2011年12月25日 (日) 掲載

◎荘厳の中 聖歌と祈り ハリストス正教会で市民Xマス

 クリスマスイブの24日、函館市内の教会ではクリスマス礼拝が行われた。元町3の函館ハリストス正教会(ニコライ・ドミートリエフ司祭)では、一般市民を対象とした「市民クリスマス」が開かれ、参加者は同正教会聖歌隊の合唱を聞き、祈りをささげた。

 同正教会では25日に主ハリストス(キリスト)の誕生を祝う「降誕祭」を開く。24日は「前晩祭」で、毎年、この夜の祈祷を多くの人と分かち合おうと聖堂を開放し、市民クリスマスを開いている。

 白と緑のロシア風ビザンチン様式の聖堂では、ろうそくの炎が荘厳な雰囲気を醸し出し、明治時代に聖ニコライが訳した、原語の雰囲気にあふれる聖歌や祈祷文による祈りが約1時間15分にわたって続けられた。

 ニコライ司祭は参加者に「信心深い心を持ち、肉体、精神を正しく管理することで、神は大きな助けをする。その最高の心を人に贈ることを大切にしてください」と語り、「今日は市民の皆さまに、美しいものに触れ合ってもらえたと思います」と話していた。(山崎純一)



◎冬休みも外遊び! 福島の子ども93人 函館に到着

 福島第一原発事故の影響下にある福島県の子どもたちに冬休みを過ごしてもらう「ふくしまキッズ冬のプログラム」が24日、始まった。今夏に続く事業で93人の児童・生徒が参加し、30日まで七飯町大沼地区を中心に活動を展開する。JR函館駅ではJR社員や関係者が出迎え。ホームに降り立った子どもたちは、一面の雪景色と寒さに歓声を上げていた。改行 道内外のNPO法人などを中心に組織する「福島の子どもを守ろうプログラム実行委員会」(進士徹委員長)と、道内プログラムは「子どもを守ろうプロジェクト協議会」(安江こずゑ会長、札幌)の共催。大沼ふるさとの森自然学校(町東大沼294、流山温泉)を拠点に活動する。

 子どもたちは郡山市、福島市を出発し、新幹線と特急を乗り継いで函館入り。宿泊先となる道立森少年自然の家「ネイパル森」(森町)に移動し、ボランティアスタッフの指示に従い、グループに分かれて活動を開始した。25日には大沼婦人会館で交流会が開かれ、26日以降、野外活動や協力家庭での民泊などを予定する。

 須賀川市から来た小学5年生、渡辺凛君(11)は「須賀川では夏休みが終わったころから外でも遊べるようになった。北海道は雪がたくさんあってうれしい。かまくらを作ってみたい」と目を輝かせていた。また、いわき市の5年生、大井川頼君(11)は「思っていたよりも寒くてびっくりした。ワカサギ釣りを楽しみにしてきた。友達も作りたい」と話していた。

 安江会長は「夏は震災への関心が高い中で実施したが、関心が薄くなっているのも事実。子どもたちには、送り出してくれた親や準備をしてきた地域の人たちに感謝の気持ちを持ってもらえたら」と話す。北海道現地本部総責任者でNPO法人ねおす理事の上田融さんは「コンセプトはリフレッシュとメリハリ。雪上でのスポーツなど全開で遊んでもらい、免疫力を高めてもらいながら、生活指導や学習、遊びと、リズムを大切にした活動を展開したい」と話していた。(今井正一)



◎星空の感動味わって プラネタリウムの会、手作り天文台完成

 NPO法人「函館プラネタリウムの会」(村井茂理事長)は、民家を改造した函館市亀田中野町の函館プラネタリウム館の隣接地に手づくりの「天文台」を完成させた。村井理事長は「立派ではないけれど、子どもたちに感動を与えてあげたいと思い作った。多くの人に利用してもらいたい」と話している。

 同会は同館を拠点に毎月第3土曜に直径7.2メートル、高さ6bのドーム内で無料上映・観望会を実施し、星空の魅力を伝えている。

 天文台は村井理事長が休日を利用し、約3カ月かけて作り上げた。屋根にはローラーが付けられ360度可動式。中には会員が持ち込んだ20aの反射望遠鏡が備えられ、どこからでも満点の星空が楽しめる。

