2011年1月17日 (月) 掲載

◎福島町長に村田氏3選

 【福島】任期満了に伴う福島町長選は16日、投開票が行われ、現職の村田駿氏(65)=無所属=が1858票を獲得し、前議長の溝部幸基氏(63)、前町議の佐藤卓也氏(49)=いずれも無所属=の新人2氏を破り、3選を果たした。投票率は84.80%で、選挙戦となった1991年の前回の82.51%を2.29ポイント上回った。  20年ぶりの選挙戦は、現職と新人2氏の三つどもえの戦いとなり、町政の継続か、刷新かが大きな争点となった。町民の関心も高く、3氏とも人口減少が進む町の活性化策を訴えた。

 当選した村田氏は、町自立プランを策定し、行財政改革を進めた2期8年の実績と豊富な行政経験を訴えた。前浜の資源確保と管理型漁業の推進による漁業と水産加工業の振興の公約が1次産業従事者を中心に浸透。また、「安心・安全で笑顔のある福島町」を目指すとし、福祉政策の充実も訴え、幅広い支持を集めた。

 午後7時55分ごろ、選挙事務所に「当選」の一報が入ると、詰めかけた支持者らは歓喜に包まれた。村田氏は「2期8年の『町民が主人公のまちづくり』は間違いなかった」と当選の喜びを語った。

 溝部氏は31年間の議員経験と議会改革に取り組んだ実績を強調し、特別職の報酬減額や退職金の廃止などを訴えたが、現町政への批判票をまとめきることができなかった。午後8時ごろ、溝部氏は支持者に「いろいろな思いはあると思うが、新たな福島の将来に向けての力に変えて、頑張ってほしい。結果を肝に銘じて、今後の対応を考えたい」と敗戦の弁を語り、悔しさをにじませた。

 佐藤氏は「若者、高齢者の雇用の場の創出」を掲げ、企業誘致や起業の促進などを公約に打ち出し、若い層を中心に支持を広げたが及ばなかった。午後8時15分ごろ、選挙事務所で佐藤氏は「申し訳ない気持ちでいっぱい。これだけ信じて、応援してくれたことに一生かけてお返しをしていきたい」と支持者に感謝の言葉を繰り返した。

 村田氏は45年、同町出身。函館商科短期大学卒業。68年に町役場入り。総務課長など経て、2003年の町長選に初出馬し無投票当選。07年も無投票当選。  当日有権者数は4546人(男性2117人、女性2429人)。 (松宮一郎、今井正一)

              ◇福島町長選開票結果◇

 当1858 村田 駿 65 無現

 1259 溝部幸基 63 無新

 710 佐藤卓也 49 無新

 =選管確定=



◎幻想的な舞 五穀豊穣祈る…鹿子舞交流会

 【厚沢部】町内に江戸時代から伝わる郷土芸能の「鹿子舞(ししまい)」で新年を祝う、第16回新春町内鹿子舞交流会が16日、町民交流センターで開かれた。会場を訪れた100人を超える観客が、林業の繁栄や五穀豊穣(ほうじょう)を祈る幻想的な舞に見入っていた。

 鹿子舞交流協議会(澤口一雄会長)の主催。桧山南部の伝統的な「三匹鹿子」による鹿子舞は、全国各地に伝わる獅子舞≠ニ異なり、3頭の鹿子(シカ)が主役を務める。厚沢部町では、4地区で鹿子舞保存会が活動しているが、歴史やルーツの違いなどから、地域ごとに独自の舞や衣装、囃子(はやし)の様式を脈々と受け継いできた。

 交流会では、延宝年間(1647年ごろ)にヒバの伐採で栄えた町内に、東北の津軽地方から伝えられたとされる土橋鹿子舞(富栄鹿子舞保存会)をはじめ、1897(明治30)年に、当時はヒバ材の流送で栄えた、厚沢部川河口周辺の土場地区(現在の江差町柳崎)から伝えられた当路鹿子舞(当路鹿子舞保存会)が披露された。

