2011年2月1日(火)掲載

◎浜のかあさん料理コン最優秀「ホタテの昆布巾着」商品化へ

 昨年2月に開かれた「浜のかあさん料理コンテスト」で最優秀に輝いた、砂原漁協女性部(石栗節子部長)の「ホタテの昆布巾着(きんちゃく)」がこの春早々、商品化される見通しだ。「食材を知り尽くした漁協女性部ならではの逸品。ほっとする味付けが良い」とバイヤーや有名企業が高く評価。同コンテストからの商品化は初めてで「この味を全国へ広げ、地域の盛り上げ役を目指したい」と関係者は意気込んでいる。

 「ホタテの昆布巾着」は、稚貝をコンブで包み、しょうゆで煮込んだ家庭料理。間引きした養殖コンブのとろけるような柔らかさに、ホタテのうまみが加わった。

 商品化のきっかけは、昨年渡島総合振興局などが2回開催した「道南食のブランドフェア」への参加。石栗部長らが料理を持ちこみ、全国有名百貨店のバイヤーと面談する形で、商品化への展望を探った。

 その中で、伊藤忠商事が注目。昆布巻きや煮豆商品など、年間4億2000万円と道内ではトップレベルの売り上げを誇る篠田食品工業(札幌市)との共同開発を持ちかけた。

 原料調達と熟練の技が必要なコンブ巻き作業は漁協女性部が、味付けを同社が担当する。「レシピ提供だけでなく、実際に商品づくりに携わってもらうことに意義がある。地域の食品ブランドの磨き上げそのもの」と同振興局水産課。昨年末から打ち合わせを重ね、現在は味付けの仕上げ段階に入ったという。

 すべて手づくりのため、大量生産は出来ないが、「間違いなく人気を得る。道南には良いものがたくさんある。これを機会に漁協をバックアップしていければ」(同社広報担当)。砂原漁協も「コンブやホタテを売り込む絶好の機会。当漁協に限らず、地域の素晴らしい水産物をPRするチャンスとも捉えたい」と期待する。

 商品は、砂原漁協女性部を前面に打ち出す。札幌や東京にある道のアンテナショップ「どさんこプラザ」などで3月か4月ごろに販売の予定。また、関係者は「いずれは大手コンビニエンスストアでも取り扱いしたい」としている。(田中陽介)



◎サッカーアジア杯決勝、市民もトイレ我慢? 水道使用量が一時急増

 日本勝利の“呼び水に”―。サッカーのアジアカップカタール大会の決勝が行われた30日未明、函館市の水道使用量が一時急増していたことが分かった。ハーフタイムや延長戦前、試合終了後には夜更かしした多くの市民がトイレに駆け込んだのか配水量が急上昇し、「深夜では異例」(市水道局)の乱高下となった。

 市水道局によると、市内中心部を主な配水エリアとする赤川低区浄水場第2配水池(赤川町)では、1時間換算した1分間の配水量がハーフタイム中の30日午前零時51分に830立方メートルと、この時間帯のピークに。試合のなかった前週の同時間と比べると約1・5倍に急増した。

 その後は450立方メートル前後と前週の同時間よりも低く推移し、多くの市民が「トイレを我慢してテレビ観戦に夢中だった」(浄水課職員)とみられる。後半終了後の同1時53分には一転、790立方メートルまで再び跳ね上がり第2のピーク≠迎えた。

 延長戦に突入すると、緊迫した試合に呼応するように小幅な増減を繰り返し、試合終了後の同2時43分には675立方メートルまで上がった。昨年6月のワールドカップ南アフリカ大会でも、日本戦が行われた深夜に同様の傾向がみられた。

 同課によると、夜間の配水量は通常、深夜から未明になるにつれて減少していくが、担当者は「函館でも風呂やトイレを我慢したり、集中してテレビにかじりついたりして声援を送っていたサポーターが多かったのでは」と分析している。(森健太郎)



◎【命を見つめて・第1部がん編@】医師の支え 生きる力に

 「やっぱりという思いはあったが、ショックだった」――。函館市内に住む72歳の男性はがんの告知を受けた心境をこう振り返る。1999年、突然、肝臓の動脈が破裂した。市内の病院で手術を受け、ウイルス性肝炎が原因の肝臓がんを発症していた。告知されたのはその2年後だった。

 当時、サラリーマンだった男性は一家の大黒柱。仕事を辞めるわけにはいかず、入退院を繰り返しながら働いた。治る見通しが定かではないだけにつらい気持ちにもなる。だが、10年以上に及ぶ闘病を続けられたのは、諦めかけた時に親身になって支えてくれた主治医のおかげという。「良い医者と出会うことも、がん治療には大事な要素」と語る。

