2011年1月26日 (水) 掲載

◎湖水氷の切り出し作業大沼で始まる

 【七飯】2月5、6両日に大沼国定公園で開催される「第45回大沼函館雪と氷の祭典」で使用する湖水氷の切り出し作業が25日、大沼湖で始まった。湖面に張った氷の厚さは現在約35センチ。1週間かけて、ジャンボ滑り台などに使用する3000枚の切り出しを行う。

この日の作業には15人ほどのスタッフが従事。長年、作業に携わる七飯町企業組合代表の松井元さん(63)は「今年は積雪が多かったため、透明度は低いが、昨年の作業開始時より5センチほど厚い」と話す。

氷上にはあらかじめ、60センチ四方となるようにそりで溝をつけて、作業員が溝に沿って電動のこぎりで切り出した。1枚の重さは100キロほどになるといい、氷ばさみなどを使用して、手際よく氷塊を水揚げし、重機などで会場に運び出していた。

高さ7メートル、長さ20メートルになるジャンボ滑り台には約1000枚の氷を使用するほか、台座や氷像となる。祭典終了後もジャンボ滑り台は2月下旬まで会場に残す予定。 (今井正一)



◎外国客船 函館人気

 函館市がまとめた2011年度の客船入港予定によると、新年度に函館港に入港する客船は12隻となる見込みだ。このうち外国船は過去最多タイの7隻で、船の規模を示す総d数ベースでは過去最大となる。近年は客船の大型化が進み、中国などの急速な経済発展を背景にアジア向けのクルーズ需要が高まっていて、函館にもたらす経済効果に関係者は期待している。

 市港湾空港部によると、「クルーズ元年」とされる平成元(1989)年度以降、入港数は同年度の20隻が最も多く、外国船だけでは92年度と2002年度の7隻が最多。これまでは外国船の入港数が国内船を上回ることはなかったが、11年度は初めて逆転する見通しだ。

 船の総トン数でも、従来の外国船は1万トン級が主流だったが、近年は5万トンクラスの大型客船も名を連ねる。外国船だけでみると、入港した船の合計トン数は09年度の約25万トンが最大だったが、新年度は約29万dと過去最大となる。

 本年度は計11隻が函館に寄港し、乗員・乗客数は1万838人に上った。新年度は船の大型化に伴い、さらに人数が増えるとみられ、3年連続で1万人の大台を突破する見通し。新年度はイタリアの「コスタクラシカ」(5万3000トン)、ドイツの「ブレーメン」(6752トン)が初めて入港する。

 近年は中国や香港などの新興富裕層を狙い、アジア客を取り込む動きが加速している。中国人観光客の個人観光ビザの発給緩和も追い風となり、「1泊1−2万円のカジュアル船で大量に人を運び、アジアを出発港や寄港ルートに組み込むケースが増えている」(市港湾空港部)。

 北海道クルーズ振興協議会(事務局・道運輸局)によると、クルーズ船の寄港地への経済効果は一般的に「(諸経費を含め)国内船1隻で2000万円、外国船で3000万円」とされる。函館は夜景や朝市といった観光資源にも恵まれ、シャトルバス運行など受け入れ態勢も整うため「道内有数のクルーズ寄港基地」と太鼓判を押す。

 新年度は夏場以降の国内船の寄港スケジュールが未定のため、さらに寄港数が増える可能性もある。函館市は今後、苫小牧、室蘭、釧路の4港との連携を強化し、太平洋回りでの寄港ルートのプロモーションを積極的に展開する方針。

 新年度の客船の入港日程などは次の通り。  ▽ふじ丸(2万3235トン、5月1日)▽フォーレンダム(6万906トン、同7日)▽ぱしふぃっくびいなす(2万6594トン、同15日)▽シルバーシャドー(2万8000トン、同19日、9月21日)▽コスタクラシカ(5万3000トン、5月22日、6月2日)▽ブレーメン(6752トン、6月9日)▽にっぽん丸(2万2472トン、7月17日)▽飛鳥U(5万142トン、同20日、8月27日)▽アムステルダム(6万2735トン、10月7日) (森健太郎)



