2011年12月24日 (土) 掲載

◎自然の明かりほのかに…菜の花キャンドルナイト

 自ら栽培した菜種油を使って明かりをともす「2011はこだて菜の花灯明(キャンドル)ナイト」(はこだて菜の花プロジェクト主催)が23日、箱館高田屋嘉兵衛資料館(末広町)で行われた。近くで開かれている、はこだてクリスマスファンタジーに向かう観光客らが足を止め、ほのかな明かりに見入り、自然エネルギーの効果に感心していた。

 同プロジェクト(石塚大代表)は2003年、「高田屋嘉兵衛の愛した菜の花を函館へ」をスローガンに発足。毎年、市内中野町の畑で嘉兵衛の古里淡路島で多く栽培されていた菜の花を育ている。今年は数キロの種が採取された。

 キャンドルナイトは6回目で、この日は訪れた人が機械に種を入れて菜種油を作り、割った竹の中に入れて明かりをつけた。東京都新宿区の学生武藤進士さん(21)は「今年はエネルギーについて深く考えた年。菜種油でこれだけ明るい光になるとは思わなかった」と話していた。館内ではジャズバンド「元町珈琲」がクリスマスソングを奏で、雰囲気を盛り上げていた。(山崎純一)



◎道南大荒れ 欠航、運休相次ぐ

 発達中の低気圧が北海道の西海上から北上して本道付近を通過したため、23日の道南は暴風雪の大荒れの天気となった。函館海洋気象台によると、奥尻では最大瞬間風速31・7メートルを観測。松前では波の高さが5メートルを超えてしけとなり、交通機関に影響が出た。

 同気象台によると、各地の最大瞬間風速は江差29・2メートル、せたな28・6メートル、松前25・6メートル。函館市内では信号機に雪が吹きつけ、色の判別ができないほど真っ白になったり、首をすくめながら歩く観光客の姿が目立った。

 空の便では欠航や遅れが相次いだ。北海道国際航空(AIRDO)は函館—東京間1往復2便を欠航し、計約250人に影響。道内便では、全日空(ANA)は函館—新千歳間1往復2便、北海道エアシステム(HAC)は函館—旭川、丘珠間で6便を欠航し、計約155人に影響した。

 函館空港発着便では、計15便に遅れが生じたが、大きな混乱はなかった。正午ごろ、東京から15分遅れで到着した、埼玉県の男性医師(50)は「到着地が新千歳に変更となる可能性もあった。無事到着し、仕事に支障が出なくてよかった」と話していた。このほか、ハートランドフェリーは江差—奥尻間1往復2便全便を運休。津軽海峡フェリーは函館—大間間の4便を運休した。JRは目立った遅れなどはなかった。

 同気象台によると、本海道付近は、27日ごろまで強い冬型の気圧配置が続くとしており、高波などにも注意を呼びかけている。(山崎純一、小杉貴洋)



◎3連休初日 Xマスムード 華やぐマチ

 3連休初日となった23日、函館市内は吹雪の荒れ模様の天気となったが、クリスマスムードに包まれた観光地などは市民や観光客でにぎわった。スーパーやデパートに設置されたクリスマス商品のコーナーでは親子連れが大勢買い求め、はこだてクリスマスファンタジー会場の西部地区ベイエリアでは、金森赤レンガ倉庫群などが混雑していた。

 金森赤レンガ倉庫群の商業施設では、各店の従業員がサンタクロースの格好をしたり、建物内を飾り付けするなどしてクリスマスムードを盛り上げた。

 クリスマスケーキを販売する「ペイストリースナッフルス」では、ショーケースに並んだ8種類のケーキのうち、7種類が3連休限定の商品。中でもカット型のフルーツショートケーキが人気で、赤い帽子をかぶった従業員はひっきりなしに訪れる客の対応に追われた。

 「家族連れが中心だが、3連休とあって観光客も通常より多い」と同店の瀬戸友美店長。家族4人で札幌から訪れた小林幸子さん(61)は「この時期の函館はとてもロマンチック。人が多くてびっくりした」と話した。

 イトーヨーカドー函館店(美原1)の2階おもちゃ売り場にあるクリスマスグッズ特別コーナーにも、親子連れの姿が目立った。同売り場責任者の田村孝二さんは「お客様は通常の3倍。おもちゃでは例年通り仮面ライダーグッズなどの人気が根強い」と話す。地下1階のお菓子コーナーも混雑した。

 梁川町10のテーオーデパート本店1階でキッチン雑貨を主に扱う「ORANGE HOUSE」では、200種類以上のクリスマス商品がムードを盛り上げる。女性客が中心で、マグカップやツリーが売れ筋という。

 同デパートで買い物をしていた市内美原の高木紗恵さん(24)は「デパートの中にツリーがあって雰囲気が素敵。おしゃれな小物を親にプレゼントしたい」と話していた。(後藤 真)


