2011年1月29日 (土) 掲載

◎野外劇にJTB交流文化賞「選考委員特別賞」

 1988年から毎年夏に五稜郭公園で開かれている「函館野外劇」を主催するNPO法人市民創作「函館野外劇」の会(フィリップ・グロード理事長)がこのほど、大手旅行代理店のJTB(東京)が主催する「第6回JTB交流文化賞」の交流文化賞・選考委員特別賞に選ばれた。同会理事の里見泰彦さん(67)は「野外劇を支え、応援してくれた市民の総合力のおかげ。全国からの集客につながる」と喜んでいる。

 同賞は、地域固有の魅力を創出し、地域活性化に長年取り組む組織や団体に贈られる。今回は全国から52の応募があり、安島博幸立教大観光学部教授ら6人が選考委員を務め、最優秀賞1、優秀賞2、選考委員特別賞1が決まった。道南での受賞は初。受賞理由についてJTB広報部は「函館市の地域活性化のため、市民による手作りの野外劇を98年から継続している。400人以上の市民出演者と100人以上のボランティアスタッフに支えられ、市民に根付いた交流事業となっている点を評価した」としている。

 同会事務局は、昨年10月に初めて応募し、12月末に受賞の知らせを聞いた。表彰式は20日に東京で、JTBグループの新春懇親会の席上開かれた。里見さんらは全国のJTB関係者などから「23年も続いているのはすごい」「野外劇観劇をポイントとして、全国から函館に観光客を送り込むような商品を考えたい」と意見があったという。

 野外劇が昨年行ったアンケートによると、観客の70%は函館市民で、東北、関東からはそれぞれ数%のみ。里見さんは「全国的な知名度は低かったが、今回の受賞は大きなPRになる」と期待を寄せる。「町民役から場内整理まで、地域おこしに奮闘してきた毎回数百人の力で、全国発信していけるよう頑張りたい」と気持ちを新たにしていた。(山崎純一)



◎積雪量欠測 人為的ミスと陳謝 函館海洋気象台

 江差町の積雪量が昨年12月中旬から積雪計のトラブルにより正しく測定されていなかった問題について、函館海洋気象台は28日、同気象台(美原4)で会見を行い、積雪データの異常は昨年12月15日午後2時から1月24日午後3時までの約40日間にわたっていたことを明らかにした。装置が故障していたことに加え、「職員が江差町特有の強風の影響を受け積雪がなかったと誤判断し、観測計の現地確認を怠った」と人為的なミスが重なったことを認め、今後は速やかに確認を取るなど再発防止に取り組む考えを示した。

 会見した同気象台の中舘明業務課長によると、江差町にある江差特別地域気象観測所(無人)は、桧山合同庁舎(姥神町)の敷地内にあり、2.25メートルの高さから超音波を発射し、反射してきた時間を計測して積雪深を測定する。昨年12月14日、江差町役場から同気象台に「江差の積雪量が少なくないか」と問い合わせが入った。しかし、観測機器があるのは海岸に面した風が強い場所で、雪が飛ばされて積雪になりにくく、特にこの冬は平均風速が10bを超える風が多く吹いたため、積雪値の少ない状況にあるのでは、と職員間で判断。装置に疑いを持たず、現地確認を行わなかったという。

 1月24日、3カ月に1回行う職員の定期点検で、積雪が目視で20a以上あるのに、観測地が数aだったことから装置の不具合が判明。職員が点検中に自然復旧し、再起動したところ、正常稼働に戻っている。原因は現在のところ不明。職員で調査し、なお不明の場合は業者に依頼する。同気象台では今回の異常発見を受け、管内のほか計10カ所の積雪計を緊急点検したが、異常はなかった。

 また、観測データの分析を進めた場合、異常の発生が12月15日以前になる可能性があるとした。中舘課長は「1月14日に連絡を受けた際、速やかに現地で対応すれば欠測期間は長くならなかった。町による除雪予算の計上にも影響が考えられるなど、迷惑を掛けた」と陳謝した。(山崎純一)



◎経済政策の方向性探る 函館で活性化戦略会議

 函館市や商工団体、金融機関のトップらが函館の経済振興策を考える「経済活性化戦略会議」の初会合が28日、函館市役所で開かれた。会長には西尾正範市長を選出。地域経済の現状や課題について官民一体で意見を交わし、全市的に取り組むべき経済政策の方向性を探った。

 昨年11月に就任した函館商工会議所の松本栄一会頭の提案で実現。メンバーには西尾市長をはじめ、市内の商工・経済団体、金融機関など12団体のトップら15人で構成する。行政と経済界が地域経済の活路について多角的にアイデアを出し合い、市政や企業戦略に反映させる狙い。

 会議は非公開。冒頭、西尾市長は「市と経済界が一堂に会して経済政策を話し合う初めての機会。市も産業・観光政策に生かしたい」とあいさつ。副会長となった松本会頭は「4年後の北海道新幹線開業効果を最大限享受するため、東北や北関東への『南進政策』が必要。他の地域に進出し、地域の魅力をアジアにも発信しなければ」と呼び掛けた。

 会議では衰退する函館経済の要因について「人口減少による圏域経済の縮小」(西尾市長)との認識を共有。新幹線時代を見据え、東北と北関東を合わせた「1000万人商圏」(松本会頭)をターゲットにした企業・観光戦略の必要性が話し合われた。構成メンバーからは「医療機関の多さから、老後のために人が集まる福祉のまちづくり」などの意見が出たという。(森健太郎)


◎全国で鳥インフル発生 渡島総合振興局が対応確認

 全国各地で強毒性の高病原性鳥インフルエンザの発生が相次いでいるのを受け、渡島総合振興局は関係部署の担当者らを集めた連絡会議を28日、渡島合同庁舎(函館市美原4)で開いた。同局と道警函館方面本部、市立函館保健所などから27人が参加し、国内での発生状況や道内における対応状況などを確認した。

 道内では22日に釧路管内浜中町で、衰弱した状態で発見され、その後死んだ野生のオオハクチョウ1羽から、高病原性鳥インフルエンザが検出されている。このため発見場所の周囲10キロ圏内では、野鳥の警戒レベルを3段階中最高度の「3」に引き上げた。それ以外の道内地域の警戒レベルは「2」で、渡島管内でも巡視の回数を増やし監視を強化している。

 この日の連絡会では同局担当者から、渡島管内ではこれまで高病原性鳥インフルエンザが発生していないことが報告された。その上で、関係機関を通じて適切な飼育管理と予防措置の徹底を呼び掛けていることを明らかにした。改行 また、野鳥を通じての感染拡大の危険性が高いことを受け、各自治体や保健所などに「野鳥の接し方について」を記したパンフレットを配布し、一般住民にも冷静な行動を呼び掛けていくことを確認した。

 同局の中村慎一産業振興部長は「今後、大勢の人でにぎわう冬のイベントが数多く予定されているので、各関係機関には一層の注意をお願いしたい」と訴えた。(小川俊之)