2011年12月9日 (金) 掲載

◎ほっこりカフェ ほっと一息 大沼にオープン

 【七飯】「山川牧場モータウンファクトリー」(山川洋子代表)はこのほど、「モータウンカフェ『ほっこり冬カフェ』」を大沼町889にオープンした。ハンバーガーの起源のひとつとされる19世紀末のレシピを再現した「プレミアムビーフバーガー」などが味わえる。同店は「冬の大沼のほっこり<Xポットとして、楽しんでもらいたい」と話している。

 同社は、夏場は道道大沼公園鹿部線沿いで「ローストビーフサンド」などの牛肉製品を販売。冬の大沼に楽しい場所を提供しようと、世界中で集めた牛グッズの展示スペースとして利用していた建物を改装した。

 ビーフバーガーは、アメリカ・コネティカット州ニューヘイブン市のレストランで1895年に作られたレシピを再現。熟成した低脂肪牛肉のミンチを塩こしょうで味付けし、じか火で焼いたパティをトーストに挟んだシンプルなもの。Mサイズ650円、Lサイズ850円で、肉汁たっぷりの焼きたての香りと濃厚な味が楽しめる。

 バーガーのほか、生ハムとトマトに町軍川の久保田牧場産モッツァレラチーズを加えた「ホットサンド」(700円)、野菜と牛肉のボリューム満点の「ビーフビーフカレー」(850円)、山川牛乳とほうじ茶のミルクティー(300円)や自家製ケーキなどもお薦めだ。

 牧場主の山川俊郎さん(63)は「ローストビーフサンドとは違った牛肉の楽しみ方を提案したい。地元の人にほっと一息ついてもらえるお店にしていきたい」と話している。

 水曜定休。営業時間は平日は午前11時半から午後2時半まで、土、日曜、祝日は午後5時まで。3月末までの営業。問い合わせはTEL0138-67-4920。 (今井正一)



◎函館−台北間で定期便就航へ

 台湾の復興航空(台北市)が、来春にも函館空港と台北北部の桃園国際空港を結ぶ定期便を就航することが8日までに分かった。同社は函館—台北間で週2便の路線開設を台湾当局に申請。函館ではロシア・ユジノサハリンスク(運休中)、韓国・ソウル(仁川)に次ぐ3路線目の国際定期航路となり、海外からの観光客誘致に弾みがつきそうだ。

 同社が日本への定期便を開設するのは初めて。道内では函館が日、月曜の週2便のほか、新千歳も火、土曜の週2便、帯広が水曜、旭川が木曜、釧路が金曜のそれぞれ週1便の予定。同社は「まだ日本当局への申請手続きが残っているが、函館線は来年5月にも就航したい」としている。

 日本と台湾は11月、航空会社が路線や便数、空港の発着枠を自由に決められる航空自由化(オープンスカイ)協定に合意し、今回の申請を後押ししたとみられる。日本での定期路線の参入手続きには早くても3カ月かかる見通しで、今後、関係機関との協議を進め、運航時刻や地上業務などの調整に入る。

 函館市によると、同社は08年から函館へのチャーター便乗り入れを開始し、同年に8便(1145人)、09年に105便(1万5061人)、10年に208便(3万2945人)と増加傾向にある。今年に入り、東日本大震災の影響で一時運休したが、5月には国際便ではいち早く再開し、10月末現在で144便(2万998人)に上る。

 同社は台湾の中堅航空会社で、道内では台湾の中華航空とエバー航空が桃園—新千歳間で定期便を開設している。今後は復興航空の参入で価格競争の激化も予想される。同社の汪祥龍業務主任は「チャーター便は台湾から一方的に送客するだけだったが、定期便になれば相互交流も期待できる。安い料金で日本から台湾を訪れる誘客増加にも期待したい」と話す。

 函館市の工藤寿樹市長は「台湾チャーター便は函館空港が7年連続国内トップの実績があり、震災後もいち早く復活してくれた。国際定期航路の開設は大変喜ばしく、将来的にはさらに便数を拡大してほしい」と歓迎し、年明けにも現地での物産展に合わせて復興航空本社を訪問する考えを示した。 (森健太郎)



◎道の提案踏まえ判断 函館駅—新函館駅経営分離問題

 函館市議会第4回定例会は8日も一般質問を継続し、5氏が質問に立った。北海道新幹線札幌延伸時の函館駅—新函館駅(仮称間)の経営分離問題に関し、工藤寿樹市長は道からの鉄路維持に向けた提案をもとに、分離の是非を判断する考えを示した。

 出村勝彦氏(市政クラブ)、紺谷克孝氏(共産党)の質問に答えた。

 工藤市長は同問題に関し、「鉄路維持が前提」とのスタンスを主張している。出村氏は経済界などがJR北海道からの経営分離に反発していることについて「どのように行動して理解を求めていくのか」とただした。

