2011年12月5日 (月) 掲載

◎木の恵み 親子で体験 「木育教室」

 函館市若松町のWAKOビルの子育て支援施設「大門キッズスタジアム」で4日、初の「木育教室」が行われた。親子500人が来場。木の遊具やリース作りを思い思いに楽しんだ。

 木に触れ合い、自然の恵みを感じ取ってもらおうと同スタジアム、渡島総合振興局が初開催。この日限り設置された「木のボールプール」では、大勢の子どもが卵形の木の感触を楽しみながら大はしゃぎ。道の森林づくりのシンボルキャラクター「芽森(めもりー)」も登場し、子どもたちの注目を集めた。

 一足早いクリスマスムードも味わってもらおうと、つるを使ったリース作りも。参加者は講師の指導を受けながら金銀など4色の松ぼっくり、リボンを丁寧に飾り付けし、直径30センチほどの華やかな自作を持ち帰った。道認定の木育マイスター鈴木正樹さんによる紙芝居も行われた。

 木のボールプールに夢中になっていた函館亀田小1年の中川希一君(6)は「すごい楽しい」と元気な笑顔を見せていた。(長内 健)

 



◎ガゴメ目指せ全国区

 渡島総合振興局は本年度、函館の地域ブランドであるガゴメコンブを活用した加工、飲食分野での新商品開発に乗り出す。既に「函館がごめ連合」(36社、布村重樹代表)など函館市内の食品加工業者・飲食店5社を選定、開発した新商品は食の先進プロジェクトがそろうイベント「食クラ・フェスタ」(食クラスター連携協議体主催)=来年2月14日・札幌市=に出展する。専門家のアドバイスを受け商品化を行い、新商品の全国展開を目指す。

 道の「地域食クラスター事業」から予算措置を受け、14振興局・総合振興局がテーマを決め、地域食材を生かした高付加価値商品・メニュー開発などに取り組んでいる。渡島の予算額は700万円。ガゴメはこれまで、産学官連携により関連製品が数多く生まれている。しかし、地元完結型の商品開発が多く、認知度もいまひとつという課題があった。

 振興局は、事業をノース技研(函館市昭和、布村社長)に委託。同社はこれまでに取り組みが期待できる5社を選定した。このうち、がごめ連合は会員企業の商品を集めた連合ブランド≠フ創設を視野に入れたギフトを開発する意向だ。

 商品開発に当たっては、大丸の吉本洋之さん(北海道物産展バイヤー)と本田大助さん(札幌店食品部長)、流通問題研究協会(東京)の三浦功会長から指導・アドバイスを受ける。大丸の支援を受けることで、商品化後の販路拡大につなげる狙いもある。

 12日には吉本さんら3人が来函、選定5社と意見交換し、商品化へ正式に動き出す。成果は20ページ程度の報告書にまとめ、過程や今後の展開・提言などを広く紹介する。

 ガゴメを使った新商品では、今年6月に開発された「函館がごとろ焼きそば」がある。ガゴメの粘りで絶妙なとろみを出す逸品。市内のラーメン店でメニュー化、函館のB級グルメ≠ニして一定の評価を得ている。

 同振興局商工労働観光課は「ガゴメは道南の独自性、優位性のある地域ブランドとして潜在能力は高い。今回はモデルケースをつくり、来年度以降、ガゴメ新商品開発の広がりに期待したい」としている。(山崎大和)

 



◎函高専埋文研が優秀賞 開泰元寶分析発表

 後志管内岩内町で11月中旬に開催された高文連の第46回全道高校郷土研究発表大会の郷土研究部門で、函館高専(岩熊敏夫校長)の埋蔵文化財研究会が優秀賞を受賞した。今年5月に涌元古銭(知内町)の中から確認され国内初出土と認定されたベトナム古銭「開泰元寶(かいたいげんぽう)」の分析、比較調査の結果を発表した。

