2011年1月19日 (水) 掲載

◎自由市場 活気よ再び…中宮青果店オープン

 函館市民の台所として親しまれ、プロの料理人から観光客まで多くの人でにぎわうはこだて自由市場(新川町1)。昨年末、同市場の大黒通りで青果店2店が閉店し、新年早々から明かりが消えた様子に常連客や市場関係者から心配の声が上がっていたが、17日、中宮青果店がオープン。新店舗の船出に市場は盛り上がりを見せている。

 古くから店を構えていた野呂青果店と長谷川青果店が、店主の体調不良などを理由に閉店した。同市場協同組合の前直幸理事長は「青果店の通りが閑散となった。鮮魚と青果がそろってこそ市場。お客さまのためにも早く店を補充しないと」と心配していた。

 そんな市場の危機に名乗りを上げたのは、長谷川青果店で約20年間勤務していた中宮美奈子さんだった。中宮さんは「ずっと働いてきた青果店を無くしてはいけない」と昨年末に開店を決意。売り子としては手慣れたものだが、仕入れは未経験で戸惑った。「目利きはできるが、仕入れの量などは手探り。今までは販売に専念していたが、経営が加わるので、とにかくやることが多い」と話す。

 開店当日は、かつての常連が駆け付け、買い物するとともにエールを送った。市場関係者も「青果店のにぎわいが戻ってきてよかった。中宮さんとは長い付き合いだし、これからも一緒に盛り上げたい」と激励する。中宮さんは「地場産から本州のものまで、季節の新鮮な食材を今後もそろえる。お客さんに愛される店にしたい」と笑顔。さらに、店をきりもりしながら、合間をみて漬物も作る。以前から販売していた自家製漬物≠煬注ンだ。

 前理事長は「八百屋の活気があるのはうれしい。中宮さんには本当に頑張ってもらいたい。しかし、まだ空きが埋まっていないのが現状。歴史ある同市場で商売したいというやる気のある人を、引き続き募集している」と話している。(堀内法子)



◎函館市5%出資で合意…HAC問題

 日本航空(JAL)が北海道エアシステム(HAC)の経営から撤退する問題で、函館市は18日、道が要請していた新生HACへの5%の出資について大筋で合意する方針を道に伝えた。不採算路線として休止や縮小が検討されていた函館—釧路、函館—旭川線については「中期的な計画で路線の復活や便数の拡充を求める」(市港湾空港部)とし、条件付きで道の事業プラン案を受け入れる方針を示した。

 道などによると、路線の休廃止は航空法に基づき6カ月前に国土交通省に届け出の必要があるため、函館—釧路線は早ければ7月にも休止する見通し。一方、函館—旭川線は新体制の路線を丘珠に集約する6月から、土日・祝日や年末年始、お盆期、大型連休時に各1往復運航する予定だ。

 出資をめぐって函館市は、路線存続を前提に道との協議を進めてきたが、現在の収支状況を勘案し、釧路線については丘珠経由の乗り継ぎの利便性、旭川線については週末や年末年始などに加え、7|9月の季節運航など、一定の妥協案に理解を示してきた。

 新生HACの資本金は4億9000万円、株価は3万1500円になる見通し。函館市などによると、1%当たりの出資額は約570万円に上るとみられ、市は今後、5%に当たる約2850万円を本年度補正予算案に計上し、2月の定例市議会での議決を得て最終決定となる。

 函館市は、HACが将来、現在3機保有する機材を増やす場合、釧路線の再開を最優先課題として要望し、「遅くとも北海道新幹線開業の2015年度までには路線を復活させたい」と強調。旭川線については「観光需要に対応した金曜日の運航や、7—9月の夏場には毎日運航を望みたい」としている。

 道は「今後の収益状況をみながら、路線の運航ダイヤには留意したい」と述べるにとどまる。近く関係7市町との交渉が合意すれば、残る道内経済界との出資協議を本格化させる方針で、「函館など地方にも各商工会議所を通じて出資を要請する」(建設部空港港湾局)という。

 新生HACの出資比率は昨年10月、道が36・5%、JALが14・5%、札幌市が14%程度とすることで合意。就航自治体では函館市5%、釧路市3%、旭川市1%、女満別空港周辺の網走、北見両市、オホーツク管内大空、美幌両町の4市町で計3%の出資を要請し、残る23%程度を道内経済界が出資する方向で最終調整している。(森健太郎)



◎光iフレーム活用情報配信サービス来月1日から開始

 函館市は18日、NTT東日本が開発した家庭向け情報端末「光iフレーム」を使った地域情報配信サービス「ハコダテ・コミュックス」を2月1日から開始すると発表した。本年度末までの実証実験で、モニターとして市民2000人を31日まで募集している。

 光iフレームはフォトフレーム型の端末で、インターネットの利用が苦手な人でも、タッチパネルで簡単に操作できるのが特徴。同端末を通じた自治体による情報発信は全国初の試みで、市は主催行事やごみ収集日、観光、防災などの各種情報を提供する。

