2011年12月23日 (金) 掲載

◎都内ローソンに函館アンテナショップ誕生

 【東京】大手コンビニエンスストアのローソン(東京)の店舗一角で函館の特産品を販売する「函館市アンテナショップ」が22日、東京都中央区のローソン京橋駅前店内にオープンした。東京初出品を含む約80品目が並び、初日は工藤寿樹市長も駆け付け、函館ブランドの新たな発信拠点の開設を祝った。

 同社の自治体アンテナショップは徳島や埼玉など6県と提携して開設しているが、市町村単位では初めて。函館は地場産品の販路拡大、ブランド力の向上を図る狙いで、ローソンは函館の知名度を生かした集客や売り上げのアップにつなげたい考え。

 店舗は東京駅から徒歩10分圏内で、銀行跡地のオフィスビル1階のビジネス街に位置する。ローソンの都内店舗としては広めの215平方メートルの売り場内の入り口付近に約10平方メートルの専用コーナーを設け、水産加工品を中心に公募した10品を含む約80品目が並ぶ。

 店舗の愛称は「函館もってきました。」。店舗内外に函館山からの夜景や五稜郭の写真付きの愛称が入った看板も設置した。店内では函館の観光名所や地元食材をPRするDVD映像を流し、観光ポスターやパンフレットも常設して観光客誘致もPRする。

 この日は工藤市長や同社の玉塚元一副社長が訪れ、店舗前では赤い法被姿で函館の観光物産DVDや珍味などを先着100人に無料で配った。店内には関東在住の函館出身者も詰めかけ、都内では同店でしか買えない水産加工品などを買い求める姿もあった。

 工藤市長は「函館の特産品を集中的にPRする新たな試みとして成功させ、全国のローソンで展開できる商品が生まれてほしい」と期待し、玉塚副社長は「函館のブランド力はまだまだ可能性がある。函館のまちのためにも新たな商材を発見し、地域の商品開発などの相乗効果を生み出したい」と話していた。(森健太郎)



◎クラシックカーミュージアムの車201台売却へ 中国の企業に

 JR北海道の施設クイーンズポートはこだて(函館市若松町)で「クラシックカーミュージアム函館」を運営したワールドクラシックカーミュージアム函館(渡辺和輝社長)は、所有する201台のクラシックカーすべてを12月末までに中国企業に売却する。中国では販売促進を兼ねた展示利用がされる見通し。

 同社は地元経済界の有志が設立。車両は北海道振興(札幌)から購入し、2005年4月に施設をオープンさせた。201台はT型フォードやリンカーンなど1900—1970年代の名車を中心にした構成で、一部を博物館で展示した。

 しかしターゲットが限られることなど観光施設としての限界から、2008年春に施設は閉館。同社は魚長食品の子会社となった。ただ展示施設と函館どつく内倉庫に車両を保管したままの状態が続いており、これら2カ所で毎月約100万円の賃貸料が発生していた。

 渡辺社長によると、今回全車両を購入したのは中国国内の企業で、現地では自動車の歴史を伝えるような施設で展示し、成長する中国の自動車市場での販売促進にもつなげたい考え。車両は11月から船便で順次天津港に運ばれており、26日に最終便が出港する。

 販売額は輸送コストや保険料などを含め約4億円で、うち車両価格は約2億円。渡辺社長は「博物館運営に当たっては様々な反省点があるが、今回車両の価値が評価され中国での有効活用につながり喜ばしい」とし、買い手に対しては「私たちのできなかったことをやってほしい」と期待した。(小泉まや)



◎企画・回顧(2)…新天地で記者生活 「水産業」詳しく伝えたい

 「なぜ帯広?」。帯広ナンバーの車で取材に行くとよく聞かれる。帯広の新聞社から今年5月に出向、ナンバーもそのままに働き始めて約8カ月になる。

 高校卒業以来18年ぶりに函館へ。鼻先をくすぐる潮風が心地いい。函館なまりのイントネーションも懐かしい。「もっと記者として成長したい」。そう強く思い、街中を走り回る毎日だ。

 担当は渡島総合振興局。道政、国政、農林漁業…と取材範囲は広い。中でも重視されるのは、函館を支える水産業だ。もともと農業に関心があり、十勝でも農業の記事を書く機会が多かった。水産業に関しては知識も経験もほとんどなく、不安を抱えながら函館での記者生活がスタートした。

