2011年1月13日 (木) 掲載

◎タラ漁最盛

 函館市恵山地区のタラ漁がたけなわだ。えさん漁協本所がある大澗漁港は連日、20トンを超える水揚げで活気づいている。昨年末は、しけで出漁機会が少なかっただけに「この調子で大漁が続いてもらえれば」と関係者は期待する。

 約20隻が出漁する同本所では11日に21トン、12日も20トン以上の水揚げがあった。

 漁は午前2、3時に恵山沖合へ出漁し、はえ縄を仕掛ける。夜明けに縄を上げ、多くの船が同10時から正午にかけて港へ戻る。

 漁港岸壁では、家族らが総出で水揚げ作業に汗を流す。計量機で一匹ずつ重さを測り、氷を敷いた発泡スチロールに丁寧に箱詰めされる。

 12日午後1時ごろに帰港した船は、日暮れ寸前まで吹雪の中、箱詰めに追われたが「寒さなんか気にしていられない。沖のほうがもっと風が強くて寒いよ」と漁師。

 タラの漢字は「鱈」。その名の通り、厳冬期にかけて最盛期を迎え、鍋料理や刺し身、フライなどとして食卓を飾る。(田中陽介)



◎多数の継続企業、募金は年々減少 函館の寄付事情

 「タイガーマスク」の主人公・伊達直人などを名乗っての寄付が函館市内でも現れている中、市や福祉団体に毎年継続して寄付を続けている企業や団体、個人も数多く存在する。各団体の関係者は善意の広がりに感謝しながら、一方で従来の募金への寄付が減少していたり、匿名の寄付者ばかりが注目される現状に戸惑う声も聞かれる。

 市によると、09年度に市に現金で寄せられた、用途や基金を指定しての寄付は2億3600万円。市内に競馬場を持つ日本中央競馬会(JRA)など、大口を除いた地元企業や団体からの寄付は30件、約5000万円に上り、中には30年以上継続している企業もある。

 個人からの寄付は6人から寄せられたが、市財政課は「寄付者の中には報道機関への公表や、感謝状の贈呈を断る人もいる」と話す。

 市にはこのほか、清涼飲料水や果物といった「現物」が寄贈されるケースも多く、福祉部の所管分だけで約30件。児童福祉施設や救護施設、特別養護老人ホームなどに配分している。

 函館市社会福祉協議会(若松町33)にも昨年度、現金のほか海産物、演劇チケットなど約60件、総額650万円の寄付が道内外から寄せられた。

 ただ、社協が毎年協力している社会福祉法人・中央共同募金会の「赤い羽根共同募金」への募金は年々減少が続く。ピーク時の1993年度に約3900万円あった募金額は、09年度には2384万円と約6割まで落ち込んだ。市社協は「町会加入率の減少や、街頭募金額の落ち込みが影響している」と話す。

 過熱する“タイガーマスク運動”に、善意を受ける各施設のとらえ方にも変化がみられている。「突発的であれ、ありがたいこと。日本人の心も捨てたものではないと感じた」(ある施設の園長)と好意的にとらえる意見もあれば、別の施設の施設長は「善意は否定しないが、競争しているようで怖くなる」と打ち明ける。(千葉卓陽、黒田 寛)



◎冬の道南観光取材

 韓国人女性をターゲットに道南の冬の観光の魅力を発信してもらおうと、北海道運輸局などが招いた韓国の旅行雑誌の記者や30歳前後の「アラサー」世代の女性モデルらが11日から函館入りし、市内の観光スポットや食べ物、温泉などを取材、体験している。

 国土交通省が地方の外国人観光客誘致を支援する地方連携事業の一環で、道運輸局とJR北海道の共催。今回は所得が高く、旅行意欲が旺盛な韓国の30代の女性に冬の広域観光をPRする狙いで、青森から函館、大沼を経由して道央を巡る5泊6日のツアーを企画した。