 同会は知内町郷土資料館から涌元古銭997枚を借り2008年から調査をしていて、この中から「開泰元寶」1枚を確認した。

 今大会に向け、高専所有の分析装置で開泰元寶の成分組成を分析。さらに涌元古銭、函館の志海苔古銭の中に含まれ、開泰元寶よりも300年ほど前に鋳造されたといわれるベトナム古銭「天福鎮寶(てんぷくちんほう)」の成分組成も分析し、比較検討した。

 8月から11月ごろまで分析を進め、小野美玲部長、北村茉友さん(以上3年)、杉本紬さん、渡辺健一朗君(以上1年)の4人の学生が本番で発表した。

 発表では、開泰元寶の銅、鉛、錫(すず)の成分組成を割り出したほか、計22枚の天福鎮寶の分析の結果、開泰元寶にほとんど含まれていない不純物の鉄が0・8〜4%余り含まれていたことを指摘し、その間、鋳造技術が向上したと推察した。

 今回で3年連続の入賞を果たしたが、昨年が最優秀賞だっただけに、小野部長は「悔しい思いもあるが、来年後輩に頑張ってもらい1位を取ってほしい」と話す。

 来年は古銭と同様成分の模擬貨幣を鋳造し、腐食の進行具合を分析する実験を行う計画で、学生たちは「成果を出したい」と次に向けて意欲を口にする。

 同大会は道内各地から9校が出場。同研究部門の最優秀賞は旭川竜谷高だった。(鈴木 潤)


◎節目の20回 歌声響く

 函館市中島町で水彩画、合気道の教室を開く国井しゅうめいさん(68)による「ピアノ弾き歌いしっとりコンサート」が4日、五島軒本店(末広町4)で開かれ、国井さんがソロで国内外のポップス、シャンソン、カンツォーネなどを歌った。

 国井さんは1990年に函館で初のリサイタルを開催し、以来、札幌、旭川でもチャリティーとして多数開いてきた。「ピアノ弾き歌い─」のタイトルでは、今回は20回の節目を迎えた。毎回、年末の慌ただしい中、気持が穏やかになる曲と、ワインや食事も味わえるとあり好評で、この日も170人が来場した。

 歌は27曲で、それぞれのエピソードも紹介。「ホワイト・クリスマス」では、外の雪と会場のクリスマスツリーが雰囲気を盛り立てた。このほかでも情緒あふれる歌声に来場者は聞き入っていた。また、20回を記念し、国井さんの新作絵はがきセットが来場者に配られ、抽選でこの原画がプレゼントされた。コンサートの益金は全額、同震災復興支援義援金、ウイメンズネット函館などに寄付される。(山崎純一)


◎盛況の中 映画の祭典閉幕

 「第17回函館港イルミナシオン映画祭2011」(実行委主催)は最終日の4日、18本の短編、長編作品などを上映し、閉幕した。函館を舞台に3日間にわたり開かれた祭典に、最終日も大勢の映画ファンや市民らが訪れた。

 今年は金森ホール、クレモナホール、市地域交流まちづくりセンターで開催。悪天候のため最終日のみクレモナホールから市青年研修センターへと会場が変更された。時間や場所の変更もあったが、急きょ「ギリヤーク尼ケ崎『祈りの踊り』」が追加され、予定より多い全30作品を上映。オール函館ロケの「スノーフレーク」(谷口正晃監督)や、2009年カンヌ国際映画祭正式出品の「ユキとニナ」(諏訪敦彦監督)など、さまざまな内容の作品で観客を沸かせた。

 クロージング作品として「監督失格」を上映。平野勝之監督が2005年に亡くなった女優、林由美香さんに関わった約14年間の記録のドキュメント作品で、大切な人の喪失とそれに向き合う人々の再生を描いている。作品上映後、平野監督と映画評論家の寺脇研さんがステージに上がり、作品への思いや撮影中のエピソードなどを話した。

 続いて同会場で行われた閉会式で、同映画祭の米田哲平実行委員長は「今回も充実したプログラムを見せることができた。これからも前に進んでいけるような映画祭作りをしたい。また来年この場所でお会いしましょう」とあいさつし、会場から大きな拍手が送られた。(柏渕祐二)