 市長は「新駅—現駅間の鉄路維持の基本となる、安定的かつ充実した鉄道運行体制の確立が条件」としたうえで「道やJRとの協議過程で、そうした提案が市に示された場合には議会や経済界、町会連合会などと相談して対応したい」との意向を示した。

 出村氏はさらに、市長と高橋はるみ知事、小池明夫JR北海道社長との3者会談実施を求めるとともに「年内解決は見送り、経営継続に向けて息の長い運動を図るべき。首長として、腹のくくり時では」と指摘。市長は「わたしなりにかなりの決意で問題解決に当たっている最中。軟弱のように思われていることは不本意だ」と語気を強め、年内に決断を下す姿勢を強調した。

 市長はまた、紺谷氏の「条件次第では第3セクターもあり得るのか」との質問に、「あらゆる選択肢の検討を排除しない。わたしはまだニュートラルな状況。選択肢はいろいろあるが、どちらかに決めていることではない」と語った。  (千葉卓陽、森健太郎)  


◎一本松に感じた「絆」新井満さん復興願い詩出版

 ヒット曲「千の風になって」の作曲、訳詞で知られる、七飯町在住の作家新井満さん(65)がこのほど、東日本大震災の被災地、岩手県陸前高田市にある防潮林「高田松原」で唯一津波に耐えて生き残った「一本松」についてつづった散文詩「希望の木」を出版した。新井さんは8日、函館市末広町の五島軒本店で開かれた函館ロータリークラブ(加藤憲孝会長)の例会で、被災地の復興と高田松原の再生に願いを込め、詩を朗読した。

 高田松原は約350年前に植林され、海岸沿いに2`にわたり7万本の松が植えられていた。3月11日の大震災の津波で1本だけを残し全滅した。

 新井さんはテレビのニュースで一本松の存在を知った。驚きと感動を覚えるとともに「なぜ1本だけが残ったのか」。その答えを探る中で詩が生まれた。

 その残った一本松に対し、新井さんは「家族の絆」を感じたという。「希望の木」は7万本の松の木を人間社会の家族や仲間として描写。両親や兄、姉を失い、深い悲しみを背負った一本松が、夢の中で星や風に生まれ変わった両親と再会し、津波に襲われた時に父や母らが決死の覚悟で枝を広げて一本松を守っていたことを知る。「あなたが生き続けてくれることが、高田松原7万本の仲間たち全員の『心のささえ』」という母の言葉に、一本松は「一人ぼっちではない」と悟り、希望の木として生き抜いていくことを誓う。

 この日の例会での朗読は函館では初演。波の音や効果音を流しながら新井さんは会員約80人の前で情感を込めて詩文を読んだ。会員も感情を移入しながら聞き入り、目頭を潤ませていた。  新井さん自身も1964年に高校3年で新潟地震を経験。心の傷を負い不安感や絶望感などに苦しんだ「47年前に全国からたくさんの励ましをいただいた。今こそ恩返しをしなければ」と話し、「大切な家族を亡くした時、その悲しみは言葉で表すことはできない。こうした人たちに決して一人ではないという思いを込めて出版した」と思いを語る。

 先月下旬には陸前高田市を訪れ、義援金100万円を寄贈した。

 「希望の木」は、大和出版から1155円(税込み)で刊行。来年10月まで、1冊の販売につき100円の復興応援金が同出版から陸前高田市に送られる。  (鈴木 潤)


◎元日に臨時開館 箱館奉行所など3施設

 函館市内の主要観光施設である箱館奉行所(五稜郭町44)、旧函館区公会堂(元町11)、函館市旧イギリス領事館(元町33)の3施設が、来年の元日に臨時開館する。これまでいずれも休館していたが、観光業界や市民からの要望を受けて開館する。

 市の条例で3施設はともに元日は休館。しかし帰省などで観光客が多い五稜郭タワー(五稜郭町43)など営業している観光施設もあるほか、函館地区バス協会や市民などからも要望があったため、臨時開館する。

 市文化財課は「奉行所などは生涯学習の場でもあるが、観光の要素が大きい。冬は閑散期のため、多くの人に訪れてほしい。今回は試験的に実施し、翌年以降は実績を考慮して決めていきたい」としている。

 臨時開館は、箱館奉行所と同公会堂が1月1〜3日で、開館時間は午前9時から午後3時まで。同領事館は1月1日のみ開館し、時間は午前9時から午後3時まで。12月31日はいずれも休館する。

 また箱館奉行所は1月1日、先着230人を対象にポストカードを200人分用意し、ストラップ、キーホルダー、根付を各10個、計30人にプレゼントする予定。  (後藤 真)