減と振るわず、乗用車も「休日千円」の高速道路料金割引などの廃止で同16・5%減と落ち込んだ。一方、フェリーは震災に伴う被災地支援のための海上輸送などで同1%減にとどまったが、観光入り込みかどうかは不透明だ。

 本年度は震災の影響に加え、昨年夏の函館競馬場のリニューアルや箱館奉行所の復元などハード整備の反動減もあるとみられる。下半期(10月〜来年3月)は近年、145万人前後で推移していて、市は函館—ソウル(仁川)線の定期便再開に伴う外国人観光客の回復や冬場のイベントPRに力を入れる方針。


◎旧相馬邸が冬期休業…来年3月まで

 函館市元町33の伝統的建造物「旧相馬邸」が1日から、長期的な保存や維持・管理を目的に冬期休館に入った。来年3月末まで建物を補修し、来春の再館に備える。

 同邸は明治時代に北海道屈指の豪商として知られた相馬哲平の私邸で、1908(明治41)年の建造。エステート企画(東出伸司社長)が劣化していた建物を改修するなどして昨年6月に一般公開を始めた。明治の名残を伝える和室や洋室のほか、「江差屏風」(複製)といった貴重な資料なども展示し、多い月には観光客を中心に3000人が来館している。

 今回は今年1〜3月に休館していた昨年度に次ぐ工事二期目で、市の補助を受けながら、トタン屋根のふき替えや建物の外壁を中心に補修する。ほとんどの和室や洋室は暖房を入れると建材が傷む可能性があり、冬場はつけないことにしている。

 東出社長は「観光客の多くは興味深そうに屋敷を見学してくれる。長く保存していくためにも一定期間の休館はやむを得ない」と話し「今後も和洋折衷の館を生かした音楽会などを開きつつ、魅力発信に努めたい」としている。(長内 健)


◎イルミナシオン映画祭きょう開幕

 「第17回函館港イルミナシオン映画祭2011」(実行委主催)が2日開幕する。4日まで赤レンガ倉庫群・金森ホール、函館山山頂・クレモナホール、市地域交流まちづくりセンター内・十字街シアターの3カ所で上映を行い、計29作品を公開。監督の森田芳光さん、歌手のあがた森魚さんなど豪華ゲストも来場し、3日間にわたり銀幕の祭典を繰り広げる。

 開幕を前に1日、同実行委やスタッフらがまちづくりセンターで最終打ち合わせを行った。細かい段取りの確認や会場設営などに約40人が参加。笹井完一事務局長は「17年続いてきた歴史ある映画祭の意思を受け継ぎ、街と人とつながっていきたい」と意気込みを語った。

 映画祭は初日の2日、金森ホールで午後6時10分からオープニングとして「僕達急行A列車で行こう」を上映。映画終了後には同映画のメガホンを取った森田芳光監督が登場し、解説を行う。午後8時半からは開会式とシナリオ大賞の表彰式を行う。

 クレモナホールでは午後零時半から昨年末に亡くなった函館出身の女優、高峰秀子さんの出演作品「二十四の瞳」が追悼上映される。

 米田哲夫実行委員長は「今回はプログラムが充実している。多くの人が楽しめる内容なのでぜひ会場に足を運んでほしい」と来場を呼び掛けた。

 入場料は全会場共通の3日間通し券(前売りのみ)が大人5000円、学生3000円、1日券(当日券500円増)が大人2500円、学生2000円。ほか、1回券も用意。問い合わせは同事務局TEL0138-22-1037。(柏渕祐二)