 6月1日は、函館名物「スルメイカ」漁解禁日。3日朝に初水揚げがあった。函館漁港(入舟町)には、未明から報道陣がこぞって詰め掛け、漁船の生けすから生きたままのイカを引き揚げるシーンを待ち構えていた。

 午前3時半ごろ、漁港に足を運んだ。しかし、既に多くの漁船が船着き場に係留され、港は静まり返っていた。

 45匹—。初日の水揚げは記録的な不漁。午前6時、函館市水産物地方卸売市場(豊川町)で発泡スチロール1箱が、ご祝儀相場の1万円で競り落とされた。解禁を待ちわびた仲買人らが残念がる表情が印象的だった。

 4日付は「イカ漁初水揚げ振るわず」の主見出し。袖見出しで「ばん回期待」と漁師を気遣った。異例さを、紙面で十分に伝えられたと思った。ところが、他紙には店頭に並ぶイカの写真が大きく掲載され、量の少なさを嘆く主婦のコメントも。どう売られたのかまで、取材をしていなかった。がっくりしながら反省。一次産業は生産から流通、販売までを追ってこそ価値がある—先輩記者から教わった言葉が身に染みた。

 未経験の分野だから、面白さも怖さもある。今後も多くの現場を踏み、函館の水産業を紙面で伝えたい。そして地元新聞記者として、しっかりと函館に根を下ろしたい。(山崎大和)


◎函館第1号サービス付き高齢者向け住宅「幸優」オープン

 函館では第1号となるサービス付き高齢者向け住宅「幸優」(境正英代表)が21日、函館市宮前町10にオープンした。同住宅は高齢者住まい法の改正法で創設された高齢者向けの住宅。境代表は「これまで住んでいた自宅と変わらない暮らしができるようサービスを提供していきたい」としている。改行 同住宅は旧法で規定されていた「高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)」「高齢者専用賃貸住宅(高専賃)」「高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)」を一本化し、新たな基準を設けて創設した。

 ハード面では各専用部分の床面積を原則25平方b以上とすることやバリアフリー構造など基準を設け、サービス面では見守りと生活相談を「最低限のサービス」として義務づけている。契約方法も書面での締結、事業者側から一方的に解約できない規定が設けられ、情報開示も必要だ。

 5年ごとに更新する登録制で、登録は都道府県や政令市、中核市が行い、事業者への指導、監督も行う。

 幸優は、法改正を見越してサービス付き高齢者向け住宅の開設に向けた準備と建設を進めてきた。建物は9月下旬に完成。今月12日に市に登録申請し、21日付で登録された。

 鉄骨造り3階建。居室30戸のほか、共用設備として食堂や共同浴場、趣味室などを備えている。料金は家賃や光熱費、食事代などを含め11万9000円。デイサービス施設、訪問介護施設も併設している。

 今後は地域との交流も図っていく考えで、境代表は「制度としては始まったばかりの住宅なので、知ってもらえるよう地域に根差した運営をしていきたい」としている。

 問い合わせは幸優TEL0138-41-9911。(鈴木 潤)

 


◎岩手県人会 被災家族にXマスプレゼント

 函館地区岩手県人会(南部知正会長、会員40人)有志が22日、函館に避難してきた東日本大震災被災者にクリスマスケーキを届けた。受け取った人たちは「とてもうれしい。県人会の善意も存在も大変心強い」と笑顔を見せた。

 ケーキのプレゼントは、これまで岩手県庁を通じて義援金を送ってきた同会が、「現地に行けないが、函館で何か支えることはできないか」と企画。同会によると、親戚や知人を頼りに同県大槌町や陸前高田市などから引っ越してきた人たちは函館に少なくとも12家族いるという。

 この日、南部会長(65)ら役員4人が7家族14人を訪問。ケーキのほか、クリスマスカード、県人会便りも手渡し「いろいろご苦労されていると思うが、県人会にできることがあれば何でも言ってほしい。行事もたくさんあるのでぜひ参加を」と呼び掛けた。

 函館に来るまで5回引っ越しを繰り返したという田中則夫さん(80)、恵美子さん(79)夫婦は「9月に函館へ引っ越してからずっと寂しい思いをしてきたけど、今後は同郷の人たちと交流を深めていきたい」と話していた。(長内 健)