2011年12月27日 (火) 掲載

◎正月商戦スタート

 今年も残すところあと1週間—。函館市内のホームセンターや食品店では、正月商戦が繰り広げられている。ホームセンターは玄関用の正月飾りが例年通りの売れ行きをみせており、食品スーパーでもおせち料理の材料を買い求める客で盛況している。

 ホームセンターのジャンボイエロー港店(港町3)では今月1日から正月飾りなどの正月商品コーナーを設けた。最大で約1メートルある玄関飾りなどを置いており、中でも地元の花屋が一つ一つ手作りで仕上げている4〜6寸の家庭用の正月飾りの売れ行きが好調という。このほか、車用飾りやしめ縄も人気を集めている。

 同店の住谷忠良主任は「縁起ものなので大安の日によく売れる。今年も昨年と同じくクリスマス明けがピークだろう」とみる。

 一方、食品スーパー各店でも、おせち料理の素材販売が始まっている。スーパーアークス港町店(港町1)ではクリスマス明けから黒豆やコンブ巻き、かまぼこなど、約150種類の素材を並べた。中でも伊達巻き、かまぼこなどが売れ筋という。

 同店の三上公男店長は「今年は東日本大震災の影響で、家族で正月を過ごすことが増えると予測し、昨年の1割ほど種類を増やした」とする。また「今は昔と比べ、不景気の中でも高級志向に変化している。完成品は1万5000円前後の商品がよく売れている」と話す。

 同店で買い物をしていた同町の主婦、寺沢幸子さん(52)は「年始は久しぶりに家族でゆっくり過ごせるので楽しみ。せっかくのお正月なので、おせちはおいしいものを買いたい」と話していた。(後藤 真)



◎震災影響 観光客数減 渡島11年度上期まとめ

 2011年度上期(4〜9月)の道南の観光客入り込み数と訪日外国人宿泊者数(渡島管内のみ)が26日、まとまった。観光客数は渡島、桧山管内ともに前年に比べ減少、東日本大震災が観光業にも大きな影響を与えた。

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 渡島総合振興局が発表した管内観光客の入り込み数と訪日外国人宿泊客数(ともに速報値)によると、観光客の延べ人数は前年比6・5%減の約600万8000人となり、現行方法で調査を始めた1997年以降、最も少なかった。訪日外国人宿泊者数は3万7514人で、同58・4%減、実数にして5万2573人の減少となり、97年の調査以降、最大の減少率となった。いずれも東日本大震災の影響を色濃く反映した格好だ。

 同振興局によると、観光客減少の主な要因として、震災の影響から道外、外国人客が大きく減ったことが挙げられる。道外客は同15・1%減の264万6000人。外国人客は震災に伴う福島第一原発事故の影響により、訪日旅行が大幅に手控えられ、4月には函館空港国際便のすべてが運休となった。

 震災直後は4月が同23%減、5月が同15%減、6月が同16・7%減となったが、7〜9月は東北からの修学旅行生など道外客を中心に客足が回復、前年を上回っている。また、道内客は、修学旅行が東北から道南へ切り替えられるケースが相次いだことから、同1・6%増の336万2000人。

 市町別では、函館市が同14・4%減の266万7000人。震災の影響で、観光自粛や原発事故の風評被害により4〜7月は前年より約45万6000人(23・7%)減ったが、8月以降は海外チャーター便の回復や東北への誘致活動による修学旅行生の増加などで回復傾向に。松前町、七飯町、八雲町、長万部町も前年を下回った。

 一方、森町は同32・3%増の63万9000人と好調で、震災の影響で道内客が近距離を旅行する傾向が見られたことや、駒ケ岳の入山規制が緩和されたことで道外客が増加したこともプラスとなった。

 海峡横綱ビーチがオープンした福島町は同18・5%増の5万6000人。このほか、知内町、木古内町、鹿部町、北斗市も前年を上回った。

 訪日外国人宿泊客数の減少は、原発事故の影響が大きい。台湾が2万5196人と最も多く、次いで韓国4042人、中国1977人、シンガポール1689人とアジア全体が93・3%を占める。台湾はチャーター便が5月末に再開したが、同44・1%減。韓国は5月に6便、9月に4便就航したのを除き、すべて運休したのが響いた。(山崎大和)

