2011年1月28日 (金) 掲載

◎ナガユメタチモドキ?…福島沖で角谷さん捕まえる

 【福島】福島町で26日、タチウオの仲間でナガユメタチモドキとみられる体長は約2メートル40センチの魚が揚がった。タチウオの仲間は、主に南日本などで生息していることから、北海道で見つかるのは非常に珍しいという。関係者は「とても大きく、びっくりした」と口をそろえている。

 町日向の漁業、角谷武春さん(66)が同日午前10時半ごろ、福島漁港から約50メートルの沖合でナマコ漁をしている最中に、海面に動く魚を発見。「何か変だ」と思い、漁船を近づけてみると、大きな魚だったため、素手で捕まえた。角谷さんは「40年以上漁師をやっているが初めて見た。大きさにびっくりした」と話す。

 捕まえた魚は幅20センチ、重さは約4キロ。魚を見た町水産課や渡島西部地区水産技術普及指導所の職員、連絡を受けた函館水産試験所も珍しい魚の発見に驚き、魚種の確認を行った。

 北大大学院水産科学研究院の今村央准教授(魚類分類学)は、「体の大きさと細長さ、尾びれがついていることなどから、ナガユメタチモドキだとみられる」とし、「個体が少ない魚種で、北海道で見つかるのは非常に珍しい」と話す。また、「海流の影響で流れついたのではないだろうか」と話し、原因などは分からないとしている。 (松宮一郎)



◎全日普通科は上磯高が最高の1.7倍…公立高出願状況

 道教育委員会は27日、2011年度の公立高校の出願状況を発表した。道南の全日普通科の倍率は、上磯が最も高い1.7倍で、次いで函館稜北は1.6倍、函館西と七飯が1.4倍と続き、函館中部は1.3倍となった。職業科では、函館工業の電気科が2.0倍と突出し、同校は全体でも1.6倍となる人気。桧山管内では上ノ国の1.0倍が最も高く、ほかの3校は軒並み定員を割っている。

 募集定員に対する出願者数の合計は、渡島管内の全日制は2520人に対して2933人で、平均倍率は前年度と同じ1.2倍。全日制のみの桧山管内は、320人に対して262人と大きく下回ったが、平均倍率は前年度比0.1ポイント増の0.8倍となった。渡島管内の定時制は、募集240人に対して84人が出願し、平均倍率は前年度と変わらず0.4倍となった。

 特に人気が高いのは函館稜北だ。全体の倍率が高いのに加え、推薦は32人の枠に対して53人が出願し激戦の様相。同校は「ここ5年間の学力向上の取り組みが、進路実績とともに評価されている」とする一方、「高校の授業料無償化の影響で、公立が選ばれる傾向があるようだ」とみる。

 全体の倍率が最も高かった上磯は、不況による公立志向のほか、「学校だよりなどでの情報発信の成果があらわれた結果」としている。

 推薦の出願者が最も多かったのは市立函館。倍率は年々落ち着いてはいるが、64人の枠に74人が出願した。同校は「第一志望に考える意欲ある生徒がたくさんいる」と受け止める。

 12年度限りで募集停止が決まっている戸井は、前年度(0.9倍)より大きく下がり0.5倍で、出願者は21人にとどまった。道教委が募停再考の基準としている戸井・恵山・椴法華からの地元進学率50%を下回っており、出願者が大きく減少した中学校もあった。同校は「募集停止決定の影響がないとはいえない」とみている。

 職業校では、函館工業が全学科で定員を上回る出願があった。特に電気科の倍率は前年度を0.6ポイント上回る人気で、情報技術と建築も1.7倍の高倍率。商業系では、函館商業が全学科で定員を上回る一方、福島商業と八雲が定員を大きく割った。

 桧山管内では、瀬棚商業(情報ビジネス科)が募集停止となったが、全体の倍率は前年度比0.1ポイント増の0.8倍と、小幅な変化にとどまった。江差と上ノ国の倍率は、それぞれ前年度比0.2ポイント高くなった。

 出願変更は、28日から2月3日まで受け付ける。変更状況の中間発表は同1日に、最終的な出願状況は同15日に発表される。(小泉まや)



◎江差も大雪なのに…計器トラブルで「積雪ゼロ」

 【江差】気象庁が発表した江差町の積雪量が、昨年12月26日から今月23日まで、ゼロまたは極めて少ない状態が続いていたが、函館海洋気象台の調査で、積雪計のトラブルにより実際の積雪量が測定されていなかったことが27日までに分かった。

 気象庁は、12月26日から1月23日の降雪量と積雪深のデータを欠測扱いとした。気象庁のホームページは、江差町の降雪量と積雪深に「×」の印を入れ、該当する日付けの観測値を消去。前後の12月25日と今月24日の観測値も、統計上の信頼性がないとした。