 モニターには同端末を無償貸与し、応募は@市内に在住しているAアンケートに協力するB光回線を使ったインターネットが利用可能で、無線LAN環境を備えている—ことが条件。実験終了後も継続して使用できる。

 また、商業者はクーポンや電子チラシ、タイムセールなどの情報配信が可能で、情報提供する商店やテナントなども広く募集している。利用料は月額5000円から。

 18日は市の谷沢広副市長と、データ入力を行う「ジョルダン」(東京、佐藤俊和社長)が会見して利用を呼び掛けた。佐藤社長は「一家に1台端末があり、新しい形でいろいろな情報を得られる世界を築きたい」と述べ、1年以内に1—2万世帯に普及させたいとの目標を示した。市は3月中にモニター対象者にアンケート調査を行い、新年度以降の本格実施を検討する考えで、谷沢副市長は「継続して使ってもらえるよう、情報提供をしていきたい」としている。

 申し込みは本庁舎1階のiスペースと、市のホームページから入手できる専用の申込用紙に必要事項を記入の上、〒041—0821、函館市昭和3丁目29の50、ジョルダン函館事業所「ハコダテ・コミュックス事務局」へ申し込む。先着順で31日締め切り。問い合わせは同社TEL0138・45・2226または市経済企画課TEL0138・21・3316。(千葉卓陽)


◎口蹄疫対策で函館空港に靴底消毒マット

 函館市高松町の函館空港国内線到着ロビーに18日、靴底消毒マットが置かれた。韓国や台湾などで続く口蹄疫(こうていえき)の侵入阻止対策で、関係機関が連携して防疫強化を図る。

 消毒マットは、渡島地区家畜伝染病自衛防疫推進協議会が設置。昨年、宮崎県で発生した際も、6—10月に同様の措置を取っており、「雪まつりなど国内外の観光客が増すことから防疫強化を」と消毒マット設置の再開を決めた。函館空港ビルデングと警備業務のマルゼンシステムズが協力し、対策本部の渡島総合振興局職員も設置作業に立ち会った。

 1枚90センチ×1・8メートルを9枚1組で、2つの出口に敷いた。畜舎や鶏舎用消毒薬をしみこませ、定期的に噴霧していく。

 横浜から観光旅行で訪れた男性会社員(40)は「何の違和感もなくマットを歩いた。予防策は大事で、もっと積極的なPRが必要では」と話していた。韓国からの定期便、台湾チャーター機が往来する同空港国際線では昨年から継続して消毒マットが置かれている。

 消毒マットの設置に先立ち、同局で第5回侵入防止対策本部が開かれ、韓国で17日現在、199万頭の家畜が殺処分予定などと近隣諸国の現状を確認。フェリー乗り場の消毒マット設置も協議し、雪で危険を伴うことから実施を見送ったが、副局長の柳谷龍彦対策本部長は「問題は深刻で各国政府を挙げた取り組みが行われている。渡島でも危機感を持って対応にあたり、地域一丸で侵入防止を」と関係機関に協力を求めた。

 道によると、道内の各空港(離島を含む全て)でも20日までに消毒マットが設置されるという。(田中陽介)


◎調理師専門学校・大島さん食肉惣菜創作発表会に出場

 函館短大付設調理師専門学校(柏木町)の調理師科に社会人入学した大島るみ子さんが、2月6日に東京で開催される食肉惣菜創作発表会(全国食肉事業協同組合連合会主催)に同校代表として出場することが決まった。既に「豚(ブタ)ヒレカツの赤ピーマンソース添え」のメニューを考え、規定の時間内に作り終えるよう練習を重ねている。

 同発表会は、地域の食材と国産食肉(牛、ブタ、鳥)を材料に、肉屋で惣菜を販売するためのレシピを提案する。盛り付けには、惣菜を販売するときに用いるプラスチック製などのフードパックを使用する規定がある。

 大島さんは退職を機に、昨年4月に同校に入学。仕事などに忙しく、これまでは凝った料理を作る機会が少なかったため、「家族にもっとおいしい料理を作りたい」との思いで学業に励んできた。

 昨年12月、所属する西洋料理ゼミを指導する吉田徹教頭の提案を受け、同校の推薦を受けて出場することに。同校は「社会人入学で努力をしており、新卒者に負けないパワーと料理に対するセンスの良さを評価した」という。同校からの出場は初めてとなる。

 料理、レシピは吉田教頭のアドバイスを受けて考案した。ブタのヒレ肉は「脂身が少なく、年齢を問わず好んで食べられる」との理由で選んだ。カツは一般的な揚げる方法ではなく、少量の油でソテーすることで、油処理などの手間を省くよう工夫。ソースには赤ピーマンのほかタマネギを使って丁寧に炒め、ブイヨンで煮詰める作業を経て、生クリームなどで味を整える。

 発表当日は1時間以内で調理しなければならない。これまでに数回挑戦したが、時間制限の厳しさを痛感している。大島さんは「タマネギやジャガイモの付け合わせも同時進行で調理しなければならず、あっという間に1時間が過ぎてしまう。これからも何度か練習してタイムロスをなくしたい」と意気込んでいる。(小泉まや)