2011年1月4日 (火) 掲載

◎再会約束「元気でね」

 「また、来るね」—。年末年始を古里で過ごした人たちのUターンラッシュが始まり、3日、札幌や東京に向かう列車や飛行機が終日混雑した。函館市内の駅や空港では、お土産などたくさんの荷物を抱えた家族連れなどが、親戚との別れを惜しむ光景が多く見られ、「バイバイ。また来るからね」の声があちこちでこだました。

 JR函館駅では、乗車する列車の到着を知らせる掲示がされると、改札口に列ができ、手を目いっぱいに振り、祖父母に対して「元気でね」と笑顔を見せる子どもたちの姿などが目立った。札幌の大学に通う娘を見送りに来たという市内の主婦(48)は「なかなか会えないので正月は好きなものをたくさん作ってあげた。寂しいけど、勉強を頑張ってもらいたい」と話していた。

 JR北海道広報室によると、本州方面の降雪の影響で、札幌発午後4時12分の寝台特急「カシオペア」が全区間運休したが、函館—札幌間の上下線や本州方面の列車などで満席の状態。明日以降も一部の列車を除き、混雑が続くと見られている。

 一方、函館空港でも帰省ラッシュが始まり、午前中から混み合った。出発ゲートは土産を両手にいっぱいに抱えた人や笑顔で手を振る人、名残惜しそうに何度も振り返る人であふれた。叔父を見送りに来ていた、市内の小学5年生山口将生君(11)は、別れ際にしっかりと握手をして再会を誓った。姿が見えなくなると「叔父さんはドバイに住んでいるのでなかなか会えない。年末年始の4日間、一緒にスケートやボーリングをしてたくさん遊んだ。また会える日を楽しみに待ちます」と笑顔で話し、空港をあとにした。

 函館空港に発着する航空4社によると、函館から東京に向かう便は全便が満席。釧路や旭川行きでも混雑した。この状態は6日ごろまで続くと推測している。



◎子宮頸がんと乳がん検診呼び掛け

 函館市は、女性特有のがんである子宮頸がんと乳がん検診の本年度分の無料クーポン券を、昨年の5月下旬から配布している。検診は昨年の6月1日から開始しているが、受診率は今一つ伸び悩んでいる。市立函館保健所では、クーポンの有効期限である今年の2月28日までに検診を受けてもらおうとPR活動に懸命だ。

 子宮頸がんはウィルス感染が主な原因とされ、近年は20—30代での発症が目立つ。乳がんは日本人女性の20人に1人がかかるといわれ、特に40代後半に最も多く発症する。いずれも早期発見をすることで、回復が見込まれる。

 本年度の対象者は子宮頸がんが8055人。うち昨年10月30日現在で1154人が受診済み。同じく乳がんは11165人の対象者中、同じく1438人が受診しているものの、受診率は乳がんで12・88%、子宮頸がんは14・33%にとどまっている。

 市立函館保健所健康増進課によると、09年度の受診状況はいずれもクーポンの有効期限ぎりぎりの10年2月に受診者が集中。医療機関が込み合って受診できないケースも見られたという。同課では「受診率は伸びているものの、依然として低調な状況。受診者が終盤に集中しないように、女性の多い職場、学校でのポスター掲示やホームページなどで周知を図り、呼び掛けをしていきたい」と話している。(黒田 寛)

 



◎20歳の誓い新たな一歩 木古内と八雲で成人式

 【木古内、八雲】渡島・桧山管内のトップを切って木古内町と八雲町で3日、成人式が開かれた。スーツや晴れ着に身を包んだ新成人らは、20歳の自覚と責任をかみしめ、大人の仲間入りを果たした。両町では進学や就職で地元を離れている若者が多いため、正月の帰省時期に合わせ毎年この時期に成人式を行っている。

 木古内町の新成人対象者は、1991(平成2)年4月2日から92年4月2日までに生まれた57人(男性28人、女性29人)。式典には37人が出席した。

 新成人を代表して宮下拓也さん(20)と太田瑞季さん(20)が町民憲章を朗読した。大森伊佐緒町長が「これからの長い人生の中で試練もあるが、常に前を向き、自分の手で人生を切り開いて歩んでいってほしい」とあいさつし、エールを送った。

 新成人が一人ずつ自己紹介を行い、将来の夢や抱負などを力強く発表した。「もっと勉強を頑張ります」「将来は木古内町に戻ってきます」などと語ると、大きな拍手が送られた。

 林将司さん(20)は「一日も早く真の社会人として認められるように最善を尽くすことを誓います」と謝辞を述べ、参加者全員で祝杯を上げた。また、郷土芸能の「みそぎ囃子の舞」なども披露され、新成人の新たな門出を祝った。