 同気象台によると、桧山合同庁舎(姥神町)の敷地内にある積雪計は、地面に向けて発射した超音波が反射してきた時間を計測して、降雪量や積雪深を測定している。24日に職員が積雪計を調査したところ、計器が正常に作動しておらず積雪が観測されていないことが判明した。トラブルが発生した詳しい原因は分からないという。積雪計はすでに正常な状態に戻っており、27日午後5時現在の積雪深は平年より4センチ多い22センチという。

 町内は、昨年末から連日の大雪に見舞われており、江差町は今月14日に「実際の積雪と観測値が異なるのではないか」と指摘したが、観測データの送受信は正常だったこともあり、異常が見逃されていた。同気象台は「地域の皆さんに大変なご迷惑をおかけした」とし、観測機器の管理方法を見直すなど対策を検討する。

 気象庁は組織改革の一環として2007年、職員7人が観測業務に当たっていた江差測候所を廃止。無人の特別地域気象観測所に移行した。町は、産業や防災に及ぼす影響が大きいとして国に存続を求めていた。町建設課は「災害時やトラブル発生時は、人の目による観測や点検が欠かせない」として再発防止を求めている。気象庁が公表する雪に関するデータは、道路除雪を行う目安となり、積雪地の除雪経費を考慮した特別交付税の算定にも反映されるため、同課は「欠測は大雪の時期と重なる。影響は大きいのではないか」としている。(松浦 純)


◎11年度予算編成大詰め…西尾市長による査定開始

 函館市の2011年度予算編成が大詰めを迎え、27日から西尾正範市長による査定が始まった。4月に市長選を控えているため、予算計上は継続事業や必要経費にとどめる「骨格予算」となるが、不況下で生活保護など扶助費の増加が続いており、財源確保は苦しい状況。市税収入の落ち込み分を、赤字穴埋めのための退職手当債発行で補わざるを得ない情勢となっている。査定は2月2日まで行う予定で、同10日に新年度予算案を発表する。

 この日は市役所会議室で、午前10時から査定を開始。西尾市長は財務部幹部から歳入、歳出の見通しや、継続事業として本年度末から2カ年で建設工事を行う市立障害児・者3園統合施設(湯川2、総事業費13億8000万円)などについて説明を受けた。

 西尾市長は「政策予算を計上することはないが、誰が市長になっても課題は残る。準備だけはしたい」と述べた一方、「扶助費の伸びを全体のフレームの中で飲み込ませることができるかが課題」とする。

 扶助費は本年度当初ベースで354億900万円を計上したが、大半を占める生活保護費は長引く不況の影響で、過去最高の205億円まで膨らんだ。加えて、政府の「子ども手当」も新年度から3歳未満を2万円に引き上げる方針で、自治体財政をさらに圧迫する。全国各地で負担拒否を表明する自治体が出ている中、同市長は「全国市長会などの裁きに従う」と、拒否しない姿勢を示している。

 一方、国は11年度の地方財政計画で、地方税収を企業の業績回復などで前年度比2.8%増と見込む一方、後に交付税で償還される臨時財政対策債を同20.1%減とする方針を打ち出している。

 これに市財務部は「国は大都市での景気上昇を見込んでいるが、地方は税収が減る要素があっても増える見込みはほとんどない」と困惑の表情。「退職手当債の発行も、財政運営上やむを得ない。扶助費の持ち出しが増える中で、どうバランスを取るかが課題」と話している。(千葉卓陽)


◎昨年12月の道南 有効求人倍率0.42倍

 函館公共職業安定所が26日に発表した昨年12月の渡島・桧山管内の雇用失業情勢によると、有効求人倍率は0.42倍と前年同月を0.1ポイント上回り、7カ月連続で前年を上回った。新規求人倍率も8カ月連続で前年を上回った。同所では「持ち直しの動きが続いているものの、厳しさが残る」と4カ月連続で判断を据え置いた。

 新規求人数は卸売業や小売業など多くの産業で増加がみられ、前年同月比15.8%増の1165人と、8カ月連続で前年を上回った。このうちパートが占める割合は33.1%で、同7.6ポイント低下しているが、道内の27.9%を上回っている。

 有効求職者数は前年同月比8.3%減の9144人と9カ月連続で前年を下回った。有効求人数は同23%増と8カ月連続で前年を上回った。改行 雇用の先行指標となる新規求人倍率は、前年同月を0.13ポイント上回る0.64倍で8カ月連続の改善。新規求職者数は同6・6%減の1829人と2カ月ぶりに前年を下回った。

 合わせて発表された新規高卒者の12月末現在の求人倍率は前年同月比を0.11ポイント上回る1.03倍。求人数は前年同月を0.6%下回る972人だった。就職率は60.7%と、前年同月を4.2ポイント上回っている。同所では「2月1日からは新卒者採用企業への奨励金制度拡大など、政府による新たな支援制度もスタートするので、さらに就職率が高まることを期待したい」と話している。(小川俊之)