2011年1月8日 (土) 掲載

◎1年 安全・健康に…道南各地でどんど焼き

 古いお札や正月のしめ飾りなどを燃やして無病息災を祈る「どんど焼き」が7日、函館市谷地頭町の函館八幡宮(中島敏幸宮司)など、道南各地の神社で行われた。

 どんど焼きは、全国的には小正月の15日に行われる行事だが、道南では「松の内」の最終日となる7日に開かれるのが通例となっている。

 この日は厳しい冷え込みと断続的に雪が降るあいにくの天気の中、函館八幡宮には朝から大勢の市民らがしめ飾りやお守り、だるまなどを持ち寄った。

 ダイオキシンの発生を防ぐためビニールなどを外された飾り物は、金網に囲まれた「忌床(いみどこ)」の中に積まれ、神職が祝詞をあげ、氏子が玉串をささげた後、点火された。訪れた人たちは、大きく燃え上がった炎の前で手を合わせ煙を浴びるなどし、今年1年の家族の安全などを祈った。

 家族3人で訪れた函館市弥生町の谷口清さん(64)は「家族が無事でいられるように、心を込めて祈りました」と話していた。



◎水道凍結ご用心…道南地方 強い寒気

 道南地方は7日未明から、上空に強い寒気が入り込んだため、各地でこの冬一番の寒さを記録した。函館市内では最低気温が氷点下12.1度まで下がり、市水道局などには朝から、水道管の凍結に関する市民からの問い合わせが相次いだ。

 函館海洋気象台によると、北斗市で最低気温が氷点下15.9度を記録したのをはじめ、森町で同11.0度、八雲で同10.2度、木古内で同8.9度、江差で同7.2度などと、それぞれ平年より2度から9度ほど低く、各地で今季最低気温を更新した。

 市水道局などにはこの日、水道管の凍結に関する市民からの問い合わせが、今シーズンに入り最も多い計38件寄せられた。函館市内は同日、最高気温が氷点下5・7度までしか上がらない厳しい真冬日で、水道は最低気温が氷点下4度以下になると、凍結の可能性が高まるという。

 市内の水道修繕センター(海岸町、函館管工事業協同組合内)によると、昨年12月は多い日でも1日2、3件の問い合わせだったが、この日は一気に水道管の解氷などの相談が増えたという。担当者は「日中でも長時間外出するときは注意が必要」と話す。  凍結した水道を放置しておいた場合、水道管が破裂する恐れがある。予防策には長時間水道を使わない外出時や就寝時には、蛇口の水を出したまま水抜き栓を閉め、給水管内の水を出し切る「水抜き」が最も効果的だ。

 市水道局によると、昨年は1月に243件、2月に506件の問い合わせがあり、「朝晩の冷え込みが厳しくなる1、2月に例年凍結件数が急増する傾向にある。特に古い家などは前もって気温の推移に注意し、水抜きを忘れないでほしい」としている。問い合わせは同水道局電話0138-27-8753、同センター電話同62-5511。(森健太郎)



◎はしごの上で防火の決意…消防出初め式

 函館市消防本部(向平博吉消防長)は7日、新年恒例の消防出初式を市民会館(湯川町1)で開いた。同本部職員をはじめ、関係団体や地元防火クラブなどから合わせて約1000人が参加。災害のない1年への願いを込め、分列行進やはしご乗り演技、消防訓練などを行った。

雪が降る厳しい寒さの中、初めに屋外で出初式を実施。関係団体などが参加した分列行進の後、観客お目当ての「はしご乗り」の演技に移った。高さ約7メートルのはしごの最上部では、市消防団員の2人が不安定な中で難易度の高い「枕邯鄲(かんたん)」「肝潰し」などの技を披露し、観覧席から大きな拍手が送られた。

