2011年12月20日 (火) 掲載

◎「箱館奉行所」防寒強化 じゅうたんやプラスチック板設置

 昨年7月、国の特別史跡・五稜郭跡に復元オープンした「箱館奉行所」(五稜郭町44)は、昨冬観光客からの「館内が寒い」といった苦情を受け、防寒対策を強化している。風の通り道を防いだり、通路にじゅうたんを敷くなど、より快適な見学ができるようになった。

 同所は幕末に建てられた当時の工法で忠実に再現しているため、構造上、外の気温に左右されやすい。「歴史発見ゾーン」や一部の通路などには床暖房が入っているが、当時の空間を忠実に復元した「再現ゾーン」の部屋には10度以下になるところもあった。

 そのため、同所は「可能な限り、観光客の要望に応えよう」と、今月上旬に床暖房の入っていない主な通路に厚さ約1aのじゅうたんを敷いた。これにより、足元の寒さを軽減した。

 先月には、寒風の通り道だった同ゾーンの天井開口部に透明なプラスチックの「ポリカーボネート」材質の板を設置した。同所の沼崎孝男館長代行は「苦情は昨年度と比べて、格段に少なくなった」と手ごたえを口にする。

 また「暗い」という苦情にも対応。冬期間、再現ゾーンの外側通路は雨戸を閉めなければならず日光が遮られていたが、プラスチック板を2カ所はめ込むことで光を取り込んだ。

 沼崎館長代行は「再現ゾーンなどは床暖房を入れることができないため、寒い季節は厚めの靴下をはいて来館を」と呼び掛ける。

 市教委は「再現ゾーンの通路にはプラスチック板をもう1カ所設置する予定。今後も施設のコンセプトを守りつつ、来館者が満足できるよう工夫していきたい」としている。(後藤 真)



◎秋サケ漁 渡島、量・額ともに過去5年で最低

 渡島管内の今年の秋サケ定置網漁が、ほぼ終了した。10日現在の漁獲量は前年同期比40・2%減の82万匹、漁獲金額は同23・4%減の14億2664万円で、ともに過去5年(2006〜10年)で最低となった。品薄に伴う価格上昇から、金額の落ち込みは若干抑えられた。2年連続の不漁が決定的となり、深刻な事態に陥っている。

 渡島海区漁業調整委員会によると、管内の漁獲量は噴火湾(長万部—森町砂原)が同41・9%減の37万匹、道南(鹿部—松前・白神岬)が38・8%減の45万匹、日本海南部(白神岬—松前町と上ノ国町の境界)が同30・3%増の818匹。過去5カ年平均(181万匹)に比べると半分以下だ。

 漁獲高は、過去5カ年平均(22億円)に比べ35・2%となった。同委員会は「金額は最悪だった08年をさらに下回る厳しい結果」と受け止める。一方、「管内漁業は多角経営なので、定置にはイカやイワシ、スケトウダラなども入る。秋サケ単体では悪いが、漁家経営にどう影響するかは分からない」とする。

 全道の漁獲量(10日現在)は同6・2%減の3426万匹。漁獲金額は同24・6%増の545億円で、2年ぶりに500億円の大台に回復、平年並みの水準に持ち直した。地域別では、昨年も好漁だったオホーツクが同5・1%減の1866万匹、同31・6%増の303億4013万円と「独り勝ち」。根室、えりも以東、えりも以西はいずれも振るわなかった。日本海は同29・9%増の204万匹、同61・8%増の24億4065万円だったが、平年に比べると悪いという。

 管内の秋サケ漁は本来、9月1日の解禁だったが、自主休漁、自主規制を経て同8日から操業が始まった。まだ一部で漁は続いているが、25日で終わる見込み。(山崎大和)



◎函館短大付設調理師専門学校の石川さん料理コンテストで全国特別賞

 総菜アイディア料理を競う「ミートデリカコンテスト」全国大会(全国食肉協同組合連合会主催)で、道代表として出場した函館短期大学付設調理師専門学校の石川尚弥さん(25)が審査員特別賞を受賞した。同校からの受賞は今回初めて。石川さんは「制限時間内で作り終わるか不安だった。自分が選ばれるなんて思ってなかったのでとてもうれしい」と喜んでいる。

 コンテストは今月3日に東京の武蔵野調理師専門学校で開かれ、地区大会を突破した全国の代表36人が出場。料理は国産食肉と地域食材を材料に、制限時間1時間以内に総菜1品を作りあげる。

