2011年1月25日 (火) 掲載

◎自分の可能性信じ夢実現を…ロケット開発の植松さん講演

 函館地方法人会青年部会などが主催する「第24回地域振興フォーラム」が24日、函館市芸術ホールで開かれた。赤平市の民間宇宙開発企業カムイスペースワークスの植松努社長が「夢があれば何でもできる」をテーマに、自分の可能性を信じて挑戦することの大切さを、約300人の来場者に訴えた。

子どものころから宇宙や飛行機に興味を持っていた植松さんは、大学で流体力学を学び、名古屋で航空機設計を手がける会社に入社。その後実家に戻り、父親の経営する植松電機に入社。厳しい経営状況の中、持ち前のアイデアを発揮し産業廃棄物分別用の電磁石を開発し、全国シェアの9割を誇るまでに導く。さらに、長年の夢であった宇宙開発事業に挑戦し、わずか数年でロケット打ち上げを成功させた。

植松さんは宇宙開発を手掛けた当初「周りからはできるわけがない」「金の無駄になるからやめたほうがいい」と否定的な言葉を浴びせられたと振り返る。それでも夢を信じてあきらめずに研究を続けたことに対し、「最大の敵は『どうせ無理』と、最初からあきらめてしまうこと。周りが不可能と思うことをやり遂げるからこそ価値がある。みなざんも自分の持っている夢をもう一度思い出して、それを実現させる方法を真剣に考えてほしい」と訴えた。(小川俊之)



◎飲食業「スマート」3月に大門でカフェバー

 函館市若松町の和光ビルでドトールコーヒーをフランチャイズ経営する飲食業「SMART(スマート)」(布村隆二社長)は3月中旬、同町18の電車通沿いにカフェバーを出店する。スマートの新規事業計画が、国の本年度地域商業活性化事業に認定され、補助金を活用して出店する。2015年度の北海道新幹線開業を見据える布村社長(46)は「これを起爆剤に、市民や観光客でにぎわうまちづくりができれば」と意気込んでいる。

 国の支援事業は、地域商業の活性化を目的に各地域の商店街振興組合などが実施する新規事業を補助する制度。組合と各自治体の推薦があれば民間企業も申請できるといい、昨年12月から2週間公募されていた。

 JR函館駅前の活性化を目指しているスマートでは、昨秋、市民の声を反映させようと同地区の市民408人に@商店街に必要なものA商店街の利用目的B商店街への来店頻度|といったアンケートを実施していた。改行 この結果、@では20―30代女性を中心に170人が「ファッション性の高いオープンカフェ・飲食スペース」と回答。ほかにも飲食店や娯楽施設の出店を望む声が目立っていたという。改行 布村社長が副理事長を務める函館都心商店街振興組合(渡辺良三理事長)の了解を得て、スマートが計画書を申請。今年1月中旬に認定され、出店費用約600万円の3分の2が補助される。

 カフェバーは大門地区近くのアーケード街にあるTMOビル1階で、店舗面積は約65平方b。日中は喫茶店やカルチャースクールを開くほか、「イカ塩辛コロッケ」などのオリジナル商品を販売、夜はスポーツバーを開く予定。駅前の商店街で使えるクーポン券も発行し、集客増を目指す考えだ。

 「組合としても、2015年度までに『駅前の商店街が頑張っている』という実績を作りたかった」と話す布村社長。「カフェバーはもちろんのこと、自分たちに続いて駅前やまち全体を盛り上げる機運が生まれれば」と期待を寄せている。 (長内 健)



◎本年度の函館市スポーツ賞発表

 函館市教育委員会は24日、スポーツの普及や発展に尽力した功労者や、全国大会などで好成績を収めた函館市内の個人・団体に対する本年度の「函館市スポーツ賞」の受賞者を発表した。功労者は1個人、成績部門で2個人1団体、特別表彰1人が選ばれた。贈呈式は2月16日午後3時半から、市内大手町の函館国際ホテルで行われる。

 同スポーツ賞は1993年に創設され、昨年度までの受賞者数は功労者部門35個人、17団体。成績部門は57個人、23団体。特別表彰は2個人。本年度は市スポーツ振興審議会(近野功会長)が昨年11月に審議し、決定した。

 地域や職場でスポーツの普及や発展に努めた個人・団体に贈られる功労者部門では、函館スキー連盟名誉会長の西村憲人さん(68)を選出。1992年から16年間、同連盟の会長を務め、国体北海道大会や道スキー選手権の誘致に尽力したほか、国際スキー連盟公認大会の開催など、選手育成と競技力向上に寄与した点が評価された。

 全国大会で3位以上の成績を挙げた個人・団体に対する成績部門では、市立函館高3年の腰山高弘君(18)、函館あさひ小6年の田村優衣さん(12)=ともに陸上=、団体ではフットサルのスプレッド・イーグルFC函館が選ばれた。

 腰山君は昨年8月に沖縄で開かれたインターハイで、男子110bハードルで優勝。中国で同月開かれた日・韓・中ジュニア交流競技会2位、同10月の日本ジュニア陸上競技選手権でも2位と目覚ましい活躍を残した。田村さんは昨年8月の全国小学生陸上競技交流大会(東京)で、女子走り高跳びで2位に輝いた。スプレッド・イーグルは今年1月の第16回全日本ユース(U―15)フットサル大会で3位と好成績を収めた。

 また、過去にスポーツ賞受賞歴があり、多年にわたって優秀な成績を収めた特別表彰には、函館大谷高1年の向美乃里さん(16)を選出。07年度に成績部門で受賞しており、昨年は宮様スキー大会国際競技会で秩父宮妃牌ジャイアントスラローム優勝、高円宮妃牌スラロームでも3位に輝いた。(千葉卓陽)


◎新幹線開業後 宿泊15%増…昨年12月市内施設

 函館市や函館商工会議所などで構成する「北海道新幹線新函館開業対策推進機構」は24日、昨年12月4日の東北新幹線新青森開業に伴う波及効果調査として、函館市内の宿泊施設の12月の利用状況を発表した。それによると12月1―31日に市内10施設に宿泊した人数は、前年同期比で約15%増だった。同機構では「増加傾向は新青森開業効果と推測されるが、今後も調査を継続し動向を見極めたい」としている。

 今回調査対象となったのは、同機構が関東地区などで実施したウェルカムキャンペーン事業に協力した、函館駅前、五稜郭、湯の川3エリアに所在する、いずれも客室数40以上の中・大規模施設。

 前回調査(12月1―15日)では対前年比約10%増だったが、今回はさらに5%上回った。地区別では関東、東北地区からの入り込みが伸び、特に週末に利用が集中し、満室となる施設も見られた。同機構では「新青森開業とクリスマスファンタジー実施のタイミングが相乗効果となって現れたのではないか」と分析する。

 同機構では「通常は閑散期であるこの時期に着実に宿泊客が増加しており、新幹線開業が影響しているのは間違いない。ただ、本格的な観光シーズンとなる3月以降まで効果がつながるかどうかが大切」と話している。(小川俊之)