同会館の大ホールでは式典も行われ、函館消防義会の会員約¥20¥人に、長年の功績を称える表彰状が贈られた。西尾正範市長は「昨年は大きな災害はなかったが、全国的には異常気象などで自然の猛威を感じることが多かった。市民の安心・安全の確保のため医療と消防の連携をさらに強化していきたい」と式辞を述べた。向平消防長の決意表明や万歳三唱などで式典を締めくくった。(小杉貴洋)


◎「40年の生い立ち」一冊に…函館市民会館記念誌発行

 本年度で開館40周年を迎えた函館市民会館の記念誌が、このほど発行された。開館の経緯や施設の概要などを紹介し、500部を無料配布している。初代館長で記念誌発行委員会の委員長を務めた関輝夫さん(85)は「市民会館は当時の人々の熱意が結集してできたもの。この機会に市民の共通財産としてその生い立ちを再認識してほしい」と話している。

会館の歴史を記録に残そうと、今回初めて製作。昨年4月に関さんや前館長の木村拓美さんらで同発行委を立ち上げ、昨年12月に完成した。

同館は1970年7月1日に開館。それまで舞台芸術などの会場は市公民館や学校の体育館が主で、充実した施設の早期建設は積年の懸案だった。当時、札幌や室蘭など道内各都市で大規模な文化施設の建設が相次いで行われていたことも、機運を盛り上げたという。

記念誌では、市民からの1億円以上の寄付などを原資に官民一体で建設に取り組んだいきさつや、年度別の会館利用状況、「初春巴港賑」など市民参加型の舞台公演の年表などを紹介。芸術文化発信の拠点として、長く市民に愛されてきたことが読み取れる。

「湯川町への建設計画案は当初猛反対されたが、交通の便も利用率も良いし、市民に愛されていると思う」と話す関さん。「市民会館の活躍と存在感が伝わる一冊に仕上がった。気持ちを新たに読んでほしい」と話している。

A4版、90ページ。同会館で配布中だが、なくなり次第終了する。希望者は同館TEL0138-57-3111へ。(長内 健)


◎函館―大間の航路存続決定…フェリー問題

 函館―大間(青森県)フェリー航路存続問題で、運航事業者である津軽海峡フェリー(函館市港町3)と大間町、青森県の3者は6日、老朽化が進んでいる現行船に代わる新船を同町が建造し、事業者が運行することで正式合意した。新船の建造費の一部を県が財政支援することも確認した。

 同航路は現在、新船の建造を条件に、現行船「ばあゆ」(1529トン)により同フェリーが暫定運行している。三村申吾青森県知事、金沢満春大間町長、隅田耕次同フェリー取締役による3者協議では、2013年に導入する新船の規模について「現行船の輸送能力を下回らない」の方針を確認したが、20―30億円程度かかるとみられる建造費について、具体的な数字は明示されなかった。県による財政支援については「11年度当初予算案の編成中に検討する」とし、こちらも具体額は示されなかった。

 新船導入後については、少なくとも減価償却期間(11年、あるいは15年)は同フェリーが運航を継続する「公設民営」方式を採用する。

 同航路については、2008年9月に燃料高騰や利用客の伸び悩みなどを理由に事業者が撤退を表明。同町を中心とした地元自治体が県に対して新造船の財政支援などを要望していた。

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 函館―大間航路の存続が決まったことを受け、通院や買い物など生活の足として利用している下北地域の住民からは、安堵(あんど)の声が聞かれた。

 7日午後5時発の大間行「ばあゆ」には、函館ターミナルから約30人が乗り込んだ。月1回、函館の医療機関に通院している大間町内の女性(70)は「これ(フェリー)がなくなったら本当に困る。ようやく存続が決まってほっとしている」と笑顔。正月休みを利用して家族4人で親類の家に遊びに来ていた同町内の男性(52)は「フェリーは絶対になくしてほしくないが、新船の建造の負担がどのくらい町民にかかってくるのか不安」と複雑な心境をのぞかせていた。(小川俊之)