 笛や太鼓の囃子に合わせた勇壮な舞には、1頭の雌鹿をめぐって雄鹿と老鹿が激しく取っ組み合う場面があり、争いに勝った雄鹿が老鹿を豪快に投げ飛ばすと、会場の観客から盛んな声援も上がった。(松浦 純)



◎生産者と消費者が一緒に食事し交流

 【北斗】新鮮な野菜の宅配や直売などで地元産品の消費促進を図る「八百(やお)―ねっと」(高坂重勝代表)の第10回交流会が16日、北斗市農業振興センターで開かれた。100人を超える来場者があり、農家の主婦らの手料理を味わいながら楽しいひとときを過ごした。

 生産者と消費者が一緒に昼食を取り、農業や食について意見を交わす場として人気の催し。開催のたびに参加者は増え、今回は140人に達し、高坂代表(39)は「初めは50人で始まったが、今日はこんなに多くの人が参加してくれてありがたい。いろんな話をしながら交流を深めてほしい」とあいさつした。

 料理はバイキング形式で、豚汁や煮物、サラダ、漬物、ホタテの刺し身、牛乳、リンゴジュースなどがずらり。炊きたてのご飯もあり、お代わりが相次いだ。また、会場では長ネギやコンブ、菓子類などの直売会も行われ、買い物袋いっぱいに土産を詰め込んだ客であふれた。

 函館市美原の工藤美佳子さん(37)は「農業や加工業に携わる生産者と直接会って、食べ物などの話を聞くことができるのはとても貴重」、長男の友也君(6)も「豚汁のシイタケがおいしかった」と笑顔だった。

 高坂代表は「交流会は『生産者の顔が見える農業実践』を掲げ、おかげさまで10回目を迎えることができた。これからも消費者と生産者の関係を大事に、みんなに喜ばれる活動をしていければ」と話していた。(田中陽介)


◎「こなひき小屋」大賞受賞…いってみたい商店街&お店北海道表彰

 【七飯】道が主催する「第4回いってみたい商店街&お店北海道表彰」の受賞者が決まり、お店部門で七飯町本町4のパン屋「こなひき小屋」が大賞に輝いた。地域に密着した七飯のパン屋さん≠ニして24年の歴史を刻む同店の親方こと木村幹雄さん(57)は「便利なお店をつくるのではなく、地元の人たちが必要とすることに応えようとやってきているだけです」と話している。

 「いってみたい|」は2007年度に始まり、先進的な取り組みにより、地域経済発展に貢献する魅力ある商店街や店舗を表彰。今回は商店街部門に9商店街、お店部門に11店の応募があり、同店は七飯町商工会が推薦した。

 同店は1987年に開店。開業前は妻の由紀枝さん(58)とともに、知的障害者施設で福祉の仕事に携わった。その中で「ハンディキャップを持った人たちが社会にもっと近い場所で自立した生活を送れるような職場があれば」との思いを抱いた。85年に施設を退職した後、導き出した答えが「たまたまパン屋だっただけ」と話し、修業を経て、現在地に店を構えた。

 当時、近隣に焼きたてのパンを販売する店はなく、間もなく人気店となった。現在の平日の来店者は200人ほどで、大半が地域の常連客といい、それぞれが「いつものパン」を買い求めている。

 木村さんは「地元に豆腐屋や八百屋があるのと一緒。地域のパン屋は地域の良さを売ればいい。当たり前に作って、当たり前に売るだけのことで、特別なことはしていない」と話す。食材も道産小麦や季節に合わせた地元のフルーツや野菜など、地域の風土を生かしたパンの開発に力を入れる。また、健常者や障害者を分け隔てなく雇用し、養護学校などの職場実習の受け入れも続けている。

 また、函館圏の異種料理人らでつくる「クラブ・ガストロノミー・バリアドス」(通称・ガスバリ、深谷宏治代表)や、函館の西部地区で行われるバル街への参加、道内のリテールベーカリーが参加する「N43°」の活動など考えをともにする仲間たちとのかかわりも大切にしている。

 木村さんは「人と人とのつながりを大切にし、地域の人が日常に食べるパンの提供を続けているだけのこと。活性化というのはあとから自然についてくることではないでしょうか」と話している。(今井正一)