 函館市には今までなかったプラネタリウムを自分たちで作り、天体の魅力を紹介してきた。「天文台の望遠鏡を通して実際の夜空を見ることの喜びを感じてもらいたい」と村井理事長。冬は大気が安定し、より明るい星を眺めることができるという。同会では市民のほか、学校単位での利用も勧めている。問い合わせはTEL0138-47-3136(みはら歯科矯正クリニック)。(小杉貴洋)


◎企画回顧・咸臨丸全国まちづくりサミット 努力結実 新たな絆も

 新たな絆が生まれると同時に多くの人の夢が実現するという瞬間に立ち会うことができた。幕末の軍艦「咸臨(かんりん)丸」が木古内町サラキ岬沖で座礁、沈没してから140周年を迎えたことを記念し、同町で9月24、25の両日に開かれた「咸臨丸全国まちづくりサミット」の取材だ。

 サミットには宮城県白石市や札幌市白石区、香川県塩飽諸島、建造国のオランダなど咸臨丸にゆかりのある地域の関係者約250人が出席した。咸臨丸最期の地の同町を中心に地域同士のつながりを強め、互いにまちづくりに生かしていく契機にしたいという思いが出発点だった。

 咸臨丸が結んだ新たな絆を確かなものにしたと感じたのはセレモニーでのこと。オランダ大使館のバス・ヴァルクス文化・報道官の「みなさんが集まったのは出港の準備のため。もう一度、咸臨丸に乗り込もう」というあいさつ。集まった関係者が咸臨丸に乗船し航海≠ノ出る様子を思い起こさせた。

 サミットでは咸臨丸を活用したまちづくりをテーマに意見交換。最後に「共同宣言文」を採択し、連携を強めていくことを確認した。2日目の「町民朗読劇」は、素人の町民が舞台に上がり、咸臨丸の歴史を表現した。幕が下りるとキャストとスタッフの顔は充実感であふれていた。

 イベントの運営、朗読劇の準備はすべて「咸臨丸とサラキ岬に夢みる会」のメンバーと住民有志とで行った。7年前からサラキ岬の公園整備にも奮闘する同会。サミットの成功はそうした長年の活動が結実した瞬間でもあった。

 同会の久保義則会長の「サミットは活動の集大成だが、夢にも活動にも終わりはない」と語った言葉が印象深い。一つ夢がかなえばまた次の夢へ。夢見ることを名前に冠した同会らしい考え方だと思った。航海≠フ次の目的地は「サラキ岬での野外劇上演」と「咸臨丸が沈没した状況の解明」なのだという。関係地域との新たな絆がどう生かされていくのか注目するのはもちろん、夢の続きを応援していきたい。(松宮一郎)


◎白百合中高吹奏楽団 イブに音楽で華やか演出 タワーでコンサート

 クリスマスイブの24日、函館白百合学園中学高校吹奏楽団(山下美樹団長、団員55人)主催のクリスマスコンサートが、函館市五稜郭町の五稜郭タワーアトリウムで開かれた。生徒たちの歌や楽器の演奏がイブを華やかに演出した。

 クリスマスの時期に合わせて毎年開催。イブの開催は昨年に続き2回目。この日のために生徒たちは顧問の前田浩史教諭の指導の下、真剣に練習を重ねてきた。

 サクソホンやクラリネット、打楽器などの小編成アンサンブルでは「テレプシコーレ舞曲集」「彼方の光」「パバーヌとダンス」など9曲、合唱では「クリスマスメドレー」「大切なもの」の2曲、吹奏楽では「クリスマスセレブレーション」「そりすべり」「ウインターワンダーランド」「クリスマスソング」などを披露した。中でも「大切なもの」は手話を交えて感情を込めて歌い、来場者の感動を呼んだ。

 山下団長は「『大切なもの』は東日本大震災被災地への思いを込めて歌った。練習の成果を存分に発揮できた」と話していた。(山崎大和)