 参加したのはいずれも女性で、韓国の海外旅行専門誌「トゥール・ド・モンド」誌(4万部発行)の記者とカメラマン各1人と、公募で選ばれたインターネット上に人気ブログ(日記風サイト)を開設している「ブロガー」の2人の計4人。

 一行は12日に函館朝市や旧函館区公会堂、旧イギリス領事館などを回り、熱心に写真を撮ったり、海産物やスイーツを堪能したりした。ソウル在住のブロガー2人は初来函。自営業パク・チウンさん(31)は「日本よりはヨーロッパのような異国に来た印象。静かにゆっくりと散策できるのが楽しい」と語り、ウェブデザイナーのチョン・ヘキョンさん(29)は「海産物が韓国よりおいしい。街並みは家が小さくてかわいい」と話した。

 一行は13日に大沼を観光し、ニセコや小樽、札幌を訪れて16日に帰国する。今回の取材は同誌の2月号で紹介されるという。(森健太郎)


◎新春喜ぶ 華やか生け花

 第55回全函館華道展と第42回全函館新春茶会(函館華道連盟、函館市茶道連盟など主催)が12日、丸井今井函館店で始まった。新年や春を思わせる華やかな生け花作品が並び、季節の菓子とともに抹茶を楽しめる。17日まで。

 華道展には、市内の8団体から約80人が参加。個人や合同で約60点を出品した。数人で取り組む合同作品は、特に大きく華やかで、色とりどりの花や飾りをふんだんに使い、新春の喜びを伝えている。

 個人作品では、小野松静さん(日本華道院函館支部)はコットンツリーなど3種を四角い花器に生けた。植物と花器の白が、静かな空間を作り出していた。和賀紅草さん(草月会北海道支部函館会)は、アンスリウムを植物や人工物で鮮やかに装飾。縦のラインを強調した動きで、すっきりと仕上げた。

 函館華道連盟の仲谷理燿副会長(古流かたばみ会北海道支部長)は「新春のおめでたい気持ちや春を待ち望む心を作品にしています。流派ごとに特徴があるので、この機会にぜひ見に来てほしい」と話していた。(小泉まや)


◎「咸臨丸とサラキ岬に夢みる会」に手づくり郷土賞

 【木古内】国土交通省は12日、本年度の国土交通大臣表彰「手づくり郷土(ふるさと)賞」の受賞団体を発表した。道内からは木古内町のまちづくり団体「咸臨丸とサラキ岬に夢みる会」(久保義則会長)など2団体の活動が受賞した。会員らは「地道にやってきた成果。活動の励みになる」と喜んでいる。

 同賞は、自然や文化、歴史など地域の魅力や個性を生かした活動を行う団体に贈られる賞。本年度の道内の受賞は同会など2団体。道南で受賞したのは、2006年度の「函館野外劇の会」以来、4団体目。

 受賞理由で「住民自らが考え行動し観光交流拠点として整備し、地域の活性化に寄与している」と住民のボランティア活動を高く評価した。

 同会は、2004年10月に発足。サラキ岬沖で座礁、沈没した幕末の軍艦「咸臨丸」をまちづくりに結びつけようと活動している。国道228号沿いにあるサラキ岬の公園の整備は、住民有志のボランティアに支えられてきた。これまでに同艦の模型設置や花壇整備を行い、5月初旬に開いているチューリップ祭りには多くの観光客が訪れるようになった。

 久保会長は「訪れる人がもっと楽しめるように、サラキ岬を公園として充実させるため汗を流したい」と気持ちを新たにしている。

 また、今年は同艦が沈没してから140年の節目で、9月には同艦にゆかりのある自治体の関係者を招き、「咸臨丸サミット」開催を予定している。多田賢淳事務局長は「手作りの活動が評価されうれしい。サミット開催に向けて受賞は弾みになる」と話している。認定証の授与式は2月8日に町役場で行う予定。(松宮一郎)