 石川さんが考案したレシピは、チーズを牛と豚の合いびきで包み、道産ジャガイモを千切りにした衣をまとわせた「じゃがいも衣のメンチカツ」。丸さとトゲトゲしたイメージを同居させたという、インパクトあるフォルムは直径9センチほどの大きさ。「衣のサクサクした食感にこだわった」とポイントを強調する。

 授業で習得したそうめんを衣にした料理をヒントにレシピがひらめき、11月ごろから試作を重ねてきた。火の通し方や形の大きさなど、教員のアドバイスを受けながら、「形を崩さず、衣をきれいにあげるのが難しかった」と苦労を振り返る。

 大会当日は設備の違いにとまどい、時間内に仕上げられるか不安だったと言いながらも、制限時間いっぱいかけて料理を仕上げた。作業手順や味、見た目などが審査対象となり、石川さんは五人に与えられる審査委員特別賞の一人に選ばれた。改行 「地域特有の食材や調理方法などアイディアを学ぶことができた。受賞できとてもうれしい」と喜び、「いつか函館でカフェを開くのが夢です」と語っていた。(平尾美陽子)


◎経営分離問題 市長、100団体に説明 あすまでに判断

 北海道新幹線の札幌延伸時に、JR北海道が函館駅—新函館駅(仮称)間を並行在来線として経営分離する問題で、道への回答を先送りしている函館市の工藤寿樹市長は19日、高橋はるみ知事と前日に会談したことを受け、市内の関係団体への説明を始めた。19、20日の2日間で約100団体を目標に理解を求める予定で、21日までに最終判断するとみられる。

 工藤市長は知事との会談を受け「市民の不信や不安を解消する努力をもう少ししたい」と発言。各団体に対し、同区間の第3セクター設立・運営を道が主体的に行うとする知事からの提示や、94年に道と市が交わした現駅への新幹線乗り入れを記した覚書がほごにされたことに対し、知事が会談の中でおわびしたことを説明した。

 訪問対象はこれまでの経済団体や町会連合会などから、福祉、教育などの団体に拡大し、副市長や企業局長、企画部長らと手分けして説明に回った。同市長は取材に対し、「問題の詳細を話した。その場で回答は求めていない」と述べるとともに、最終判断する内容への理解を求めたことを明らかにした。

 訪問を受けた複数の団体幹部は、「直接的には言わなかったが『同意をしたいので気持ちを理解してほしい』という思いだったのではないか」と受け止めた。個人的意見として「ずっと反対していくわけにはいかない」との声や「ここで妥協して前に進むべき」などの意見があり、眼前にある札幌延伸の機会を逃してはならないとの認識もある。

 しかし、道の文書にある「最大限の努力」に対し、「役所独特のあいまいな表現」と受け止める向きも多く、「負担割合を示さずに理解を得ようとするのは、道も市も一緒だ」(団体幹部)との批判も聞こえる。市内のある企業経営者は「団体の中には説明されても困るところもある。新幹線問題を考えてきた団体に話すべきでは」と指摘する。(千葉卓陽、小泉まや)

 


◎松前町 前田町長 国政に意欲

 【松前】松前町の前田一男町長(45)は19日、次期衆院選に向け自民党道8区支部が始めた支部長公募について、取材に対し、「地域経済を考えれば、道南には保守の代議士が必要」と述べ、国政進出への意欲を強くにじませた。同日開かれた町議会第4回定例会の一般質問では、来年4月に迫った町長選に3選出馬するかの意向を問われ、「年明け早々に態度を明らかにする」と述べた。

 前田町長は、町長選に出馬するかどうかについて、梶谷康介氏からの質問に対し「2期8年である程度の仕事をした」としたうえで、「出馬するか、後進に道を譲るべきか考えなければならない」と語った。さらに「年明けに後援会と十分に話し合い、意見を聞いたうえで判断し、表明したい」と答えた。

 また、同支部が支部長の公募を始めたことについては「有志が私を推薦する動きがあると聞いている。任期中は職責を全うするのが務めだが、出処進退を人任せにしていいのかという思いもある」と述べた。

 同町長は取材に対し、民主党政権が続くことへの危機感と不満を示し、「道南に15年間、自民党の代議士がいなかったことによる地域の疲弊は限界まで来ている」と語った。(松宮一郎)