2011年1月22日 (土) 掲載

◎JR「大人の休日倶楽部会員パス」、函館観光に好影響

 JR東日本が、満50歳以上の会員を対象に販売した格安旅行切符「大人の休日倶楽部会員パス」が、函館観光に好影響をもたらしている。利用は13日から25日までの期間限定だが、会員パスの発売は東北新幹線の新青森延伸開業後初めてで、新幹線を利用して道南まで足を延ばす観光客が増加。函館での宿泊をセットにしたプランも大幅に予約が伸びており、地元の観光関係者は利用客に熱い視線を送っている。

同社によると、「大人の休日倶楽部」会員は2009年度実績で約123万人。会員パスは1万2000円で販売され、JR東日本全線と民間路線の一部に加え、JR北海道管轄の函館駅と江差駅までが、新幹線や特急も含めて3日間乗り放題となる。指定席も6回まで利用できる。

 パス1つで函館まで足を延ばせることから、同社が会員パス期間に合わせて湯の川温泉や函館駅前など17カ所のホテル・旅館に宿泊できるプランを企画したところ「昨年から予約が約4倍に増えた」(同社広報部)としている。

 湯の川温泉のあるホテルは今回から宿泊プランに参加し、1月中の予約が前年同期を約5%上回った。ホテルの予約担当者は「新幹線が開業した12月が予想を下回った分、会員パスの存在は大きい」と話す。

 JR北海道函館支社は「指定席が満席となる定期列車が毎日のように出ている」とし、会員パスの利用期間中には函館—新青森間の特急「白鳥」を1往復増便した。週末の14、21日にはJR北海道のほか、函館や北斗、七飯、鹿部、上ノ国など各自治体の観光関係者が函館駅でパス利用客を出迎え、各地の観光ガイドを配布した。

 福島県双葉町の黒木忠房さん(54)は「青森まで延びた新幹線に乗りたかった。函館は1年ぶり。湯の川温泉でのんびりしたい」。友人3人と訪れた長野市の宮島孝一さん(60)は「新幹線も特急も、乗客はほとんど同年代だった」と苦笑しながら「パスがないと函館まではなかなか来られない。夜景と露天風呂を楽しみたい」と笑顔を見せた。

 同社によると、新年度以降の会員パス販売時期は未定としており、ホテル業界からは「機会を増やしてくれればありがたいのだが」との声も出ている。(千葉卓陽)



◎昨年の桧山管内、ヒグマ駆除41頭

 【江差】2010年に桧山管内で有害鳥獣駆除により捕獲されたヒグマは41頭だった。昨年も夏から秋にかけて市街地や農地などで目撃情報が増加傾向にあったが、敏感なヒグマが駆除用の箱わなを避ける傾向も目立ち、従来よりも発見されにくい、くくりわなの導入事例も増えてきた。

 桧山振興局によると、昨年1年間で、農業被害の防止や市街地周辺での危害防止のため、有害駆除されたヒグマは41頭で、09年の47頭を下回った。ハンターによる狩猟では昨年、3頭が捕獲された。

 ヒグマが生息しない奥尻町を除く管内6町では、05年度に過去最高の93頭が捕獲されたが、06年度は24頭、07年度は29頭、08年度も26頭と少なかった。09年は冷夏の影響もあり、ヒグマの餌となる木の実が減った影響もあり、5年ぶりに40頭台を上回った。

 管内では夏場を中心にトウモロコシなどの食害が増えるため、農地に箱わなを設置してヒグマを捕獲する。箱わなは、内部にハチミツやイカゴロなどの餌を置き、おびき寄せられたヒグマが内部に入り込むと扉が落ちる仕組みだ。

 農業関係者によると、近年は、学習能力が高いヒグマの警戒心が強まり、箱わなを避ける傾向が目立つという。このため、バネと鋼鉄製ワイヤを組み合わせた、くくりわなでの捕獲が増えてきたという。ヒグマが農地に接近する際は、人目につきにくい決まった通り道を使うという。経路上に隠したくくりわなを踏むと、環状のワイヤが自動的に締まる仕掛けだ。

 使用は有害駆除に限定されるが、所持条件が厳しく、免許更新や銃弾などのコストが重荷となる銃器よりも免許取得が容易なほか、箱わなよりも簡素で価格も安いために普及が進んできたという。だが、安全管理などの課題もあり「駆除のノウハウの普及が必要」(狩猟関係者)との声もある。(松浦 純)



◎私立7高で推薦入試合格発表

 函館市内の私立高校7校で21日、2011年度の推薦入試の合格発表が行われた。多くが本人に直接書類で通知する方法をとるのに対し、函館大妻高校(池田延己校長)は校門近くに置いた掲示板で発表。待ちわびた保護者らが合格を確認し、喜びに沸いた。

 この日合格発表をしたのは、大妻のほか遺愛女子、大谷、清尚学院、函館大学付属柏稜、函館白百合、函館大学付属有斗。函館ラ・サールのみ試験日程が異なり、既に発表を終えている。

 大妻高校では4科で合わせて50人の推薦枠を取っており、最も多い食物健康科で20人、福祉科で18人、家政科で7人、普通科では5人の合格者を出した。試験は前日の20日に面接と小作文を実施。雪の影響で2人の受験生が開始直前に到着したが試験には大きな影響はなく、受験した50人全員が合格を手にした。

 発表の掲示板は午前10時に設置され、まもなく次々と保護者らが訪れては、受験生の名前があるかを確認。携帯電話で掲示板を撮影したり、報告の電話をかけていた。長女が普通科に合格した陣川町の女性(43)は、「本人は不安で眠れない夜を過ごしたよう。合格と分かってまずはほっとしました」と安心した様子だった。(小泉まや)


◎10年函館空港、乗降客8年ぶり増加

 函館空港の2010年の乗降客数は、前年比5・2%増の158万2464人で、2002年以来8年ぶりに前年を上回った。新型インフルエンザの影響で前年大きく落ち込んだ反動に加え、国際線のソウル便や、夏季に増便した関西便が好調だった。JRA函館競馬場の改装や箱館奉行所のオープンなどもプラスに作用し、減少傾向が続いていた空の便に持ち直しの様子が見られた。

 函館空港ビルデングによると、国内線は同4・6%増の150万1912人。中でも全日空の関西便が6〜9月に1日1往復から2往復に増便されたことから、同19・6%増と好調だった。主力の羽田便は全日空が同12・5%増、日本航空が同3・2%増だったが、エア・ドゥは同3・3%減となった。

 道内路線では、北海道エアシステム(HAC)の丘珠便が、エアーニッポンネットワーク(A—net)の丘珠撤退によりビジネス需要を取り込み、同57・5%増の大幅に伸ばした。

 国際線は定期便とチャーター便合わせて、同19・2%増の8万552人。唯一の定期路線であるソウル便が同5・5%増の4万371人と、06年6月の就航以来最高を記録し、搭乗率も過去最高の79・4%に達した。台湾などのチャーター便も同41・1%増の4万181人と高い伸びを示した。(小川俊之)