 同市内の自営業の男性(60)もウイルス性肝炎が原因で肝臓がんを患った。04年にたまたま受けたエコー検査でがんが見つかり、手術を受けた。だが、4年後、再発し、再びがんを取り除いた。2度の手術で肝臓の3分の2を切除しており、医師からは「次、再発したら手術はできない」と言われている。

 症状は落ち着いているが、肝臓がんは再発の恐れがある。毎月1回、検査を受けており「予防の薬でもあれば良いが…。また、告知されたらどうしようと、検査のたびにびくびくしていますよ」。忍び寄る病魔に不安を募らせる。

 前立腺がんを患った市内の70代の男性は診断された時、すでに手術や放射線治療ができないほど病期は進行し、医師から「いつ死んでもおかしくない状態だ」と言われた。

 抗がん剤治療とホルモン療法を併用し、モルヒネを打ちながら治療を続けた。告知されてから1年半が経過した現在、検査の数値が改善されているという。一度死を覚悟したが、今は野菜中心の食生活を続け、前向きな気持ちで治療を続ける。「何が何でも生き抜いてやるという気持ち」と話す。

 厚生労働省などによると、国内では年間30万人以上ががんで死亡し、死因のトップを続けている。函館市内でも09年度の死因のトップはがんで、全体の3割を占めている。道南全体でも近年、1600人以上ががんで亡くなっている。高齢化が進むとともにがんの発症者はますます増えることが予想され、今やがんは国民病とも言われている。

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 病は時代を反映すると言われる。平均寿命が延び、食生活、生活習慣の激変、ストレスのまん延で健康的な生活が脅かされている。函館新聞社は、疾患者が多い病気を通して道南医療の今を伝えていきます。第1部は「がん編」とし、がん医療の最新事情や地域の課題を探ります。(医療問題特別取材班)


◎昨年の旅券発給8.9%増

 渡島総合振興局は31日、2010年の管内一般旅券(パスポート)の発給状況を発表した。発給数は6307人(男性2873人、女性3434人)で、前年比8・9%増と2年連続の増加。新型インフルエンザの終息や年配者の海外旅行人気が主な好材料となった。

 種類別内訳では、10年旅券が3465人で同1.8%減。5年旅券は2842人で同25.6%の増だった。未成年者の発給は、1029人で同60.5%増と年代別で最大の伸び。新型インフルの影響を受けなかった、私立高校の修学旅行生らの盛り返し分とみられる。

 60代は1015人で同5.8%増、70代376人で同6.2%増、80代68人で同21.4%増と軒並み増えた。

 一方、20代は1072人の同0.4%減、30代946人で同6.8%増、40代803人の同4.4%増、50代998人で同5・0%減だった。

 渡島総合振興局は「韓国格安パック旅行や新型インフルが落ち着いたことに加え、パスポートの更新時期が重なったために発給数が増えたのでは」と分析している。

 地域別では、函館市が4632人、北斗市581人、七飯町422人の上位順。この2市1町の計5635人が、全体の89・3%を占めた。

 1986年以降のパスポート発給件数は、2000年の1万1651件をピークに、米国同時テロやサーズ(SARS)騒動などで03年には5168件まで落ち込んでいた。 (田中陽介)


◎函館市長選、西尾氏が知恵の予算拡充など公約

 4月の函館市長選に出馬を表明している現職、西尾正範氏(62)は31日、函館市内のホテルで会見し、市長選に向けたローカルマニフェスト(選挙公約)を発表した。初出馬時と同様、「教育立市・人材育成都市の実現」「地域産業の振興と雇用環境の向上」を重点目標に据え、子育て支援をはじめ、「知恵の予算」の拡充や市電・バスの200円均一化、公立はこだて未来大への医学部設置推進など、計86項目を打ち出している。

 西尾氏は2期目のスローガンを「みんなでつくろう安心とやさしさのまち そして未来への投資」とし、「人口減少が地域の一番の課題。4年間の実績を踏まえ、子どもを地域全体で育てるため、次の段階の施策に力を入れた」と説明。施策の柱として、子育てや健康づくりの充実、大学を中心とした産業創出、市民自治―とする考えを示した。

 主な公約では、町会館を活用し、退職した教員が子どもの指導に当たる「寺子屋」の創設のほか、「知恵の予算」を拡充し、大学や企業での人材育成に充てる。公共交通関係では4年以内に市電・バスの200円均一料金化に取り組むとした。

 さらに、「シティ・プロモーション」として函館の魅力を総合的にPRする部署の創設、キャンパス・コンソーシアム推進に向けた共同授業教室の設置、地域商店街の活性化を目的とした、各地区でのサロン創設などを盛り込んでいる。

 市役所の行財政改革は「4年間で547人を削減し、55億円の累積効果を生み出した」と強調。そのうえで、職員給料の削減については「職員削減を続けることで、総人件費の抑制を続けたい」と述べ、否定的な見解を示した。(千葉卓陽)