 函館の短大に通う木村栞捺さん(20)は「4月からは保育園で働くことが決まっているので、しっかりと働きたい」と気持ちを新たにしていた。

 八雲町の新成人は、八雲地域が176人(男性93人、女性83人)、熊石地域が41人(男性24人、女性17人)。町民センターで行われた八雲地域の式典には、147人が参加し、保護者ら大勢の町民から温かな祝福を受けた。

 新成人代表で中島唯さん(19)と矢野千尋さん(19)が「八雲町で生まれ育ったことを誇りに思い、言動に自覚と責任を持ち、新たな社会の活力として担っていけるよう努力していきます」と誓いの言葉を述べた。

 都築享子教育委員長は「迷いや失敗、挫折がこれからあるかもしれないが、若さと柔軟な適応力で乗り越えてほしい」、川代義夫町長は「お父さんとお母さん、家族に感謝し、目標を持って頑張ってもらいたい」と激励。

 新成人へのメッセージでは、八雲高生徒会長の伊藤愛さん(17)が「時代の先駆者として頑張ってください」、町内の青年団、深澤仁喜(きみのぶ)さん(21)は「周囲への感謝の気持ちを忘れずに人生を切り開いて」と祝った。

 中学・高校時代のスライド上映では「懐かしい」と歓声が上がり、新成人ライブステージも繰り広げられ、終始和やかな雰囲気に包まれた。

 式典後は会場ロビーや玄関先で現況報告や連絡先の交換、記念撮影を楽しんだ。この日は熊石地域でも式典が行われた。(田中陽介)


◎市電マナー守って!萌えキャラが訴え

 函館市交通局は、市電の乗車マナーの向上を呼びかけるポスターを作製した。萌え系≠ニ呼ばれるアニメの美少女キャラクターをあしらい、昨年12月下旬から、全30両に1枚ずつ掲示。今回は初の試みとして、熱烈なファン向けにポスターを市販することも決めた。

 降雪期に入り、マイカーから乗り換えなどで利用者が増え、着膨れなどで混雑することから、利用客に一層のマナーの向上を訴える狙い。市電オリジナルキャラクターの車掌「柏木ゆの」と運転士「松風かれん」のポスターを計200部作製した。

 ポスターには「あなたのマナーは大丈夫?」と大書きされ、車内の写真に座席を占有して携帯電話で通話したり、車内で飲食や化粧をしたりするイラストを載せた。今回は2人のキャラクターの著作権を持つ玩具メーカーの協力で、ファンの声に応えてポスターを販売する。

 ポスターはB3判で、掲示は来年3月末まで。1枚630円で、駒場車庫(駒場町15)で取り扱っている。市交通局運輸課は「冬場は荷物もかさばり、マナーの苦情も増える時期。少しでも快適な車内環境を目指したい」としている。問い合わせは同交通局TEL0138・32・1731。(森健太郎)


◎「歌集『一握の砂』を讀む」初の単行本化

 石川啄木(1886—1912年)の第一歌集「一握の砂」の刊行を受け、啄木の親友で義弟でもあった歌人・宮崎郁雨(1885—1962年)が函館日日新聞に連載した「歌集『一握の砂』を讀む」を初めて単行本化した「—啄木と郁雨—なみだは重きものにしあるかな」が、このほど桜出版者(東京)から出版された。啄木研究家の遊座昭吾さんが「一握の砂」刊行100年を記念し編集したもので、郁雨に対する啄木の返信である「郁雨に與ふ」も併録し、二人の熱い友情関係を伝えている。

 新潟県に生まれた郁雨は4歳で函館に移住。兵役を終え帰函すると1906年に文芸結社「苜蓿社」(ぼくしゅくしゃ)の同人となり、07年1月に、「紅苜蓿(べにまごやし)」第1号を刊行。ここに啄木が詩を寄稿した縁から、同年5月に啄木を函館に呼び寄せることになる。08年4月に啄木は東京に引き上げるが、その時家族を郁雨に託していく。郁雨はその後、啄木夫人の妹と結婚し、啄木とは義理の兄弟の関係になっている。

 「歌集『一握の砂』を讀む」は、1910年12月から11年3月まで45回にわたって連載された書評で、現物は函館市中央図書館にのみ保管されている。一部が欠損したり印刷が乱れていたりする原本を、遊座さんが丁寧に読み取り活字化を行った。

 同書の巻末に解題「苜蓿社・函館日日新聞と斉藤大硯」を執筆した函館在住の文学研究科で国際啄木学会元理事の櫻井健治さんは「これまでは函館中央図書館でマイクロフィルムでしか確認できなかった貴重な文献が、このような形で出版されたことは大変喜ばしい。ぜひ多くの人に手に取ってもらいたい」と話している。

 定価1000円。大型書店で取り扱う。