◎エコキャップ運動 広がる善意の輪

 函館市の石川町会(山崎敏昭会長)は、発展途上国の子どもたちをポリオワクチンで救う「エコキャップ運動」に取り組んでいる。22日には同町会館で、集まったペットボトルのキャップ約4万8000個をNPO法人全国障害者福祉援護協会道地区本部(札幌)へ送った。NPO法人エコキャップ推進協会(横浜)によると、函館市内では学校や企業などがこの運動に参加しているが、町会では初めて。山崎会長(65)は「今後も活動を継続し、社会貢献に努めたい」と気持ちを新たにしている。

 この運動は、同協会が全国的なボランティア運動として展開。同協会でキャップを回収後、リサイクル企業に売却し、その益金がワクチン費用に充てられる。

 同町会は、2004年から社会福祉支援と資源回収を目的に、車いすに交換できるリングプルの回収を開始。「キャップも貴重な資源だから」と09年夏、町会館に専用の回収箱を設けたところ、回覧板や町会役員の呼び掛けもあり、次々と集まった。

 キャップは800個で一人のワクチン代に換金でき、今回は60人分となる。2400個ずつダンボールにまとめ、20箱を運送会社のドライバーに手渡した。札幌の同本部を通じ、横浜へ送られる。

 運動の中心メンバーという同町会の菅原秀樹防災部長(54)は「命を救うキャップも身近な所にある貴重な資源。大人が率先して回収を実践していくことで、子どもにも根付くのでは」と期待。山崎会長は「町内ではリサイクルの意識が高まっている。ごみにするのは簡単だけど、限りある資源の大切さを地域に広めていきたい」としている。  (長内 健)


◎子育てハンドブック「すくすく手帳」改訂版 来月から配布

 函館市は、新生児のいる世帯を対象に配布している子育て支援ハンドブック「すくすく手帳」の改訂版を、早ければ2月上旬から配布する。昨年1月から家庭訪問の際に配る一方、就学前の乳幼児がいる家庭からの需要も高く、増刷してこれまでに5000冊を配布。改訂版では地図を各地域別に分けており、より使いやすさを重視する。

 手帳は従来のサポートブック「こそだてーる」をリニューアル。A5判108ページをバインダーにとじて携帯性を高めるとともに、子どもの成長や発達支援に活用できる療育カルテや、予防接種、小児科の情報などをコンパクトにまとめ、子どもの成長記録を逐一記入できる作りとした。

 昨年1月から保健師や子育てアドバイザーの家庭訪問時のほか、転入者向けに戸籍窓口などで配布。市の年間出生者が約1800人であることから、初年度は2000冊を作製したが「就学前児童のいる家庭や、転出の記念にと受け取るケースが多かった」(子ども未来室次世代育成課)と、後に3000冊を増刷している。

 改訂版では大きさをそのままに、市内の医療機関の増減や「つどいの広場」の場所変更などに対応。市内の保育園や幼稚園、児童館などの場所を1ページにまとめていた地図を、6地区別に分け、より分かりやすく改良した。初版の在庫がなくなり次第、順次改訂版に切り替える方針。

 市は先月と今月、10カ月健診に訪れた保護者に対し、すくすく手帳に対するアンケートを実施。同課は「2月中にアンケート結果をまとめ、今後の施策展開に生かしたい」と話している。 (千葉卓陽)


◎桔梗小で認知症サポーター養成講座

 函館桔梗小学校(戸澤和彦校長、児童523人)の6年生児童約70人が25日、同校で認知症サポーター養成講座を受講し、認知症について理解を深めた。

 同講座は厚生労働省が2005年から進めている取り組みで、全国各地に在往する講師役のキャラバンメイトが地域単位で講習会を開催。受講するとサポーターとして認定され、修了証となる「オレンジリング」が与えられる。現在、当初の目標の100万人を上回る約170万人が認定されており、近年は企業や小中学校にも受講を呼び掛け、さらなるサポーター増員に取り組んでいる。

 講座では、キャラバンメイト資格を持つ函館市地域包括支援センター「よろこび」の佐々木エリカ所長と後藤亜矢子保健師が講師を務め、同省で作製した副読本を配って認知症の症状や当事者との接し方などを説明。認知症は、アルツハイマー病や脳血管の障害などが要因で起きる記憶障害や見当識障害の症状であることを伝え、「認知症の人が抱える不安や苦しみを理解し、さりげなく、自然に手助けしてください。失敗しても怒ったり、とがめたりしないで」と呼び掛けた。

 受講後、児童全員にオレンジリングが配られた。川村涼君(12)は「認知症の人のことがよく分かった。接する機会があったらゆっくり話しかけるようにします」と話していた。   (鈴木 潤)