◎ミツバ出荷最盛期

 【知内】年末年始の料理に欠かせないミツバの出荷が、知内町で最盛期を迎えている。町みつば生産組合(中村敏雄組合長、7戸)では年内に9トンの収穫を見込んでおり、函館や札幌、東京に出荷。独特の豊かな香りが暮れから正月の食卓に彩りを添える。

 同組合では20日から収穫と出荷作業を始めた。町重内の笠松彰さん(62)のビニールハウスでは22日に収穫がスタート。ビニールハウス2棟で栽培し、28日までに1dを出荷する予定だ。

 長男の剛久さん(37)ら2人が40センチほどに成長したミツバを丁寧に刈り取り、別のビニールハウスでパートの主婦ら12人が水洗いや選別を行った後、40グラムずつに分けて包装していった。

 6月末に畑に種をまき、11月に根をビニールハウスに移し、徹底した温度管理で栽培する。剛久さんは「例年並みの出来。今年は気温が低かったので、温度の調整が大変だった。季節ものなので収穫はこの1週間が勝負」と話す。

 ミツバは雑煮や吸い物、鍋に入れるほか、おひたし、胡麻和えにして食べるのもおいしいという。(松宮一郎)


◎輸出・入とも2カ月ぶり増…函館港

 函館税関が21日に公表した11月の函館港貿易速報によると、輸出は船舶や自動車などが増加し、前年同月比10倍の48億3600万円と2カ月ぶりに増加に転じた。輸入も魚介類・同調整品などが増加し、同18・4%増の16億9000万円と2カ月ぶりプラスとなった。

 輸出が増加した主な要因は、主力の船舶の輸出月が昨年とずれたことによる。パナマ船籍の新造船が1隻で、金額は39億9500万円だった。このほか大きな増加要因となった自動車は、全増で3億2300万円の扱いがあった。中国・天津向けに、クラシックカーなど中古自動車139台を輸出した。

 このほか全増で1900万円となった一般機械は、タイ向けの加工機械部分品。魚介類・同調整品は同0・9%増の9600万円に回復し、内訳はイカをメーンにタラやサケなどだった。非金属鉱物製品(セメントなど)は、同37・7%減の1億8100万円となった。

 輸入は、魚介類・同調整品が同53・9%増の9億200万円に。ロシアのベニザケが同2・1倍で3億5100万円を占めたほか、カズノコやイカ、タコ、魚介類の調整品は大きく減少。ニシンは全減となった。このほか増加品目は、金属製品が同64・9%増の3400万円、動物性油脂は同16・2%増の1億1500万円となった。

 減少したものは、石炭が同5・9%減の3億9300万円、小麦・メスリンは同54・2%減の9900万円だった。

 同税関管内(道内と青森、秋田、岩手の東北3県)は、輸出が同26・7%増の482億2300万円と2カ月連続のプラス。輸入は同56・7%増の1735億2200万円。23カ月連続の増加で、ここ数年では大きく伸びた。(小泉まや)

 


◎企画・回顧(3)…スポーツ担当から市政に ひたむきな姿活力に

 記者になって2年余り。7月に担当がスポーツから市政に変わり、まったく異なる分野での取材となったが、それまでのスポーツ取材は今も記者の基本として役立っている。

 桐花中男子卓球部は昨年、中体連管内大会の団体戦で惜しくも敗れ、全道大会出場を逃していた。しかし、2年生中心だったメンバーは新チームとなってから圧倒的な強さをみせ、何度か取材をするようになった。

 顧問の熱血指導のもと、選手たちはプレーだけでなく礼儀も学んでいた。真剣に取り組む練習の雰囲気から「強くなるんだ」という意思が伝わり、チームとしてのまとまりを感じた。また卓球台から離れ、中学生らしく元気良くふざけ合う姿を見ると、好感を覚えた。

 途中、チーム環境が変わることもあったが、努力が実を結び、冬の全道選抜大会をオールストレートで制覇。地区敵なしのまま本番の中体連管内大会に臨んだ。

 選手たちは一発勝負の独特な雰囲気の中、いつも通りの団結力で戦った。出番を待つ選手は常に立ったまま味方を応援。相手の上磯中も勝ったことのない相手に今まで以上の気迫で立ち向かう。白熱した互角の展開に、記者も観客も固唾(かたず)をのんで見守った。

 勝利の女神は結局、上磯中にほほ笑んだ。力を100%発揮できたかはともかく、上磯中が実力で上回った。意外な結末に選手たちはうなだれていた。だが、一途に努力してきた課程はこれからの糧になると思う。

 学校の練習が終わった後も自主的に卓球台のある体育館で練習している姿や、引退後も大会に顔を出して仲良く卓球の話をしていたことが印象に残っている。卒業して大人になっても、この時の気持ちを忘れないでほしい。

 人間的にも成長してこそ本当の記者だと思っている。入社した時とその気持ちは変わっていない。仲間のために声を枯らして応援し、目標に向かって一生懸命に練習する。その姿は今の記者の背中を押してくれる。(後藤 真)