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 桧山振興局が発表した、本年度上期(4〜9月)の観光客入り込み状況によると、入り込み客の総数は、前年同期比1・3%(1万1000人)減の81万3100人で、06年から続く減少に歯止めが掛からなかった。

 内訳は、道内客68万100人(同0・3%増)。道外客13万3000人(同9・1%減)。道外客の減少率は、前年同期の21・7%に続き大幅に減少。日帰り客は72万1700人(同1%減)、宿泊客は9万1400人(同4・2%減)。同振興局は「東日本大震災の影響で他管内は大幅に減少したが、桧山管内は従来から道内客が中心で、外国人観光客を含めた、道外客が少なく、比較的小幅な減少にとどまった」としている。

 ただ、上期の客数は、05年度に前年同期比で2・2%の増加を記録して以降、06年度10・3%減、07年度4・3%減、08年度11・2%減、09年度1・6%減、10年度5・2%と減少。06年度上期の客数は104万100人で、本年度上期と比べると22万7000人(28・8%)の減少。

 町別では、江差町33万9400人(同0・2%増)、上ノ国町6万7200人(同12・4%増)、厚沢部町8万3300人(同3・9%減)、乙部町8万8900人(同7・5%減)、奥尻町2万6300人(同7・4%減)、今金町2万8500人(同7・1%増)、せたな町17万9500人(同4・4%減)。

 上ノ国町は、道の駅の物産センター利用客が増加。今金町は、イベントの入り込み増加が好材料になった。江差町は、震災の影響で道内からの修学旅行が増加した。奥尻町は、震災に伴うツアー客の減少、北海道エアシステム(HAC)の機体トラブルなどが大きく響いた。(松浦 純)



◎防災対策案まとまる 函館市震災踏まえ見直し

 函館市の災害時の対応や防災対策を担当者レベルで協議する本年度の「第3回市防災会議幹事会」が26日、市役所で開かれた。公共施設以外に民間施設を避難所として指定することや、防災総合訓練、災害備蓄品の変更など本年度中に着手する16項目の見直し案をまとめた。

 幹事会は市の地域防災計画を作成する市防災会議の下部組織で、今回は地元の関係機関から約40人が参加。これまでの協議で見直し対象となった70項目のうち、3月の震災を踏まえて市独自で早急に取り組むことができる同計画の修正案を示した。

 見直し案によると、避難所については公共施設を基本とする一方、耐震化など基準を満たす民間施設も新たに指定するほか、災害時の非常食は、高齢者に不評だった乾パンを食べやすい缶詰パンに変更し、アレルギー対応の品目確保に努めることを盛り込んだ。

 防災訓練は、同会議主催の総合訓練とは別に、住民参加型の避難誘導訓練などを地域ごとに実施する方針。最重要課題の津波対応では、現在の津波避難所(30カ所)や津波避難ビル(4カ所)に加え、新たに民間ホテルなどの津波避難ビルや、海沿いなどの「一時避難的地」を確保する。

 このほか、災害備蓄品では新たに▽非常用照明▽スリーピングバッグ(寝袋)▽組み立て式パーティション—の3品目を追加し、停電時や避難所生活の長期化にも対応。学校施設の耐震化については「耐震診断を前倒しする」(市総務部)方針で、来年度以降の実施項目として先送りされた。

 市は今後、今回の見直し案を道に照会し、3月までに素案を策定する。来年度以降は残る54項目について引き続き検討を進める。(森健太郎)


◎函館の年間平均気温9・7度

 気象庁はこのほど、12月20日までの観測データを基に、2011年の国内の気象状況を発表した。函館の年間平均気温は平年より0・2度高い9・7度で、この値は1873(明治6)年以降で9番目の高さ。江差は同じく0・1度高い10・5度で、1941(昭和16)年以降7番目の高さ。31日までの観測データによる発表は来年1月4日、確定値は同2月に行われる。

 全国の平均気温は、北日本は高め、東・西日本は平年並みに推移したが、鹿児島や沖縄は平年を下回った。本道は22の観測地点すべてで平年を上回っており、帯広は平年より0・8度高い8・0度となっている。日本の年平均気温(1981〜2010年の30年平均値を基準とした偏差)はプラス0・24度で、1898(明治31)年以降13番目に高い値になる見込み。確定値は来年2月上旬に発表される。

 全国的に春は低温、夏から秋にかけて高温傾向で、函館も同様だった。3〜5月の平均気温は平年より0・4度低い6・4度、6〜8月は平年より1・1度高い20・2度、9月も1・2度高い19・5度だった。平均気温が平年値を上回れば、函館は5年連続、江差は2年連続となる。

 降水量は、函館は平年比97%の1087・5ミリ、江差は同98%の1142・5ミリ。全国的に北日本は日本海側で多く、太平洋側は平年並み。日照時間は、函館は同101%の1726・5時間、江差は同95%の1365・0時間。全国の北日本地方は平年並みとなっている。

 このほか、台風の発生は21個(平年25・6個)で、1951年の台風統計開始から4番目に少なかった。このうち、日本への接近数は9個(平年値11・4個)、上陸は3個(同2・7個)。本道は15号(9月)の1個(平年1・8個)が接近した。(山崎純一)


◎大間原発無期限凍結 国などに文書で要請

 函館市の工藤寿樹市長は26日の定例会見で、無期限建設凍結を求めている大間原子力発電所(青森県大間町)について、1月中旬にも上京し、国などに対し、改めて文書で要請する考えを明らかにした。同市長は「立地自治体の同意だけでは足りない。30キロ圏内の自治体の同意が必要ではと申し上げる」と述べた。

 市長は今年6月、多田健一郎副知事とともに経済産業省や事業者の電源開発(東京)を訪問し、市への情報提供を文書で要望するとともに、口頭で無期限凍結を求めた。8月には大間町の工事現場を初めて視察している。

 国の原子力安全委員会が、原発事故に備える半径8〜10キロ圏の「防災対策重点地域(EPZ)」を見直し、30キロ圏の「緊急防護措置区域」(UPZ)を導入することから、同市長は要請に関し、無期限凍結に加えて、30キロ圏内の建設同意を柱とする考えを表明。同市長は「(文書での要請は)議会との協議が必要。できれば近隣の自治体首長とも協議しながら上京したいと考えている」とした。

 また、建設再開が決まった場合の法的措置については「弁護士と相談中」と述べたうえで「安全、危険の議論ではなく、30キロ圏内の同意を得なさいという訴えとしたい。市が原告になれるか、訴える相手がどこになるかは今後の整理」とした。(後藤 真)

 


◎企画回顧・新人記者 日々勉強 信頼関係の大切さ実感

 今年4月に入社し、すでに半年以上が経過した。当初はギャラリーや地域の行事などを中心に取材をしてきたが、11月からは先輩記者から引き継ぎいた「教育」部門を担当している。「教育関係者がためになるような記事を」と先輩記者にアドバイスをもらいながら原稿を書く日々。失敗を起こすたるたびに自分のふがいなさを痛感しつつ、再び同じミスを繰り返さないように気を引き締めている。

 「多くの人と出会いコミュニケーションを図りたい」とこの仕事を選んだ。しかし人と接する度に、函館に4年も暮らしながら函館のことを何も知らない無知な自分に気づかされ、「今まで何をしてたのか」と自問自答することも少なくない。学生時代に思い描いていたイメージを遥かに越え、社会人としての厳しさや取材相手との信頼関係の大切さを実感した1年となった。

 中でも函館西部地区の4教会が連携したイベント「教会めぐり」は印象的だった。前日に各教会の代表者による会見が開かれ、東日本大震災の被災者の追悼とともにそれぞれの聖歌などを知ってもらうことを目的だと伝えられた。

 当日は約300人が参加し、教会の外に人があふれるほどの人たちが祈りを捧げた。そんな中、「初めて建物をしっかり見て、歴史を知った」という参加者の話に、「地元の人たちでも知らないことがある」と妙な安心感を感じたのを覚えている。

 記者としてまだまだ駆け出しの段階だが、「取材先の出来事や人の思いを多くの人に伝えたい。函館の知らないことを伝えたい」との思いはますます強まり、そのためにも函館についてもっと多くのことを知らなければと、勉強の毎日は続く。

 それでも取材先で初めて見ることや知ることにとまどうことばかりで、知識不足の新人に対し、厳しい言葉を掛けられることも。その一方で、児童や生徒の屈託のない笑顔に勇気付けられてきた。一日も早く地域が欲する情報を紹介できるような、地域に根付いた記者を目指したい。(平尾美陽子)